ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信)

第66号(2016年8月16日発行)

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☆      □■□ ビジネス・アーカイブズ通信 □■□

☆       No.66 (2016年8月16日発行)

☆    発行:公益財団法人 渋沢栄一記念財団 情報資源センター

☆                        〔ISSN:1884-2666〕
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この通信では海外(主として英語圏)のビジネス・アーカイブズ(BA)に関する情報をお届けします。

海外BAに関わる国内関連情報も適宜掲載しております。

今号は文献情報3件、行事情報1件です。

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◆ 目次 ◆

[掲載事項の凡例とご注意]

文献情報:「プロクター&ギャンブル ヘリテージ・センター&アーカイブズ」

文献情報:「コンバースはまったく新しくデザインし直したオールスター・スニーカーをデビューさせる」

文献情報:「アーキビストとデジタル・アセット・マネジャーがぶつかる時:これからの緊張と行方」

行事情報:国際アーカイブズ評議会(ICA)ソウル大会

☆★ 編集部より:次号予告 ★☆

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[掲載事項の凡例]

・欧文の場合、日本語で読みやすいものになるように、タイトルははじめに日本語訳を、続いて原文を記します。
・人名や固有名詞の発音が不明の場合も日本語表記を添えました。便宜的なものですので、検索等を行う場合はかならず原文を用いてください。
・普通名詞として資料室や文書室、記録資料を表現する際は「アーカイブズ」を用います。固有名詞の場合はこの限りではありません。また物理的およびデジタル記録資料の蓄積や組織化に関しては「アーカイブ化」「アーカイブズ化」などの表現を用いることもあります。

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[ご注意]
・受信時にリンク先を示すURLが途中で改行されてしまう場合があります。通常のURLクリックで表示されない場合にはお手数ですがコピー&ペーストで一行にしたものをブラウザのアドレス・バーに挿入し、リンク先をご覧ください。

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■文献情報:「プロクター&ギャンブル ヘリテージ・センター&アーカイブズ」

◎アメリカ・アーキビスト協会ビジネス・アーカイブズ部会ウェブページ

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◎プロクター&ギャンブル社 上級アーキビスト グレッグ・マッコイ
「プロクター&ギャンブル ヘリテージ・センター&アーカイブズ」

Procter & Gamble Heritage Center and Archives
Greg McCoy, Senior Archivist

アメリカ・アーキビスト協会ビジネス・アーカイブズ部会ウェブページ
http://us10.campaign-archive1.com/?u=1bd564ef1a1119e03894b41aa&id=ff80a7185d

今号ではインターネット上のニュース・サイト等で取り上げられたビジネス・アーカイブズ関連記事を二つご紹介します。

最初にご紹介するのはアメリカ・アーキビスト協会(SAA)ビジネス・アーカイブズ部会(BAS)のニューズレター2016年7月号に掲載されている「プロクター&ギャンブル・ヘリテージ・センター&アーカイブズ」です。執筆者はP&G社の上級アーキビスト、グレッグ・マッコイ氏です。

マッコイ氏によると、プロクター&ギャンブル(P&G)・ヘリテージ・センター&アーカイブズの誕生は、1957年の創業120年記念時にさかのぼるといいます。当時はヨーロッパにビジネスを拡大しつつあり、後にP&G最大のグローバル・ブランドに成長することになったパンパース事業の基礎となった、Charmin製紙会社を買収した時期にあたります。

当時社内報「ムーンビームス」の編集者であったアル・ぺリン氏はこの時期に、自社のヘリテージの重要性を痛感し、それまでの広報業務に加えて、自社の過去に関する重要資料の収集に着手しました。もともと社内報編集に携わっていたので、社内重要人物へのインタビューなどもお手のものでした。すぐにこの活動によってぺリン氏は「会社史家」と認められ、執筆や社内展示等を通じて、自社の歴史の普及に努めました。その後ぺリン氏の跡を継いだのが、エド・ライダー氏です。ライダー氏は1979年から2012年まで同アーカイブズ部長を務めた後定年退職し、現在はマッコイ氏がチームを率いています。

P&Gヘリテージ・センター&アーカイブズはオハイオ州シンシナティのP&Gグローバル本社内にあります。社外には基本的に公開しておらず(ケースバイケースで対応)、主として従業員と取引先関係者が利用しているということです。経営陣、マーケティング、広報、研究開発、デザイン、人事、法務といった部門による利用がメインです。1週間に8~10回程度、1時間ほどのツアーをおこなっています。とくに人事とは密接な協力関係にあり、北米のインターンと従業員はほぼ全員このツアーに参加することになっています。参加ができない従業員のためにイントラネット上にヘリテージサイトを設けており、すべての画像がダウンロード可能です。なお、下記のURLから社外向けバージョンを見ることができますが、こちらは画像のダウンロードは不可です。
http://us.pg.com/who-we-are/heritage/history-of-innovation

P&Gヘリテージ・センター&アーカイブズの最も重要な機能の一つは、ブランド・チームを支援することです。最近は、化粧品40ブランド(豊富なヘリテージを抱えるマックス・ファクターを含む)のコティ・インターナショナル社への売却に関わる一連の業務や、視聴覚資料のデジタル化などによって、繁忙です。またデジタル化も推進しており、これに関しては社内のデジタル・アセット・マネジメント(DAM)チームと協力し、全世界の従業員がデジタル媒体でヘリテージ資産に容易にアクセスできるようサポートしています。

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■文献情報:「コンバースはまったく新しくデザインし直したオールスター・スニーカーをデビューさせる」

◎『ファスト・カンパニー』(本社:米国・ニューヨーク、2016年6月6日)

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◎エリザベス・セグラン「コンバースはまったく新しくデザインし直したオールスター・スニーカーをデビューさせる」
Elizabeth Segran, Converse Debuts A Totally Reimagined All Star Sneaker
June 6, 2016
Fast Company
http://www.fastcompany.com/3060535/converse-debuts-a-totally-reimagined-all-star-sneaker

1908年に生まれたスポーツ・シューズ・ブランド、コンバースに関する記事です。コンバースは2003年にナイキに買収されました。同ブランドを代表する商品、ファイブ・スターは1920年に誕生しています。このファイブ・スターの改良・リデザインにあたり、クリエイティブチームはコンバースのアーカイブズにヒントを求めています。

同社のアーカイブズは米国ボストン市内の元お菓子工場、シュラフト・ビルディングと呼ばれるビル内にあり、社内の「会社史家」サミュエル・スモリッジ氏が担当しています。アーカイブズ内には靴製品はもちろんのこと、ポスター、雑誌広告、スポーツ年鑑、カタログ等が整理収納されて、利用されています。アーカイブズ資料によれば、ファイブ・スターは当時における最新の技術を用いたものであることを示しており、これは今現在の改良・リデザインがどの方向を目指すべきかを語っています。

このようにアーカイブズはブランド、あるいは商品が持つストーリーを語り継ぎ、新たなイノベーションに向けてのインスピレーションを与える機能を果たすものであることが、この記事を読むと伝わってきます。


[関連ページ]

◎『ファスト・カンパニー』誌について
http://www.fastcompany.com/about-us

この記事が掲載されている『ファスト・カンパニー』誌は、『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌の編集者であったアラン・ウェバーとビル・テイラーが創刊した雑誌で、 技術革新、倫理的な経済、リーダーシップ、そしてデザインに焦点を当てた記事を掲載しています。

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■文献情報:「アーキビストとデジタル・アセット・マネジャーがぶつかる時:これからの緊張と行方」

◎『アメリカン・アーキビスト』2016年春/夏号

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◎アンソニー・コッチオロ「アーキビストとデジタル・アセット・マネジャーがぶつかる時:これからの緊張と行方」
Anthony Cocciolo, When archivists and digital asset managers collide:
tensions and ways forward
http://americanarchivist.org/toc/aarc/79/1
※この論文が掲載されている最新号(2016年春/夏号)は2019年春/夏号刊行までエンバーゴ期間で会員以外のネット閲覧はできません。これを過ぎるとオープン・アクセス論文としてだれでもネット上でアクセスし、読むことができます。

アメリカ・アーキビスト協会(SAA)の会誌『アメリカン・アーキビスト』の最新号に、アーキビストとデジタル・アセット・マネジャーの関係についての論文が掲載されています。本通信ではかねてより、デジタル・アーカイブズとデジタル・アセット・マネジメントの関係に関心を寄せており、いくつかの文献を紹介してきました。

https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20120810.html (40号)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20151202.html (61号)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20160525.html (65号)

ここでご紹介する「アーキビストとデジタル・アセット・マネジャーがぶつかる時:これからの緊張と行方」は、米国北東部に位置するとある美術館(論文中ではUSAMという名称が与えられている匿名の美術館)で1年間にわたり、ボーン・デジタル・レコード(記録)のアーカイブ方法の開発プロジェクトにかかわった著者の参与的観察の結果報告です。

著者アンソニー・コッチオロ氏はカリフォルニア大学リバーサイド校でコンピュータ・サイエンスの学士号、コロンビア大学のコミュニケーション・メディア・学習技術デザインプログラムで博士号を取得しており、現在はニューヨーク市内のプラット・インスティチュート情報大学校准教授です。プロジェクト実施期間中は週に2回USAMに通い、1日8時間で合計78日を参与観察に費やしました。また、USAMには2人のアーキビストと一人のデジタル・アセット・マネジャーが勤務しているという状況です。

観察の結果によると、当初は両者の間に特に問題はありませんでした。デジタル・アセット・マネジメント(DAM)は、はじめ写真部門での写真の整理のためにのみ購入されたものであったからです。しかしながら、DAM導入は大きな投資を伴っており、IT部門が導入担当であったことから、写真部門に限らない利用による投資回収が図られるにつれて、アーキビストとデジタル・アセット・マネジャーの間がぎくしゃくしてきたということです。実は紙焼き写真時代は、写真部門以外の部門の非現用資料はアーカイブズが管理し、写真部門は現用段階を過ぎても写真資料を手放さず、独自に管理してきた経緯があります。そのため、DAMを写真部門以外の資料類の管理に適用することになると、もともとの写真部門の慣習、すなわち現用段階を過ぎてもアーカイブズに移管しない、という慣習がこれまでのアーカイブズの業務を阻害するようになった、ということです。それまでアーカイブズに移管されてきた、展覧会図録、高品質のビデオ作品、オーディオガイドのコンテンツなど、高い価値を有する知的財産類が移管されないようになる事態が起こりました。

コッチオロ氏は両者のぎくしゃくした関係を5点にまとめています。
(1)DAMがアーカイブズ的な役割を果たすシナリオでは、デジタル・アセット・マネジャーは受け取ったファイルをDAMの仕様に合わせて取り込むことになり、アーカイブズの出所の原則は無視されます。展覧会図録の場合は著者別に分類し、アイテムレベルのメタデータを付与し、展覧会名で作成したフォルダに入れて、アクセス権を付与します。アーカイブズでの整理の場合は、展覧会の記録類はその展覧会を担当したキュレーターの記録とともに保管し、図録も一緒に管理します。もっとも問題なのは、アーカイブズに入ってきた図録類は請求があれば一般に(外部に)公開することになっているのですが、DAMの場合はもっぱら美術館内部の人間しか利用できない点にあるといいます。

(2)両者の間の実務の仕方、ワークフローに違いがあります。DAMシステムにおける利用者はもっぱら組織内部の人々であることから、デジタル・アセット・マネジャーは内部利用者の要望に機敏に反応し、またDAMシステムの利用を組織内で熱心に推進します。内部利用を進めるために、デジタル・ファイルの作成後なるべく早い段階でアイテムレベルでメタデータを付与します。一方、アーキビストの仕事の仕方は、レコード類が非現用になるのを待って収集し、またデジタル・ファイル作成直後にアイテムレベルでメタデータを付与するようなワークフローを採用していません。アーカイブズの利用者は、組織内部のキュレーターなどとともに、外部の研究者や一般の市民が含まれることも、実務の仕方、ワークフローの違いを生んでいるということです。

(3)デジタル保存計画に対するアプローチも異なります。アーキビストは媒体の陳腐化、劣化によるレコード類の損失を回避するために、媒体変換やマイグレーションを計画しますが、デジタル・アセット・マネジャーはこの点に関しては無頓着です。ファイルの不変性(file fixity)チェックもDAMでは行いません。

(4)組織内でのコミュニケーション上の問題があります。デジタル・アセット・マネジャーはすべての価値あるデジタル・ファイルはDAMに登録すべきであると強く主張します。そうすれば、アーキビストを介さずに組織内スタッフが直接デジタル・ファイルを扱えると主張するのですが、このことによってアーカイブズは不必要・余分なものと、他の部門のスタッフに受け取られてしまうことがありました。スタッフの受け取り方は、それまでのアーカイブズ利用経験で異なるということです。例えばUSAMのSNSアカウントに写真をたくさんアップロードしているようなスタッフの場合、デジタル・アセット・マネジャーの主張をもっともだとみなす傾向がありますが、アーカイブズが所蔵するレコード類を業務上頻繁に利用するキュレーターたちはアーカイブズの重要性を主張します。また「アーカイブズ」という言葉は現在多くの意味で用いられるようになってきており、そのことが組織内のコミュニケーションに影響を与えています。

(5)アーキビストはリテンション・スケジュールに従い、体系的に組織内で作成されたレコード類を管理しようとする一方、デジタル・アセット・マネジャーは組織の姿を適切に反映するような体系的な資料管理ではなく、常に高い価値を持つコンテンツを取り込むことを目指しているために、レコード類の取り込みが非体系的になってしまいます。


★☆★...編集部より....★☆★

編集部が知る限り、本稿はDAMとアーカイブズの関係に関する数少ない貴重な事例研究であると言えます。企業の場合、デジタル・ファイルの効率的な再利用にDAMシステムは有用な側面があるように思われます。しかしながら、従来のアーカイブズの目的に一つ、すなわちレコード類の体系的な長期保存の観点から見た場合、DAMにはたくさんの課題があることがうかがわれます。さらに、外部への資料公開をミッションとする組織の場合、DAMの弱点はより大きくなると考えられます。

本稿はアメリカにおける事例ということで、アメリカ的なアーカイブズ文化(記録管理との分業、レコード・コンティニュアム的な考え方が弱いことなど)を背景にした参与観察です。さらに多くの事例を通じて、それぞれの組織が置かれた状況にもっとも適切なデジタル資料(レコード、アーカイブズ・・・)の管理方法を選ぶことができるように、編集部では今後もDAMウォッチングを続けていきたいと思います。

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■行事情報:国際アーカイブズ評議会(ICA)ソウル大会

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◎ICAソウル大会プログラム

http://www.archives.go.jp/news/20151214120256.html
http://www.ica2016.com/eng/

国際アーカイブズ評議会(ICA)の4年に一度の大会が9月5日(月)から10日(土)まで、韓国ソウル市内COEXセンターで開催されます。

4年前の開催地はオーストラリア・ブリスベンでした。この時の模様に関しては本通信44号でお伝えしております。
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20121106.html

ソウル大会に関する情報が国立公文書館のサイトで提供されています。
http://www.archives.go.jp/news/20151214120256.html

ソウル大会公式サイト(英語)
http://www.ica2016.com/eng/

ソウル大会参加登録ページ(英語)※旅券情報が必要です。
http://submit.ica2016.com/login.html?Lang=Eng

ソウル大会プログラム日本語(仮訳)版(PDF)
http://www.archives.go.jp/news/pdf/151214_04.pdf


■ビジネス・アーカイブズ部会(SBA)によるパネル・セッション
「デジタルおよびグローバル環境におけるSBAと持続的なビジネスアーカブズ:アーカイブズサービスにおける『グローカルな』取組の促進」
9月8日(木)17時~18時半 ホール6

〈パネル〉
インテーザ・サンパウロ・グループ・アーカイブズ / フランチェスカ・ピノ
HSBC アジア・太平洋地域アーカイブズ / ヘレン・スウィナートン
トヨタ自動車アーカイブズグループ / 長谷川壮
〈司会〉
公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センター / 松崎裕子


■日本のアーカイブズに関する発表(抜粋)

★「日本における被災文書の復旧」
9月6日(火)9時~10時30分 307会議室

★「日本国立公文書館のデジタルアーカイブズイニシアティヴ:歴史資料のための共有情報インフラの発展」
9月6日(火)16時45分~18時15分 ホール1+2

★「修復材料としての和紙とその世界への普及」
9月7日(水)9時45分~11時15分 327会議室

★「敵対から友好へ:在豪日系企業記録の接収そしてアーカイブズにおける協力」
9月7日(水)15時~16時30分 ホール1+2

★「博物館、図書館、公文書館の協力関係構築:組織内での『アーカイブズ』リンクの設置」 金甫榮(渋沢栄一記念財団)
9月8日(木)15時~16時30分 327会議室

★「アーカイブズと災害:東日本大震災から5年を迎えた日本の対応」
9月9日(金)9時45分~11時15分 307会議室

★「福島原子力発電所事故に関するアーカイブズの将来」
9月9日(金)9時45分~11時15分 318会議室

★「日本的なアーカイブズの伝統と、グローバル化時代の新たな要求との調和:これからのビジネスアーカイブズの使命」 加藤丈夫(国立公文書館長)
9月9日(金)11時45分~13時15分 327会議室


世界各国のアーカイブズに関わる多様な発表が予定されています。

このほか

「クラウドサービスに基づく電子記録管理のリスク要因と対処方法」(9月5日)

「リンクトデータに基づくセマンティック・デジタルアーカイブズ構造の設計」(9月6日)

「公共アーカイブズへのオープンアクセスと人権侵害を記録したアーカイブズへのオープンアクセス:EU加盟国のアーカイブズ法制における知る権利とプライバシー権とのバランス」(9月7日)

「デジタル時代の記録保存:長期にわたる統合性と真正性を維持するための、リンクを使ったタイムスタンピングとブロックチェーン技術使用の可能性と課題」(9月7日)

ビッグデータ関係(9月7~8日)

デジタルヒューマニティーズ関係(9月8日)

http://www.archives.go.jp/news/pdf/151214_04.pdf

など、デジタル技術の発展に対応した広範なテーマでの発表、討議が予定されています。

日本からのアクセスは抜群に良好な韓国ソウルでの開催です。多くの方々の参加をお待ちしております。


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[略称一覧]
ACA: Association of Canadian Archivists(カナダ・アーキビスト協会)
ARA: Archives and Records Association(アーカイブズとレコード協会)
ARC: ARC magazine: archives - records management - conservation
(SoAが発行する月刊ニュースレター)
ASA: Australian Society of Archivists(オーストラリア・アーキビスト協会)
BAC: Business Archives Council(ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BACS: Business Archives Council in Scotland
(スコットランド・ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BAS: Business Archives Section
(ビジネス・アーカイブズ部会:SAA内の部会)
CITRA: International Conference of the Round Table on Archives
(アーカイブズに関する国際円卓会議:ICAの年次会議)
CoSA:Council of State Archivists(米国・州文書館長評議会)
DCC: Digital Curation Center(英国デジタル・キュレーション・センター)
EDRMS:Electronic Document and Record Management System
(電子文書記録管理システム)
ERM:Electronic Record Management(電子記録管理)
ICA: International Council on Archives(国際文書館評議会)
LSE: London School of Economics and Political Science
(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)
MLA: Museums, Libraries and Archives Council
(英国 博物館、図書館、アーカイブズ評議会)
NAGARA: National Association of Government Archives and Records
Administrators
(米国・全国政府アーカイブズ記録管理者協会)
NARA: National Archives and Records Administration
(米国 国立公文書館記録管理庁)
RIKAR: Research Institute of Korean Archives and Records
(韓国国家記録研究院)
RMS:Record Management System(記録管理システム)
SAA: Society of American Archivists(米国アーキビスト協会)
SBA: Section for Business Archives
(企業アーカイブズ部会、ICA内の部会)
SoA: Society of Archivists(イギリス・アーキビスト協会)
TNA: The National Archives(英国国立公文書館)

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☆★ 編集部より:あとがき、次号予告 ★☆

本通信でも何度か取り上げたことのある、HSBC(香港上海銀行)のグローバル・アーカイブズ部長であるTina Staple氏は、イギリスのアーカイブズ・記録協会(ARA)の年次大会全体会で基調報告者として講演します(9月1日)。
http://www.archives.org.uk/ara-in-action/the-ara-conference.html

講演のテーマは「つながっている世界の中での"ビッグデータ":敵か味方か?」
'Big Data in a Connected World: Friend or Foe?'

HSBCグローバル・アーカイブズは、大量のボーンデジタル記録を、OAISモデルに即してアーカイブズの電子リポジトリーに自動的に取り込むシステムを開発・運用してます。たいへん先進的な事例と言えます。編集部ではステイプル氏にかつてインタビューしたことがあります(2014年4月11日)。その時のお話によると、同氏は1999年にリバプール大学大学院でアーカイブズ・記録管理学の修士課程を修了した後、ビクトリア&アルバータ博物館の目録プロジェクトに半年間携わり、その後2000年に女性スタッフの産休代替要員としてHSBCでアーキビストとして働き始めたということです。当時のアーカイブズ・スタッフ(ロンドン本店)は2名ほどであったそうですが、2014年にはフルタイムのアーキビスト6名(トレイニーと呼ばれる研修生、アート関係のマネージャー、DAMの知識・経験を持つ人材を含む)とプロジェクト要員アーキビスト1名までに陣容を拡大させています。また、ロンドン本店に加え、香港、ニューヨーク、パリにそれぞれアーカイブズが置かれ、ステイプル氏は現在これら全体を統括する立場にいます。アーカイブズ、記録の専門家として銀行経営陣から大きな信頼をえていることが、その歩みからもうかがわれます。講演が楽しみです。

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日本の国立公文書館ではアーカイブズで働く専門職員であるアーキビストの業務と資質を定める「日本におけるアーキビストの職務基準」を今年3月に作成したことが報道されています。現在、関係する機関や協会(当財団も会員である企業史料協議会、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会=全史料協など)からの意見を募っているということです。
http://style.nikkei.com/article/DGXKZO04334320R00C16A7BC8000

この職務基準表の開発によって、欧米、中韓に大きく遅れをとっているアーキビスト養成が促進されることを期待したいです。

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『アメリカン・アーキビスト』最新号における論考はDAMが一方の主役ですが、P&GとHSBCのアーカイブズに関する短い記事も含め、今号には3つの記事にDAMが登場しています。本文でも述べたように、引き続きDAMに関してウォッチを続けていきたいと思います。

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次号は2016年9月中旬発行予定です。どうぞお楽しみに。

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◆◇◆バックナンバーもご活用ください◆◇◆

https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/index.html

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ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信) No.66
2016年8月16日発行 (不定期発行)
【創刊日】2008年2月15日
【発行者】公益財団法人渋沢栄一記念財団事業部情報資源センター
【編集者】公益財団法人渋沢栄一記念財団事業部情報資源センター
     「ビジネス・アーカイブズ通信」編集部
     株式会社アーカイブズ工房
【発行地】日本/東京都/北区
【ISSN】1884-2666
【E-Mail】
【サイト】https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/index.html

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