ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信)

第84号(2020年2月22日発行)

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☆      □■□ ビジネス・アーカイブズ通信 □■□

☆       No.84 (2020年2月22日発行)

☆    発行:公益財団法人 渋沢栄一記念財団 情報資源センター

☆                        〔ISSN:1884-2666〕
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この通信では海外(主として英語圏)のビジネス・アーカイブズ(BA)に関する情報をお届けします。

海外BAに関わる国内関連情報も適宜掲載しております。

今号は文献情報/企業団体情報1件、行事情報2件です。

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◆ 目次 ◆

[掲載事項の凡例とご注意]

■文献情報/企業団体情報:パナソニックのアーカイブズ2

■行事情報:ICA/SBA主催 ビジネス・アーカイブズ国際シンポジウム
◎テーマ:「ウェザー・リポート(天気予報)」
     2020年9月22-23日
     A.P. モラー・マースク(デンマーク・コペンハーゲン)

■行事情報:ICA/SBA主催 ビジネス・アーカイブズ国際シンポジウム
◎テーマ:「ビジネス・アーカイブズと次のゴールドラッシュ」レポート その2
     2019年9月17日
     リーバイ・ストラウス社(米国カリフォルニア州サンフランシスコ)

☆★ 編集部より:あとがき、次号予告 ★☆

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[掲載事項の凡例]

・欧文の場合、日本語で読みやすいものになるように、タイトルははじめに日本語訳を、続いて原文を記します。
・人名や固有名詞の発音が不明の場合も日本語表記を添えました。便宜的なものですので、検索等を行う場合はかならず原文を用いてください。
・普通名詞として資料室や文書室、物理的な記録資料を表現する際は「アーカイブズ」を用います。固有名詞の場合はこの限りではありません。また物理的およびデジタル記録資料の蓄積や組織化に関しては「アーカイブ」「アーカイブ化」「アーカイビング」などの表現を用いることもあります。

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[ご注意]
・受信時にリンク先を示すURLが途中で改行されてしまう場合があります。通常のURLクリックで表示されない場合にはお手数ですがコピー&ペーストで一行にしたものをブラウザのアドレス・バーに挿入し、リンク先をご覧ください。

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■文献情報/企業団体情報:パナソニックのアーカイブズ2

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◎「パナソニックのアーカイブズ:エビデンス(証拠)で心の琴線に触れる」
Panasonic Archives: Striking the Right Chord with Evidence
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc019_panasonic_en.html

2018年11月にロンドンで開催されたBAC(ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)とICA/SBA(国際アーカイブズ評議会ビジネス・アーカイブズ部会)共催国際シンポジウムでの発表、"Striking the Right Chord with Evidence: 'Way, Trust, and Corporate Archives in Japan' "(エビデンス(証拠)で心の琴線に触れる : 日本におけるウェイ、信頼、企業アーカイブズ)を基にした原稿(英語)を、当財団情報資源センターのウェブページ「世界と日本のビジネス・アーカイブズ」に掲載しました。

(HTML版)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc019_panasonic_en.html

(PDF版)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/pdf/doc019_panasonic_en.pdf

[英語版目次]
Introduction(はじめに)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc019_panasonic_en.html#01

Panasonic's archives and 100th anniversary project
(パナソニックのアーカイブズと100周年事業)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc019_panasonic_en.html#02

1. History of Panasonic and its business outline
(パナソニックの沿革と事業概要)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc018_panasonic.html#021

2. The history and functions of the Panasonic Archives
(パナソニックのアーカイブズ)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc018_panasonic.html#022

3. Panasonic's 100th anniversary and the archive's efforts
(パナソニック創業100周年とアーカイブズの取り組み)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc018_panasonic.html#023

(1) A compilation of the company's 100-year history
(100年史の編纂)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc018_panasonic.html#0231

(2) Creating a management system for the historical archives: History Asset Archive
(歴史資産アーカイブズシステムの構築)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc018_panasonic.html#0232

(3) Use of the Panasonic Museum area as a whole (the Konosuke Matsushita Museum and the Hall of Manufacturing Ingenuity)
(パナソニックミュージアムエリア全体の活用(歴史館とものづくりイズム館))
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc018_panasonic.html#0233

Conclusive Remarks: Corporate Archives and 'Trust'
(おわりに : 企業アーカイブズと「信頼」)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc018_panasonic.html#03

【日本語版】
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc018_panasonic.html


■『パナソニック百年史』の刊行

「パナソニックのアーカイブズ:エビデンス(証拠)で心の琴線に触れる」で言及していた、パナソニックの百周年を記念する社史『パナソニック百年史』(以下『百年史』)が2019年11月に刊行されました(非売品)。よりコンパクトにまとめた通史「社員向け社史」は社内限定で2018年春に刊行済みです。

1) 書誌情報
タイトル:パナソニック百年史
発行年月日:2019(令和元)年11月27日
発行:パナソニック株式会社
編纂:百年史編纂委員会
   ブランドコミュニケーション本部 歴史文化コミュニケーション室
印刷:大日本印刷株式会社

2) あとがき(「『パナソニック百年史』の編纂を終えて」)に学ぶ
『百年史』は本編と資料編の2巻併せて1000ページを超す本格的社史です。百年史編纂プロジェクト事務局による本編巻末の「『パナソニック百年史』の編纂を終えて」(同書700-703ページ、執筆は百年史編纂プロジェクトリーダーの中西雅子氏、以下では「あとがき」とします)によると、この度刊行の『百年史』は、同社創業35周年史、50周年史、60周年史、90周年史に続くものですが、直近に刊行された90周年史に最近10年分を付け加えたものではなく、創業前史から新たに書き起こした通史です。

「社史 松下電器激動の十年」(1978年刊)序文にある創業者松下幸之助の言葉を手がかりに、「次代の経営幹部・世界の社員が『自己認識に正しさを得る』ための百年史」をつくる、そのためにダイジェスト版は「継承すべき会社の遺伝子をあまねく全員に伝える」、本格版社史は「未来の経営判断に資するため、100年間の経営の歩みを冷静、的確に伝える」ことが編纂方針とされました。

「あとがき」によると、本格版社史で編纂にあたって留意した点は二つ、一つはこれまでの社史とは異なり創業者中心の社史ではなく、会社主体の社史とすること、もう一つは「単に事実と結果だけでなく、なぜそういう経営戦略を取ったのか、なぜそういう意思決定をしたのか――その背景を明確にするため、可能な限り社会背景や一般経済、業界の動向、さらには当社の抱える課題などとも関連させながら記述する」(701ページ)でした。この3ページの文章は、「経営に役立てる」社史づくりにこれから取り組もうとする、志ある人々にとって、社史とは何か、社史編纂とは何かを知るための必読の文章です。

3) 目次情報
「パナソニック百年史 目次」

ご挨拶 取締役会長 長栄周作
「パナソニック百年史」刊行にあたり 取締役社長 津賀一宏

創業前史 1894~1918(明治27~大正7)

第I部 1918~1945 創業から第2次世界大戦終結まで
第1章 創業の時代 1918~1931(大正7~昭和6)
第2章 「命知」を経て飛躍的に発展 1932~1936(昭和7~昭和11)
第3章 戦時下の松下グループ 1937~1945(昭和12~昭和20)

第II部 1945~1989 終戦から冷戦構造崩壊まで
第4章 終戦後の苦難 1945~1950(昭和20~昭和25)
第5章 会社再建から「家電の松下へ」 1951~1961(昭和26~昭和36)
第6章 試練を乗り越え世界市場へ 1962~1973(昭和37~昭和48)
第7章 総合エレクトロニクスメーカーへの道程 1973~1989(昭和48~平成元)

第III部 1989~2018 激動するグローバル時代のなかで
第8章 グローバル化への対応と21世紀への布石 1989~1999(平成元~平成11)
第9章 パナソニックグループの創生と変容 2000~2012(平成12~平成24)
第10章 試練から反転攻勢、創業百周年へ 2013~2018(平成25~平成30)

主な参考文献
「パナソニック百年史」の編纂を終えて
索引

4) 実際の社史を見るには
渋沢社史データベース「社史(出版物)を実際に見るには」が参考になります。
https://shashi.shibusawa.or.jp/publication/index.php


■企業史料協議会関西ビジネスアーキビスト研修講座 [2/28中止決定]

[新型コロナウイルス感染拡大防止のため、イベントは中止となりました(2020年2月28日追記)]

パナソニック百年史編纂プロジェクト事務局リーダーの中西雅子氏が企業史料協議会主催第5回関西ビジネスアーキビスト研修講座(2020年3月18日(水))において「事例研究 パナソニック株式会社のアーカイブズと100年史編纂」のタイトルで講演されます。会場は大阪企業家ミュージアム(大阪市中央区本町)です。詳しくは同協議会ウェブサイトをご覧ください。
http://www.baa.gr.jp/syousai.asp?id=628
http://www.baa.gr.jp/


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■行事情報:ICA/SBA主催 ビジネス・アーカイブズ国際シンポジウム
      2020年9月22~23日
      A.P. モラー・マースク(デンマーク・コペンハーゲン)

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◎「ウェザー・リポート(天気予報)」
"The Weather Report"

国際アーカイブズ評議会企業アーカイブズ部会(ICA/SBA)は、企業アーカイブズに関するグローバルな最新情報と優良事例を学び合い、ネットワークを広げることを目的として、毎年世界各地で国際シンポジウムを開催しています。2020年度は9月22日(火)と23日(水)の2日間にわたり、デンマーク・コペンハーゲンの海運会社A.P.モラー・マースク本社にて開催します。

今年のテーマは「ウェザー・リポート」です。変化の激しい環境のなか、企業アーカイブズの最近の動向と今後の発展の方向を考える手がかりを提供するシンポジウムを目指しています。ホストであるマースク社のアーカイブズとSBA運営委員会は、現在協働してプログラムの詳細を確定しつつあるところです。

今年の会議は大きな柱として、次の6つの話題を考えています。

1) アーカイブズ管理とヘリテージ・コミュニケーションのトレンド
Trends in archives management and heritage communication

2) 現代のコミュニケーション・ツールに関する最新情報(SNS関係)
Updates on today's communication channels

3)「わたしのお気に入りの一品」:収蔵庫の資料が語るストーリー
"My favorite item" - stories from the shelves

4) ヘリテージ・ムービーによるコミュニケーション
Communicating with heritage films.

5) 企業の透明性への要求の高まりとプライベート・アーカイブズへのアクセス:「ザ・ジレンマ」
Access to archives considering increased requests for transparency in corporations

6) 新入社員教育に企業ヘリテージを用いる
Using company heritage in the onboarding of new employees


■SBA2020概要
*概要は次のとおりです。

日時:2020年9月22日(火)~23日 (水)
会場:A.P.モラー・マースク本社(デンマーク・コペンハーゲン)
参加費:無料
事前予約:現在メールにて受付中 SBA2020@maersk.com
ウェブサイト:4月1日までに公開予定
連絡先:SBA2020@maersk.com Henning Morgen(グループ・ヒストリアン、A.P.モラー・グループ)

*すでに参加申し込み受付を開始しています。お申し込みはお早めにどうぞ。


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■行事情報:ICA/SBA主催 ビジネス・アーカイブズ国際シンポジウム
◎テーマ:「ビジネス・アーカイブズと次のゴールドラッシュ」レポート その2
     2019年9月17日
     リーバイ・ストラウス社(米国カリフォルニア州サンフランシスコ)

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◎ICA/SBA国際シンポジウム「ビジネス・アーカイブズと次のゴールドラッシュ」
2019年度のICA/SBAシンポジウムのレポート第2回です。今回は1日目の基調講演の後のセッションについてご紹介します。
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20190831.html

ウェブキャスト1日目
https://levis.brand.live/c/business-archives-the-next-gold-rush-sept-17

以下、◆〔  〕内の数字は該当する部分の始点と終点です。

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■セッション1:将来の動向:テクノロジー業界のビジネス・アーカイブズにみられる新しいモデル
Session 1: Future Trends: New Models in Technology Business Archives

◆〔ビデオ 1:00:07 - 1:13:49〕
パウラ・ジョブローナー/コンピュータ史博物館シスコ・ヘリテージ・センター(米国 カリフォルニア)
Paula Jabloner, Center for Cisco Heritage @ the Computer History Museum, California, USA

◆〔ビデオ 1:13:57 - 1:25:51〕
ステファニー・ウォズロン/コンピュータ史博物館シスコ・ヘリテージ・センター(米国 カリフォルニア)
Stephanie Waslohn, Center for Cisco Heritage @ the Computer History Museum, California, USA

◆〔ビデオ 1:26:00 - 1:34:12〕
ペニントン・アールストランド/コンピュータ史博物館(米国 カリフォルニア)
Pennington Ahlstrand, Computer History Museum, California, USA

◆〔ビデオ 1:34:20 - 1:42:40〕
ミシェル・ウィン/アーカイブズ・コンサルタント&プロジェクト・マネージャー(米国 カリフォルニア)
Michele Winn, Archives Consultant & Project Manager, California, USA

◆〔ビデオ 1:42:48 - 1:57:50〕
質疑応答

【セッション概要】
シリコンバレーにおけるテック企業のアーカイブズがテーマ。パウラとステファニーはコンピュータ史博物館でのシスコ・コレクションのマネジメントを担当してきた。パウラの発表がこのセッションの基調講演的な役割を果たしている。シリコンバレーの企業はとにかく前しか見ていない、人の出入りも激しい。アーカイブズの業務はほとんどの場合アウトソースされる。アーカイブズの価値をプレゼンしても、なかなか理解されない。そういった中で、ヒューレット・パッカードやシスコといった成功した企業の最高経営幹部レベルの人々の中に、自分たちの記録を残そうという人がおり、こういった人々のリーダーシップによってファンドが集まり、IT企業のアーカイブズの収集・整理・利用提供がプロジェクトとして行われる、そういう文化がある。このようなプロジェクトの中で集められた記録の一つとして、ステファニーはBGP(ボーダー・ゲイトウェイ・プロトコル)というルーティングに関するプロトコルが最初に書き記されたテーブルナプキンのコピーの事例を上げた。これは1989年にCiscoの Kirk Lougheed とIBMのYakov Rekhterがランチをしている時にナプキンに書き留めたもののコピーである。

一方、ペニー(ペニントン)とミシェルはシリコンバレーにおけるビジネス・アーキビストの側からのプレゼンテーションを行なっている。ペニーは25年にわたり15の企業・大学でプロジェクト・アーキビスト(任期付きのポストで働くフリーランスのアーキビスト)であった。つい最近コンピュータ史博物館のパーマネントのアーキビスト(正規職員)になったが、過去に働いてきた15の組織のうち7つはすでに存在しないことを考えると、果たしてこれが本当に「パーマネント」かどうかはわからない、という。彼女のプレゼンテーションにはドリー・パートンの次のような言葉が引用されている。

「私たちは自分では風向きを変えることはできない。
でも帆の位置を調整することはできる。」
We cannot direct the wind,
But we can adjust the sails.
Dolly Parton

将来に向かってものすごいスピードで進んでいくシリコンバレーの企業文化を変えることはできないが、その方向にうまく合わせてアーカイブズの仕事を行なっていくことは可能、ということである。

ミシェルも同様にフリーランスのアーキビストとしてシリコンバレーでアーカイブズ・プロジェクトを担当する。ミシェルのプレゼンテーションでは、IT企業の中の人々にどのようにアーカイブズのことを理解させるのか、そのための話法や語彙、考え方が示されている。多くの場合、「うちは若い企業だし、将来しか考えていない。ミュージアムはいらない」という反応が一般的である(アーカイブズとミュージアムの違いは認識されていない)。だが、社内には自分たちのヘリテージを大切に考えている人々がいるものである。そういうスタッフを見つけ出してつながることが大切。職位が高ければ高いほど良い。また、法務の人には法務の人が興味を持ちそうな話し、マーケティングの人にはマーケティングの人が自然と興味を示すような話しをすることや、ROIといったマネジメントの言葉を共有することが大切である。ミシェルは「アーカイブズ」の説明のために、次のようなシンプルな式を使っている。

「アクセス」+「保存」=「アーカイブズ」
「アクセス」-「保存」=「ライブラリー」

パウラのまとめによると、シリコンバレーの文化では企業が個々にアーカイブズを社内に持つことは難しい。しかしテック・コミュニティの中には自分たちのレガシー、ヘリテージを大切にしようという人々がおり、お金もある。だから、個々の企業を超えて、シリコンバレーのコミュニティとしてアーカイブズを持つ、非営利として一般に公開していく、こういうモデルが一番ふさわしい。アーキビストの側では、エンジニアやテック企業の経営者に対して「私はあなたが成し遂げたこと、あなたのレガシー、ヘリテージのガーディアン(守護者)ですよ」と名乗るのが効果的であるともいえる。


■ブーツ・アーカイブズのフィルム〔ビデオ 1:58:33 - 2:01:26〕

【フィルム概要】
イギリスでは85万人の認知症患者がおり、介護スタッフの46パーセントが患者の記憶を刺激するためのツールの不足を感じている。そのような中、ブーツ・アーカイブズでは、大学の研究者と協力して、アーカイブズ所蔵の過去の商品や調剤レシピをもとに再現したニオイを認知症患者のケアに提供している。


■セッション2:ゴールド・スタンダード:あなたのコミュニティを巻き込む
Session 2: Gold Standards: Engaging Your Community

◆〔ビデオ 2:04:54 - 2:21:49〕
バーバラ・ロミンスキー/サンフランシスコ・オペラ(米国 カリフォルニア)
Barbara Rominski, San Francisco Opera, California, USA

◆〔ビデオ 2:22:02 - 2:32:24〕
デメルツァ・ファン・デア・マース/ハイネケン・ヘリテージ・コレクション(オランダ アムステルダム)
Demelza van der Maas, Heineken Heritage Collection, Amsterdam, The Netherlands

◆〔ビデオ 2:32:30 - 2:48:36〕
マーサ・ローレンス/チックフィレ社(米国 ジョージア)
Martha Lawrence, Chick-fil-A, Inc., Georgia, USA

◆〔ビデオ 2:49:07 - 3:03:40〕
質疑応答

【セッション概要】
このセッションは、アーカイブズと社内外との結びつきの開拓・関係強化がテーマである。バーバラは2023年に結成100周年を迎えるサンフランシスコ・オペラに100周年記念事業準備専任として雇用されたアーキビストである。厳しい政治的財政的環境のなかでサンフランシスコ公共図書館との連携など、100周年に向けたさまざまな取り組みを紹介している。

デメルツァは2018年に社内に「ヘリテージ・クオーター」という、アーカイブズを用いたコミュニケーション、ブランディングのためのスペース開設をリードした。かつては企業の側からの一方的な宣伝、情報発信によって消費者はビールを選んでいた。しかし時代は変わった。技術の発達によって、消費者は企業と双方向でのコミュニケーションが可能となった。そこで重要なのは、消費者と企業とのパーソナルな関係である。消費者はパーソナル・インサイトを求めている。「ハイネケン・エクスペリエンス」と呼ばれる「ヘリテージ・クオーター」での従業員やVIPゲストの体験は、ブランディングの他に、「責任ある消費」や企業モラル、新入社員教育といった分野でも役割を果たしている。さらに、「ヘリテージ・クオーター」でのイベントでは、アーカイブズのデータベースから失敗事例を発見して、どうして失敗したのか(「誰が失敗に責任があるのか」ではなく)という観点から話題を提供する取り組みも行った。大好評であった。デメルツァは、アーカイブズは過去の失敗をもとに、よりよい選択をするための教育的な機能を持ち、これがアーカイブズの最も大切な側面であると考えている。デメルツァの話で興味深かったのは、アーカイブズのデータベース化は前任者が集中的に行ってくれていたので、自分はもっぱら活用を重視しているという点である。今後は所蔵コレクションをハイネケンのビジネスにさらに統合していきたいと語る。

チックフィレ社のマーサは、アーカイブズ業務が社内に誕生する以前から同社に勤務(25年)。2014年に創業者が亡くなったため、彼のレガシーの保存、企業文化継承のために、会社記録を集め、これを活用することが社内で決定された。最初はしっかりした記録収蔵庫を作ろうと考えた。ところが予算が膨大になることがわかり、方針を変えて、記録は倉庫で保管するとともに、最初の店舗を模した可動式の「タイニーハウス」を製作した。このタイニーハウス内部には展示物を置き、ゆかりの地に出張展示するプロジェクトを実施した。顧客にはたいへん好評で、本社のあるジョージア以外の州にも今後巡回する予定である。

三人の発表に共通するのは、ことあるごとに情報発信すること(アウトプット・オリエンティッド)の重要性である。バーバラは社内で誰かに会うたびに「100周年をどうしますか」とマントラのように唱えていると語っていた。


■ハーレーダビッドソンのフィルム〔ビデオ 3:05:27 - 3:10:41〕

【フィルム概要】
「フィルムは過去の記録に命を吹き込む」とナレーターを務めるハーレーダビッドソン・アーカイブズのアーキビスト、ビル・ジャクソンは語る。バイク愛好者からの寄付による貴重な映像(デイトナ200に関するものなど)が含まれる。


■セッション3:優れたオペレーション活動と討論
Session 3: Operational Excellence Activity and Discussion

◆〔ビデオ 3:13:17 - 3:22:37〕
リンダ・エッジェリー/ウィンスロップ・グループ(米国 ニューヨーク)
Linda Edgerly, The Winthrop Group, New York, USA

◆〔ビデオ 3:22:50 - 3:26:27〕
セラ・ポリアー/シグナ(米国 コネティカット)
Sarah Polirer, Cigna, Connecticut, USA
Measures と metrics

◆〔ビデオ 3:26:39 - 3:33:52〕
ティム・シャンツ/ヒストリー・ファクトリー(米国 ワシントンDC)
Tim Schantz, History Factory, Washington, DC, USA

◆〔ビデオ 3:58:23 - 4:08:31〕
ディスカッション

【セッション概要】
アーカイブズの価値をレポーティングラインの上位にいる人々、あるいは社内の他の部署の人々にどのように伝え、評価を高めるか、というテーマ。セラはアメリカ・アーキビスト協会(SAA)と大学・研究図書館協会(ACRL)による「アーカイブ資料及び特殊コレクションのサービス評価のための統計基準」作成に加わった唯一の民間企業所属のアーキビストである。
https://www2.archivists.org/news/2018/acrl-rbms-saa-release-standardized-statistical-measures-and-metrics-for-public-services-in

セッションではリンダ、セラ、ティムの三人のモデレータによる評価基準とメトリックスに関する短い発表を聞いてから、テーブルごとにグループディスカッションを行い、最後に全体で発表・議論した。

全体会で出た意見では、企業では基準・メトリックスよりは、ストーリーの共有やコミュニケーションといったもののほうが上長への報告でよく用いられるし、効果的という声が多かった。またマイルストーン・周年事業(コーポレート、ブランド、その他)などをどのように企画していくか、という話題では、データはスプレッドシートで管理していることが多く、これを適宜検索することがほとんどのようである。ICA/SBA委員のベッキー(・タウジー)は、クラフト社在籍中の話として、70以上のブランドに関するダウンロード可能なタイムライン(年表)をアーキビストが作成しイントラネット上に置いておき(適宜更新)、社内で必要な人がセルフサービスで利用できるようにしていた、という事例の紹介もあった。


■セッション4:新しいテクノロジーの利用
Session 4: Harnessing New Technology

◆〔ビデオ 4:11:17 - 4:28:24〕
アンナ・ホール/サンフランシスコ連邦準備銀行(米国 カリフォルニア)
Anne Hall, Federal Reserve Bank of San Francisco, California, USA

◆〔ビデオ 4:28:33 - 4:43:08〕
キャット・セイリーバイ・マクドウェル/GSKヘリテージ(米国 ノースカロライナ)
Cat Saleeby McDowell, GSK Heritage, North Carolina, USA

◆〔ビデオ 4:43:17 - 4:58:10〕
フレッド・ジェイコブズ/BMW (ドイツ ミュンヘン)
Fred Jakobs, BMW AG, Munich, Germany

◆〔ビデオ 4:58:20 - 5:09:04〕
質疑応答

【セッション概要】
アンナは米国に全部で12ある連邦準備銀行のひとつサンフランシスコ連邦準備銀行のアーキビスト。同行は2003年に設立され合衆国の西部諸州をカバーしている。2005年以来各連邦準備銀行のアーキビストは会合を持ち、時々の課題とこれからについての情報を共有している。このプレゼンテーションでは2015年からはじまったFed History Vision(FHV)と呼ばれる取り組みを紹介する。同行では2014年に行内で行われた会議で、いまの記録の管理の仕方のままでは2007年の景気後退に関する記録が廃棄されてしまい、将来に継承されないことがわかった。そこで、これに対応するために2015年に銀行全体の記録管理についてOAISなどを用いて見直すことになった。永続的な価値ある記録=records which have enduring valueを定義し、作成するドキュメントの中のどれがこれにあたるのかを検討し、概念実証などのプロセスを行って、最終的にはプリザービカ社が開発した電子記録管理のプラットフォーム(文書の作成から永続的な価値ある記録の保存までのプロセスを扱うことができる)を採用した。機能的には必要最小限なレベルのものを導入したという。

キャットはレポーティングとメトリックスに関して、よいメトリックスとは良質なデータであり、トラッキング(動向を追跡して分析すること)に優れていることであると最初に提示する。Good metrics=good data=good trackingである。必要とする良質なIT環境(ソフトウェアほか)を整えるためには、投資が必要である。レポーティングライン上の上長たちは正直なところ、アーカイブズとは何かをほとんど理解していない。大切なのはそれが専門的な標準にかなっていることを示すことと、ROIに結びつけるような説明を行うことである。つまり上長やアーカイブズ以外の部門の社員に対して、アーカイブズ業界の専門用語を用いて説明することを避ける、バズワード(イノベーション、パフォーマンス、トラスト=信頼など)を用いて説明する、企業文化を取り込んだ説明の仕方をする(GSK社のテーマカラーはオレンジなので、たとえ好きな色ではないとしても、パワーポイントのビジュアルもオレンジを基調にするなど)、パワーポイントはスライド1枚にまとめ、文章による説明ではなくビジュアライズする、といった点である。見せ方を工夫し、アーカイブズの可視性visibilityを高めることが重要である。上長たちはアーカイブズのことを理解していないとはいえ、アーキビストが専門的な標準professional standardにしたがってアーカイブズ・プログラムを回していることを重視する。アーカイブズの場合専門的な標準とは何かといえば、目録標準であるDACSやISAD(G)であったりする。チャンピオン(経営革新手法の一つ6シグマの用語。経営革新上重要な役割を担う)を探し、その人とつながり、さらに味方につけることが望ましい。アーカイブズが利益を生み出すのは実際のところ難しいことであるが、効率がどれだけ向上したか(レファレンスへの回答時間が1/10になったなど)を示すことはできる。

フレッドは「コンペティター(競合する相手)は誰か」という話からスタートする。BMWはBMW、ミニ、ロールスロイスの三つのブランドを持っている。会社のコンペティターはアウディであったりフォードであったりホンダなどである。しかし実は、より手強いコンペティターたちが存在する。それはひとつにはウィキペディアやグーグル、もう一つのグループがクラブやファンのネット上のサイトである。デジタル空間でBMWが秀でるためにどういう哲学に基づき、どのような方法を実践しているのかをこのプレゼンテーションでは示している。アーカイブズの目録には、社内記録のファイル(MD)、印刷物(マニュアルなど、MD+PD)、写真(MD+PD)、動画・音声(MD+PD)、文献(図書に相当、イントラネットにMD)、モノ資料(クルマその他、MDと写真をイントラネットに)があり、情報システムとしては商品(MD)、人物(MD)、出来事(MD)、工場・事業所(MD)のデータベースを持つ。MDはメタデータ、PDは低画質でウォーターマーク入りの一次データprimary dataの略。これらをオンラインで公開している。ドイツ語と英語を用意している。インターフェイスのデザインはなるべくシンプルなものであるべき。重要なのは記録各アイテムには一意の識別子(ユニークID、URI)を与えることである。十年後でもアクセス可能となる。またこうすることによって、ウィキペディアやファンサイト、クラブサイト、あるいはグーグルでの検索結果により、BMWに関心を持ってネット上で調べ物をする、あるいはネットサーフィンを行うインターネット・ユーザーをBMWのサイト内のアーカイブズに誘導することができる。低画質でウォーターマーク入り一次データをダウンロード可能にしておくことにも留意している。

フレッドはプレゼンテーションの後半で自分たちの「哲学」について説明している。その哲学を一言で表すと「シェアするけれど浪費しない」。具体的には「自分たちの仕事の結果をすべてデータベースに登録する(レファレンス回答事例などすべて)」「データベースをオンライン化する」「顧客本意」「インターネットでもイントラネットでも見つけやすさを重視する」「オンラインシステムはシンプルで扱いが容易であること」「リンクをシェアし、文書や情報を一般の人々と直接シェアすることはしない」「アーカイブズ部門の情報を社内他部門とシェアする(とくにお金を持っている部門)」「自分たちのサイトにリダイレクトされるようにする」。さらにフレッドが強調したのは「自分たちは自社の歴史のCoC=Center of Competenceだ」という自己認識を持つことである。企業の歴史のCoCはウィキペディアでもなくグーグルでもなくその企業のアーキビストである。「顧客本意」の部分で、フレッドの口から「20年前なら歴史家、アーキビスト(が)、カスタマーという言葉を使うこと(なんてなかった)...。もちろん社内にはカスタマー(がいたけれど)...」という独白のような言葉がもれたのも印象的であった。


■ペルノ・リカール フィルム〔ビデオ 5:09:29 - 5:12:12〕

【フィルム概要】
ペルノ・リカール・グループのグループ会社、ペルノ・リカール(酒類各種)、アブソルート(ウォッカ)、アイリッシュ・ディスティラーズ(ウィスキー)、マーテル(ワイン)、シーバス・ブラザーズ(ウィスキー)、G.H.マム(シャンパン)各社のアーキビストが登場して、アーカイブズとアーキビストについて楽しく説明している。「私たちはみな自分たちのレガシーに関わるアンバサダーです」。フィルムの中では、2012年に亡くなったペルノ・リカール2代目CEOパトリック・リカールの動画も用いられている。彼は、"We must never forget where we come from to know where we want to go."(「わたしたちはこれからどこに行きたいのかを知るために自分たちがどこから来たのかを決して忘れてはいけない」英語サブタイトルより引用)と語っている。


■セッション5:ゴールド・スタンダード:あなたのアーカイブズを適切に位置付ける
Session 5: Gold Standards: Positioning Your Archives

◆〔ビデオ 5:13:32 - 5:58:18〕
パネルディスカッション
【パネリスト】
★アンダース・ヘアマン/ストックホルム経営史センター(スウェーデン ストックホルム)
Anders Sjöman, Centre for Business History, Stockholm, Sweden
★ロビサ・セヴェリン・クラゲルード/アブソルート・カンパニー - ペルノ・リカール(スウェーデン ストックホルム)
Lovisa Severin Kragerud, The Absolut Company - Pernod Ricard, Stockholm, Sweden
★ポール・ラーサウィッツ/マッキンゼー&カンパニー(米国 フロリダ)
Paul Lasewicz, McKinsey & Company, Florida, USA
★テッド・ライアン/フォード自動車(米国 ミシガン)
Ted Ryan, Ford Motor Company, Michigan, USA

【セッション概要】
IBMからマッキンゼーのアーキビストに転身したポール、コカ・コーラ社からフォード・モーターのヘリテージ・ブランド・マネジャーに転身したテッド、そしてアブソルートにアーキビストとして一年半前に採用されたロビサがパネリスト、ストックホルム経営史センターのアンダースがモデレータを務めるパネル・セッション。三人はアーキビストとしてキャリアを持ち、最近新しい環境で働き始めたという共通点を持つ。新しい環境の中で最初に心掛けたことは、三人とも社内の多くの人々に会って会話することであった。フォードの場合はすでに確立したアーカイブズ部門があったが、マッキンゼーとアブソルートはほとんどゼロからの仕事という違いがある。ポールとロビサが語るには、採用のためのインタビューの場は、逆に会社側に対して「アーカイブズとは何か、なぜ必要か、会社にとって何ができるのか」といったことをレクチャーする場であったという。ポールは着任後最初に行うべきこととして、会社側の期待を管理することexpectation managementと企業文化を理解することも挙げている。期待の管理とは、どれだけの期間と予算でどういうことができ、それは会社にとってどのようにプラスになるのかといったことを明確にし、その情報を共有し、実行していくことである。

新しい場での"緒戦の成果"としては、ロビサとポールは新人研修における会社のヘリテージに関するプログラムの開発とそれがたいへん好評であった点を挙げている。マッキンゼーの場合、グローバルにこのプログラムが用いられているという。また、ポールによるとマッキンゼーは「価値観を原動力とする」value-system drivenな会社であり、そのような企業文化に素早く新人を馴染ませるためにもアーカイブズに依拠したプログラムは有効であるという。テッドの場合は、すでにアーカイブズは長い歴史を持ち、多くのスタッフも存在していた。だが、アーカイブズ業務を再定義し、アーカイブズや関連施設にフォードの青いブランドロゴを掲示して企業アイデンティティを喚起したり、フォードが果たしたアポロ11号開発(2019年が50周年にあたる)における重要な役割を社員でさえ知らないことに気づき、メディアへの情報提供など大規模なキャンペーンを行ったりと、一種のチェンジを持ち込んでいる。

参考:
「フォード・モーターアポロ11号の月面ミッションで果たした大きな役割を明らかにする」フォックス2デトロイト 2019年7月17日
Ford Motor Co. reveals big role it played in Apollo 11 moon mission: Fox 2 Detroit, 17 July 2019
https://www.fox2detroit.com/news/ford-motor-co-reveals-big-role-it-played-in-apollo-11-moon-mission

さらにアンダースは社内でアーカイブズを売り込むターゲットをどこに設定したのかという質問も投げかけている。テッドの発言では、コカ・コーラ社にいたときはマーケティング部門であったが、フォードの本質はテクノロジー・カンパニー、あるいはエンジニアリング・カンパニーであり、エンジニアリング部門をターゲットに考えているが現在のところはPR、マーケティングそしてプロダクト・ディベロップメントと実際上の結びつきが強い。アブソルートのアーカイブズは広報部門にある。ロビサによると、この位置付けは会社の全体を見渡せる位置であるので都合がよいという。ポールの場合は、一言でどの部門ということはできず、リソースを持っている人がターゲットであると語っている。社内におけるアーカイブズのボジショニングの問い直し、位置づけの再考は重要である。

パネルではこの他、グローバル企業として各地にあるオペレーション拠点のアーカイブズの管理や活用・アクセス、新たに得られたその他の知見といったことも紹介されている。


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[略称一覧]
ACA: Association of Canadian Archivists(カナダ・アーキビスト協会)
ARA: Archives and Records Association(アーカイブズとレコード協会)
ASA: Australian Society of Archivists(オーストラリア・アーキビスト協会)
BAC: Business Archives Council(ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BACS: Business Archives Council in Scotland(スコットランド・ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BAS: Business Archives Section(ビジネス・アーカイブズ部会:SAA内の部会)
CoSA:Council of State Archivists(米国・州文書館長評議会)
DCC: Digital Curation Center(英国デジタル・キュレーション・センター)
EDRMS:Electronic Document and Record Management System(電子文書記録管理システム)
ERM:Electronic Record Management(電子記録管理)
ICA: International Council on Archives(国際文書館評議会)
NAGARA: National Association of Government Archives and Records Administrators(米国・全国政府アーカイブズ記録管理者協会)
NARA: National Archives and Records Administration(米国 国立公文書館記録管理庁)
RIKAR: Research Institute of Korean Archives and Records(韓国国家記録研究院)
RMS:Record Management System(記録管理システム)
SAA: Society of American Archivists(アメリカ・アーキビスト協会)
SBA: Section for Business Archives(企業アーカイブズ部会、ICA内の部会)
TNA: The National Archives(英国国立公文書館)


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☆★ 編集部より:あとがき、次号予告 ★☆

■■トーマス・クック・アーカイブズのゆくえ■■

前号でご紹介したトーマス・クック社のアーカイブズの引き受け先が決まりました。いくつか候補があったなかで選ばれたのは、同社創業の地であるレスターシャー州ウィグストン(Wigston, Leicestershire)のパブリック・レコード・オフィス(公記録館)です。

「トーマス・クックの歴史はレスターシャーで保存されることに」BBCニュース 2020年1月21日
History of Thomas Cook to be preserved in Leicestershire: BBC News, 21 January 2020
https://www.bbc.com/news/uk-england-leicestershire-51174728

「消えてしまったが忘れられてはいない - トーマス・クック思い出の品々がレスターシャーに引っ越し:トーマス・クックは彼の旅行会社をレスターで創業、1841年にラフバラまでの最初のツアーを催行」ビジネスライブ 2020年1月17日
Gone but not forgotten - Historic Thomas Cook artefacts get new home in Leicestershire:
Thomas Cook founded his travel company in Leicester and ran his first excursion from there to Loughborough in 1841: BusinessLive, 17 January 2020
https://www.business-live.co.uk/retail-consumer/gone-not-forgotten-historic-thomas-17576505

2番目の記事ではビジネス・アーカイブズ・カウンシル(BAC)の副議長でICA/SBAの運営委員を長年務めてきたアリソン・タートンによる「トーマス・クック・アーカイブズをレスターシャーのレコード・オフィスが引き受けることになったことは本当に大きな成果です。今回の件は、国民にとって大切なビジネス・アーカイブズを救い確実に利用可能な状態としつづけるためには、倒産実務家(管財人に相当)、アーキビスト、学者の協力がとても重要であることを示しています」というコメントを引用しています。

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■■企業史料協議会 見学・研究会情報■■

本文中でもご紹介した企業史料協議会の講座、見学会のご案内です。定員や申し込みの締め切りなど、詳しくは各行事情報のリンク先をご覧ください。
http://www.baa.gr.jp/

[新型コロナウイルス感染拡大防止のため、イベントは中止・延期となりました(2020年2月28日追記)]

●第5回関西ビジネスアーキビスト研修講座 [2/28中止決定]
日時:2020年3月18日(水)10:30~17:00(受付10:15より)
場所:大阪企業家ミュージアム 会議室
定員:各コマ30名
料金:
【会員】全課程(3コマ)8,000円・講義選択(1コマ)3,000円/
【一般】全課程(3コマ)11,000円・講義選択(1コマ)4,000円
申込:
2020年3月8日締切(ただし定員に達し次第終了)
企業史料協議会事務局 info@baa.gr.jp
http://www.baa.gr.jp/syousai.asp?id=628

(プログラム)
講義1 10:30~12:00
 講師 沢井実(南山大学経営学部教授)
「社史編纂と企業アーカイブズ」

見学 12:45~13:45
 解説 大阪企業家ミュージアム事務局
「大阪企業家ミュージアム見学(解説付き)」

講義2 13:50~15:20
 講師 樋川裕二(グンゼ株式会社)
「事例研究 グンゼ株式会社とアーカイブズ」

講義3 15:30~17:00
 講師 中西雅子(パナソニック株式会社)
「事例研究 パナソニック株式会社のアーカイブズと100年史編纂」

●第28回関西部会「中内㓛氏がめざした流通革命、『流通とは何か』を考える見学会」 [2/28中止決定]
日時:2020年3月19日(木) 14:00~16:30(受付13:40より)
http://www.baa.gr.jp/syousai.asp?id=629

●長谷工マンションミュージアム見学研究会 [2/25延期決定]
日時:2020年3月6日(金)14:00~16:30(13:45より受付) 
http://www.baa.gr.jp/syousai.asp?id=631

●第8回博物館セミナー「企業ミュージアムでつながる」 [2/28中止決定]
日時:2020年3月23日(月)13:15~16:50(13時より受付開始)
http://www.baa.gr.jp/syousai.asp?id=632

(プログラム)
講義1 13:20~14:30
講師 石川貴敏(株式会社丹青研究所 文化空間情報部 部長)
 「企業ミュージアムでつながる」

講義2 14:40~15:40
講師 神山めぐみ(セイコーミュージアム 学芸員)
 「セイコーミュージアムの事例:精工舎創業の地、墨田区の活動と地域連携」

講義3 15:50~16:50
講師 榊原 健(MIZKAN MUSEUM館長)
 「MIZKAN MUSEUMの事例:愛知県半田市とミツカンの210余年」


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次号は2020年3月上旬発行の予定です。どうぞお楽しみに。

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◆◇◆バックナンバーもご活用ください◆◇◆

https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/index.html

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ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信) No.84
2020年2月22日発行 (不定期発行)
【創刊日】2008年2月15日
【発行者】公益財団法人渋沢栄一記念財団事業部情報資源センター
【編集者】公益財団法人渋沢栄一記念財団事業部情報資源センター
      「ビジネス・アーカイブズ通信」編集部/
      株式会社アーカイブズ工房
【発行地】日本/東京都/北区
【ISSN】1884-2666
【E-Mail】
【サイト】https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/index.html

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