ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信)

第60号(2015年11月21日発行)

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☆      □■□ ビジネス・アーカイブズ通信 □■□

☆       No.60 (2015年11月21日発行)

☆    発行:公益財団法人 渋沢栄一記念財団 情報資源センター

☆                        〔ISSN:1884-2666〕
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この通信では海外(主として英語圏)のビジネス・アーカイブズ(BA)に関する情報をお届けします。

海外BAに関わる国内関連情報も適宜掲載しております。

今号は文献情報2件、企業団体情報1件です。


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◆ 目次 ◆

[掲載事項の凡例とご注意]

文献情報:「花王アーカイブズと花王ウェイ:ビジネス環境の変化の中におけるアーカイブズと企業アイデンティティー」

文献情報:「スコットランドと日本が作るウィスキーの歴史」
 ◎スコッチ・ウィスキー「ザ・グラバー」

企業団体情報:HSBC創業150周年アーカイブズ関連事業

☆★ 編集部より:次号予告 ★☆

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[掲載事項の凡例]

・欧文の場合、日本語で読みやすいものになるように、タイトルははじめに日本語訳を、続いて原文を記します。
・人名や固有名詞の発音が不明の場合も日本語表記を添えました。便宜的なものですので、検索等を行う場合はかならず原文を用いてください。

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[ご注意]
・受信時にリンク先を示すURLが途中で改行されてしまう場合があります。通常のURLクリックで表示されない場合にはお手数ですがコピー&ペーストで一行にしたものをブラウザのアドレス・バーに挿入し、リンク先をご覧ください。

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■文献情報:「花王アーカイブズと花王ウェイ:ビジネス環境の変化の中におけるアーカイブズと企業アイデンティティー」

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◎「花王アーカイブズと花王ウェイ:ビジネス環境の変化の中におけるアーカイブズと企業アイデンティティー」
'Archives and corporate identity in a changing business environment: The Case of the Kao Corporation'

https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc008_kao_way.html
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/pdf/doc008_kao_way.pdf
(PDF)

当情報資源センターの「世界と日本の優良事例集 Best Practices in Business Archives in Japan and Around the World」に新しい記事を掲載しました。「花王アーカイブズと花王ウェイ:ビジネス環境の変化の中におけるアーカイブズと企業アイデンティティー」です。本稿は、2012年8月にオーストラリア・ブリスベーンで開催された国際アーカイブズ評議会(ICA)大会で、当編集部が発表した'Neither Merger, Nor Acquisition, Nor Diversity, Nor Generational Change Can Stay Them: The Indispensible Role of Corporate Archives in the Identifying, Shaping, and Propagating of Corporate Identity'が基になっています。ここでは企業アイデンティティーの確立と社員の間における共有のためのツールとしてビジネス・アーカイブズを戦略的に活用している、花王アーカイブズについて取り上げています。

この発表はブリスベーンでの大会後ICA会誌Comma 2013/1号 に、'Archives and corporate identity in a changing business environment: The Case of the Kao Corporation'というタイトルで掲載されました。本稿はその日本語版です。

[目次]
・はじめに
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc008_kao_way.html#01
・花王株式会社について
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc008_kao_way.html#02
・花王アーカイブズ
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc008_kao_way.html#03
・花王ウェイ
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc008_kao_way.html#04
・おわりに
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bunken/doc008_kao_way.html#05


[関連ページ]

*ICAブリスベーン大会について
「ビジネス・アーカイブズ通信」第41号(2012年11月6日発行)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20121106.html

*ICA会誌Comma 2013/1号について
「ビジネス・アーカイブズ通信」第58号(2015年4月22日発行)
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20150422.html

*Archives and corporate identity in a changing business environment: The Case of the Kao Corporation(英語版)
http://online.liverpooluniversitypress.co.uk/doi/10.3828/comma.2013.1.4

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■文献情報:「スコットランドと日本が作るウィスキーの歴史」
◎「マネージング・ビジネス・アーカイブズ:ベストプラクティス・オンライン」

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◎「スコットランドと日本が作るウィスキーの歴史」
Scotland and Japan make whisky history
http://www.managingbusinessarchives.co.uk/news/2015/11/scotjapwhisk

2009年に開始されたイギリスでのビジネス・アーカイブズ振興の取り組み「ビジネス・アーカイブズのためのナショナル・ストラテジー:イングランドとウェールズ」(英国国立公文書館、ビジネス・アーカイブズ・カウンシル、アーカイブズ・レコード・アソシエーション〈旧称はアーキビスト協会〉、MLAカウンシル、ウェールズ議会、経済史協会による共同出資事業) が運営する「マネージング・ビジネス・アーカイブズ:ベストプラクティス・オンライン」サイトが、日本に関連するビジネス・アーカイブズ、歴史コミュニケーションの活用事例を紹介しています。
http://www.managingbusinessarchives.co.uk/news/2015/11/scotjapwhisk

タイトルは「スコットランドと日本が作るウィスキーの歴史」です。記事は、日本の産業化・近代化に関わった英国スコットランド出身のトマス・グラバーにちなんで企画されたスコッチ・ウィスキーに関するものです。このスコッチ・ウィスキーの商品名は「ザ・グラバー」で、商品のコンセプトやマーケティングにおいて、グラバー関係の歴史資料が効果的に活用されています。
http://www.thegloverwhisky.com/confirm/

トマス・グラバーは長崎市のグラバー園にその名をとどめるスコットランド出身のビジネスマンです。軍艦島として知られる長崎市の端島を含む高島炭鉱の開発に関わった後、造船業、ビール醸造業を興し、1911年東京で没しています。本通信第42号(2012年12月12日発行)の「編集部より:次号予告」で、グラバーに関して紹介を行っていますので、ご参考にどうぞ。
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20121212.html 

グラバーの出身地に近いスコットランドのアバディーン市議会のホームページによると、今年2015年10月27日、アバディーン市内で、この新たなウィスキー「ザ・グラバー」に関する記者会見が開催されました。会見には同市市議会議員ジェニー・ライング氏(Jenny Laing 労働党)、在エディンバラ日本国総領事館総領事北岡元(きたおかはじめ)氏、スコットランド・ジャパン・ソサエティ名誉パトロン チャールズ・ブルース卿(Lord Charles Bruce)が参加しました。また、アデルファイ社社長アレックス・ブルース氏は、1858年の日英修好条約の英国側署名者イギリス代表のエルギン伯爵ジェイムズ・ブルースのひ孫にあたると記事にはあります。
http://www.aberdeencity.gov.uk/CouncilNews/ci_cns/pr_gloverwhisky_271015.asp

「ザ・グラバー」にはグラバーの出身地アバディーンシャーにあるGlen Garioch 蒸留所と、2000年に閉鎖された埼玉県の羽生蒸留所の原酒がブレンドされているそうです。このプロジェクトは日本-スコットランド交流に長年携わってきたジム・ミラー氏の発案によります。アデルファイ蒸留所で生産され、ウルトラ・プレミアム・バージョン(The Glover' by Adelph)が1本1000ポンド(約18万7000円)、セカンド・プレミアム・バージョン(The Glover 14' by Adelphi)が1本100ポンド(約1万8000円)ということです。

アバディーン市議会のページでも取り上げられていることからすると、一種の町おこしのアイデアとも結びついているのかもしれません。

それにしても、どんな味わいのスコッチでしょうか。たいへん興味が湧きますね。

[関連ページ]

・グラバーの生涯
http://www.thegloverwhisky.com/

・ウィスキー「ザ・グラバー」の商品開発に関わったアデルフィ社とTBG社の関係者に関するページ(ジム・ミラー氏、アレックス・ブルーム氏ほかの紹介)
http://www.thegloverwhisky.com/about/

・ウィスキー「ザ・グラバー」について
http://www.thegloverwhisky.com/the-whiskies/

・連絡先
http://www.thegloverwhisky.com/contact/

・アデルファイ社
http://www.adelphidistillery.com/index-gate.php


★日本語版ページ
・グラバーについて(日本語)
http://www.thegloverwhisky.com/jp/

・ウィスキー「ザ・グラバー」(日本語)
http://www.thegloverwhisky.com/jp/the-whiskies/

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■企業団体情報:HSBC創業150周年アーカイブズ関連事業

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◎HSBC創業150周年記念アーカイブズ関連事業動画の公開

世界80カ国に約6600のオフィスを持つグローバルな金融機関HSBCグループ(グループの主力企業である香港上海銀行が1865年に創業)では、今年2015年3月3日に創業150周年を迎えました。これを記念して、同グループではさまざまな歴史コミュニケーション分野の取り組みを行っています。編集部は10月下旬に香港の同グループ・アジア・アーカイブズを訪問し、主任アーキビストのヘレン・スウィナートン氏に同アーカイブズと、間もなく一般に公開(予約が必要)予定の150周年を記念して開設した歴史ギャラリーを案内してもらいました。

150周年を記念した会社史の発行に加え、同行グローバル・アーカイブズを徹底的に活用した歴史コンテンツ動画を作成し、YouTubeで公開しています。

◆◇社史◇◆

タイトル:ライオン・ウェイクス(ライオンは目覚める):HSBC現代史
タイトル原文:The lion wakes: a modern history of HSBC
著者名1:デイビッド・カイナストン
著者名原文1:David Kynaston
著者名2:リチャード・ロバーツ
著者名原文2:Richard Roberts
ページ数:768ページ
出版社: Profile Books Ltd
言語: 英語
ISBN-10: 1781250553
ISBN-13: 978-1781250556
発売日: 2015/3/17
https://profilebooks.com/the-lion-wakes.html
http://www.amazon.co.jp/dp/1781250553


◆◇動画◇◆

2015年11月21日現在5本の動画が公開されています。

《タイトル》

[1]150年:第1章:基礎を建てる(9分35秒)
150 years: chapter one: building the foundations
https://www.youtube.com/watch?v=L_qEYIv7gHk


[2]150年:第2章:中国を開く(10分13秒)
150 years: chapter two: the opening of China
https://www.youtube.com/watch?v=Chvh7hLJCUg


[3]150年:第3章:地元のスタッフ、地元の知識(9分12秒)
150 years: chapter three: local staff, local knowledge
https://www.youtube.com/watch?v=hOAj_NdpGdo


[4]150年:第4章:戦争の日々
150 years: chapter four: the war years(10分38秒)
https://www.youtube.com/watch?v=t9W5N0y4l04


[5]150年:第5章:香港を再び創造する(8分23秒)
150 years: chapter five: reinventing Hong Kong
https://www.youtube.com/watch?v=5WEOTgBTbDQ


《特徴》
動画には次のような特徴があります。

(1)世界各地のHSBCの従業員が語り手(ストーリー・テラー)となっており、HSBCの従業員の多様性を表しています。

第1章はアラブ首長国連邦のHSBCの法人部門のヘッド。ドバイで16年間勤務。現在は現地の起業支援業務を担当する男性。

第2章は中国上海のHSBCで輸出入を担当する男性。ニューヨーク大学出身、中国が改革開放に転じた直後の1982年に北京で中国語学習経験を持つ。

第3章はドイツ・デュッセルドルフのHSBCのチャイナ・デスク担当。投資やM&Aに関わる業務を担当する中国福建省出身の男性。

第4章はイギリスで37年間スクール・リエゾン・オフィサー(子どもたちにおカネとは何かを教える)としてHSBCに勤務する女性。

第5章は香港のHSBC旺角支店に25年以上勤務する女性。祖父母は中華人民共和国建国時に本土から香港に到来し、事業を興す。祖父の事業をHSBCが支えた。

(2)語り手が自分の個人史や家族史と関連づけて、歴史の中のHSBCの事業活動を紹介しています。

(3)語りの中心にあるのは、HSBCの現在の事業戦略の中にみられる「人々の経済活動、起業活動を支える」というコンセプトです。ちなみにHSBCの戦略に関するウェブページの出だしの部分は次のようなものです。

「私たちの目標は世界をリードしもっとも敬意を払われる国際銀行であること」
'Our objective is to be the world's leading and most respected international bank'

「私たちの目的は成長が存在する場で顧客をチャンスに結びつけること。私たちは、ビジネスを成功させ、経済を繁栄させることによって、人々の希望と夢の達成、実現を助けること」
'Our purpose is to be where the growth is, connecting customers to opportunities. We enable businesses to thrive and economies to prosper, helping people fulfill their hopes and dreams and realise their ambitions. '
http://www.hsbc.com/about-hsbc/our-strategy

(4)そして語り手たちは、各章のテーマを深く学ぶために、郷土史家などの歴史家を訪れるとともに、ロンドンと香港にある同行のアーカイブズを訪ね、同行のグローバル歴史部長のセラ・キンゼイ(ロンドン)、前出のヘレン・スウィナートン(香港)とともに、同行の企業資料を手に取りながらHSBCの歴史を探訪する、という展開になっています。

(5)そして写真や文書はもとより、音声記録(第5章ではアーカイブズが管理してきた過去のスタッフのインタビュー音声を利用)など多様なフォーマットの記録資料を用いています。

★☆★...編集部より...★☆★

本通信では2014年2月20日発行の第49号で、ロンドンのHSBCグローバル・アーカイブズを紹介しました。
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20140220.html#04
https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20140220.html

この記事では、同行グローバル・アーカイブズ部長であるティナ・ステイプル氏による、「HSBC歴史ウォール」(ロンドン・キャナリー・ワーフ地区にあるグローバル本店ロビーの巨大なインスタレーション)制作の理由を記しています。再掲します。

・HSBCの名声と信頼性を打ち立てる。
"To build stature and credibility for HSBC;"

・訪問者/お客様あるいは行員の両者を温かみのある環境で満たす。現在のところ、建物は超実用的で最新であるが、人間味と温かみを欠いている。
"To infuse a warmer environment for the visitor/guest or member of staff alike. At present the building is hyper practical, state-of-the-art, but lacks humanity and warmth;"

・私たちが他のグローバル企業とは異なったユニークな経験と世界観を持つグローバルなブランドであること、つまり私たちのマルチ・ローカルなアプローチは、画一化や同質化アプローチをとる他の多国籍企業とは異なることを示すため。
"To show that we are a global brand with a unique experience and a different view of the world from other global companies - our multi-local approach which is very different from the standardising, homogenising approach of other multi-nationals;"

・HSBCの多様なバックグラウンド(銀行、企業の一連の買収)を展示して、この豊かな遺産に敬意を表する機会とするため。
"To showcase the diverse background of HSBC (successive acquisitions of banks and companies) and convert it into an opportunity to pay tribute to this rich heritage."


150周年記念の動画も上記の4点で触れられている要素を注意深く盛り込んでいると言えるでしょう。「人間味と温かみ」という要素は、語り手の個人史・家族史に関する語り、郷土史家や関係者へのインタビューという形式のなかでうまく表現されているように感じます。銀行や金融はモノづくりの製造業に比べると、往々にして「非情なビジネスの世界」というイメージを連想させますが、同行の動画をみると、このような見方とは異なった世界を、自行の150年の歴史の中から汲み出そうとしていることがうかがわれます。

さらに興味深く感じた点は過去の事象の取り上げ方、語り方です。編集部の歴史に関する理解によると、同行は19世紀から20世紀前半は大英帝国の植民地支配を支える役割を果たした銀行ですが、動画ではHSBCの事業は人々の経済活動と地域の経済発展を支え、人々に富と福祉をもたらす助けとなったというストーリーが基本の語りです。第4章「戦争の日々」での、第2次世界大戦中日本軍に占領された香港の人々の苦難をHSBCも分かち合っている、というストーリーは、対中国ビジネス重視という現在のビジネスの方向性にもよく合致するものだと思います。

さらに第3章「地元のスタッフ、地元の知識」では、HSBCアーカイブズに残されている中国人スタッフの記録が重要なモチーフになっています。語り手であるデュッセルドルフのチャイナ・デスク、エリック・ユー(福建省出身)が「同行アーカイブズに残っている行員に関する記録は圧倒的に西洋人スタッフのものが多いけれど、果たして中国人スタッフはどのような役割を果たしたのであろうか」という疑問を抱き、香港の同行アーキビスト ヘレン・スウィナートンを訪ねる、という設定です。この動画のなかでは「コンプラドール」が話題になります。コンプラドールは中国語・日本語では「買弁」です。かつての歴史書では「買弁」というと「外国と結託してして経済的利益を形成する」というような語感を伴う、ネガティブなイメージとも結びつくこともあり、はっきりイメージするのが難しい用語であったと思います。この動画では、コンプラドールは外国資本(この場合HSBC)と現地を仲介する役割、つまり産業・経済発展になくてはならない重要な役割を担っていた、とヘレン・スウィナートンは語ります。動画開始から1分目あたりでコンプラドール個人の記録をエリック・ユーが確認するシーンが出てきますが、記録には、顔写真とともにHSBCとの関係がいつから始まったのか、結婚しているとか子供がいるといった極めてパーソナルな情報が記載されています。このような、個人についての記録は、「コンプラドール」「買弁」という集合的な概念が与えるイメージとは非常に異なった印象をもたらします。顔のみえる個人として、現代に生きるわたしたちひとりひとりとそれほど違わない存在としての親近感さえ生み出すかもしれません。

いずれにせよ、HSBCが創業150年を記念するにあたり、アーカイブズとそこで働くアーキビストは大きな役割を果たしていることを理解することができるます。どれほど素晴らしいストーリーを描いてみても、そのストーリーを裏打ちする典拠、記録がなければそれはただの作り話とみなされても反論できないのです。HSBCでは過去の組織の記録を現在に伝えるアーカイブズと、それを管理し利活用をサポートするアーキビストが、なくてはならない戦略的な役割を果たしているのです。


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[略称一覧]
ACA: Association of Canadian Archivists(カナダ・アーキビスト協会)
ARA: Archives and Records Association(アーカイブズとレコード協会)
ARC: ARC magazine: archives - records management - conservation
(SoAが発行する月刊ニュースレター)
ASA: Australian Society of Archivists(オーストラリア・アーキビスト協会)
BAC: Business Archives Council(ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BACS: Business Archives Council in Scotland
(スコットランド・ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BAS: Business Archives Section
(ビジネス・アーカイブズ部会:SAA内の部会)
CITRA: International Conference of the Round Table on Archives
(アーカイブズに関する国際円卓会議:ICAの年次会議)
CoSA:Council of State Archivists(米国・州文書館長評議会)
DCC: Digital Curation Center(英国デジタル・キュレーション・センター)
EDRMS:Electronic Document and Record Management System
(電子文書記録管理システム)
ERM:Electronic Record Management(電子記録管理)
ICA: International Council on Archives(国際文書館評議会)
LSE: London School of Economics and Political Science
(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)
MLA: Museums, Libraries and Archives Council
(英国 博物館、図書館、アーカイブズ評議会)
NAGARA: National Association of Government Archives and Records
Administrators
(米国・全国政府アーカイブズ記録管理者協会)
NARA: National Archives and Records Administration
(米国 国立公文書館記録管理庁)
RIKAR: Research Institute of Korean Archives and Records
(韓国国家記録研究院)
RMS:Record Management System(記録管理システム)
SAA: Society of American Archivists(米国アーキビスト協会)
SBL: Section for Business and Labour Archives
(企業労働アーカイブズ部会、ICA内の部会)
SoA: Society of Archivists(イギリス・アーキビスト協会)
TNA: The National Archives(英国国立公文書館)

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☆★ 編集部より:あとがき、次号予告 ★☆

HSBCの150周年記念アーカイブズ関連事業の動画を観ながら、企業アーキビスト、企業の資料管理担当者の役割、イメージも変化しつつあるのを感じました。専門職制度が確立しているとはいっても、海外においても企業アーキビストは基本的に「目立たない、静かな人々」というイメージが相場だったと思います。しかし、本文でご紹介したように、アーキビストはみずから所蔵資料を紹介し、解説するために、必要とあらばYouTubeにも登場する時代です。デジタル時代到来以前にアーキビスト、資料管理担当者となった人たちは、そういう姿を自分の将来像としてはほとんど想像することはなかったと思います。

このような新しい企業アーカイブズ、企業アーキビストの役割について早くから指摘し、その役割の深化・進化を推し進めた人物は誰かと問われた場合、おそらく現在活躍する欧米のアーキビストが一致して名前を上げるのが、コカ・コーラ・アーカイブズのフィル・ムーニーです。彼は早くからアーキビストはセールスマン、というコンセプトでアーカイブズの重要性を社内外に発信していました。2008年1月にコカ・コーラ・アーカイブズがいち早く社内公認のインターネット上のブログを立ち上げたのも、フィル・ムーニーの発案でした。詳しくは本通信第28号(2010年4月12日発行)https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20100412.html をご参照ください。ムーニー氏は2013年に引退し、テッド・ライアン氏にその役割を引き継いでいます。

そして、国際アーカイブズ評議会企業アーカイブズ部会(ICASBA)の来年のシンポジムはコカ・コーラ・アーカイブズがホストとなって、2016年4月4日(月)~5(日)、米国ジョージア州アトランタのコカ・コーラ社本社で開催されます。シンポジウムのテーマは「企業アーカイブズとサステナビリティ(仮)」です。詳細が決まり次第、本通信、また当財団が運用しているソーシャル・ネットワーク・アカウントでお知らせいたします。

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次号は2015年12月上旬発行予定です。どうぞお楽しみに。

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◆◇◆バックナンバーもご活用ください◆◇◆

https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/index.html

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ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信) No.60
2015年11月21日発行 (不定期発行)
【創刊日】2008年2月15日
【発行者】公益財団法人渋沢栄一記念財団事業部情報資源センター
【編集者】公益財団法人渋沢栄一記念財団事業部情報資源センター
      「ビジネス・アーカイブズ通信」編集部
【発行地】日本/東京都/北区
【ISSN】1884-2666
【E-Mail】
【サイト】https://www.shibusawa.or.jp/center/ba/index.html

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