組織の歴史という「パズル」を完成させるために:組織アーカイブズにおけるメタデータの機能と国際標準
人間文化研究機構 人間文化研究創発センター 特任准教授 金 甫榮
2026年3月27日発行
[PDF版 (1.3 MB)]
<目次>
・1. はじめに
・2. メタデータの機能的分類
・3. アーカイブズ業務の各段階におけるメタデータ
・4. メタデータ標準の展開
・5. おわりに
【注】
現代の企業や行政機関において、日々の業務活動から生成される「記録」は、組織の透明性を担保する証拠であり、かつ将来の意思決定を支える知識資源である。これら膨大な記録群の中から、長期的価値を有するものを選別し、未来へと継承する装置が「組織アーカイブズ」である1。具体的には、公文書館や企業のアーカイブズ部門などが該当し、そこでは企画書や議事録などの業務記録が保存される。
しかし、単に文書やデータを物理的に保管するだけでは、アーカイブズとは呼べない。ある議事録が「いつ、誰によって、どのような権限に基づき作成され、いかなる目的で活用されたのか」というコンテクストが失われれば、その資料2は証拠としての能力を喪失するからである。この証拠となる記録を保存するインフラの一つとして、重要な役割を果たすのが「メタデータ」である。
一般に「データに関するデータ」と定義されるメタデータは、分野や対象とする資料の性質によって様々なものを意味する。例えば議事録の場合、議題や決定事項といった内容そのもののみならず、物理的な保存場所、形態、大きさ、さらには関連文書の存在やデジタル化の履歴といった周辺情報もすべてメタデータとなり得る。
これらの情報は、資料の検索や解釈を可能にするだけでなく、資料の出所、来歴、および作成の文脈を明示し、真正性と信頼性を担保する上で不可欠な役割を果たす。特に、いつでも削除や改変が可能なデジタル記録の管理において、メタデータによる真正性の証明は極めて重要な課題である。
そこで本稿では、組織アーカイブズにおけるメタデータが果たす多層的な機能を整理し、記録のライフサイクル(作成、移管、整理・保存、利用)に沿って適用可能な国際標準規格を概観する。
メタデータは、データを作成・保存・利用するさまざまなフェーズごとに異なる役割を担う。これらのメタデータが果たす機能を、主に5つに分類することが可能である(表1)3。
まず、管理メタデータは、資料を管理するために使用される情報で、取得・評価に関する情報や、保管場所、複製、電子化、利用条件などに関する情報が該当する。次に、記述メタデータは、資料の内容に関する情報で、利用者が情報を発見・理解することを可能にする役割を担う。具体的には、作成者名や作成日などの作成者から引き継がれる情報から、整理の過程で作成される検索手段、注釈、索引まで、幅広い情報がこれに該当する。記述メタデータは、アーカイブズ資料の管理においては、資料群の真正性を維持する上で欠かせない情報である4。
さらに、デジタル環境において不可欠なのが保存メタデータおよび技術メタデータがある。前者は、資料の受入状態から、修復や媒体変換といった処理・変更に関する情報である。デジタル環境では、常にデータが変更される危険性があるため、その状態を継続的にメタデータとして記録することは、記録の完全性と真正性を維持する上で肝要である。後者は、データに関わるハードウェアやソフトウェアに関する情報、システムログ、セキュリティ情報などが該当する。最後に、利用メタデータは、資料の利用履歴や権利情報などが該当する。
表1 メタデータの分類と機能
| 分類 | 定義 | 例 | |
| 管理 | 資料を管理するために使用されるメタデータ | 取得・評価に関する情報、権利・複製の追跡に関する情報、利用要件と手順に関する記録、場所情報、電子化(digitization)のための選定基準など | |
| 記述 | 資料および関連する信頼できる情報資源を識別、認証、記述するために使用されるメタデータ | 作成した人またはシステムによって生成されたメタデータ、目録作成記録、検索手段(finding aids)、バージョン管理、索引、キュレーション情報、作成者およびその他の利用者による記述、注釈、および修正、資料間の関連付けなど | |
| 保存 | 資料の保存管理のために使用されるメタデータ | 物理的状態に関する記録、保存のために行われた処理の記録、電子化または保存の際に生じた変更に関する記録 | |
| 技術 | システム機能やメタデータの挙動に関するメタデータ | ハードウェアとソフトウェアに関する記録、システムが生成する処理情報、電子化情報、認証やセキュリティ情報など | |
| 利用 | 資料の利用レベルや種類に関するメタデータ | 展示記録、利用者記録、再利用記録、検索ログ情報、権利情報など |
これら多岐にわたるメタデータは、実務においてはそれらが複合的に作用し、資料の価値を支えていることを理解する必要がある。また、分野や目的によって様々なメタデータ標準が存在しており、それらが用いられる対象や範囲、方法も多岐にわたる。次は、これらのメタデータが、組織アーカイブズの記録を保存する過程では、どのような役割を担うかをメタデータ標準とともに紹介する。
組織アーカイブズにおいて、資料が整理され利用に供されるプロセスは、大きく「移管」「整理・保存」「利用」の段階に区分することが可能で(図1)、各段階で参照すべき標準が存在する。ここでは、その標準を簡単に紹介した上、次の節において詳細を述べる。
まず、移管段階は、親組織が作成した記録を、アーカイブズ部門が受け入れるフェーズである。これまで親組織で作成・利用されていた(現用)記録が、その寿命を終え使用されなくなると(非現用)、その中から長期的に保存する価値があると判断されたものがアーカイブズ部門へ移管される。この段階では、親組織での管理状況や文脈情報を断絶させることなく引き継ぐ必要があり、代表的な標準にはISO 23081がある。
次に、整理・保存段階は、移管された記録が整理・記述され長期的に保存される段階である。ここでは、記録を整理しつつその内容や構成を記述する。また、長期保存のための処置が行われるため、アーカイブズ資料管理においては最も重要な段階であると言える。保存処置に関して、紙文書の場合は燻蒸や中性紙箱への収納、収蔵庫への配置などの作業が行われるが、デジタルの場合はウィルス検査を行い可読性を担保した上で、陳腐化や改ざん防止を行い、ストレージに保存するといった作業が行われる5。この段階に関連する標準としては、記述に関してはISAD(G)等の国際標準が、保存に関してはOAIS参照モデルやPREMISなどが挙げられる。
最後に、利用段階は、保存された記録を利用者に提供するための環境を整備する段階である。記録を発見・理解するための情報や、利用条件、検索ツールなどを作成・提供する必要がある。これらの作業には、作成されたアーカイブズ記述情報が基盤として用いられるが、異なるシステム間の相互運用性を確保するためにダブリン・コア(Dublin Core)のような、汎用性の高いメタデータ標準を活用する場合もある。さらに、利便性を高めるために主題分類やインデックス作成が行われ、それらの情報がメタデータとして付与されることもある。
図1 組織アーカイブズにおける記録の移管から利用

次は、これまで触れてきた各段階における標準を、より詳しく紹介する。
記録はアーカイブズ部門に移管される以前、すなわち作成部門で管理されている段階からメタデータの生成が始まっている。記録のためのメタデータ原則であるISO 23081-16では、この段階において作成すべきメタデータ要素を定義している。
この標準を活用する上では、「記録」の前提となっている概念を理解する必要がある。組織では、あるミッションを達成するための「機能」を持ち、その機能は部門や担当者の活動を通じて達成される。活動の中では様々な業務が実施され、文書はその業務を遂行する中で作成・活用され、記録となる。すなわち、記録は組織そのものや、機能、業務、人などとの関わりを持つこととなる。
ISO23081は、このような文脈の中で記録がいつ、誰によって、なぜ、どのようにして作成されたかに関する情報をメタデータとして記述する。日本では、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が、この標準に基づく「電子文書信頼性ガイドライン」を公表しており、そこで示されている具体例が参考になる(表2)7。記録を移管する際には、これらの作成・取得環境に関する情報を確実にメタデータとして継承することが求められる。
表2 文書の作成・取得環境を特定する要素(推奨方式の例)
| カテゴリ | 作成・取得環境を特定する要素 | 記載例 |
|---|---|---|
| 文書 | 作成日時 | 2019年4月1日13時15分20秒 |
| 作成者、関係者 | 作成者=資材部 田中一郎 承認者=資材部 佐藤花子部長 関係者=経理部 山田二郎 |
|
| 様式 | 資材注文書(1) | |
| 業務規定等 | 文書の作成と管理に関する業務規程/システム統制の規程 | 文書管理規程 |
| 文書管理運用に関する業務規程/システム統制規程 | 文書管理規程 | |
| メタデータの作成と管理に関する業務規程/システム統制規程 | データベースシステム管理規程 | |
| アクセスと権利に関する業務規程/システム統制規程 | データベースシステム管理規程 | |
| 規制等 | 生成に関する法令・規制要件 | 〇〇法施行規則◯条◯号 |
| 保存、セキュリティ、廃棄に関する法令・規制要件 | 〇〇法施行規則△条△号 | |
| 文書、文書管理プロセスと法令・規制情報の関係 | 資材調達=〇〇法施行規則◯条◯号、△条△号 | |
| 部門、要員 | 作成担当者 | 資材部職員 |
| 承認者 | 資材部 部長及び課長 | |
| アクセス権限を与えられた関係者 | 資材部職員、経理部職員 | |
| 業務プロセス | 文書、要員、取引先、業務/取引/活動の関係 | 上期XX資材調達プロジェクトにおける文書一覧、メンバー一覧 |
| 取引相手 | 〇〇興行株式会社 | |
| アクセス規則 | 資材部職員=作成・閲覧 経理部職員=閲覧 |
|
| 業務分類 | 資材調達 | |
| 文書の分類 | 上期XX資材調達文書 | |
| 取引日時 | 2019年4月25日14時00分 |
記録管理メタデータと一緒に移管された資料群は、整理・保存の段階に進む。このうち記録を整理する過程では、「編成(arrangement)」と「記述(description)」が行われる。簡単に言えば、記録群の並びと内容を見極める作業である。この領域では、国際アーカイブズ評議会(International Council on Archives :ICA)が策定した以下の4つの標準がある8。
これら4つの標準は、それぞれ異なる対象を記述するために設計されている。具体的には、ISAD(G)が記録群そのもの、ISAAR(CPF)が記録の作成者(人、団体、家など)、ISDFが組織の機能、そしてISDIAHが記録を保管する所蔵機関を対象とする。各標準の詳細な記述項目については既存の文献9に譲り、本稿ではそれらの役割と相互関係に焦点を当てたい。
アーカイブズ資料は、単独で存在するのではなく、前述した作成者やその機能、活動といった多層的な関係性の中に位置づけられて初めて、証拠としての確かな価値を持つ。したがってこれら4つの標準は、資料単体を孤立して記述するのではなく、背景にある複雑なコンテクスト情報を個別に記述し、かつ相互に関連付けることを目的としている。
また、これらの概念的な標準を機械可読化するために、XML形式の実装標準も開発・普及してきた。代表的なものとして、ISAD(G)に対応するEAD (Encoded Archival Description) 10や、ISAAR(CPF)に対応するEAC-CPF (Encoded Archival Context for Corporate Bodies, Persons and Families) 11が挙げられる。
表3 IASD(G)とEADの対応例(一部)12
| ISAD(G) | EAD |
| 3.1.1 Reference code(s) | <eadid> with COUNTRYCODE and MAINAGENCYCODE attributes<unitid> with COUNTRYCODE and REPOSITORYCODE attributes |
| 3.1.2 Title | <unittitle> |
| 3.1.3 Dates | <unitdate> |
| 3.1.4 Level of description | <archdesc> and <c> LEVEL attribute |
| 3.1.5 Extent and medium of the unit | <physdesc> and subelements <extent>, <dimensions>, <genreform>, <physfacet> |
| 3.2.1 Name of creator | <origination> |
| 3.2.2 Administrative/Biographical history | <bioghist> |
| 3.2.3 Archival history | <custodhist> |
| 3.2.4 Immediate source of acquisition | <acqinfo> |
| 3.3.1 Scope and content | <scopecontent> |
| 3.3.2 Appraisal, destruction and scheduling | <appraisal> |
| 3.3.3 Accruals | <accruals> |
| 3.3.4 System of arrangement | <arrangement> |
さらに近年に、アーカイブズ記述の考え方そのものに大きな転換が進行している。ICAは上述した4つの標準を統合し、より柔軟な記述を可能にする新たな標準Records in Contexts(RiC) 13の開発を進め、2023年にバージョン1.0を公開した14。
RiCの最大の特徴は、従来の「階層構造」に基づく記述から、記録がもつ多次元的な関係性を表現する「ネットワークモデル」への転換を図った点にある。これにより、Linked Open Data(LOD)技術を活用した情報公開や、外部データとの連携を促進する新たな基盤として大きな期待が寄せられている。現状、国内においては標準の紹介にとどまっているものの、海外ではすでに実務への適用が試みられ始めている。
整理・記述された記録群を消滅から守り抜くのが保存の段階である。国際的には、デジタル保存のための標準としてOAIS参照モデル(Reference model for an open archival information system)15が普及しており、英国16や米国17をはじめとする海外のアーカイブズ機関において多くの活用事例がある18。
OAIS参照モデルでは、保存に必要な多様なメタデータを概念的に整理してパッケージ化し、受入・保存・利用の3段階で管理することが定められている19。そして、これらのパッケージに含まれるメタデータを実際に記述する際に活用されるのが、保存のためのメタデータ標準PREMIS(Preservation Metadata: Implementation Strategies)20である。
PREMISは、デジタル保存を確実に行うために不可欠な中核的要素を定めており、以下の4つのエンティティから構成されるデータモデルを定義している21。
図2は、この中の「イベント」に関する記述例である。デジタル記録が移管された際には、そのデータが壊れていないかなどを検証(validation)する必要がある。図2のXML形式の記述からは、イベントに固有識別子が付与され、いつ・どのような検証が行われたかが記録されており、「JHOVE」というソフトウェアでチェックした結果、無事に有効な画像データ(TIFF)だと確認できたことが読み取れる22。
図2 PREMIS記述例

このように、PREMISを活用して保存過程におけるすべての処理履歴を記述することは、記録の真正性と信頼性を担保する上で不可欠な作業である。しかし留意すべき点として、PREMISの主目的は、あくまで保存に必要不可欠な「コア情報」を識別・管理することにある。そのため、資料の内容記述など、他の専門領域でカバーされるべきメタデータは基本的に対象外となる(図3)。したがって各アーカイブズ機関は、単一の規格に頼るのではなく、活用すべき複数のメタデータ標準を総合的に俯瞰した上で、PREMISが担うべき適切な適用範囲を見極める必要がある。
図3 保存メタデータの一部としてのPREMIS(カプランほか, 2021)

最後に、保存された資料を利用者に提供する利用段階では、多様な検索ニーズに応えるメタデータが必要となる。
アーカイブズ資料の詳細な記述は、そのままでは外部の検索エンジンや他機関のシステムと連携しにくい場合がある。また、保存のためのメタデータにはシステム管理上の情報など一般の利用者には不要なデータも含まれている。そのため、利用提供のフェーズでは、より汎用性が高く、情報の検索・共有に特化したメタデータ規格へのマッピングが行われることが多い。その代表例がダブリン・コア(Dublin Core)である23。
ダブリン・コアは、タイトル(Title)、作成者(Creator)、主題(Subject)、内容記述(Description)、公開者・出版者(Publisher)、寄与者(Contributor)、日付(Date)、資源タイプ(Type)、記録形式(Format)、識別子(Identifier)などの15の基本要素から構成される、シンプルかつ互換性の高いメタデータ標準である。
これらの要素へメタデータをマッピングする際、ISAD(G)の全記述項目を対象とするのではなく、利用者が情報発見に不可欠なものを選別した方が効率的である。表4は、ISDA(G)、EAD、ダブリン・コアの3つを対応づけた一例である。このように目的の異なるメタデータ標準間で連携を図る場合には、必ずしも一対一で結びつかなかったり、定義が完全に一致しなかったりすることがあるため、柔軟な解釈と処理が求められる。
したがって実務担当者には、自館のシステム内で完結すべき詳細な記述・保存用メタデータと、外部に向けて発信する汎用的な発見・利用用メタデータの役割の違いを理解しなければならない。その上で、両者を適切に使い分ける、あるいは自動変換する仕組みを構築することが重要な課題となる24。
表4 IASD(G)、EAD、ダブリン・コアの対応例
| ISAD(G) | EAD | Dublin Core |
| 3.1.1 Reference code(s) | <unitid> | Identifier |
| 3.1.2 Title | <unittitle> | Title |
| 3.1.3 Dates | <unitdate> | Date |
| 3.1.5 Extent and medium of the unit | <physdesc> and subelements <extent>, <dimensions>, <genreform>, <physfacet> | Format |
| 3.2.1 Name of creator | <origination> | Creator |
| 3.3.1 Scope and content | <scopecontent> | Description |
本稿では、組織アーカイブズにおけるメタデータを機能・段階別に俯瞰し、ISO 23081、ICAの4つの標準、OAIS参照モデル、PREMIS、ダブリン・コアといった主要な国際標準との関連性について述べてきた。
資料を保存する組織において、メタデータの作成は極めて重要な活動である。単一で万能なメタデータスキーマは存在しないため、目的の異なる多様なメタデータをいかに効率的に管理するかが問われている。多岐にわたる規格は一見すると難解であり、実務への適用を躊躇させるかもしれない。
しかし、メタデータ管理とは、断片的な情報という「ピース」を一つひとつ組み合わせ、「組織の歴史」という壮大なパズルを完成させる創造的な営みである。それぞれの概念や標準が相互に補完し合っていることを理解すれば、実務における管理作業も、パズルを解くように前向きに取り組めるのではないだろうか。
1 組織アーカイブズについては次が詳しい。公益財団法人渋沢栄一記念財団 情報資源センター「活用"を通して組織アーカイブズの価値を探る:企業を中心に」2023, https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc020_value.html(参照2026-02-27)
2 本稿は組織における記録、とりわけ文書を対象とするが、メタデータの分類は文書だけでなく、様々なコレクションや情報資源を対象とするため、これらをすべて含む用語として「資料」を用いた。
3 次を参考に筆者が再整理した。Baca, M, editor. Introduction to Metadata. 3rd ed., Getty Publications, 2016, p.10. Adrian, B. Practical Digital Preservation: A How-to Guide for Organizations of Any Size, Facet Publishing, 2013, pp.156-157.
4 MacNeil, H. Providing Grounds for Trust II: The Findings of the Authenticity Task Force of InterPARES, Archivaria 54, 2002, pp.24-58.
5 これらの処置は、受入段階でも実施する必要があるが、本稿はメタデータ標準の概要を説明することが主な目的であるため、保存処置に関する詳細な説明は割愛する。
6 ISO 23081-1:2017 Information and documentation -- Records management processes -- Metadata for records -- Part 1: Principles, International Organization for Standardization.
7 日本文書情報マネジメント協会「電子文書信頼性ガイドライン」第1版, 2019, p.18.
8 アーカイブズ資料の記述標準は、イギリス、カナダ、アメリカ、オーストラリアなど、各地域で独自の発展を遂げてきた。本稿で取り上げたISO 23081は、そのなかでもオーストラリアにおける記録管理の考え方から強い影響を受けている。この文脈においては、本来オーストラリアの「シリーズシステム」について詳述すべきであろう。しかし、本稿の主たる目的はメタデータの最も基本的な標準を提示することにある。そのため、特定の地域的手法ではなく、国際的に広く普及しているISAD(G)を中心に解説を進める点をご了承いただきたい。
9 近年の文献では、次が詳しい。元ナミ「アーカイブズの記述標準とメタデータ」『「メタデータ」のパースペクティブ』池内有為ほか編, 勉誠社, 2025, p.29-53.
10 Encoded Archival Description Official Site, https://www.loc.gov/ead/(参照2026-02-27)
11 EAC-CPF, https://eac.staatsbibliothek-berlin.de/(参照2026-02-27)
12 Encoded Archival Description Tag Library Version 2002 Appendix A: EAD Crosswalks, https://www.loc.gov/ead/tglib/appendix_a.html(参照2026-02-27)
13 Records in Contexts(RiC), https://www.ica.org/ica-network/expert-groups/egad/records-in-contexts-ric/(参照2026-02-27)
14 RiCの開発背景および他のメタデータ標準(ISO 23081、ISAD(G)、シリーズシステム)との関係性については次を参照されたい。カニンガム, エイドリアン.「ICAによるアーカイブズ記述のためのRiC(レコード・イン・コンテクスト)概念モデル及びISO 23081記録管理のメタデータ標準 : レコードキーピングの新しい世界」井出竜郎ほか訳.『GCAS report』12号, 2023, pp.6-30.
15 ISO 14721:2025 Space Data System Practices -- Reference model for an open archival information system (OAIS)
16 Beedham, H. et al. "Assessment of UKDA and TNA compliance with OAIS and METS standards," 2005, https://dam.data-archive.ac.uk/reports/research/OAISMETS_report.pdf(参照2026-02-27)
17 三菱総合研究所 情報通信政策研究本部,「米国(NARA)における電子記録の長期保存等に関する取組みに係る調査報告書」独立行政法人国立公文書館, 2015, https://www.archives.go.jp/about/report/pdf/kenkyu2014.pdf(参照2026-02-27)
18 ただし、記録群の保存に際しては留意すべき点がある。OAIS参照モデルは、基本的に「すでに作成されたデジタルデータそのもの(情報オブジェクト)」の長期保存を主眼としている。しかし、アーカイブズ資料の保存においては、データ単体だけでなく、どのような経緯で作成されたか、他の記録とどのように関連しているか、といったコンテクストの維持が極めて重要視される。したがって、アーカイブズ資料を適切に保存・管理するためには、OAIS参照モデルの枠組みにのみ依存するのではなく、こうした背景情報を確実に残すための幅広いメタデータを検討する必要がある。
19 OAIS参照モデルの概要および国内における事例研究は、次を参照されたい。金甫榮ほか「デジタル資料の長期保存のためのOAIS参照モデルによる情報パッケージの作成:東京大学史料編纂所を事例に」『デジタルアーカイブ学会誌』9(3), デジタルアーカイブ学会, 2025, pp.e15-e24.
20 PREMIS. Guidelines for using PREMIS with METS for exchange, 2017, https://www.loc.gov/standards/premis/guidelines2017-premismets.pdf(参照2026-02-27)
21 本稿で述べるPREMISの概要は、次の日本語訳を参考にした。カプラン・プリシラほか「PREMIS を理解する」, 国立国会図書館, 2021, https://dl.ndl.go.jp/pid/14435473(参照 2026-02-27)
22 PREMISの各エンティティの記述例については、次を参照されたい。https://www.loc.gov/standards/premis/v3/sample-records/PREMIS%203%20example%201.xml(参照2026-02-27)
23 ダブリン・コアの開発背景や歴史、基本要素に関する解説は次が詳しい。杉本重雄・永森光晴「Dublin Core―開発の歴史と基盤的概念」『「メタデータ」のパースペクティブ』池内有為ほか編, 勉誠社, 2025, pp.91-133.
24 ISAD(G)、EAD、DCの利用事例は、次を参照されたい。柳与志夫ほか編『デジタルアーカイブ入門 つかう・つくる・支える』勉誠社, 2025, pp.226-231.