☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
☆ □■□ ビジネス・アーカイブズ通信 □■□
☆
☆ No.102(2024年7月4日発行)
☆
☆ 発行:公益財団法人 渋沢栄一記念財団 情報資源センター
☆
☆ 〔ISSN:1884-2666〕
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この通信では海外(主として英語圏)のビジネス・アーカイブズ(BA)に関する情報をお届けします。
海外BAに関わる国内関連情報も適宜掲載しております。
今号は文献情報4件、行事情報1件です。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆ 目次 ◆
[掲載事項の凡例とご注意]
■文献情報:特別企画:渋沢栄一記念財団情報化の20年:「閲覧室としてのウェブサイト」紹介
■行事情報:ICA/SBA、ポーランド開発銀行、コズミンスキー大学主催
ビジネス・アーカイブズ国際シンポジウム
テーマ:「ビジネス・アーカイブズと回復力(レジリエンス)」
2024年9月22-24日
コズミンスキー大学(ポーランド・ワルシャワ)
■文献情報:北欧のビジネス・アーカイブズ関連文献
◎アンダース・ショーマン『歴史マーケティング:歴史を企業の戦略資産として用いる』
2023年
■文献情報:ビジネス・アーカイブズ論文集10
◎『企業アーカイブズ:変化に直面するアーキビスト、歴史家、ヘリテージ・マネージャー』
(2020年)目次紹介
■文献情報:企業史料協議会『企業と史料』第19集 目次
テーマ:「ダイバーシティと企業アーカイブズ」2024年6月
☆★ 編集部より:あとがき、次号予告 ★☆
ゴードレージ・アーカイブズ主催国際アーカイブズの日記念マスタークラス「フォード・ヘリテージ・ヴォールト」、AIとアーカイブズ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
[掲載事項の凡例]
・欧文の場合、日本語で読みやすいものになるように、タイトルははじめに日本語訳を、続いて原文を記します。
・人名や固有名詞の発音が不明の場合も日本語表記を添えました。便宜的なものですので、検索等を行う場合はかならず原文を用いてください。
・普通名詞として資料室や文書室、物理的な記録資料を表現する際は「アーカイブズ」を用います。固有名詞の場合はこの限りではありません。また物理的およびデジタル記録資料の蓄積や組織化に関しては「アーカイブ」「アーカイブ化」「アーカイビング」などの表現を用いることもあります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ご注意]
・受信時にリンク先を示すURLが途中で改行されてしまう場合があります。通常のURLクリックで表示されない場合にはお手数ですがコピー&ペーストで一行にしたものをブラウザのアドレス・バーに挿入し、リンク先をご覧ください。
===================================
■文献情報:特別企画:渋沢栄一記念財団情報化の20年:「閲覧室としてのウェブサイト」
===================================
◎渋沢栄一記念財団情報化の20年:「閲覧室としてのウェブサイト」
渋沢栄一の肖像を用いた新しい日本銀行券が2024年7月3日に発行されました。これを記念して、今号では渋沢栄一記念財団の情報化と情報発信活動において重要な役割を担ってきた「ウェブサイト」についてご紹介いたします。
当財団の前身は、渋沢栄一(1840~1931、号は青淵[せいえん])の事業と名声が、世の中に広まりつつあった1886(明治19)年4月に、東京深川渋沢邸の書生部屋に寄寓していた青年たちが、互いに勉学に努め、成果を発表する会として結成した「竜門社」に遡ります。その後「財団法人竜門社」(1924年~)、「渋沢青淵記念財団竜門社」(1946年~)、「財団法人渋沢栄一記念財団」(2003年~)、「公益財団法人渋沢栄一記念財団」(2010年~)と名称と法人格の変遷を経て、今日に至っています。
https://www.shibusawa.or.jp/outline/history/index.html
当財団のデジタル時代に即した情報化の過程は、公益財団法人渋沢栄一記念財団編『渋沢栄一記念財団の挑戦』(不二出版、2015年)に記録されています。これは英文財団史『Rediscovering Shibusawa Eiichi in the 21st century』(2014)を翻訳して加筆編集したもので、財団が事業を充実させていった21世紀初頭の15年間に焦点をあてています。
https://www.shibusawa.or.jp/museum/shop/periodical/05-018.html
同書71ページによると、実業史研究情報センター(現・情報資源センター)が設置された2003年11月時点で、「財団では8月にLANが敷かれたものの、コンピュータの利用はスタンドアロン型がほとんどで、情報化は進んでいなかった。財団職員による手作りのホームページはあったが、その位置付けは曖昧で明確な方針と運営体制は整って」いませんでした。さらに、組織を代表する属性型ドメイン、複数の汎用ドメインがあり、サーバをおく業者は複数にまたがっていました。
そのため「センターの活動の最初の数ヶ月間は財団全体の情報環境の整備に費やされ」、「代表ドメインshibusawa-museum.or.jpをshibusawa.or.jpに変更し、他の汎用ドメインは廃止して基幹ドメインに統合し、業者も一社に絞った。この手続きが完了したのは、2004年7月」でした(同)。一方、コンテンツ面で統一性のとれたウェブサイトは、同じ2004年の「4月23日には、一新されたウェブサイトが公開」され、「サイト更新の手続きも定められ、掲載するコンテンツに関する責任分担も明確化され」ました(同書72ページ)。
情報資源センターは、実業史研究情報センター時代にセンター長だった小出いずみ氏が発案した2つのモットー「ウェブサイトは閲覧室」「文化資源を作り出す」を引き継ぎ、財団の情報化、情報発信を支えてきました。情報資源センターへと組織/名称変更した2015年以降は以下のようなコンテンツを新たに手がけ、「渋沢栄一の偉業及び徳風を追慕顕彰し、渋沢栄一が終始唱道実践した道徳経済合一主義に基づき、経済道義を昂揚する」(財団定款第3条)という目的への貢献を進めています。
◆財団刊行物一覧(2015年~)
https://www.shibusawa.or.jp/outline/history/publications01.html
https://www.shibusawa.or.jp/outline/history/publications02.html
◆デジタル版『渋沢栄一伝記資料』(2016年)
https://eiichi.shibusawa.or.jp/denkishiryo/digital/main/
◆デジタル版「実験論語処世談」(2017年)
https://eiichi.shibusawa.or.jp/features/jikkenrongo/
◆Shibusawa Eiichi Denki Shiryo Content Summary English Translation Website(2020年~)
https://www.shibusawa.or.jp/english/eiichi/denki_shiryo/toc.html
◆渋沢栄一ダイアリー(2021年)
https://shibusawa-dlab.github.io/app1/
◆わがまちの渋沢栄一(2021年~)
https://www.shibusawa.or.jp/eiichi/wagamachi/
◆渋沢栄一フォトグラフ(2021年)
https://denkiphoto.shibusawa.or.jp/
◆論語と算盤オンライン(2024年~)
https://eiichi.shibusawa.or.jp/features/rongotosoroban/
◎実業史研究情報センター時代の情報化に関しては下記のページに詳細があります。
https://www.shibusawa.or.jp/center/birth/text01.html
https://www.shibusawa.or.jp/center/birth/text02.html
新しい日本銀行券の発行は、現在に至る財団ドメインの整備からちょうど20年目に当たります。新紙幣とともに、当財団の情報化の成果も日々ご利用、ご活用いただければ幸いです。
===================================
■行事情報:ICA/SBA、ポーランド開発銀行、コズミンスキー大学主催
ビジネス・アーカイブズ国際シンポジウム
テーマ:「ビジネス・アーカイブズと回復力(レジリエンス)」
2024年9月22-24日
コズミンスキー大学(ポーランド・ワルシャワ)
===================================
◎ICA/SBA、ポーランド開発銀行、コズミンスキー大学主催
ビジネス・アーカイブズ国際シンポジウム
「ビジネス・アーカイブズと回復力(レジリエンス)」
Business Archives & Resilience
https://archivistconference2024.com/
2024年度のICA/SBA(国際アーカイブズ評議会企業アーカイブズ部会)の年次会合は、9月22日(日)から24日(火)の3日間、ポーランド・ワルシャワ市内のコズミンスキー大学を会場にして、「ビジネス・アーカイブズと回復力(レジリエンス)」をテーマに、ICA/SBA、ポーランド開発銀行、コズミンスキー大学の主催として開催されます。6月半ばにシンポジウム特設サイトがオープンしました。
https://archivistconference2024.com/
【参加申し込み登録ページ】
https://www.kozminski.edu.pl/en/events/business-archives-resilience-ica-sba-2024-conference
以下では特設サイトに掲載されているプログラムを中心にご紹介します。
----- *----- *----- *-----
【プログラム情報】
https://archivistconference2024.com/programme/
■1日目 2024年9月22日(日)
18:00 - 20:00
観光 & ウェルカムカクテルパーティー
Sightseeing & Welcome cocktail party
ポーランドウォッカ博物館 Polish Vodka Museum
■2日目 2024年9月23日(月)
08:00 - 09:00
受付 Registration
[コズミンスキー大学(メインオーディトリアム)Kozminski University (Main Auditorium)]
09:00 - 09:10
開会の挨拶 Opening remarks
アレクサンダー・ルーカス・ビエリ Alexander Lukas Bieri
ICA - 企業アーカイブズ部会会長 Chair of ICA - Section on Business Archives
バーゼル、スイス Basel, Swiss
09:10 - 10:40
【セッション1 回復力と持続可能な発展】
Session 1 Resilience & Sustainable development
◆BGKのレジリエンス(回復力)100年の歴史
100th history of BGK's Resilience
ラドスワフ・ミルチャルスキ Radosław Milczarski
BGK - ポーランド開発銀行史振興エキスパート
Expert in promoting the BGK history, BGK - Polish Development Bank
ワルシャワ、ポーランド Warsaw, Poland
◆戦略から方針と手続きへ
From strategy to policies and procedures
ヘニング・モーゲン Henning Morgen
A.P. モラーグループ・グループヒストリアン
Group Historian, A.P. Moller Group
コペンハーゲン、デンマーク Copenhagen, Denmark
◆学校と企業アーカイブズ:一つの可能な関係性
School and business archives: a possible relationship
マヌエル・トノリーニ Manuel Tonolini
ダルミネ財団ディレクター Director, Fondazione Dalmine
ダルミネ、イタリア Dalmine, Italy
◆先コロンブス期の人形の返還
The repatriation of the pre-Colombian figurines
ロヴィサ・セヴェリン・クラゲルード Lovisa Severin Kragerud
アブソルートグループ ペルノリカール アーキビスト兼チーフストーリーテラー
Archivist & Chief Storyteller, The Absolut Group Pernod Ricard
ストックホルム、スウェーデン Stockholm, Sweden
10:40 - 11:00
コーヒーブレイク
Coffee break
11:00 -12:00
【セッション2 企業アーカイブズ、企業史、および記念日】
Session 2 Business archives, corporate histories and anniversaries
◆MUMACデジタル・カボー(貴重品保管室):無限の旅のための記憶と未来
MUMAC Digital Caveau: memory and future for an endless journey
アンナ・チェント Anna Centro
チンバリ・グループ エスプレッソマシン博物館キュレーター
Museum Curator, Museum of the Coffee Espresso Machine of Cimbali Group
ミラノ、イタリア Milan, Italy
◆元祖ブルージーンズ リーバイス501の150周年記念
Celebrating 150 years of LEVI'S 501 jeans the original blue jean
トレイシー・パネック Tracey Panek
リーバイ・ストラウス & カンパニー ヒストリアン、アーカイブズ責任者
Historian, chief of Archives. Levi Strauss & Co.
アメリカ USA
◆企業の周年記念と会社史を祝うためのアーカイブズの活用は、企業の長寿と進化を強調し、ステークホルダー間でブランドのアイデンティティと絆を強化します
Utilizing archives to celebrate corporate anniversaries and histories allows companies to highlight their longevity and evolution, strengthening their brand identity and loyalty among stakeholders
カタジナ・パク Katarzyna Pąk
エリクソン・ポーランド マーケティング&コミュニケーション部門責任者
Head of Marketing & Communications, Ericsson Poland
ワルシャワ、ポーランド Warsaw, Poland
12:00 - 13:00
ランチブレイク(ICA SBAメンバーの組織の話題に関する15分を含む)
Lunch break (including 15 min for ICA SBA members organizational issues)
13:00 - 14:20
【セッション3 企業アーカイブズ、ラグジュアリー、およびヘリテージ・マーケティング】
Session 3 Business archives, luxury, and heritage marketing
◆スタイルの世紀:100年の歴史を持つタイル会社がクールを再定義した方法
Century of style: how a 100-year old tiling company redefined cool
サンガミトラ・チャッタルジー Sanghamitra Chatterjee
パスト・パーフェクト・ヘリテージ・マネジメント・エージェンシー創設者
Founder, Past Perfect Heritage Management Agency
ムンバイ、インド Mumbai, India
◆ミドルトン・ベリー・レア:静かな蒸留所 - 5つの章にわたる物語
Midleton very rare: silent distillery - a story in 5 chapters
キャロル・クイン Carol Quinn
アイリッシュディスティラーズ ペルノリカール・アーカイブズ責任者
Head of Archives, Irish Distillers Pernod Ricard
ミドルトン、アイルランド Midleton, Ireland
◆リヴァの歴史アーカイブの価値を高めるためのデザイン戦略
A design strategy to foster the value of the Riva's historical archive
フランチェスカ・ムッケッティ Francesca Mucchetti
フェレッティ・グループ歴史アーカイブズ・マネージャー
Manager of the historical archives, Ferretti Group
トリノ、イタリア Torino, Italy
◆国立公文書館と会社史 - E.ウェデルチョコレート工場のケース
State archives and corporate histories - the case of E. Wedel chocolate factory
バルトウォミイ・コノパ Bartłomiej Konopa
国立公文書館本部アーキビスト Archivist, State Archives Head Office
https://archiwa.gov.pl/en/about-us/state-archives/staff-directory/head-office-of-the-state-archives/
ワルシャワ、ポーランド Warsaw, Poland
コンラッド・シューバ Konrad Szuba
国立公文書館本部 主任専門家 Chief specialist, State Archives Head Office
ワルシャワ、ポーランド Warsaw, Poland
15:30 - 16:50
【セッション4 企業アーカイブズ、デジタルトランスフォーメーション、およびAI】
Session 4 Business archives, digital transformation, and AI
◆イタルガスのヘリテージラボ Heritage Lab Italgas
カティア・コルヴィーノ Katya Corvino
イタルガス・グループの博物館・ラボラトリー ヘリテージラボ責任者
Head of Heritage Lab, Heritage Lab, the museum - laboratory of Italgas Group
トリノ、イタリア Torino, Italy
◆ポーランドのコミュニティ・アーカイブズ・センター - コミュニティアーカイブ運動の支援システム Centre of community archives in Poland - a support system for community archive movement
エヴァ・マイデッカ Ewa Majdecka
コミュニティ・アーカイブズ・センター デジタル製品研究者・マネージャー、博士
Researcher and manager of digital products. Phd, The Center of Community Archives - Centrum Archiwów Społecznych
ワルシャワ、ポーランド Warsaw, Poland
◆情報専門家の進化する役割:デジタルにAI(人工知能)を活用する
The evolving role of information professionals: leveraging on Artificial Intelligence (AI) for digital
ケネス・アツマ Kenneth Atuma
マンチェスター大学 図書館学・アーカイブズ学講師(助教授)
Lecturer (Assistant Professor) in Library and Archives Studies, The University of Manchester
マンチェスター、イギリス Manchester, United Kingdom
◆ガンビア国立公文書館:災害に直面する国の回復力のための重要な資産
The Gambia National Archives: a critical asset for national resilience in the face of disasters
マイムナ・ジャネ Maimuna Janneh
国立記録サービス 現用記録局長 Head of Current Records Directorate, National Records Service
バンジュール、ガンビア Banjul, Gambia
17:00 - 18:20
【セッション5 企業アーカイブズ、博物館、および再活性化】
Session 5 Business archives, museums, and revitalizations
◆レジリエンス(回復力)に関わるビジネス - ヘリテージを通じたストーリーテリング
The business of resilience - storytelling through heritage
ドーン・スチュワート Dawn Stewart
ザ・マッカラン、エドリントングループ ブランドアーカイブマネージャー
Brand Archive Manager, The Macallan, The Edrington Group
グラスゴー、英国 Glasgow, UK
◆ボエルヴェルフ造船所の再活性化 - 企業アーカイブズとコミュニティが開発者のしなかったことを実行
Revitalization of the Boelwerf Shipyard - where business archives and communities do what the developer didn't
デボ・ロビン Debo Robin
フランダース産業遺産専門センター(ETWIE)
ETWIE (Centre of expertise on technical, scientific and industrial heritage in Flanders, part of the Industrymuseum)
ヘント、ベルギー Gent, Belgium
◆その歴史にふさわしい場所、新しい物語が書かれる場所
A place worth its history, where #newstories will be written
ダグマラ・ロズクウィタルスカ Dagmara Rozkwitalska
インペリアル造船所のビジネス開発マネージャー
Business Development Manager, Imperial Shipyard
グダニスク、ポーランド Gdańsk, Poland
18:20-18:30
閉会の挨拶
Closing remarks
19:00
ガラ・ディナー
GALA DINNER
■3日目 2024年9月24日(火)
09:00 - 12:00
[コズミンスキー大学(ワークショップルームD200)
Kozminski University (Workshop Room D200)
◆実践における歴史マーケティング:ビジネスの歴史を今日の観客にとってふさわしいものとする
History marketing in practice: making your business history relevant for today's audiences
アンダース・ショーマン Anders Sjöman
(ストックホルム)経営史センターのクライアントプロジェクトおよびコミュニケーション責任者
Head of client projects and communication, The Centre for Business History
ストックホルム、スウェーデン Stockholm, Sweden
12:00 - 13:00
ランチブレイク
Lunch break
[コズミンスキー大学(メインオーディトリアム前)Kozminski University (in front of Main Auditorium)]
13:00 - 16:00
[コズミンスキー大学(ワークショップルームD200]
◆アーカイブズの責任ある利用
Responsible uses of the archives
アンドレア・ホーマイヤー Andrea Hohmeyer
エボニック・インダストリーズAG Evonik Industries AG
ドイツ Germany
マリウシュ・ジャストシュロンブ Mariusz Jastrząb
博士、歴史家・文化専門家、ビジネスコーチ
PhD - historian and cultural expert, business coach
ワルシャワ、ポーランド Warsaw, Poland
----- *----- *----- *-----
【スピーカー情報】
https://archivistconference2024.com/speakers/
【トラベル関係情報】
https://archivistconference2024.com/travel/
【宿泊関係情報】
https://www.kozminski.edu.pl/en/programs/hotel-offer-ku-students-and-postgraduate-students
【FAQ】
https://archivistconference2024.com/faq/
【参加申し込み登録ページ】
https://www.kozminski.edu.pl/en/events/business-archives-resilience-ica-sba-2024-conference
===================================
■文献情報:北欧のビジネス・アーカイブズ関連文献
◎アンダース・ショーマン『歴史マーケティング:歴史を企業の戦略資産として用いる』
2023年
===================================
◎アンダース・ショーマン『歴史マーケティング:歴史を企業の戦略資産として用いる』
https://www.naringslivshistoria.se/en/cfn-nyheter/new-handbook-history-marketing-using-history-as-a-corporate-strategic-asset/
本通信でも何度か取り上げてきたスウェーデンのストックホルム経営史センターのコミュニケーション部門のリーダーで、現在ICA/SBAの運営委員でもあるアンダース・ショーマン氏の著作を紹介します。
ストックホルム経営史センター(Centrum för Näringslivshistoria)は企業アーカイブズの整理・保存管理・活用の実務、コンサルティングと研究業務を行う非営利団体です。同センターが全株式を所有する会社組織Centrum för Näringslivshistoria ABでは、事業としてアーカイブズ管理や企業史料の利活用のコンサルティング、会社史制作等のサービスを会員(企業・団体)に提供し、会員はアーカイブズ管理その他のサービスに対して利用料を支払うというユニークな仕組みが存在しています。非営利組織の前身にあたるStockholms Företagsminnen(「ストックホルム企業の思い出」)は1974年設立されました。
【書誌情報】
タイトル: 歴史マーケティング:歴史を企業の戦略資産として用いる
タイトル原文(英文版):History marketing: Using history as a corporate strategic asset
著者: アンダース・ショーマン
著者名原文:Anders Sjöman
出版者:Business History Publishing(Stockholm)
出版年:2023年
ページ数:192
ISBN:978-91-988167-9-2
版元ウェブページ:
https://www.naringslivshistoria.se/en/cfn-nyheter/new-handbook-history-marketing-using-history-as-a-corporate-strategic-asset/
【目次情報】
前書き:皆さん、ハッピー・ヒストリー・マーケティング!
Preface: Happy history marketing to you all!
序文
Introduction
1. 企業が歴史を好む理由 (ただし、常にではなく、あくまでほどほどに)
Why companies like history (but not always and only in moderation)
「設立」や「以来」という言葉について
The thing about "est." and "since"
「歴史的な背景は何ですか?」と多くの人が尋ねる
"What is the historical context?" many asks
「だからこそ、事実であり、本物でなければならない」と真面目なストーリーテラーは言う
"So we must be factual and authentic," says the serious storyteller
「歴史は決してかつてのままではないことを忘れないで」と歴史家は冗談を言う
"Just remember that history is never that it once was," jokes the historian
「本当に歴史について話さなければならないのか?」と言う人もいる。
"But do we really have to talk about history?" say others.
歴史マーケティングは本当に新しいものなのか?
How new is history marketing really?
2. 戦略的資産としての歴史
History as a strategic asset
戦略的資産は価値があり、希少で、模倣が困難で、代替不可能
A strategic asset is valuable, rare, imperfectly imitable, and non-substitutable
歴史は希少で、模倣が困難で、代替不可能
History is rare, imperfectly imitable, and non-substitutable
歴史もまた価値がある
History is also valuable
歴史は意味と文脈を与える
History gives meaning and context
歴史は企業が持つ最も本物の資産である
History is the most authentic asset a company has
歴史は組織をもっと賢くする
History makes the organization wiser
歴史は財務的価値を生み出す
History creates financial value
歴史によって企業は社会の物語の中に居場所が与えられる
History gives the company its place in society's narrative
歴史マーケティングの三つの戦術的ビジネス利益
Three tactical business benefits with history marketing
利益1:ブランドを構築する
Benefit 1: Builds the brand
利益2:組織を強化する
Benefit 2: Strengthens the organization
利益3:リスク、変化、発展を管理する
Benefit 3: Manages risk, change and development
我々の歴史マーケティングの定義
Our definition of history marketing
学術的な視点:
歴史、遺産、歴史の利用に関する研究について
The academic perspective:
About history, heritage and research into uses of history
3. 歴史マーケティングの核心的考慮事項
History marketing's core considerations
選択をしなければならない - 賢く選ぶこと!
You will need to make choices - so choose wisely!
偽ったり、でっちあげたりしないこと!
Never pretend or make things up!
本当に暗い側面についてはどうする?おそらく「歴史的なデューデリジェンス」!
What about the truly dark sides? Perhaps a "Historical Due Diligence"!
歴史を逆に書かないこと
Don't write history in reverse
アーカイブズ文書、歴史マーケティングの構成要素
Archival documents, the history marketer's building blocks
よく整理されたアーカイブ、つまり歴史マーケティングの最良の資産
A well-structured archive, the history marketer's best asset
企業のアーカイブに誰がアクセスすべきか?
Who should have access to the corporate archive?
実際に誰が仕事をするのか?
Who does the actual work?
記念日!歴史マーケティングの絶好の機会
The Anniversary! A golden opportunity for history marketing
タイムラインを使用する - しかし慎重に構築すること
Use timelines - but build them with care
経験が示すところでは:
学術研究者にアーカイブズへのアクセスを許可しなさい
Experience shows:
Give academic researchers access to the archives
4. 効果的な歴史マーケティングのプロセス
A process for effective history marketing
歴史は私たちを前進させるべき:
History should propel us forward:
歴史マーケティングにおけるバランスを見つけること
Find the balance in your history marketing
あなたの歴史は今日の約束を支える
Your history supports today's promises
未来から始めて戻ってくる
Start with the future and work back
会社がどのように貢献したかではなく、貢献した事(中身)を共有する
Share what the company contributed, not how it did it.
遺産ステートメントが方向性を示す:
「私たちの歴史とは実際には」
The Heritage Statement gives direction:
"The history of us is really the history about
実際に仕事をする時:三段階のプロセス
Time to actually do the job: a three - step process
1. 歴史的概観を作成する - 例えば歴史シート
Create a historical overview - such as a history sheet
2. 最も重要で、本当に豊饒な物語を特定する
Identify the most important, truly fertile, stories
3.あなたの物語を伝えなさい - 誰に向かってなぜ話しているのかをパッケージ化する
Tell your story - and package based on who you talk with and why
歴史マーケティングの活用:スウェドバンク200周年記念のケース
History marketing put to use: The Swedbank bicentennial case
遺産を生かし続ける!
Keep the heritage alive!
測定し、評価する!
Measure and evaluate!
「歴史マーケティングコーチからのヒント」
Tips from the history - marketing coach
歴史的資料が隠れているかもしれない10の場所
Ten places your historical material might hide
体系的なアーカイブへの5つのステップ
Five steps to a structured archive
企業アーカイブの10の要件
Ten requirements for a corporate archive
アーカイブで誰も望まない5つのこと
Five things nobody wants in an archive
オーラル・ヒストリー・プロジェクトのための7つのヒント
Seven tips for your oral history project
出典と参考文献
Sources and references
著者の謝辞
Author's thanks
ストックホルム経営史センターについて
About the Centre for Business History in Stockholm
-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*
★☆★...編集部より...★☆★
本書は『歴史マーケティング:歴史を企業の戦略資産として用いる』と題されているように、アーカイブズをどのように使うことができるのか、アーカイブズの利活用に関わる書籍です。しかしながら、本書の優れた点は、3章の中見出し「よく整理されたアーカイブ、つまり歴史マーケティングの最良の資産」が明瞭に示すように、会社史を編纂するにせよ、マーケティング、ブランディンングその他のために、あるいは研究者が学術研究のために利用するにせよ、アーカイブズが(残されており)、整理されている、という点を起点にしているところにあります。
そして、著者は自らを歴史マーケティングの「コーチ」になぞらえて、アーカイブズ(記録、資料)の取り扱い、整理の基本を極めてわかりやすくパッケージ化して示しているところにあります。(著作権上、ここではその内容についての紹介はできないので、ぜひ一読ください。)
本文ではIKEAをはじめとするさまざまな企業のアーカイブズを用いた歴史マーケティングの事例を紹介し、どの見開きページにもカラー図版を挿入しています。見て楽しく、読んでためになるという本の作りになっています。
アーカイブズへの外部からのアクセスの問題や、過去の失敗をどのように扱うのかなど、企業アーカイブズにとって重要なテーマについてもしっかり取り上げています。
英語版はスウェーデン語版からの翻訳と思われ、平易な英語で書かれています。日本の企業アーカイブズ、あるいは企業のマーケティング担当者にもお勧めしたい内容です。
===================================
■文献情報:ビジネス・アーカイブズ論文集10
◎『企業アーカイブズ:変化に直面するアーキビスト、歴史家、ヘリテージ・マネージャー』
(2020年)目次紹介
===================================
◎『企業アーカイブズ:変化に直面するアーキビスト、歴史家、ヘリテージ・マネージャー』(2020年)
Archivi d'impresa: archivisti, storici, heritage manager di fronte al cambiamento
https://anai.org/archivi-dimpresa/
イタリア全国アーキビスト協会(ANAI)は1949年にイタリアの国立文書館のアーキビスト協会として結成され、1980年代後半以降さまざまなタイプのアーカイブズのアーキビストが加入するようになった全国的な協会です。同協会の中には、2014年にビジネス・アーキビストのグループ(Gruppi di lavoro e di coordinamento :GIAI)も結成されました。
同協会の出版部門が2020年に刊行した企業アーカイブズをテーマとした論集をご紹介します。
【書誌情報】
タイトル:企業アーカイブズ:変化に直面するアーキビスト、歴史家、ヘリテージ・マネージャー
タイトル原文:Archivi d'impresa: archivisti, storici, heritage manager di fronte al cambiamento
編者:ジョルジェッタ・ボンフィリオ=ドジオ、カロリーナ・ルッサーナ、ルチア・ナルディ
編者原文:Giorgetta Bonfiglio-Dosio, Carolina Lussana, Lucia Nardi
出版者:エディツィオーニANAI(ローマ) Edizioni ANAI(Roma)
出版年:2020年
ページ数:442
ISBN:978-88-942017-7-2
版元ウェブページ:https://anai.org/archivi-dimpresa/
【目次情報】
「序文」
Introduzione
第I部 - 作成する
Parte I - Creare
1. 「山から月が昇る:アーカイブ、著者、時間」
Spunta la luna dal monte. L'archivio, l'autore, il tempo
ダィアナ・トッカフォンディ
Diana Toccafondi
2. 「企業アーカイブ、常に二つの成分から成るもの」
Un archivio d'impresa, sempre un composto di due ingredienti
アントネッラ・ビロット
Antonella Bilotto
第II部 - 整理する
Parte II - Ordinare
3. 「企業アーカイブ、この知られし/知られざる存在」
L'archivio d'impresa, questo (s)conosciuto
ダニーロ・クラヴェイア Danilo Craveia
4. 「知るため、保存するため、伝えるため、価値を高めるための記述」
Descrivere per conoscere, conservare, comunicare e valorizzare
ジョルジェッタ・ボンフィリオ・ドジオ
Giorgetta Bonfiglio-Dosio
第III部 - 活用する
Parte III - Usare
◆歴史家たち
Gli storici
5. 「企業の歴史の進化:デジタルなアーカイブズと原資料の利用可能性」
L'evoluzione della storia d'impresa. Archivi digitali e disponibilità delle fonti
アメデオ・レポーレ
Amedeo Lepore
6. 「魔法の箱の中身:企業アーカイブズの多くのつながり」
Inside the Magic Box. Le molte connessioni degli archivi di impresa
ジョルジオ・ビガッティ
Giorgio Bigatti
7. 「アンサルド:そのアーカイブ、その歴史」
Ansaldo. Il suo archivio le sue storie
マルコ・ドリア
Marco Doria
8. 「企業アーカイブズの原資料に基づいた労働史」
La storia del lavoro alla luce delle fonti degli archivi d'impresa
ステファノ・ムッソ、パオロ・ラスパドーリ、ヴァレンティーナ・ファーヴァ
Stefano Musso, Paolo Raspadori, Valentina Fava
9. 「企業家の伝記の『付加価値』」
Il "valore aggiunto" delle biographie imprenditoriali
ルチアーノ・セグレート
Luciano Segreto
◆学校
La scuola
10. 「セスト・サン・ジョヴァンニのISEC財団:教育のためのアーカイブズと図書館」
La Fondazione ISEC di Sesto San Giovanni: archivi e biblioteche per la didattica
プリモ・フェッラーリ、モニカ・ディ・バルボラ
Primo Ferrari, Monica Di Barbora
11. 「ピレッリ教育財団プロジェクト」
Il progetto Fondazione Pirelli Educational
マルティナ・デ・ペトリス、ヴィオラ・マリア・マッツァ
Martina De Petris, Viola Maria Mazza
12. 「企業アーカイブズ、産業文化、教育:ダルミネ財団の学校のための取り組み」
Archivi d'impresa, cultura industriale, education: Fondazione Dalmine per le scuole
マヌエル・トノリーニ
Manuel Tonolini
◆地域とコミュニティ
Territorio e comunità
13. 「ビエッラ・ネットワーク・センター:地域のアーカイブズの組織」
Il Centro Rete Biellese: tessuto archivistico di un territorio
ダニーロ・クラヴェイア
Danilo Craveia
14. 「産業、都市、人々:企業アーカイブズと地域」
Industria, città, persone: archivi d'impresa e territorio
カロリーナ・ルッサーナ
Carolina Lussana
15. 「アイデンティティ要素としての産業アーカイブズ」
Gli archivi industriali come elementi identitari
マルコ・モンテマッジ
Marco Montemaggi
◆企業
L'impresa
16. 「コーポレート・ヘリテージ:企業、歴史家、アーキビスト間の対話の場?」
Corporate heritage: uno spazio di dialogo tra imprese, storici e archivisti?
ダニエーレ・ポッツィ
Daniele Pozzi
17. 「企業に奉仕するアーカイブ」
L'archivio al servizio dell'impresa
フランチェスカ・アッピアーニ
Francesca Appiani
18. 「ビッラ・ペローニ・ヘリテージマネジメント:企業のコミュニケーションと評判に関する資産としての企業の歴史アーカイブ」
Birra Peroni heritage management: l'archivio storico aziendale come asset di comunicazione e di reputazione aziendale
ダニエラ・ブリニョーネ
Daniela Brignone
19. 「アイデンティティを伝える:ナポリ銀行財団の遺産におけるアーカイブと博物館の連携」
Veicolare le identità: la filiera archivio museo nel patrimonio della Fondazione Banco di Napoli
コンチェッタ・ダミアーニ
Concetta Damiani
20. 「静的なコンテナーからアイデンティティと企業文化の推進者へと変貌したエニのアーカイブ」
L'Archivio Eni, da contenitore statico a propulsore di identità e cultura aziendale
ルチア・ナルディ
Lucia Nardi
21. 「企業とコミュニティに奉仕するヘリテージ:アイデンティティと価値向上の間でのピレッリ財団の取り組み」
L'heritage al servizio dell'impresa e della collettività. Le iniziative della Fondazione Pirelli, tra identità e valorizzazione
ラウラ・リボルディ
Laura Riboldi
第IV部 - 保護し促進する
Parte IV - Tutelare e promuovere
◆アーカイブズの管理
L'amministrazione archivistica
22. 「難しいデータ:利用可能なデータから企業アーカイブズ保護に関して考察」
Dati difficili. Considerazioni sulla tutela sugli archivi d'impresa a partire dai dati disponibili
アントネッラ・ムレ
Antonella Mulè
23. 「GDRP:基礎から再出発しましょう」
GDRP: ripartiamo dalle fondamenta
ジュリア・バッレラ
Giulia Barrera
◆協会
Le associazioni
24. 「企業文化センター:三十年の活動」
Il Centro per la cultura d'impresa: trent'anni di attività
アントネッラ・ビロット
Antonella Bilotto
25. 「ムゼインプレーザ:企業文化のためのネットワーク」
Museimpresa: una rete per la cultura d'impresa
アントニオ・カラブロ
Antonio Calabrò
26. 「アーカイブと産業遺産:AIPAI(イタリア産業考古学遺産協会)の取り組み」
Archivi e patrimonio industriale: l'impegno dell'AIPAI
ジョヴァンニ・ルイジ・フォンターナ、レナート・コヴィーノ、エドアルド・クッラ
Giovanni Luigi Fontana, Renato Covino, Edoardo Currà
27. 「ANAI(イタリア全国アーキビスト協会)、GIAI(イタリア企業アーキビストグループ)と企業アーカイブズのつながり」
I rapporti degli archivi d'impresa con l'ANAI e il GIAI - Gruppo italiano archivisti d'impresa
フランチェスカ・ピノ
Francesca Pino
◆国際的なシナリオ
Scenari internazionali
28. 「フランスとスペインからの提案」
Suggestioni da Francia e Spagna
ジョルジェッタ・ボンフィリオ=ドジオ
Giorgetta Bonfiglio-Dosio
29. 「国際協力の価値」
Il valore della cooperazione internazionale
フランチェスカ・ピノ
Francesca Pino
第V部 - 発展する
Parte V - Evolvere
◆企業アーカイブズの起源へ
Alle origini degli archivi d'impresa
30. 「アンサルド歴史アーカイブからアンサルド財団へ:四十年の長き歴史」
Da Archivio storico Ansaldo a Fondazione Ansaldo. Una storia lunga quarant'anni
クラウディア・チェリオーリ
Claudia Cerioli
31. 「未来への回帰:技術、持続可能性、共有:経験から学んだ教訓」
Ritorno al futuro: tecnologia, sostenibilità, condivisione. Alcune lezioni apprese dall'esperienza
バルバラ・コスタ
Barbara Costa
32. 「オリベッティ歴史アーカイブ協会:地域と国のための文化センター」
L'Associazione Archivio storico Olivetti, un centro culturale per il territorio e per il Paese
マルチェッラ・トゥルケッティ
Marcella Turchetti
33. 「アーカイブと博物館の間で」
Tra archivio e museo
ピーナ・アマレッリ
Pina Amarelli
◆今日の企業アーカイブズ
Gli archivi d'impresa oggi
34. 「マネージャーであることの重要性:現代の企業アーキビストに関する考察」
L'importanza di essere manager: pensieri sul moderno archivista d'impresa
カロリーナ・ルッサーナ、ルチア・ナルディ
Carolina Lussana, Lucia Nardi
35. 「問題と展望:未来を見据えて」
Problemi e prospettive: uno sguardo al futuro
アントネッラ・ビロット、マリア・グエリチオ
Antonella Bilotto, Maria Guericio
36. 「企業のアーカイブズと博物館とともに未来を設計する」
Progettare il futuro con gli archivi e i musei di impresa
ディエゴ・ロボッティ
Diego Robotti
----- *----- *----- *-----
図版プロセス - テキスト内の図表
Percorso iconografico - Tavole nel Testo
企業の文書におけるアーカイブの表現
La rappresentazione dell'archivio nella documentazione delle imprese
アウグスト・ケルキ
Augusto Cherchi
著者紹介
Autori
★☆★...編集部より...★☆★
ANAIのウェブサイトによると、編者のジョルジェッタ・ボンフィリオ=ドジオ氏はパドヴァ大学のアーカイブ学の教授、文化遺産上級評議会のメンバー、ANAI理事、同ヴェネト支部の会長ほか数多くのアーカイブズ関係の教育機関・団体で活躍してきた専門家で300を超える著作の作者です。企業アーカイブズを専門としてきました。
カロリーナ・ルッサーナ氏は経営史分野の研究家であり、企業、業界団体、企業家に関する多数の書籍や論文の著者です。ベルガモ大学の経済史および経営史の教員を務めたほか、ムゼインプレーザの理事であり、1世紀以上にわたりイタリア北部ベルガモ地域に根付き、現在は世界的企業であるテナリス傘下の鉄鋼会社の歴史の普及、産業文化を促進することを目的とするダルミネ財団の設立(1999年)に大きく貢献しました。
ルチア・ナルディ氏はフィアット歴史アーカイブズ、テレコム・イタリアや中小企業のアーカイブズの運営に関わってきましたが、2003年以来、石油会社エニの歴史アーカイブズを担当しています。ムゼインプレーザ理事、ANAI の学術部門、経済団体 Confindustria の技術文化グループのメンバーです。
----- *----- *----- *-----
序文によると、本書は、2019年5月、ローマのカステル・ガンドルフォにある石油会社エニの新しい本社に、同社アーカイブズ部門が企業アーカイブズ関係者(アーキビストや歴史家)を招いた集まりでの議論から生まれました。イタリアで初めて「企業(impresa)」という言葉に「アーカイブズ(archivi)」という言葉が結びつけられたのは1972年で、「半世紀近くの経験をまとめてみよう」という話から、3人の編者が中心となってこの本が編まれました。
日本で企業史料協議会が設立されたのは1981年ですから、それほど大きな隔たりはありません。とはいえ、現在30名以上の企業アーカイブズ関係者を集めてこのような文献を日本で作ることができるか、と考えると、もう少し時間がかかるように思われます。
ANAIの機関誌の"Archivi"(年2回発行)の第16巻2号(2021年7月から12月号)に、Ilaria Montinによる本書の書評が掲載されています (158~163ページ)。
https://anai.org/wp-content/uploads/2024/01/Anai_Archivi_2-2021.pdf (PDF)
この書評では、本書は「過去40年間に企業アーカイブズの分野で何が起こったのかを評価し、産業文明と現代の理解に重要な、遺産の保護、管理、コミュニケーション、および評価のための基本的なテーマを学際的かつ機関横断的に議論する」内容とまとめられています。
イタリアでは地域の活性化への企業アーカイブズ・企業ミュージアムの貢献というアプローチも盛んなようです。そのような観点からの個別事例の紹介も今後は期待されます。
本書も『歴史マーケティング:歴史を企業の戦略資産として用いる』と同様に多数のカラー図版を含んでおり(図版の選択はアウグスト・ケルキによる)、企業アーカイブズとそれが伝える産業史の豊かさを感じとることができる1冊です。
-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*
[関連ページ]
ANAI イタリア全国アーキビスト協会
https://anai.org/
GIAI(ANAI内の企業アーキビスト・グループ)
https://anai.org/vita-associativa/gruppi-di-lavoro-e-di-coordinamento/
===================================
■文献情報:企業史料協議会『企業と史料』第19集 目次
テーマ:「ダイバーシティと企業アーカイブズ」2024年6月発行
===================================
◎企業史料協議会『企業と史料』第19集「ダイバーシティと企業アーカイブズ」目次
日本における唯一のビジネス・アーカイブズに関わる団体、企業史料協議会の会誌『企業と史料』第19集が刊行されました。目次をご紹介します。
[目次]
◆ご挨拶
企業史料協議会会長 石原邦夫
◆企業史料協議会・第42回会員総会 記念講演
【講演解説】
企業史料協議会副会長/大阪大学名誉教授 阿部武司
【記念講演】
「大原家と企業と倉敷と」
公益財団法人大原美術館理事長/公益財団法人有隣会理事 大原あかね
◆第12回ビジネスアーカイブズの日 シンポジウム
【特別講演】
「日常生活世界から考えるダイバーシティとビジネス:日米企業史料に見る労働者の人格主義」
法政大学人間環境学部教授 湯澤規子
【パネルディスカッション】
「多様化社会におけるダーバーシティの推進とビジネスアーキビストの使命」
千葉県文書館アーキビスト 中臺綾子
清水建設(株)コーポレート企画室/企業史料協議会理事 畑田尚子
モデレータ 立教大学共生社会研究センター アーキビスト 平野泉
オブザーバー 公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センター企業史料プロジェクト担当/企業史料協議会理事/(株)アーカイブズ工房代表 松崎裕子
特別参加 東京大学大学院人文社会系研究科特別研究員 清水ふさ子
総合司会 企業史料協議会理事(元・森永製菓) 野秋誠治
◆「企業における多様性への対応:社史から女性採用をめぐる経験を読み解く」
東京大学大学院人文社会系研究科特別研究員 清水ふさ子
◆「『健全な』社会とアーキビストの役割:東京大学経済学部資料室の寄附講座構想」
東京大学経済学部教授 石原俊時
◆特集1 企業ミュージアムのこれまでとこれから
「企業ミュージアムに見られる最近の変化:改正博物館法施行後にこれからの企業ミュージアムを思考する」
(株)丹青研究所文化空間情報部部長・上席研究員 石川貴敏
「企業博物館はどのように研究されてきたのか:企業博物館史を概観する」
企業博物館研究者/サイエンスライター/サイエンスカクテル代表 古田ゆかり
「産業系企業ミュージアムの持続可能性について:クラウドファンディング挑戦の経緯とこれから」
トヨタ産業技術記念館館長・学芸員 大洞和彦
◆特集2 企業アーカイブ通信
「組織アーカイブズの原点を再考する:学習院アーカイブズの取り組みについて」
学習院アーカイブズ専門嘱託 小根山美鈴
「アーカイブ引越し日記:6名で四苦八苦した道のり」
ライオン(株)コーポレートコミュニケーションセンター アーカイブズ室 土岐育子・福島浩
◆企業史料協議会 2023年度の活動概況
◆執筆者紹介
★☆★...編集部より...★☆★
本通信前号でご紹介した『青淵』No.899 2024年2月号記事「ダイバーシティとビジネスアーカイブズ:渋沢栄一関連会社にみる継続企業の未来のためのアーカイブズ」
https://www.shibusawa.or.jp/center/newsletter/899.html
の元となったシンポジウムの記録が全文収録されています。
このほか、2022年に改正博物館法が公布され、2023年より施行されるなど、博物館業界は大きな変化の中にあり、これとも関わって、企業産業系博物館にも新たな取り組みが生まれています。トヨタ産業記念技術館のクラウドファンディングの経験は、企業博物館の持続可能性を実現していく上で注目すべき事例でしょう。
もう一つの小特集「企業アーカイブ通信」は、組織アーカイブズの原点を考察し整備に取り組む学習院アーカイブズの事例と、ビジネス環境の変化にアーカイブズ/史料室が機敏に対応したライオンのアーカイブズ室の優れた事例を紹介しています。実務に携わる方々に必ず裨益するものと考えます。
-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*
[関連ページ]
企業史料協議会
https://www.baa.gr.jp/
同協議会刊行物のページ
https://www.baa.gr.jp/kankobutu.asp?NoteAID=31
大原美術館
https://www.ohara.or.jp/
千葉県文書館
https://www.pref.chiba.lg.jp/bunshokan/contents/
NOVARE Archives清水建設歴史資料館ウェブサイト
https://www.shimzarchives.jp/
立教大学共生社会研究センター
https://www.rikkyo.ac.jp/research/institute/rcccs/
東京大学経済学部資料室支援プロジェクト~貴重な資料を次世代に~
https://utf.u-tokyo.ac.jp/project/pjt145
丹青研究所
https://www.tanseiken.jp/
トヨタ産業技術記念館
https://www.tcmit.org/
学習院アーカイブズ
https://www.gakushuin.ac.jp/houjin/archives/
ライオン株式会社「ライオンの歴史」
https://www.lion.co.jp/ja/company/history/
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
[略称一覧]
ACA: Association of Canadian Archivists(カナダ・アーキビスト協会)
ARA: Archives and Records Association(アーカイブズとレコード協会)
ASA: Australian Society of Archivists(オーストラリア・アーキビスト協会)
BAC: Business Archives Council(ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BACS: Business Archives Council in Scotland(スコットランド・ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BAS: Business Archives Section(ビジネス・アーカイブズ部会:SAA内の部会)
CoSA: Council of State Archivists(米国・州文書館長評議会)
DCC: Digital Curation Center(英国デジタル・キュレーション・センター)
EDRMS: Electronic Document and Record Management System(電子文書記録管理システム)
ERM: Electronic Record Management(電子記録管理)
ICA: International Council on Archives(国際文書館評議会)
NAGARA: National Association of Government Archives and Records Administrators(米国・全国政府アーカイブズ記録管理者協会)
NARA: National Archives and Records Administration(米国 国立公文書館記録管理庁)
RIKAR: Research Institute of Korean Archives and Records(韓国国家記録研究院)
RMS: Record Management System(記録管理システム)
SAA: Society of American Archivists(アメリカ・アーキビスト協会)
SBA: Section for Business Archives(企業アーカイブズ部会、ICA内の部会)
TNA: The National Archives(英国国立公文書館)
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
☆★ 編集部より:あとがき、次号予告 ★☆
6月9日は「国際アーカイブズの日」です。ICA(国際アーカイブズ評議会)は1948年6月9日に設立されたことを記念し、2008年にこの日をアーカイブズの活動とその重要性を広く伝える「国際アーカイブズの日」と定めました。
https://www.archives.go.jp/english/news/pdf/100517_01.pdf (PDF)
またこの日を含む1週間を「国際アーカイブズ週間」として、この期間中、世界各国のアーカイブズ機関を中心に、さまざまな取り組みが行われています。企業アーカイブズの分野では、インド・ムンバイに本社を構えるゴードレージ・グループのアーカイブズが、国際アーカイブズの日またはその前後に、毎年マスタークラスを開催しています。今年(2024年)は4回目にあたり、6月7日にフォード・モーター社のアーカイブズ・ヘリテージブランド・マネージャーであるテッド・ライアン氏が講師となり、『企業環境での遺産活用:フォード・ヘリテージ・ヴォールトの事例』(Bringing Heritage to Life in a Corporate Setting: The case of the Ford Heritage Vault)と題したマスタークラスをオンライン(Microsoft Teams)で開催してくれました(無料)。
https://www.linkedin.com/posts/godrej-archives-5452a9144_godrej-godrejarchives-godrejandboyce-activity-7200787392583098369-gY-m
(LinkedInでの開催案内へのリンク。プレゼンテーションのオンデマンド配信はありません。)
デトロイトの早朝7時半(インド時間午後6時、日本時間午後9時半)スタート、質疑応答を含めた1時間の充実したプレゼンテーションでした。
講演では、会社のアーカイブズを利用したブランド価値の向上、フォード・モーターのブランドと企業イメージ形成におけるアーカイブズの重要性、ストーリーテリングとSEO最適化、自動車ファンが高解像度の車両画像を共有およびダウンロードできるウェブサイトの作成、企業の歴史を保存しブランディングに取り入れること、新製品開発とM&Aにおける企業アーカイブズの利用、会社の歴史と遺産の保存のための従業員の関わりと従業員へのアウトリーチ、デジタルビジネスのためのアーカイブズの取り組み、映画とフォード・モーターのアーカイブズ、ヘリテージ・コミュニケーションのためにアーカイブズの知識を活用すること、といったトピックスが取り上げられていました。
最も印象に残った部分は、実は冒頭の部分です。コカ・コーラ・アーカイブズでの21年の経験、フォード・モーターでの経験、またそれ以前の経験を通じて、ライアン氏が行ってきたプレゼンテーションではいつも最初にアーカイブズのミッション・ステートメントを説明する、と言います。何のためにアーカイブズは存在するのか(組織の物理的およびデジタルな成果物を収集、保存、普及するため)、またなぜそれを行うのか(親組織が未来をリードする能力に対する信頼を築くため)、これらを必ずプレゼンテーションの冒頭で述べる、と言います。
このことは、組織アーカイブズのみならず、収集アーカイブズにおいても、また企業などの私的アーカイブズだけではなく公的アーカイブズについても、必要なことと感じます。過去の記録を収集・移管、整理、保存、普及するために必要なもの(資金、人手、時間など)を得るには、何のために、なぜ必要なのかを親組織、あるいは広く一般に理解してもらう必要があります。理解者が少なければ理解者、仲間を増やす不断の努力を続けていかねばならないことを改めて思い起こします。
またミッション・ステートメントに続けてライアン氏は、「アーカイブズに未来へのフォーカスがなければ博物館になってしまう。私たちは博物館ではなくアーカイブズなのです」という説明を加えていました。アーカイブズとは、よりダイレクトに組織や社会の経営・運営に関わる機能、役割を持つことを改めて強調する言葉です。つまり、組織と社会の未来のため、アップデートのためには、アーカイブズが整備され、充実することが必要、ということです。
☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆
企業アーカイブズ、あるいはアーカイブズ・コミュニティ全体においても、AIは会合のテーマに欠かせないものとなっています。
例えば、2024年6月13日にハンガリー・ブタペストで開催された欧州銀行金融史協会(eabh)の今年のワークショップのテーマは「AIとアーカイブズ」でした。
https://bankinghistory.org/events/aiarchives/ (PDF)
https://bankinghistory.org/wp-content/uploads/AIProgramme.pdf
また、8月中旬に米国シカゴで開催されるアメリカ・アーキビスト協会の事前プログラムにも、AIに関わるセッションが確認されます。
https://www2.archivists.org/am2024/program
https://societyofarchivists.sharepoint.com/sites/FilesSite/Shared%20Documents/Forms/AllItems.aspx?id=%2Fsites%2FFilesSite%2FShared%20Documents%2Fconference%2F2024%2FSAA%2D2024%2DPreliminary%2DProgram%2Epdf&parent=%2Fsites%2FFilesSite%2FShared%20Documents%2Fconference%2F2024&p=true&ga=1 (PDF)
2024年8月15日(木)
B2. AIフロンティアへの進出:アーカイブズの機会と倫理的課題。対面のみ
B2. Venturing into the AI Frontier: Opportunities and Ethical Challenges for Archives. In-person Only (PDF 8ページ)
2024年8月16日(金)
501: AI時代の具現化された知識のアーカイビング:何を、なぜ、どうやって? ハイブリッド方式
501: Archiving Embodied Knowledge in the Age of AI: What, Why, How? Hybrid(同14ページ)
海外での企業アーカイブズ、アーカイブズとAIに関わる動向には、引き続き注目していく必要がありそうです。
☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆
次号は10月発行予定です。
どうぞお楽しみに。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆◇◆バックナンバーもご活用ください◆◇◆
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/index.html
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
***********************************
ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信) No.102
2024年7月4日発行 (不定期発行)
【創刊日】2008年2月15日
【発行者】公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センター
【編集者】公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センター
「ビジネス・アーカイブズ通信」編集部/
株式会社アーカイブズ工房
【発行地】日本/東京都/北区
【ISSN】1884-2666
【E-Mail】
【サイト】https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/index.html
***********************************
Copyright (C)
公益財団法人渋沢栄一記念財団
2007- All Rights Reserved.