1997年から2020年まで渋沢栄一記念財団の理事長を務め、その後相談役となった渋沢雅英は、曾祖父である渋沢栄一についての講演を数多く行っています。デジタル化された『渋沢栄一伝記資料』など、様々な資料やデータベースを駆使して構成されたその内容は、ストーリー性をもって人間・渋沢栄一を語るものとして各所で好評を博しました。ここでは、2007年から2012年に行われた講演原稿の中から、一部改稿してご紹介します。
渋沢雅英
(撮影:落田伸哉)
渋沢栄一は不思議な人で、死後80年という長い歳月が経ち、本来なら歴史上の人物になっているはずでありますのに、未だにその人生や業績が、現代的な関心を呼んでおります。新聞やテレビなど、メディアにも絶え間なく登場しておりますし、アメリカの大学では渋沢栄一の名を冠した講座が設置され、中国でも、武漢の華中師範大学に「渋沢栄一研究センター」が設立されています。慶応大学、東京大学、関西大学などでは次々と記念講座が開講され、中国人、フランス人を含む多くの研究者による、栄一研究の出版も続いております。
このページでは、私が行った講演のいくつかをご紹介します
【2008年8月6日 東京ロータリークラブ、帝国ホテルにて】
掲載日:2011年2月28日
1. データに見る渋沢栄一の世界
渋沢栄一記念財団における資料整備の作業を通して、ようやく見え始めてきた栄一のプロフィールの幾つかをご紹介いたします。
[ はじめに / (1) 危機感と使命感 / (2) 抜群の説得力 / (3) 社会変革の実現 / (4) 企業の設立・運営は近代日本育成の手段 / (5) 長期にわたる文化事業 / おわりに ]
【2010年6月14日 埼玉県経営者協会にて】
掲載日:2022年3月18日
2. 岩崎弥太郎と渋沢栄一
明治日本の近代化を背景として、岩崎弥太郎と渋沢栄一という二人の人物について、私にわかる範囲でお話をするようというご依頼を頂きました。
[ はじめに / (1) 近代を拓く(渋沢栄一) / (2) 三菱の台頭(岩崎弥太郎) / (3) 抜群の人材(渋沢栄一) / (4) 協力「東京海上」 / (5) 対立「日本郵船」 / (6) 日本的システムとの共生(岩崎弥之助) / (7) 婚礼 / (8) 敗戦 / (9) 三菱の解体(岩崎小弥太) / (10) 結び・企業文化の違い ]
【2007年12月1日 華中師範大学 渋沢栄一研究センターにて】
掲載日:2022年3月18日
3. 歴史的視野の中の渋沢栄一
19世紀以降、現代に到る歴史の流れの中で、渋沢栄一の人生とその活動が持っていた意味とひろがりについて、考えて見たいと思います。
[ はじめに / (1) 鄧小平氏と中国経済成長の奇跡 / (2) 日本の近代化とそのインパクト / (3) 官尊民卑打破 / (4) 民間企業の育成 / (5) 財界:新しいパワーセンターの誕生 / (6) 孫文氏との共同作業 / (7) 公益の追求者 / (8) 「中華民国水災同情会」 / (9) いま、なぜ渋沢栄一か? ]
【2010年2月13日 埼玉グランドホテル深谷にて】
掲載日:2023年3月23日
4. 奇蹟の時代
「奇蹟の時代」という演題の真意は、歴史という文脈のなかで、故人の人生と、その優れた資質の幾つかを振り返ってみたいという趣旨でございます。
[ はじめに / (1) 生い立ち / (2) 改正掛 / (3) 民間企業の経営 / (4) 妻の成長 / (5) 官尊民卑打破 / (6) エリート企業家の誕生 / (7) 地方分権 / おわりに ]
【2012年11月7日 日本教育会館 企業史料協議会 第1回ビジネスアーカイブズの日 特別講演】
掲載日:2023年3月23日
5. 『渋沢栄一伝記資料』デジタル化の意義
文章の背後から伝わってくる時代の息吹は優れて魅力的です。また読み進んでゆくうちに、渋沢栄一本人が現れ、直接語りかけてくれたという確かな手応えを感じることもありました。
[ はじめに / (1) 第一国立銀行開業式 / (2) 帝国劇場・女優学校 / (3) 『渋沢栄一伝記資料』 / (4) 『太平洋にかける橋』 / (5) 渋沢栄一とインド / (6) おわりに ]