ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信)

第86号(2020年5月29日発行)

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☆      □■□ ビジネス・アーカイブズ通信 □■□

☆       No.86 (2020年5月29日発行)

☆    発行:公益財団法人 渋沢栄一記念財団 情報資源センター

☆                        〔ISSN:1884-2666〕
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この通信では海外(主として英語圏)のビジネス・アーカイブズ(BA)に関する情報をお届けします。

海外BAに関わる国内関連情報も適宜掲載しております。

今号はニュース1件、行事情報1件です。

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◆ 目次 ◆

[掲載事項の凡例とご注意]

■ニュース:新型コロナウイルスと世界のビジネス・アーカイブズ、アーキビストの動向

■行事情報:中東欧のビジネス・アーカイブズに関わる最近の動向
◎「中東欧における経営史」ワークショップ
     2019年10月25-26日(ポーランド・ワルシャワ)
     2020年10-11月(オンライン・ビデオ会議)
     2021年春(ウクライナ・リヴィウ)

☆★ 編集部より:あとがき、次号予告 ★☆

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[掲載事項の凡例]

・欧文の場合、日本語で読みやすいものになるように、タイトルははじめに日本語訳を、続いて原文を記します。
・人名や固有名詞の発音が不明の場合も日本語表記を添えました。便宜的なものですので、検索等を行う場合はかならず原文を用いてください。
・普通名詞として資料室や文書室、物理的な記録資料を表現する際は「アーカイブズ」を用います。固有名詞の場合はこの限りではありません。また物理的およびデジタル記録資料の蓄積や組織化に関しては「アーカイブ」「アーカイブ化」「アーカイビング」などの表現を用いることもあります。

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[ご注意]
・受信時にリンク先を示すURLが途中で改行されてしまう場合があります。通常のURLクリックで表示されない場合にはお手数ですがコピー&ペーストで一行にしたものをブラウザのアドレス・バーに挿入し、リンク先をご覧ください。


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■ニュース:新型コロナウイルスと世界のビジネス・アーカイブズ、アーキビストの動向

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◎新型コロナウイルスと世界のビジネス・アーカイブズ、アーキビストの動向

新型コロナウイルス拡大阻止のため、リモートワークによる業務処理などが続いています。このような状況に対する各国のビジネス・アーカイブズ関連情報をご紹介します。

◆国際アーカイブズ評議会(ICA)企業アーカイブズ部会(SBA)運営委員会◆
5月26日にオンラインで運営委員会会合を持ち、各委員の所属企業・機関、それぞれのアーカイブズ、各国政府の対応、経済社会の状況に関する情報交換を行い、これに基づいてICA/SBAの2022年度までの行事日程について検討しました。

スイス、デンマーク、インド、イギリス、アメリカ、フランス、イタリア、アメリカ、日本からの参加がありました。各人の報告では、長距離出張がいつ可能になるのかわからない、出張費の抑制は企業収支上プラスだが、現在の状況は企業全体の業績に対してはよい影響を与えていない、二酸化炭素の排出量が減っているのは公益上好ましいことであり、この方向はキープした方がよい、といった意見が出されました。ビジネスをサポートするという立場から、当初予定していたデンマーク・コペンハーゲンでの今年9月開催を押す意見があったものの、諸般の状況を考えると危険を犯して開催するのは適当とはいえず、延期という意見でまとまりました。次はスイス・バーゼルで2021年5月に、デンマーク・コペンハーゲンでの開催は2022年になります。

すでに9月のシンポジウムの登壇者の大部分が確定している状況での延期という判断です。参加意思表示を行なっている一般の参加者もおり、この人々とのつながりを保ち、企業アーカイブズ関係者の前向きな勢いを失わないように、次の会合までSBAとしてオンラインでの情報発信を強化する方向で活動を進めることも同時に決議されました。勢いを止めてはいけない=Keep the momentum というある参加者の発言が、会議の最後に今一度確認されました。

なお、SBAの親組織ICAでは、今年11月にアラブ首長国連邦(UAE)アブダビで4年に1度の大規模な大会を予定していましたが、こちらも来年10月に延期となることが発表されています。
https://www.ica.org/en/rescheduling-for-ica-abu-dhabi-congress


◆アメリカ・アーキビスト協会(SAA)ビジネス・アーカイブズ部会(BAS)◆
BASでは、同部会が年に4回発行する「ビジネス・アーカイブズ部会クォータリー」Business Archives Section Quarterly (BASQ)の次号を、新型コロナウイルス大流行中の企業アーカイブズ管理方法特集とし、これに対する投稿募集を開始しました(締め切りは6月19日)。今回の感染症大流行への対応に関する企業内文書収集戦略、実際には何をどのように収集しているか、過去の同様の事例の利用例、リモートワークでどんなアーカイブズ業務を行なっているか、などを募集中です。
https://www2.archivists.org/groups/business-archives-section/basq-call-for-submissions-archives-in-a-pandemic

BASの親組織SAA(会員約6,200名)は、2020年8月3-5日にシカゴで開催予定であった年次大会を、オンラインでの開催に変更すると5月5日に表明しました。もともと会場として予約していたヒルトン・シカゴは、2024年の同地での年次大会会場に振り替えることで合意しています。
https://www2.archivists.org/news/2020/breaking-news-archivesrecords-2020-is-going-virtual

◆ビジネス・アーカイブズ・カウンシル(BAC)(英国)◆
BACは4月27日にオンライン会議を開催、会議内容についての報告が同協議会サイトに掲載されています。1時間ほどのオンライン会議では、在宅勤務中の健康、他の同僚との協力、感染症流行に関する記録文書の収集、アーカイブズ利用者の研究支援、さらに倒産企業や倒産の危機にある企業の記録保全に関わる取り組み、といったテーマで参加者からの現状報告や提案が示されました。
https://www.businessarchivescouncil.org.uk/news/2020/04/notes_bac_online_session
https://www.businessarchivescouncil.org.uk/materials/2020_04_27_bac_online_session.docx

報告では次のような情報リソースに言及しています。
・イギリス国立公文書館が公表している、アーカイブズ・コレクションに関わる新型コロナウイルス感染症対策
https://www.nationalarchives.gov.uk/archives-sector/our-archives-sector-role/coronavirus-update/our-coronavirus-response-and-guidance/

・航空産業アーカイブズ・イニシアティブ
(2018年に結成された航空産業に関わるアーカイブズ関係者の集まり)
https://www.aviationarchives.uk/

・BAC危機管理チーム(倒産企業のアーカイブズ・レスキューに取り組む)
https://managingbusinessarchives.co.uk/getting-started/business-archives-risk/crisis-management-team/

イギリスでは今回のグローバルな感染症流行期間中にローラ・アシュレーなどいくつかの企業が廃業に追い込まれています。BACではアーカイブズ関係者、とくに地方自治体の文書館関係者に対して、今回の感染症流行期間中、企業とそのアーカイブズの動向に注意を向けて欲しいというステートメントも発表しています。
https://www.businessarchivescouncil.org.uk/news/2020/03/crisis_management_team_covid19

◆英国とアイルランド アーカイブズとレコード協会(ARA)◆
イギリスとアイルランドにおけるアーキビストとレコード・マネージャーの協会ARAも9月に英国チェスター市のクラウン・プラザ・ホテルを会場に開催を予定していた年次大会の延期を決定、次の大会は2021年に開催されることが決定されています。同協会の部会には、企業資料に関わるBusiness records部会があります。
https://www.archives.org.uk/what-we-do/the-ara-conference.html

◆ドイツ・ビジネス・アーキビスト協会(VdW)◆
VdWでは5月24-26日にフランクフルトのドイツ銀行で開催を予定していた年次会合(発表やシンポジウム等と総会)を中止することを決定しています。これは1967年以来のことです。総会は今年末に、発表やシンポジウム等は2021年5月2-4日に延期となりました(場所はフランクフルトのドイツ銀行のまま)。
https://www.wirtschaftsarchive.de/archivwesen/jahrestagung/jahrestagung
https://www.wirtschaftsarchive.de/

◆企業史料協議会(日本)◆
第39回総会と記念講演会が5月18日に予定されていました。記念講演は中止、総会はメールと郵便を用いて理事会案の審議と採決を行う予定です(議決権行使書締切は5月25日)。
http://www.baa.gr.jp/
http://www.baa.gr.jp/syousai.asp?id=638

◆欧州石油ガス・アーカイブズ・ネットワーク(EOGAN)◆
欧州石油ガス・アーカイブズ・ネットワークはスコットランドのアバディーン大学、ノルウェー国立公文書館が中心となり2009年から徐々に参加をふやしてきたネットワークです。このネットワークでは、「エネルギー産業のアーカイブズと感染症流行」というテーマで今年6月にウェビナーを計画中です。詳細は今後決定されます。
https://www.eogan.org/open-call-for-papers

◆欧州銀行金融史協会(EABH)◆
ICA/SBA(国際アーカイブズ協議会企業アーカイブズ部会)に参加する金融機関のアーカイブズの多くがEABHのメンバーです。EABHでは欧州中央銀行と共催で、3月23日に「GDPRと歴史アーカイブズ」のテーマでのワークショップの開催を予定していました(会場はフランクフルトの欧州中央銀行)。新型感染症拡大のため延期されています。すでに公開されているプログラムによれば、本ワークショップでは「2018年から施行されているGDPRによって金融機関の歴史アーカイブズへの研究者たちのアクセスは影響を受けるのか」、「どのように個人情報保護と透明性、学問の自由のバランスをとるのか」といった点が扱われることになっています。講師にはフィンランド企業記録中央アーカイブズ(ELKA)のヤルモ・ルオマアホ氏、オーラル・ヒストリー分野の第一人者である英国図書館のロブ・パークス博士など、ICA/SBAの会合にも講師として関わってこられた人々の名前が見えます。
https://bankinghistory.org/events/gdpr-for-historical-archives/

◆イタリア企業アーカイブズ・博物館協会(Museimpresa)◆
イタリアでは3月初旬から都市封鎖が行われ、5月下旬まで市民には厳しく外出禁止が課されていました。2001年にイタリア・ミラノで結成された企業アーカイブズと博物館の協会であるMuseimpresaは、在宅を余儀なくされた企業アーカイブズ ・博物館スタッフや関係者のために、国際博物館協会(ICOM)イタリア支部、あるいはアーカイブズ遺産保護協会によるオンライン・ウェビナーの情報を集約したウェブページを作成し、公開しています。
https://www.museimpresa.com/webinar-online/


★☆★...編集部より...★☆★
編集部では、新型コロナウイルス感染症への企業アーカイブズと関係者の動向を、引き続き注意深く追っていく予定です。


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■行事情報:中東欧のビジネス・アーカイブズに関わる最近の動向
◎「中東欧における経営史」ワークショップ
     2019年10月25-26日(ポーランド・ワルシャワ)
     2020年10-11月(オンライン)
     2021年春(ウクライナ・リヴィウ)

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◎第1回「中東欧における経営史」ワークショップの開催とこれから
Workshop on "Business History in Central & Eastern Europe"

昨年11月、「中東欧における経営史」ワークショップと題された会合が、ポーランド・ワルシャワにあるコズミンスキ大学で開催されました。中東欧地域における史上初と思われる経営史・企業アーカイブズに関わるこの会合には、国際アーカイブズ評議会(ICA)企業アーカイブズ部会(SBA)の運営委員も参加しています。同地域の企業は、かつて社会主義的経済政策によって国有化されるなど、複雑な経緯を経て今日に至っています。企業の持続的な発展、信頼しうる過去の記録の管理の必要性、アーカイブズの多様な価値、経営史の国際比較といったテーマに対する関心が同地域で高まっていることがうかがわれます。今号では参加したSBA委員からの報告を交え、会議の概要とこの取り組みの今後の予定をご紹介します。


■■ 第1回「中東欧における経営史」ワークショップ■■
Workshop on "Business History in Central & Eastern Europe"
https://www.kozminski.edu.pl/en/news/aktualnosc/workshop-on-business-history-in-central-eastern-europe/
https://www.kozminski.edu.pl/EBHA/

【概要】
日時:2019年25-26日
会場:コズミンスキ大学(ポーランド・ワルシャワ)
主催:コズミンスキ大学、欧州経営史協会
後援:ポーランド科学アカデミー若手アカデミー

コズミンスキ大学と欧州経営史協会European Business History Association (EBHA)の共催、ポーランド科学アカデミー若手アカデミー後援による経営史と企業アーカイブズに関わる国際的な会合には、ICA/SBAを代表して、英国のアレックス・リッチー氏が参加しました。リッチー委員からの報告によれば、ポーランド、ベラルーシ、チェコ共和国、ハンガリー、スロベニア、ウクライナなどの中東欧諸国のほか、デンマーク、イタリア、フランス、イギリスなど西ヨーロッパからの参加も得られ、全体での参加者数は40数名とのことでした。以下、セッションの概要をご紹介いたします。


【プログラム】
https://www.kozminski.edu.pl/fileadmin/wspolne_elementy/Dokumenty/jednostki/Konferencje/Final_programme_EBHA.pdf (PDF)

■1日目
◆第1セッション「世界と中東欧における経営史の制度的背景」
The institutional background of Business History around the World and in CEE
【司会】トマシュ・オヒノフスキ教授 ワルシャワ大学(ポーランド・ワルシャワ)
Prof. Tomasz Ochinowski, Warsaw University
【ゲスト・スピーカー】アンドレア・コッリ 欧州経営史協会会長、ボッコーニ大学 (イタリア・ミラノ)
Prof. Andrea Colli, President of EBHA, Bocconi University
【概要】
スカイプを通じたコッリ教授の講演のタイトルは「アイデンティティと境界」。コッリ教授は、中東欧における経営史研究の可能性として、次の4つの領域を指摘しました。「社会主義的企業とそのバリエーション(国別)」、「冷戦期の経営史と欧州分断が東西両陣営の企業活動に与えた影響、例としてはイタリアの石油会社ENIとTungsram社の研究の可能性」、「移行経済における起業家精神」、「アイデンティティの回復力(例:社会主義経済から再興した企業やブランドであるSkoda、Budwar、Zwack)」。コッリ教授は、翌日のプログラムには現地で直接参加がかなったということです。

◆第2セッション「中東欧の経営史のユニークな諸側面:テーマ、トピック、潜在的な貢献」
Unique aspects of CEE Business History: themes, topics, and potential contributions
【司会】マチェイ・ティミスキ博士 ワルシャワ大学(ポーランド・ワルシャワ)
Dr. Maciej Tymiński, University of Warsaw
【パネリスト】
ルチアーノ・セグレート教授 フィレンツェ大学(イタリア・フィレンツェ)/グダニスク工科大学(ポーランド・グダニスク)
Prof. Luciano Segreto, University of Florence / Gdansk University of Technology
ユーディット・クレメント博士 ウットヴュシュ・ローランド大学(ハンガリー・ブタペスト)/ハンガリー科学アカデミー(同)
Dr. Judit Klement, Eötvös Loránd University of Budapest / Hungarian Academy of Sciences
アレクサンドラ・ビレビッチ博士 ポーランド科学アカデミー(ポーランド・ワルシャワ)
Dr. Aleksandra Bilewicz, Polish Academy of Sciences
トマーズ・ゲチュコ博士 チャールズ大学(チェコ共和国・プラハ)
Dr. Tomáš Gecko, Charles University in Prague
クリスティーナ・カウツカー博士 チェコ科学アカデミー・マサリク研究所&アーカイブズ(チェコ共和国・プラハ)
Dr. Kristýna Kaucká, Masaryk Institute and Archives of the Czech Academy of Sciences
【概要】
このセッションは中東欧における経営史の独自性に関するものでした。

◆第3セッション「中東欧における経営史の最近の発展」
Recent developments of Business History in the CEE
【司会】アントニエ・ドレジャロバ教授 チャールズ大学(チェコ共和国・プラハ)
Prof. Antonie Doležalová, Charles University
【パネリスト】
ザルコ・ラザレビッチ教授 リュブリャナ現代史研究所(スロベニア・リュブリャナ)
Prof. Žarko Lazarević, Institute of Contemporary History Ljubljana
シャボッチ・ショモリアイ博士 ハンガリー科学アカデミー(ハンガリー・ブタペスト)
Dr. Szabolcs Somorjai, Hungarian Academy of Sciences
マリウス・イヤストショム博士 コレギウム・ツィビタス(ポーランド・ワルシャワ)
Dr. Mariusz Jastrząb, Collegium Civitas
ヴォロディミル・クリコフ ウクライナ・カトリック大学(ウクライナ・リヴィヴ)
Dr. Volodymyr Kulikov, The Ukrainian Catholic University
【概要】
中東欧における経営史の最近の動向について。

■2日目
◆第4セッション「中東欧におけるビジネス・アーカイブズのための挑戦と機会」
Challenges and Opportunities for Business Archives in CEE
【司会】マリア・ヒドゥベギ博士 トゥングスラム社(ハンガリー・ブタペスト)
Dr. Mária Hidvégi, Tungsram kft. company
【パネリスト】
ミラン・バラバン博士 トーマス・バタ大学(ハンガリー・ズリン)
Dr. Milan Balaban, Tomas Bata University, Zlin
トマシュ・オレイニチャック教授 コズミンスキ大学(ポーランド・ワルシャワ)
Prof. Tomasz Olejniczak, Kozminski University
アレックス・リッチー ICA/SBA
Alex Ritchie, International Council on Archives, Section on Business Archives
【概要】
このパネルの司会には、ブダペストに本拠を置く照明会社トゥングスラム社の歴史家であるマリア・ヒドゥベギ博士、が参加しました。チェコ共和国ズリンにあるトーマス・バタ大学のミラン・バラバン博士、ポーランド・ワルシャワのカルタ・センター財団(The KARTA Center Foundation) とつながりのあるトマシュ・オレイニチャック教授、そしてICA/SBAを代表してアレックス・リッチー氏がパネリストを務めています。バラバン氏は、チェコのズリンに起源を持つ靴会社であるBataに関連するアーカイブズのデジタル化プロジェクトについて報告しました。Bataはグローバル企業に成長し、現在ではカナダ人企業家が所有し、スイスに本社を置いています。ピーク時には、79か国で製造または販売活動を行なっていたため、記録資料は各国に広く分散している状況です。2年間のプロジェクトは2020年3月に終了予定です。

オレイニチャック教授は1982年にポーランドの戒厳令下で設立されたカルタ・センター財団について発表しました。カルタは企業に焦点を合わせているわけではなく、コミュニティ・アーカイブズの活動です。オーラル・ヒストリー、文書のレスキュー活動、それらのアーカイブと写真コレクションに関わる幅広い活動の中で、企業資料のアーカイブ化が発生する可能性があります。カルタのコミュニティ・アーカイブズのコレクションの大部分は、オープンソース・ソフトウェアを利用したサイトで公開されており、オンラインでアクセス可能です。カルタは熱意に富んだ数多くのボランティアに恵まれていますが、現在のところ、資金調達問題に苦しんでいるのも事実です。(本ワークショップの当初のプログラムでは、オレイニチャック教授ではなく、ワルシャワ市文化部のアルトゥール・ユージヴィック博士Dr. Artur Jóźwikがパネリストの予定でした。都合によりオレイニチャック教授がユージヴィック博士の代役を務めました。)

経営史家のマリア・ヒドヴェギ博士は、トゥングスラム社の記録資料整理・アーカイブズ立ち上げの責任者です。1896年創業の同社のモットーは「イノベーションは私たちの遺産」。同社はハプスブルグ帝国時代に生まれ、白熱電球事業の成功によって知られるようになりました。第一次大戦と第二次大戦の戦間期には一時期、イギリス企業の子会社となり、冷戦時代は社会主義企業、さらにその後の自由市場経済時期に至り、自分たちのアイデンティティを再発見しています。同社の歴史は、中東欧企業の経営史の複雑さをよく示しています。現在アーカイブズの整理が進んでいます。多くの記録資料がこの間失われてしまったのではないかと考えられていますが、一方では期待も大きいということです。

ICA/SBAのリッチー委員からは、イギリスにおけるビジネス・アーカイブズのための全国的戦略、同国におけるアーカイブズのネットワーク、同国の企業アーカイブズの数やその特徴、さらに国際的なネットワークであるSBAの有用性とこれへの参加呼びかけが行われました。2020年のSBA会議の開催予定地はコペンハーゲンであり、中東欧からは参加しやすいことも強調されました。(注:5月26日SBA運営委員会では、2020年9月に開催予定のSBA主催ビジネス・アーカイブズ国際シンポジウムを2021年に延期することを決定しました。)

◆第5セッション「(編集者たちに会おう)経営史研究を出版する」
(Meet the Editors) Publishing business history research
【司会】マリウス・イヤストショム博士 コレギウム・ツィビタス(ポーランド・ワルシャワ)
Dr. Mariusz Jastrząb, Collegium Civitas
【パネリスト】
アンドレア・コッリ教授 ボッコーニ大学、ジャーナル『ビジネス・ヒストリー』(イタリア・ミラノ)
Prof. Andrea Colli, Bocconi University, Journal: Business History
エルフレッド・レッケンデリーズ教授 コペンハーゲン・ビジネス・スクール、ジャーナル『スカンディナビアン・エコノミック・ヒストリー・レビュー』(デンマーク・コペンハーゲン)
Prof. Alfred Reckendrees, Copenhagen Business School, Journal: Scandinavian Economic History Review
ウィム・ファン・レント博士 モンペリエ・ビジネス・スクール、ジャーナル『ジャーナル・オブ・マネジメント・ヒストリー』(フランス・モンペリエ)
Dr. Wim Van Lent, Montpellier Business School, Journal of Management History
【概要】
経営史研究の出版についての討論セッションです。バルト海地域を広範にカバーしようとしている『スカンディナビアン・エコノミック・ヒストリー・レビュー』誌と、新しい寄稿者を募集するのに最も熱心であると思われる『ジャーナル・オブ・マネジメント・ヒストリー』誌から、中東欧の会議参加者に対して、寄稿が奨励されました。


◆「経営史研究 研究方法」
Research methods in business history research
【司会】カロリナ・ミコワイェウスカ=ザヤンス博士 コズミンスキ大学(ポーランド・ワルシャワ)
Dr. Karolina Mikołajewska-Zając, Kozminski University
【パネリスト】
エデゥアルドゥ・クブー教授 チャールズ大学(チェコ共和国・プラハ)
Prof. Eduard Kubů, Charles University in Prague
バルボラ・シュトロバー博士 チャールズ大学(チェコ共和国・プラハ)
Dr. Barbora Štolleová, Charles University in Prague
ムハマド・カムラン博士 ワルシャワ大学(ポーランド・ワルシャワ)
Dr. Muhammad Kamran, Warsaw University
ハナ・モラフツォワ チャールズ大学(チェコ共和国・プラハ)
Hana Moravcova, Charles University in Prague
【概要】
経営史における研究方法に関するパネル。

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リッチー委員によると、1日目の議論では、「経営史を明確な学問分野(ディシプリン)として確立することの難しさ」というテーマが浮上したといいます。経済活動を対象とする研究が長い間イデオロギーに基づいて行われてきたため、マルクス主義の用語を使わず、新しい語彙を見つける必要があるといいます。多くの経営史研究者は、いまだ経済史研究者と名乗らなければいけない状況も続いています。ウクライナでは経営史研究がとくに低調気味なようなのですが、オーラル・ヒストリーや都市の歴史などの関連分野には強みがあるということです。

全体としては、非常に価値があり興味深い会合であった、という評価がSBA運営委員会(オンライン)でなされました。中東欧の経営史研究ネットワークには、強力なコアがありますが、今回はバルト諸国、ルーマニアやブルガリアからの参加者がみられませんでした。主催者として会場を提供したコズミンスキ大学は、起業家精神にあふれる機関であり、「中東欧における経営史」イニシアチブにふさわしい拠点と言えるということでした。

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■■ 2020年以降の「中東欧における経営史」ワークショップの展開■■

今年2020年には、10月23-24日の2日間、ウクライナのリヴィヴにあるウクライナ・カトリック大学において「中東欧の企業における(資源としての)過去の利用」というテーマで、EBHAと共催の国際会議が再び計画されていました。
https://networks.h-net.org/node/73374/announcements/5890767/uses-past-enterprises-central-eastern-europe
(2月に公開された開催案内と発表申し込み要項)

残念ながら新型コロナウイルス感染症対策のため、10月の会議はオンラインでの会合に変更され、対面での会議は来年2021年春に延期という発表が、4月に入ってSBA運営委員宛にメールで通知されています。主催者のウクライナ・カトリック大学ヴォロディミル・クリコフVolodymyr Kulikov教授による開催趣旨と発表募集要項をご紹介します。

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「ウクライナ・カトリック大学は、欧州経営史協会(EBHA)と協力し、関連分野の研究者および大学院博士課程の学生を招き、中東欧(CEE)企業による過去の利用に関連した、幅広いトピックについて、発表提案書を募集中です(締め切りは5月1日)。このワークショップでは、企業が現在および将来の事業目的のために、利用している、あるいは利用可能な資源として、〈過去〉を取り上げたいと考えています。私たちは、〈歴史〉を行為遂行的な解釈(performative interpretation)として、過去と現在を理解し、未来に向かって前進するのを助ける道具である、と理解しています。CEEにおける過去の利用に焦点を当てますが、この問題、すなわちCEE企業の「過去の利用」に対する理解を深めるために、他地域の事例研究も歓迎します。

このような歴史理解は、今日、経営史学の特定の分野において、ますますよく見られるようになりつつあります。これは、〈歴史〉とは〈過去〉のことである、という伝統的解釈に置き換えられつつあります。企業組織はまた、現在では、ブランディング、戦略、アイデンティティの創出などのさまざまなクリエイティブな用途に利用できる、シンボルに関わる資源として、歴史を見る傾向があります。しかしながら、CEEはこの点で特異な存在です。というのは、この地域の大部分の企業は、社会主義とそれに対応した国有化プロセスによって、断絶を経験しているからです。共産主義政権が崩壊すると、新しい資本主義企業が設立されましたが、その多くは旧社会主義企業と同じ敷地内にあります。それらの企業が、経済的にも環境的にも、持続不可能な社会主義の遺産、をどう扱うかという問題に直面するなかで、過去は往々にして厄介なものとみなされてきました。

新しい資本家のほとんどは、問題含みの過去から距離を置いて、一から歴史を始めることにしたのでした。つまり、過去は忘れ去られるか、郷愁に包まれるか、のどちらかだったというわけです。その後、多くの起業家が過去を商品として扱う方法を学び、自分たちの組織の正統化に用いようとしました。しかし、過去というものが、この地域で経営上の意思決定を基礎付ける知識創造のための情報資源とみなされることは、いまだほとんどありません。起業家やビジネススクールは、アップル、テスラ、マクドナルドのような多国籍企業の実践のほうが、自分たちの地域の企業よりもモデルとするにはより適切であると考えています。しかし、このアプローチは、地域固有の経営環境と経路依存因子を無視するものです。CEEの経営史に関する知識の不足は、企業経営のコンテクストへの無理解をもたらし、経営上および政治上の意思決定に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、それは経営史家たちの国際的コミュニティが、資本主義の多様性についてより詳細に学ぶ機会を失うことにつながります。

私たちのワークショップは、歴史的な断絶によって特徴づけられる経営環境において、過去というものの資源としての可能性を探ることを目的としています。発表題目は、このワークショップの一般的な範囲に該当するすべてのトピックに対して開かれています。しかし、私たちは、とりわけ関心の高いテーマをいくつか提案します。論文は、次の問いのうち、1つまたはそれ以上を扱うことができます。

1. 変化する環境の中で、企業はどのように歴史を利用して、自社のコア・バリューを維持しているのだろうか。

2. 過去をブランディングやマーケティングに利用するにはどのような方法があるのか。企業はどのように過去を売り込むのか。fauxstalgia (「人造の」「偽造の」という意味のfauxとnostalgia「ノスタルジア」「懐古の情」を組み合わせた造語。実際には好きではなかった過去を懐かしがる偽りの感情)や newstalgia (「新しい」のnewとnostalgiaを組み合わせた造語。全く新しいものをみて、古いものを思い起こすこと)をどのように用いるのか、あるいは誤用するのか。過去を商品化することの「暗部」とは何か。

3. 企業は、有形無形の遺産をどのように合理化、利用、悪用しているのだろうか。企業は不快な過去にどのように対処しているのだろうか。彼らはどうやってそれを重荷から資源に変えることができるのか。

4. 企業はどのようにして企業博物館を歴史づくりや場所づくりの道具として利用しているのだろうか。

5. どのようにして企業の歴史を経営の学習のための資源に変えることができるか。戦略的起業家精神の研究と理論に対する歴史的アプローチの有望さと限界とは何か。


申し込み数によっては、追加のポスターセッションを開催する場合があります。私たちは、経営と経済の歴史に関する主要な国際ジャーナルの編集者との会合を企画する予定です。さらに、CEEの経営史に関連した国際的な助成金申請書作成に関するセッションを計画しています。

応募にあたっては、2020年5月1日までに、主題、概念的枠組み、分析アプローチ、議論を活発にするための論点を提示した500語の要約を、2ページの履歴書とともに echist@ucu.edu.ua に送付してください。発表論文は、査読手続きを経て選定されます。

ワークショップの形式は、選択した話題を包括的に議論するように設計されています。発表者は、拡張抄録(最大1,000語)又は論文(6,000語以下)を事前に送付してください。これらの文章は、ワークショップ前に参加者に配布されます。

参加者の旅費や宿泊費は支給されません。ただし主催者はいくつかの資金調達機関に申請を行う予定であり、発表者が所属機関からのサポートが得られない場合には、資金援助を行うよう努めます。

ご不明な点は echist@ucu.edu.uaw を通じて主催者までお問い合わせください。

主催者:Volodymyr Kulikov (ウクライナ・カトリック大学)、Vladyslava Moskalets(ウクライナ・カトリック大学)、Alfred Reckendores(欧州経営史協会、コペンハーゲン・ビジネス・スクールEBHA)」


★☆★...編集部より...★☆★

■■ICAにおける企業アーカイブズ関連グループ略史■■

国際アーカイブズ評議会(ICA)企業アーカイブズ部会(SBA)は、世界各地域におけるビジネス・アーカイブズの振興、ビジネス・アーカイブズ関係者のネットワークの拡大を図ってきました。ICAの設立は1948年。1974年のICA大会はビジネス・アーカイブズ・カウンシル(BAC)との共催で、イギリス・ロンドンにて開催されています。この時、ビジネス・アーカイブズに関する対応が喫緊の課題であると認識され、Charles Thompson (London) を会長に、Ottfried Dascher (Dortmund)を事務局長とした暫定委員会が形成されています。この暫定委員会が作成したレポートにより、次の第8回大会(1976年、ワシントンDC)で正式にICA内に企業アーカイブズ委員会が結成されました。会長はOttfried Dascher、事務局長はHilda Coppejans-Desmedt (Belgium)、委員はFinn H. Lauridsen (Denmark)、Robert W. Lovett (USA)、Claude Mentha (Switzerland)、James W.H. Moore (Zambia)、Kresimir Nemeth (Yugoslavia)、Walerij Romanow (USSR)、Maurice Hamon (France)等でした。10名の正規の委員のほか、18名の通信委員から構成され、その内訳は西欧15、東欧5、南北米3、アフリカ1、アジア2、豪/NZ2でした(注)。

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(注)SBAの前身に関わる記述は、以下の文献によります。
(1) Ottfried Dascher "Le comité des archives d'entreprises auprés du conseil international des archives (1974) 1976-1988".

(2) Perrine Canavaggio "Du comité des archives d'entreprises à la section des archives du monde du travail et des affaires: un exemple de coopération archivistique internationale au sein du conseil international des archives".

(1) と(2)はいずれも下記の文献に収録されています。
L'entreprise et sa mémoire: Mélanges en l'honneur de Maurice Hamon. Didier Bondue et al., eds. Presses de l'université Paris-Sorbonne、 2012.

L'entreprise et sa mémoire: Mélanges en l'honneur de Maurice Hamon. については「ビジネス・アーカイブズ通信」第44号(2013年2月15日発行)でご紹介しています。
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20130215.html
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その後企業アーカイブズ委員会は19901年に現在のSBAの前身となる企業労働アーカイブズ部会(SBL)に組織替えされました。委員会がICA全体の機構改革によるものですの中に生まれています。社会主義圏の崩壊、ドイツの統一などのため、1990年代から21世紀の最初の数年間は、SBAの前身組織SBL(この頃はSBL、すなわち企業労働アーカイブズ部会。2014年10月にSBAに名称変更)の活動への参加はもっぱら西ヨーロッパ、北欧、北米のビジネス・アーキビストが中心でした。
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20141031.html#05

次第に中国、日本、インドといったアジアの企業アーカイブズ関係者、企業アーキビストとのネットワークを広げ、これらの地域においてビジネス・アーカイブズへの関心を喚起するとともに、毎年の運営委員会ではさらにネットワークの拡大を進める議論を続けてきました。日本では、当財団情報資源センター(旧名称は実業史研究情報センター)が2008年からSBL、そしてSBAの運営に参加してきました。


■■日本における社史、企業アーカイブズ、経営史研究と中東欧の企業経営■■

一方、今回のワークショップの主催者側の中心であったポーランド・コズミンスキ大学のトマシュ・オレイニチャック教授は、ワルシャワ大学大学院で日本研究により修士号を、東京大学大学院経済学研究科で経済学修士号を得た後、コズミンスキ大学で博士課程を終え学位を取得しています。日本留学中に、日本のおける長寿企業の数の多さ、日本企業のアーカイブズとその活用状況や社史刊行の活発さに着目し、渋沢栄一記念財団情報資源センターの社史プロジェクト、企業史料プロジェクトのウェブ情報を通じて情報資源センターとの交流が始まりました。その後は2015年のSBAミラノ会議に初めて参加し、2018年春のSBA後援による中国国家档案局主催ビジネス・アーカイブズ会議と同年秋のSBAロンドン会議では、ポーランドのコミュニティ・アーカイブズ、企業アーカイブズの現状についての発表も行っています。

中東欧企業の経営史、またその基となる企業アーカイブズに関する状況は、ほとんど情報が存在しない状態が長期間続いてきました。昨年初めて開催された「中東欧における経営史」ワークショップによって、同地域における経営史研究と企業アーカイブズの整備・利活用にかかわるネットワークづくりが一歩前進しました。

本通信編集部では、今秋のオンライン会合、来年のウクライナでの第2回会合により、企業アーカイブズへの関心がさらに高まって欲しいと期待しています。また、第1回ワークショップの参加者は経営史研究者がほとんどでした。今後、トゥングスラム社のマリア・ヒドゥベギ博士のような、アーカイブズの責任者といった実務家、アーキビストの参加が増えていくことも重要です。欧州銀行金融史協会(EABH)が銀行史・金融史の研究者の会合の他に、アーキビスト向けのワークショップを毎年開催しています。これは中東欧の経営史と企業アーカイブズ関係者にとって、一つのモデルになるでしょう。


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[関連ページ]

欧州経営史協会
https://ebha.org/

同協会と日本経営史協会が共同で本年9月に名古屋で開催予定していた第2回世界経営史大会は、コロナウイルス感染拡大予防のため、来年に延期されています。会場は名古屋のままです。
https://ebha.org/files/1/Communication%20on%20future%20EBHA%20events.pdf (PDF)

ポーランド科学アカデミー若手アカデミー
https://institution.pan.pl/index.php/institution/polish-young-academy

コズミンスキ大学
https://www.kozminski.edu.pl/en/

カルタ・センター財団写真アーカイブについてのページ
https://www.foto.karta.org.pl/eng/

トゥングスラム社「イノベーションは私たちのヘリテージ」ページ
https://tungsram.com/en/news/tungsram-innovation-is-our-heritage#

トマシュ・オレイニチャック教授Linkedinページ
https://www.linkedin.com/in/tomasz-olejniczak-64202910/

トマシュ・オレイニチャック、アンナ・ピコス「ポーランドにおける経営史:現状と将来の可能性」
Anna Pikos, Tomasz Olejniczak, Business History in Poland: Current State and Future Potential, "Journal of Management and Business Administration. Central Europe" Vol. 25, No. 3/2017, p. 55-77, ISSN 2450-7814; e-ISSN 2450-8829
https://www.researchgate.net/publication/320040636_Business_History_in_Poland_Current_State_and_Future_Potentia

ヴォロディミル・クリコフ教授プロフィール
https://humaniora.ucu.edu.ua/en/personal/volodymyr-kulikov/


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[略称一覧]
ACA: Association of Canadian Archivists(カナダ・アーキビスト協会)
ARA: Archives and Records Association(アーカイブズとレコード協会)
ASA: Australian Society of Archivists(オーストラリア・アーキビスト協会)
BAC: Business Archives Council(ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BACS: Business Archives Council in Scotland(スコットランド・ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BAS: Business Archives Section(ビジネス・アーカイブズ部会:SAA内の部会)
CoSA:Council of State Archivists(米国・州文書館長評議会)
DCC: Digital Curation Center(英国デジタル・キュレーション・センター)
EDRMS:Electronic Document and Record Management System(電子文書記録管理システム)
ERM:Electronic Record Management(電子記録管理)
ICA: International Council on Archives(国際文書館評議会)
NAGARA: National Association of Government Archives and Records Administrators(米国・全国政府アーカイブズ記録管理者協会)
NARA: National Archives and Records Administration(米国 国立公文書館記録管理庁)
RIKAR: Research Institute of Korean Archives and Records(韓国国家記録研究院)
RMS:Record Management System(記録管理システム)
SAA: Society of American Archivists(アメリカ・アーキビスト協会)
SBA: Section for Business Archives(企業アーカイブズ部会、ICA内の部会)
TNA: The National Archives(英国国立公文書館)


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☆★ 編集部より:あとがき、次号予告 ★☆

6月9日は国際アーカイブズの日です。1948年のICAの設立を記念して2008年から「国際アーカイブズの日」として記念を始めています。この日を挟んだ1週間を「国際アーカイブズ週間」と定め、各国の国立公文書館を中心に記念行事が行われてきました。

昨年の国際アーカイブズ週間における世界のアーカイブズ機関のつぶやきのいくつかです。
https://twitter.com/USNatArchives/status/1135582331182505984
(米国国立公文書館)
https://twitter.com/BaringArchive/status/1136904755568099328
(ベアリング・アーカイブズ:旧ベアリング社のアーカイブズ)
https://twitter.com/GodrejArchives/status/1135818159708131328 
(ゴードレージ・アーカイブズ)

今年のテーマは「知識社会に力を与える」Empowering Knowledge Societies。日本の国立公文書館も特設ページを設け、この取り組みへの参加を呼びかけています。
http://www.archives.go.jp/about/activity/international/iaw_naj.html

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突然の新型感染症の拡大も大きな要因となって、日本のアーカイブズ界もデジタルによる情報発信への取り組みが進んでいるようです。

YouTube福井県文書館チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC44ELXDo_ERwU88c4xx-zfg

5月版の東京都の広報誌には「家で過ごす時間に『デジタルアーカイブ』を活用してみませんか」という記事が登場しています。
https://www.koho.metro.tokyo.lg.jp/2020/05/documents/koho_202005.pdf (PDF)
(PDF4ページ目)

東京都公文書館「デジタルアーカイブ」
https://dasasp03.i-repository.net/il/meta_pub/G0000002tokyoarchv00

このほか、下のようなページも目に止まりました。

TV朝日東京サイト「東京都公文書館」
https://www.tv-asahi.co.jp/t-site/bk/20200518/index.html


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次号は2020年7月中旬発行の予定です。欧州(西ヨーロッパ)の企業アーカイブズの紹介その他を予定しています。どうぞお楽しみに。

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◆◇◆バックナンバーもご活用ください◆◇◆

https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/index.html

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ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信) No.86
2020年5月29日発行 (不定期発行)
【創刊日】2008年2月15日
【発行者】公益財団法人渋沢栄一記念財団事業部情報資源センター
【編集者】公益財団法人渋沢栄一記念財団事業部情報資源センター
      「ビジネス・アーカイブズ通信」編集部/
      株式会社アーカイブズ工房
【発行地】日本/東京都/北区
【ISSN】1884-2666
【E-Mail】
【サイト】https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/index.html

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