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日米アーカイブセミナーの提言

日米アーカイブセミナーの提言
Japan-U.S. Archives Seminar, May 9-11, 2007

[ PDF版 (101KB) ]

提言1 : アクセス

日米両国はそれぞれにアーカイブへのアクセスをめぐるきめごとと習慣があること、
アクセスをめぐるきめごとは当該記録の作成組織により定められるということ、
ならびにそうしたきめごとは、その地域や組織の文化を反映するものであることを踏まえ、
さらには、アーカイブ機関には、文化の中で理解されている個人のプライバシーの尊重と保護を行う義務があることを認識しつつ、

 日米アーカイブセミナーは

アーカイブ機関に対しては、利用者に対しては資料へのアクセスを最大限に提供し、記録作成機関においては説明責任の振興を促し、また国のあらゆる歴史に関する調査を可能にするよう、強く求める。

 

提言2 : アーカイブ組織の確立

どのような種類のアーカイブ組織も、それぞれの親機関の意向にかなったアーカイブ保存戦略を追求しなければならないということに鑑み、

 日米アーカイブセミナーは

1.国レベルの行政府に対しては、政府全体の記録保管とドキュメンテーションに関するプロセスを包括的に制御する法的枠組みを創設し維持するように求め、

2.州・都道府県および市町村政府に対しては、アーカイブ機関をもれなく設立することを推奨し、

3.大学・研究機関に対してはその組織に関わるアーカイブ資料およびその他特殊コレクションの保存体制を確立または改善、およびこれら資料が利用者に対しては利用可能となるように整理し、そのことにより全ての利用者が少なくとも資料の目録情報を共有できるようになることへの期待を表明し、

4.企業や事業組織に対しては、その業務記録の保存が価値ある業務であることへの認識を促進し、アーカイブ・プログラムを支援するよう招請する。

提言3 : アーカイブ資料の整理・目録作成・複製作成

20世紀の歴史が世界規模のものであり、われわれが共有するアーカイブ遺産の持つ重要性の増加は研究利用によって証明されているのであることをここに改めて確認し、

 日米アーカイブセミナーは

アーカイブ資料の公開の管理業務を担当するアーカイブ機関、専門家団体ならびに関連機関・組織に対し、整理および国際標準を満たすアーカイブ資料の検索手段の作成および公刊、ならびに21 世紀の技術を用いて、20 世紀のアーカイブ記録遺産の複製作成とアクセス提供の実現により、アーカイブ記録継承を行うことを推奨する。

提言4 : アーカイブ資料の保存

機関および個人の記録が将来に向けて保存されるのかどうかについて懸念しつつ、

 日米アーカイブセミナーは

1.アーキビストや文書管理担当者たちが恒久的に保存する記録の評価を行う場合、ならびに歴史資料の寄贈を追求する場合には、幅広くさまざまな利用者に配慮するよう奨励し

2.正史の作成を行う機関は、歴史を書くに当たり利用した資料が、将来の利用者にもアクセスできるよう保存されることを推奨し、

3.アーカイブ資料を所蔵する機関にあっては、歴史的資料を保存し保護するのに適切な予算が配分されるよう、強調する。

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