世界/日本のビジネス・アーカイブズ

パナソニックのアーカイブズ

パナソニックのアーカイブズ
 エビデンス(証拠)で心の琴線に触れる : 日本におけるウェイ、信頼、企業アーカイブズ

公益財団法人渋沢栄一記念財団 情報資源センター

2019年2月26日発行
[PDF版 (385.4 KB)]


<目次>

はじめに : 日本における企業アーカイブズの意味―ウェイ・価値観の共有、経営理念の継承
パナソニックのアーカイブズと100周年事業
 1. パナソニックの沿革と事業概要
 2. パナソニックのアーカイブズ
 3. パナソニック創業100周年とアーカイブズの取り組み
 (1)100年史の編纂
 (2)歴史資産アーカイブズシステムの構築
 (3)パナソニックミュージアムエリア全体の活用(歴史館とものづくりイズム館)
おわりに : 企業アーカイブズと「信頼」


 本稿は2018年11月に英国ロンドンで開催されたBAC(ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)とICA SBA(国際アーカイブズ評議会ビジネス・アーカイブズ部会)共催ビジネス・アーカイブズ国際シンポジウム「ビジネス・アーカイブズと信頼」でのプレゼンテーション Striking the Right Chord with Evidence - Way, Trust and Corporate Archives in Japan(「エビデンス(証拠)で心の琴線に触れる:日本におけるウェイ、信頼、企業アーカイブズ」)を基に作成しました。ここに掲載されている内容は英文原稿執筆時点の情報に基づいています。

 このプレゼンテーションはパナソニック株式会社ブランドコミュニケーション部歴史文化コミュニケーション室のみなさんのご協力とサポート、とりわけ企画課 中西雅子さん、アーカイブズ課の中野晶弘さんのご協力によって可能となりました。記して感謝します。なお、ここにおける意見はいかなる意味においてもパナソニック株式会社の見解を表すものではありません。


はじめに : 日本における企業アーカイブズの意味―ウェイ・価値観の共有、経営理念の継承

 公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターでは、2004年以来、「道徳経済合一説」の現代的な実践としての企業文化の向上のため、企業史料プロジェクトとして企業アーカイブズ(記録管理を含む)振興活動を行ってきました。具体的には、国内外のベストプラクティスの紹介、あるいはアーカイブズ、デジタル・アーカイブズの持つ潜在的可能性、デジタル保存をはじめとする実務に関する調査と情報提供といった取り組みです。この過程で発見したことの1つは、日本における企業アーカイブズは、創業者をはじめとする社内先人の思想と理念、あるいは感性を継承し、共有するためのツールという意味合いが何よりも強い、ということです。企業アーカイブズは、マーケティングにも、もちろん使われています。ブランディングでも利用されています。コーポレートコミュニケーションでのコンテンツや、製品開発での過去情報の参照のためにも用いられています。しかし、最も重要視されている機能・視点は、「ウェイ・価値観の共有」、「経営理念の継承」のためのソース、ツールとしての役割です。

 本日は経営理念の継承のための企業アーカイブズとして草分けであり、日本の企業アーカイブズのモデル、ベンチマークであり続けてきたパナソニックの企業アーカイブズを取り上げ、企業アーカイブズと信頼の関係について掘り下げたいと思います。過去20年にわたり日本の家電メーカーは全体として国際競争力を失ってしまったことは衆目の一致するところでしょう。しかし同社は構造改革と事業転換を進めて、グローバル企業としてのさらなる発展を目指す中で2018年に創業100周年を迎えました。

パナソニックのアーカイブズと100周年事業

1. パナソニックの沿革と事業概要

 パナソニック株式会社は松下幸之助(1894-1989)が、電気器具の製造販売会社として1918年3月に創業しました。創業者は9歳で学校を離れた立志伝中の人物です。大阪府門真市に本社を置く同社は、1935年12月に株式会社化され、2018年3月時点で、資本金2,587億円、従業員数は274,143名(従業員数の内訳は日本38%、中国を除くアジア22%、中国21%、米州11%、欧州8%)、グループ会社数は592社、売上高は7兆9,822億円(前年度=2016年度は7兆3,437億円)です。東京、名古屋、米国OTCピンクシート、フィリピンで株式公開している他、東証株価指数採用銘柄です。

 同社は、「事業を通じて社会の発展に貢献する」という創業以来の経営理念を体現したブランドスローガン「A Better Life, A Better World」のもと、「家電」「住宅」「車載」「B2B」の4領域で事業を展開し、世界中のお客様一人ひとりにとっての「よい良いくらし、より良い世界の実現」を目指しています。

2. パナソニックのアーカイブズ

 同社の歴史とアーカイブズへの取り組みは創業50周年を迎える7年前の1961年に開始されました。松下電器産業株式会社『松下電器五十年の略史』を1968年5月に発行するとともに、同年3月には創業50周年を記念して松下幸之助歴史館(敷地面積4,030m²、建築面積1,450m²、展示面積1,250m²、建物は昭和8年=1933年に建設された本店社屋を復元)を開館し、ここで創業者の思想・経営理念と社史を発信してきました。

 1976年には、創業60周年(1978年)記念行事準備のため、社長直轄下の恒久的部門として、同年11月24日付の社長通達によって「社史室」(Office of Corporate History)が設置されました。部門新設の趣旨は、

 創業60周年(1978年)を迎えるにあたり、

(1)創業者事業観の探求と、創業者精神の社内外への周知
(2)社史に関するあらゆる資料の保存管理の徹底
(3)社史の編纂

の各業務を行わせるためとされました。

 以来、歴史館では(1)創業者の生涯を展示しパナソニックの発展の歩みを紹介、(2)創業者の経営理念や志の紹介、(3)パナソニックを支えてきた一号商品の3つの分野の展示を行ってきました。2002年以降は、時代に即した経営課題に直結するテーマを設定した特別展・企画展に特に注力してきました。

 2012年3月期決算で業績の落ち込み(▲7,721億円)が明らかになり、同年6月に社長に就任した津賀一宏現社長は就任以降、本社機能の見直しや事業部制の復活などの構造改革、事業内容の見直しを進め(例えばグループ従業員数は2011年度末の33万人から2014年度末には25万4千人へ)、当時目標としていた「営業利益3,500億円以上、営業利益率5%以上、フリーキャッシュフロー累計6,000億円以上」を1年前倒しで達成しました。この間、2012年12月から事業部制の企画展示を歴史館で行なっています。これは2013年4月に実施された事業部制復活をサポートする役割を果たしました。現社長から社史室に対して、事業部制の理念に関わるビデオを社員に見せたい、という要望があり、社史室ではこれをイントラネットに掲載する一方、同年2月6日の社長ブログには、グループ戦略会議で歴史館での事業部制に関わる展示見学を勧めた社長のコメントが掲載されるなど、現体制でアーカイブズは戦略的な利用価値を認められていると思われます。

 過年度の特別展のテーマは次のようなものです。

2010 「松下幸之助 絶えざるイノベーション~エレクトロニクスNo.1の環境企業を目指して~」
2011 「松下幸之助のグローバル観~Quest for Prosperity~」
2012 「松下幸之助 『自主責任経営』と『社員稼業』」
2013 「松下幸之助の『活力ある組織を作る』」
2014 「松下幸之助の目指したもの~A Better Life, A Better World~」(生誕120年記念特別展)
2015 「松下幸之助 "経営の基礎は人である"~失敗を恐れず挑戦する人に~」
2016 「松下幸之助 『生成発展への道程』~M&Aと提携の歴史に学ぶ」

 なお、2016年8月16日に「社史室」から「歴史文化コミュニケーション室」に名称を変更し、同室はよりコミュニケーション機能を強化することになりました。

3. パナソニック創業100周年とアーカイブズの取り組み

 創業100周年(2018年3月)に向けてのプロジェクトのプロポーザルは、2015年4月に社長決裁をとってキックオフしたものです。このプロジェクトは3つの内容から成り立ちます。

(1)100年史の編纂
(2)歴史資産アーカイブズシステムの構築
(3)パナソニックミュージアムエリア全体の活用(歴史館とものづくりイズム館)

 それぞれについて概要をご説明しましょう。

(1)100年史の編纂

 2018年の創業100周年に向けて「正史」と「普及版」を編纂する事業です。正史は100年間の経営の変遷を記すもので、来年2019年9月に発刊予定です。本編は創業前史と全10章から成る約800ページ程度のもの、資料編は組織の変遷、職能の歴史、商品の歴史等から成る約200ページ程度のものを予定しています。編纂体制としては、社内に正史編纂委員会を設置、社長が委員長、ブランドコミュニケーション本部長が副委員長、委員には人事・経理・企画の各担当役員が就任し、会長もアドバイザーとして関わっています。100年間の経営の変遷を冷静に記し、今後の経営判断の拠り所となる歴史書として編纂中で、事典として活用してもらうことを意図しています。さらにパナソニックのみならず、広く日本の電機産業史研究にも資するような内容を目指して編纂が進められています。

 一方社員向けの普及版はすでに2018年5月5日に日本語版、同9月に英語版と中国語版を刊行済みです。パナソニックのアイデンティティを全社員で共有するためのツールと明確に位置付けられた256ページの冊子です。全体は3部から成り、第1部「商品で見る歴史」では人々の生活向上を図る商品を提供し、社会とともに発展してきたパナソニックの姿を、第2部「100年の略史」では創業者の生い立ちから今日に至るまでの会社の歩みを、そして第3部「パナソニックの精神とは」ではパナソニックの成長・発展の底流に流れる創業者の経営理念や考え方を紹介しています。

(2)歴史資産アーカイブズシステムの構築

 アーカイブズが所蔵する資料には3種類のものがあります。

・創業者の経営思想と活動の記録に関するもの
・会社の沿革を伝える歴史的なもの
・各時代の事業活動を体現する代表的な商品(歴史的商品)

 現在保有している資料の概数は、

・創業者の音声や記録映像約7,000本
・文書資料や写真アルバム約20,000冊
・エポックメーキングな商品が約3,000点

 これらは様々な情報発信や調査活動のための利用のほか、社内外の各種展示会やテレビ、映画撮影などへの貸出対応を行っています。

 2018年までに実施することとされたのは、

・創業から保管してきた歴史資産の現状把握(量、状態)
・資料の劣化を遅らせる応急処置を施しながら、良好な保管環境を検討整備すること
・歴史資産を永続的に収集保管するためのルールと積極的に活用する仕組みづくり
・グループ全社のアーカイブズ構築の基盤づくり

 以上の方針に基づいて具体的には次の2つのアクションが実行されました。

(1)歴史資産の整理・分類・デジタル化。これは、先に挙げた資料を現物保存しつつデジタル化するもの、現物保存のみ、現物は廃棄してデジタル化するものに分けて管理する仕組みづくり。
(2)収集・整理・保存方針を確立して、個人の経験に頼らない管理を実現することと、劣化や損傷を可能な限り防止できる環境を構築すること。

 データベース化されたパナソニックの企業アーカイブズ情報は、社内イントラネットに公開され、歴史館(ミュージアム)の端末からアクセスできます(ただし歴史館端末からのアクセスには制限があります)。

 画面構成は次の通りです。

 トップページのスライダー部分には主要アプリケーションの紹介や期間限定コンテンツなどを掲載します。

 下のアプリケーション選択メニューでは、社員向けアプリケーションを6つのカテゴリで分類しており、選択すると次のようなプルダウン・メニューが現れます。

・創業者に学ぶ(松下幸之助大事典、経営方針発表会より、社史の原典に学ぶ、松下幸之助の生涯)
・社史を知る(社員向け100年史、正史=発刊後に掲載予定、社史ライブラリ)
・年表を見る(年表)
・資料を探す(社長通達、写真ライブラリ、映像ライブラリ、音声ライブラリ、歴史商品ライブラリ、ポスターライブラリ、書籍ライブラリ)
・広報誌を読む(社内報・給与リーフレット、販売促進用冊子、株主通信)
・歴史館アーカイブズ(特別展・企画展、旧歴史館)

 キーワード検索が可能であるとともに、「松下幸之助大事典」には3,000件以上に及ぶ創業者の言葉や資料が収録されています。「年表」は写真や映像などのデータとも紐付けられています。更に、本データベースは、社員が自宅のパソコンやモバイル端末からも利用することが可能であり、いつでもどこでも学べる環境を提供しています。

 この歴史資産アーカイブズの構築は、100周年事業終了で完結するものではありません。100周年事業はあくまで通過点という位置づけです。これは、創業者の思想とパナソニックのDNAを継承し「未来」の発展に貢献する情報インフラストラクチャと言えるでしょう。

(3)パナソニックミュージアムエリア全体の活用(歴史館とものづくりイズム館)

 そして100周年記念事業として最後にご紹介するのは、パナソニックミュージアムです。これは1968年にオープンした旧松下幸之助歴史館をものづくりイズム館にリニューアルするとともに、新たに旧館と全く同じデザインで新築した松下幸之助歴史館の2つの建物と、さくら広場、創業者の門真旧宅を含むエリアから成ります。ものづくりイズム館は「パナソニックのものづくりのDNAを探る場所」というコンセプト、松下幸之助歴史館は松下幸之助の経営者哲学を展示し「創業者に出会える場所」というコンセプトで作られた空間です。

 旧歴史館をリニューアルしたものづくりイズム館は、くらしを豊かにしてきたエポックな家電製品を6つのテーマで約150点を展示するマスターピース展示、デザインとテクノロジーを融合させた幅16メートルの映像空間であるヒストリーウォール、歴代家電商品を時系列で展示するスケルトンな収蔵庫(ストレージギャラリー)、技術展示、デザイン展示、家電製品があるくらしの変遷をジオラマと映像で見せるコンセプトシアター、BtoBソリューションをグラフィックパネルと映像で展示する「次の100年へ」といったエリアで構成されています。

 新歴史館は1918年3月に創業した当時の作業場を再現した創業の家から始まり、7つの章(礎、創業、命知、苦境、飛躍、打開、経世)を通じて、創業者の94年の生涯を辿りながら、数多くの苦難を乗り越える中で創業者が見出した経営観・人生観を学ぶコンテンツとなっています。全章とも「発想、実践、結果、エピソード」でまとめられ、「イラスト、グラフ、画像」で補足説明しています。

 両館ともパナソニックが開発した、LEDの光を活用して来場者のスマートフォンに好みの言語で情報を表示・ダウンロードできる多言語対応ソリューション(日本語、英語、中国語簡体字、中国語繁体字、韓国語、タイ語、インドネシア語、ベトナム語、スペイン語)LinkRayを導入し、展示のお持ち帰りができます。

 新歴史館で展示されているストーリー(ものがたり)は、すべて歴史資産アーカイブズに蓄積された情報資源の再活用です。1998年10月に広報部門から社史室に異動以来、記録資料(アーカイブズ。各種記録、文書、録音・録画といった資料)収集を行うかたわら(16年間で33回)、常設展示、すべての企画展・特別展の構成・企画を中心的にリードしてきた学芸員中西雅子さんは次のように語ります。

「共通の価値観を持っているかいないか、共通の価値観があるかないかでは、大きな違いがあります。」(2018年10月3日)

「今、何をやったら社内の人の琴線に触れるのか、いかに経営に貢献するのか。そこからアーカイブズの何が利用できるのか考えます。」(2011年9月16日)

「創業100周年においてパナソニックの"信頼"に関わる部分を担当するのが歴史文化コミュニケーション室の役割」(2018年8月23日)

 パナソニック歴史資産アーカイブズの松下幸之助大事典をはじめとするデータベースには、資料の典拠に関わるメタデータはもちろんですが、キーワードを振られた創業者のスピーチなど膨大な量のテキスト(文章)が登録されています。創業者松下幸之助は「経営の神様」とも呼ばれ、企業経営に関わる著書の累計売り上げ部数は1,500万部を上回ります。この一般に流通している文章とデータベースの違いは、タグやキーワードの有無ばかりではなく、データベースに登録された文章や画像・動画・録音がどのような企業経営のコンテクスト(文脈、状況)において記録されたものなのかが明らかであるということがあげられます。どのような経営の危機、あるいはどのような成功・失敗の過程における資料なのか。コンテクスト情報は個々のコンテンツに血を通わせるものです。

 このような姿勢で2000年代前半から心血を注いで取り組んできたアーカイブズ資料の蓄積、ストーリーの蓄積が100周年事業のミュージアムの基盤にあります。企業アーカイブズの世界では、会社の業績が悪化するとアーカイブズを閉鎖したり、人員カットを行うことは特別なことではありません。しかしながら、パナソニックの場合、創業者が残した記録(文書、書籍、録音、録画)を中核とする、膨大な企業資料を基にした、その時々の経営課題にベクトルを合わせた社内情報発信が、会社の業績にかかわらず経営をサポートする役割を果たしてきたのです。

 100周年事業はミュージアムの新築と改装がまず目につきます。しかし、真に注目すべきなのは、これまで蓄積し、活用してきた経営理念に関わる記録を中心とした歴史資産の情報化にあると言えます。社史刊行やミュージアムのグランドオープンといった一過性のものにとどまらない、未来への発展のための情報システム基盤を作り上げたことが最も重要な取り組みと言えます。経営者の言葉、過去の事業に関わるストーリー、イノベーションによって生み出された商品とサービスといった、経営理念を核にした膨大な記録への社内アクセスが、データベースを介して容易になりました。稀代のストーリーテラー(語り部)である中西さんをリーダーとしてこれまで蓄積してきた歴史資産(記録資料、文書や書籍、録音・録画、過去の展示コンテンツ)を、データベースに構築したチームのリーダーは、システム・エンジニア出身で歴史文化コミュニケーション室所属の中野晶弘さんです。パナソニックのアーカイブズが次の100年に向けて進化・発展するため、デジタル技術やシステム構築に経験のある人材が時宜にかなって登用されたことで、膨大な資料を特性に応じてデジタル化し、すべての社員が利用できるデータベースシステムが構築できたのです。

おわりに : 企業アーカイブズと「信頼」

 ここで企業アーカイブズと「信頼」について、まとめたいと思います。

 ビジネスが繁栄するためには、顧客・社会からの信頼が必要です。どのように企業は信頼を得るのか?企業はお客様に対して、よい製品、よいサービス、一言で言うなら期待される価値(expected value)を提供できなければなりません。それはどのように可能なのか?企業史料プロジェクトを通じて得られた知見によると、日本の企業の場合、顧客からの期待に応えうる(約束を十分に果たせる)「信頼できる(trustworthy)人を育てる」、「その企業の価値観に沿った意思決定ができる人を育てる」ことを考えます。どのように育てるのか?価値観の共有、ウェイの共有、経営理念の継承によってです。アーカイブズはウェイ、価値観抽出のための証拠(エビデンス)の大規模な集積と言えるでしょう。創業者が語るストーリー、商品やサービスに関わるストーリー、商品やサービス・宣伝や広告が持つ感性や美しさ、機能性や斬新性・・・これらが企業経営の文脈(コンテクスト)の中で理解されるとともに、心の琴線に触れる時、企業で働くメンバーのコミットメント、エンゲージメントを引き出すことにつながると考えられています。経営理念・価値観の共有による企業目標(「より良い暮らし、よりよい世界の実現」)達成への貢献が、社会の側から企業に対する「信頼」を生むのです。その信頼をさらなる資本・土台として企業経営を永続させるのが理想的な姿です。この循環を追い求めるのが企業活動と言えます。

 フェイク・ストーリーも時にメンバーのコミットメント、エンゲージメントを引き出すことがあるでしょう。しかし証拠(エビデンス)を持たない、事実に立脚しないストーリーは、この企業経営永続の循環を破壊するのです。

 アーカイブズは、証拠(エビデンス)に支えられた、心の琴線に触れるストーリー、すなわち企業の歴史の中で正確にコンテクスト化されたストーリーを提供します。そして、それによって信頼を育む、そのために存在するのです。

一覧へ戻る