ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信)

第42号(2012年12月12日発行)

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☆      □■□ ビジネス・アーカイブズ通信 □■□

☆       No.42 (2012年12月12日発行)

☆ 発行:公益財団法人 渋沢栄一記念財団 実業史研究情報センター

☆                        〔ISSN:1884-2666〕
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この通信では海外(主として英語圏)のビジネス・アーカイブズ(BA)に関する情報をお届けします。

海外BAに関わる国内関連情報も適宜掲載しております。

今号は文献情報3件です。

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◆ 目次 ◆

[掲載事項の凡例とご注意]

■文献情報:アーカイブズのアドボカシー(理解増進のための活動) 1 /アーカイブズ論文集 3
  ◎『たくさんのうれしい見返り:アドボカシーとアーカイブズの発展』

■文献情報:アーカイブズとマーケティング 1
  ◎『歴史マーケティング:ビジネスにおいて歴史を扱うためのガイド』

■文献情報:アーカイブズのインリーチ・アウトリーチ(組織内外への情報発信) 1
  ◎英国アーカイブズにみる007ジェームズ・ボンド

☆★ 編集部より:次号予告 ★☆

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[掲載事項の凡例]

・欧文の場合、日本語で読みやすいものになるように、タイトルははじめに日本語訳を、続いて原文を記します。
・人名や固有名詞の発音が不明の場合も日本語表記を添えました。便宜的なものですので、検索等を行う場合はかならず原文を用いてください。

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[ご注意]
・受信時にリンク先を示すURLが途中で改行されてしまう場合があります。通常のURLクリックで表示されない場合にはお手数ですがコピー&ペーストで一行にしたものをブラウザのアドレス・バーに挿入し、リンク先をご覧ください。

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■文献情報:アーカイブズのアドボカシー(理解増進のための活動) 1

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◎『たくさんのうれしい見返り:アドボカシーとアーカイブズの発展』
Many happy returns: advocacy and the development of archives

組織や事業、活動の成功のためには、広報が欠かせません。最近少しずつ耳にするようになった「アドボカシー」(理解増進のための活動)も広報的な機能を持つ活動と言えます。今回取り上げるSAA発行の文献はこのアドボカシーに関するものです。

日本語タイトル:たくさんのうれしい見返り:アドボカシーとアーカイブズの発展
原題:Many happy returns: advocacy and the development of archives
編者名:ラリー・J・ハックマン
編者名原文:Larry J. Hackman
発行地:シカゴ Chicago
発行者名原文:Society of American Archivists
発行年:2011
ページ数:424 pp.
ISBN:1-931666-37-7
版元紹介頁:http://saa.archivists.org/store/many-happy-returns-advocacy-and-the-development-of-archives/2024/

本書の「はじめに」は次のような書き出しで始まります。

「アドボカシーとは、私たちが個人や組織を意図的・戦略的に教育して、その人たちの関心を引き、今度はその人たちが私たちのアーカイブズ業務を支持・支援するようになるよう、私たちが行う投資のことです。(アーカイブズが所属する)親組織の内側からであろうと、親組織を超えてであろうと、成功には支持者という要因が欠かせません。この本は、アドボカシーが効果的に用いられるとき、その影響がどのようにわたしたちのアドボカシー投資に『たくさんのうれしい見返り』をもたらしてくれるのかを描き示すものです。
  わたしは『アドボカシー』を『あるプログラムや制度・団体のために個人や組織が行動するよう促すことを意図的に狙った活動』と定義します。私たちの場合、行動することとはすなわち、アーカイブズやアーキビストのために行動することです。...」(本書viiページ)

アーカイブズやアーキビストの業務への理解と関心を高め、支持・支援者(組織)あるいは味方を作り、この支持・支援者(組織)、味方が、われわれのために何らかの行動を起こしてくれるように、意図的・戦略的に行う投資、それが本書で語られているアドボカシーです。もちろんアドボカシーの考え方は、アーカイブズやアーキビストに限られるわけではありません。あらゆる組織や事業がアドボカシーを必要としている、とも言えます。本書は、アドボカシーを、アーカイブズという場で行う場合、どのように行うのかその具体的な考え方と方法を教えてくれるものです。

なお、下記紹介中で「SAAフェロー」とあるのは、米国アーキビスト協会(SAA)がアーカイブズ専門家として顕著な貢献を行った人に授ける称号です。
http://www2.archivists.org/governance/handbook/section12-fellows

[目次]
◆はじめに vii
Introduction vii

◆第1部:基本的なアドボカシーの原理と方法
PART ONE: Basic advocacy principles and methods

◇◇
日本語タイトル:アーカイブズとアーキビストのためのアドボカシー 3
原題:Advocacy for archives and archivists
著者:ラリー・J・ハックマン
著者名原文:Larry J. Hackman
著者について:1995年から2000年までNARA(米国 国立公文書館記録管理庁)のトルーマン大統領図書館館長。在任中は2,400万ドル(1ドル100円換算で24 億ドル)を費やした同館の改修と常設展示施設、学習プログラム創出を指揮した。1981年から1995年までニューヨーク州公文書館館長。それ以前はNHPRC(国立歴史的出版物・記録委員会)の歴史的記録プログラムの初代ディレクター。SAA(米国アーキビスト協会)フェロー。

◆第2部:アーカイブズのためのアドボカシー事例研究
PART TWO: Case studies in advocacy for archives

◇◇
日本語タイトル:アーカイブズのアドボカシー事例研究 43
原題:Case studies in archival advocacy
著者:ラリー・J・ハックマン
著者名原文:Larry J. Hackman
著者について:既出

◇◇
日本語タイトル:アーカイブズのアドボカシー:企業における組織アーカイブズ 45
原題:Archival advocacy: institutional archives in corporations
著者1:エリザベス・W・アドキンス
著者名原文1:Elizabeth W. Adkins
著者2:カレン・ベネディクト
著者名原文2:Karen Benedict
著者について:アドキンス氏は認定レコードマネジャー(CRM)、認定アーキビスト(CA)で元SAA会長、元ACA(認定アーキビスト協会)会長。SAAフェロー。現在はコンピュータ会社CSCのグローバル記録情報管理プログラムのディレクター。これに先立ってフォード自動車会社で12年間グローバル情報管理部長、クラフトフーズ社で11年間アーカイブズ部門の長を務めた。ベネディクト氏は認定アーキビスト。1968年からヒューストンのライス大学アーキビスト。その後11年間ネイションワイド保険会社で企業アーキビストを務め、1986年よりフルタイムのアーカイブズ・コンサルタントとしてクラフトフーズ社、フォード自動車会社、各種NPO、元国連事務総長コフィ・アナン等のアーカイブズ管理に携わる。SAAフェロー。

◇◇
日本語タイトル:オーバーリン・カレッジ・アーカイブズにおけるアドボカシーとファンドレイジング(資金集め) 67
原題:Advocacy and fundraising at the Oberlin College Archives
著者:ローランド・M・バウマン
著者名原文:Roland M. Baumann
著者について:オハイオ州のオーバリン・カレッジ名誉アーキビスト、歴史学教授。SAAフェロー。ケント・ステイト大学図書館情報学スクールで教鞭をとっている。1985年ミシガン大学アンドリュー・メロン・リサーチ・センターのフェロー。1988年ソビエト連邦に交換アーキビストとして滞在。1996年に中国・雲南大学に交換教授、1998年から2006年まで日本の桜美林大学に交換教授として派遣される。

◇◇
日本語タイトル:アドボカシーの30年を観察して 86
原題:Observations on thirty years of advocacy
著者:ルイス・ベラルド
著者名原文:Lewis Bellardo
著者について:合衆国アーキビスト(NARA館長)の上級顧問。1995年から2007年副合衆国アーキビスト、それ以前は大統領図書館室室長、保存政策・サービス部部長、司法アーカイブズ・センター・ディレクター等を歴任。国立公文書館入りする前は、ジョージア州歴史協会会長(1986年~1989年)、ケンタッキー州公文書館長・記録管理責任者(1980年~1986年)。現在ICAの執行委員で同副会長。SAAフェロー。元米国・全国政府アーカイブズ記録管理者協会会長。ケンタッキー大学歴史学博士。

◇◇日本語タイトル:ミシガン大学ベントレー歴史図書館の改革について 107
原題:Thoughts on the Reinvention of the Bentley Historical Library at the University of Michigan
著者:フランシス・X・ブルーイン・ジュニア
著者名原文:Francis X. Blouin, Jr.
著者について:1981年以来ミシガン大学のベントレー歴史図書館館長。同大学歴史学教授、情報学教授。1984年から2004年までの20年間バチカン・アーカイブズの目録作成に携わる。これは1998年に「バチカン・アーカイブズ:教皇庁の歴史記録目録とガイド」Vatican Archives: An Inventory and Guide to Historical Documentation of the Holy Seeとして出版される。ベントレー歴史図書館と中華人民共和国国家档案局との間の交流を15年間にわたって指揮した。

◇◇日本語タイトル:ビュート市(アメリカ)のためのアーカイブズを作り上げる 123
原題:Building an Archives for Butte, America
著者1:エレン・クレイン
著者名原文1:Ellen Crain
著者2:ダナ・E・マックレア
著者名原文2:Donna E. McCrea
著者について:クレイン氏は17年間にわたりButte-Silver Bowパブリック・アーカイブズのディレクターを務める。同アーカイブズはアメリカ図書館協会の労働運動関係者のコミュニティへの顕著な貢献賞を1995年に授与された。モンタナ保存アライアンス、モンタナ人文学委員会、モンタナ文化・美学プロジェクト諮問委員会等の会長を歴任。モンタナ州歴史記録諮問会議会員。マックレア氏は2003年からモンタナ大学ミズーラ校の大学アーキビスト兼手稿司書(manuscript librarian)、同大学准教授。それに先立ちコロラド・スプリングのPikes Peak Library Districtのアーキビスト、特殊コレクション司書として働いた。

◇◇日本語タイトル:リーダーシップ、アドボカシー、そしてプログラム開発:1981年から1995年までのニューヨーク地方政府記録プログラムの変革 138
原題:Leadership, advocacy, and program development: transforming New York's local government records program, 1981- 1995
著者:ブルース・W・ディアステイン
著者名原文:Bruce W. Dearstyne
著者について:メリーランド大学情報学カレッジの元教授。現在は非常勤教授として大学院課程でリーダーシップと経営コースを教えている。1997年にメリーランド大学に赴任する前は、ニューヨーク州公文書・記録管理部門ディレクター。

◇◇日本語タイトル:SLAC(スタンフォード線形加速器センター)全国加速器研究所アーカイブズ・歴史室:段階と方法 161
原題:Advocacy for the Archives and History Office of the SLAC National Accelerator Laboratory: stages and the methods
著者:J・M・デケン
著者名原文:J. M. Deken
著者について:スタンフォード大学によって運営されている米国エネルギー省の研究施設であるSLACのアーカイブズ・歴史部門を率いている。ACA(認定アーキビスト協会)創立会員。セントルイスのNARA分館、セントルイス・マーカンタイル図書館協会、ミズーリ植物園等でアーキビストとして働いた経験を持つ。

◇◇日本語タイトル:組織の中で理解増進のために働く:ニューヨーク・フィルハーモニック・アーカイブズのための25年 186
原題:Advocating within the institution: twenty-five years for the New York Philharmonic Archives
著者:バーバラ・ハウズ
著者名原文:Barbara Haws
著者について:1984年以来ニューヨーク・フィルハーモニックのアーキビスト兼歴史担当。同フィルハーモニックの歴史に関する講演、展覧会をニューヨークならびに国外で多数行う。1995年にアーカイブズの歴史的音源を用いて同フィルハーモニックの自主制作盤を発表するにあたって製作責任者を務めた。シカゴ交響楽団、ロサンゼルス・フィルハーモニックのアーカイブズ・コンサルタントでもある。

◇◇日本語タイトル:Starting the archives for women in medicine:advocacy in creation, survival- and beyond? 200
原題:医療の中の女性のためアーカイブズを始める:理解増進のための活動を作り出し、生き残り、そしてそれを超えて?
著者:ジョルダーナ・メカグニ
著者名原文:Giordana Mecagni
著者について:「医学における女性のためのアーカイブズ」を3年間率いた後、2008年にハーバード大学医学スクールの医学史センター収集アーキビストに昇進した。アメリカ女性史に関してシュレジンジャー図書館での勤務経験を持つ。それ以前は非営利・慈善事業セクターの特殊コレクションであるアソシエイテッド・グラント・メイカーズ(ボストン)のリソース・センター長であった。

◇◇日本語タイトル:ジェイコブズ・ピロー・アーカイブズ:なくてはならない資源を作り出し育てる 215
原題:The Jacob's Pillow Archives: creating and nurturing an indispensable resource
著者:ノートン・オーウェン
著者名原文:Norton Owen
著者について:ジェイコブズ・ピロー・ダンス・フェスティバルのディレクターであり、長年にわたりホセ・リモン・ダンス財団のディレクターである。ダンスに関連した展覧会を行った経験を多数持ち、ダンス・ヘリテージ・コーリションの議長であった。ニューヨーク州の芸術カウンシルのパネリストも長年勤めた。

◇◇日本語タイトル:アーカイブズに関わるサービスにおけるアドボカシー:バーモント州公文書館における継続的な課題 232
原題:Advocacy in the service of archives: a continuing issue at the Vermont State Archives
著者:グレゴリー・サンフォード
著者名原文:Gregory Sanford
著者について:1977年にアーカイブズのトレーニングをヘレン・サミュエルズから受けた後、マサチューセッツ工科大学の法人文書に関するアーカイブズ長を務め、1982年以来バーモント州公文書館館長。

◇◇日本語タイトル:自分たちを知ることは、自分たちを愛することであり、それは自分たちを支援すること:ニューヨーク州公文書館パートナーシップ・トラスト 250
原題:To know us...is to love us... is to support us: the creation and evolution of the New York State Archives Partnership Trust
著者1:クリスティン・W・ウォード
著者名原文1:Christine W. Ward
著者2: ジュディ・P・ホーマン
著者名原文2:Judy P. Hohmann
著者について:ウォード氏はニューヨーク州公文書館長であり、同州のアーカイブズと記録に関する教育委員長アシスタント。ニューヨーク州公文書館パートナーシップ・トラストの最高責任者。SAAフェロー。米国・州文書館長評議会(CoSA)メンバー。ホーマン氏は2010年に定年を迎えるまでニューヨーク州公文書館の公共プログラムとアウトリーチ担当ディレクターであった。それまで24年にわたり同館に勤務。2001年に一般の市民向けの「ニューヨーク・アーカイブズ」誌の編集長となった。アーカイブズへの一般の人々の関心向上に対する取り組みにおいて多くの受賞歴がある。

◇◇日本語タイトル:主張する:友だちを獲得し政治家に影響を及ぼすために法廷記録を利用する 279
原題:Making the case: using court records to win friends and influence politicians
著者:ケネス・H・ウィン
著者名原文:Kenneth H. Winn
著者について:ミズーリ州最高裁判所図書館公共サービス部門の長であり、ワシントン大学セントルイス校の上級講師でもある。1991年から2007年までミズーリ州公文書館長を務めた。セントルイス巡回裁判所記録プロジェクトで発見された記録等に基づき、婚約不履行とビクトリア朝的なアメリカの創出に関する著書を準備中である。奴隷制と法律に関して教鞭もとっている。

◇◇日本語タイトル:事例研究が私たちに物語るもの 297
原題:What the case studies tell us
著者:エディー・ヘドリン
著者名原文:Edie Hedlin
著者について:1994年から2005年の定年退職まで、スミソニアン博物館アーカイブズのディレクターであった。これに先立ち、NARAとNHPRC(国立歴史的出版物・記録委員会)、オハイオ歴史協会の様々なポジションで働いた。ウェルズ・ファーゴ銀行の初代企業アーキビストであり、世界銀行とヨーロッパ復興開発銀行のコンサルタントも務めた。SAAフェロー。元SAA会長。ACA(認定アーキビスト協会)発起人の一人でもある。

◆第3部:アドボカシー問題への視点
PART THREE: Perspectives on advocacy issues

◇◇日本語タイトル:アドボカシーを教える 323
原題:Teaching advocacy
著者:リチャード・J・コックス
著者名原文:Richard J. Cox
著者について:ピッツバーグ大学情報学スクール教授。SAAフェロー。1991年から1995年までSAA機関誌「アメリカン・アーキビスト」編集長。2001年から2007年までRecords & Information Management Reportの編集長。アーカイブズに関する優れた文献の著者に送られるSAAウォルド・ギフォード・リーランド賞を3回にわたり受賞している。

◇◇日本語タイトル:支援者のコミュニティを立ち上げる:アドボカシーにおける新技術の役割 337
原題:Building a community of supporters: the role of new technologies in advocacy
著者:ケイト・サイマー
著者名原文:Kate Theimer
著者について:ブログArchiveNext(www.archivesnext.com)の著者
であり、Archives 2.0 ウィキ(http://archives2point0.wetpaint.com)の作成者。SAAから刊行されたA different kind of web: new connections between archives and our users with Web 2.0 の編著者。NARAとスミソニアン博物館に勤務していた経験がある。

◇◇日本語タイトル:連邦レベルでのアドボカシー 357
原題:Advocacy at the federal level
著者1:リー・ホワイト
著者名原文1:Lee White
著者2:ヘザー・ハイク
著者名原文2:Heather Huyck
著者について:ホワイト氏は2006年からワシントンDCの歴史のための国民連合(National Coalition for History: NCH)事務局長。この組織は60以上の団体からなり、歴史家、アーキビスト、教師、研究者、他の利害関係者に影響を与える連邦政府レベルの法制・規制に関する理解増進活動に取り組んでいる。政府関係の事案を扱う弁護士として30年のキャリアを持つ。ハイク氏は学術的な歴史と場所に基づいた歴史─とりわけ国立公園─をつなぐ公共的な歴史家として30年にわたるキャリアを持つ。388の公園のうち、298の公園を訪問したことがある。政府の国立公園部門で研究者、翻訳者、資源管理者、戦略立案者、マネージャー、歴史家として勤務した。

◆第4部:さらなるアドバイス
PART FOUR: Further recommendations

◇◇日本語タイトル:別々な考え:アドボカシーとアーカイブズ専門職 371
原題:Parting thoughts: advocacy and the archives profession
著者:ラリー・J・ハックマン
著者名原文:Larry J. Hackman
著者について:既出

◇◇日本語タイトル:追加文献抜粋 375
原題:Selected additional readings
著者:ジャネット・バンド
著者名原文:Janet Bunde
著者について:ニューヨーク大学のアシスタント大学アーキビスト兼ブレイドマス議会記録担当アーキビスト。

寄稿者 389
Contributors

索引 397
Index

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■文献情報:アーカイブズとマーケティング 1

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◎『歴史マーケティング:ビジネスにおいて歴史を扱うためのガイド』
History Marketing: Ein Leitfaden zum Umgang mit Geschichte in Unternehmen

2011年5月に当財団が主催して東京で開催したICA/SBL(国際アーカイブズ評議会企業労働アーカイブズ部会)シンポジウム「ビジネス・アーカイブズの価値」で掲げたテーマの一つが「歴史マーケティング」でした。
http://www.shibusawa.or.jp/center/network/01_icasbl/Tokyo/index.html

このテーマは準備段階で欧州のSBL運営委員から提案されたテーマのひとつでした。ドイツ・ビジネスアーキビスト協会http://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20120718.htmlは頻繁にこのテーマでセミナー等を開催しており、同協会のウェブサイトも参照してほしい、というリクエストを欧州の委員から受け取りました。

今回ご紹介するのは、ドイツで2003年に刊行されたビジネス・アーカイブズ関連書籍で、タイトルはその名もズバリ"History Marketing"(『歴史マーケティング』)。日本語と同様ドイツ語でも英語のMarketingを翻訳するのは難しいようで、主タイトルは英語のままです。

本通信38号では、米国のビジネス・アーキビストBecky Hugland Tousey(ベッキー・ハグランド・タウジー)さんの話として、ドイツのアーキビストはアーカイブズを歴史マーケティングに活用することに大変積極的であると紹介しました。「歴史マーケティング」をタイトルにした書籍が10年近く前に出版されているのはその状況をよくあらわしていますね。
http://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20120621.html

それではなぜドイツを中心とする欧州地域で「歴史マーケティング」(デンマークのSBL運営委員Henning Morgen(ヘニング・モーゲン)さんは「歴史コミュニケーション」がより一般的であるとも語っていました)が注目され、さまざまな実践が行われているのでしょうか? 疑問に思った編集部では、ドイツ近現代史を専門とする東海大学の柳原伸洋先生に先日お話をうかがいました。

複数の要因があるということでしたが、非常に印象的であったのは、1990年の東西ドイツ統一後の西ドイツ企業の「歴史リスク対策」というお話でした。それまで存在した東ドイツというバッファー(緩衝物)がなくなった後、旧西独企業は第2次世界大戦中にナチス・ドイツから多大な被害を被ったポーランドと直接ビジネスを行うことになり、過去の歴史問題がビジネス上のリスク、いわば「歴史リスク」として認識されるようになったということです。このリスクへの対応として、過去の記録に基づいた企業の歴史情報の適切な開示と提供が必要になったというお話には非常に納得させられました。

本通信では、欧州や米国の企業が、最近20年ほど過去の負の記録(第2次世界大戦中の強制労働問題やホロコースト、さらにさかのぼっては奴隷貿易など)をアーカイブズの中から取り出して公表し、これによって透明性や説明責任といった観点から企業イメージ・企業への信頼性を高めるという戦略をとっていると、何度かお伝えしたことがあります。柳原先生のお話によってその背景の一端を教えられたように思いました。

今号では2003年にドイツ・ビーレフェルトで刊行されたこの『歴史マーケティング:ビジネスにおいて歴史を扱うためのガイド』の書誌ならびに目次情報をご紹介します。

*文字コードの関係で、原文におけるウムラウトは省略して掲載しました。

[書誌情報]
日本語タイトル:歴史マーケティング:ビジネスにおいて歴史を扱うためのガイド
原題:History Marketing: Ein Leitfaden zum Umgang mit Geschichte in Unternehmen
著者名: アレクサンダー・シューク
著者名原文:Alexander Schug
発行地:ビーレフェルト Bielefeld
発行者名原文:transcript Verlag
発行年:2003年
ページ数:212 pp.
ISBN:3-89942-161-2
版元紹介頁:http://www.transcript-verlag.de/ts161/ts161.php

[著者について]
本書中表紙裏頁によると、アレクサンダー・シュークは歴史家であり、ドイツの有力PR会社のコンサルタントとして働いた経験を持ちます。歴史家であるヒルマール・ザックHilmar Sackとともにベルリンの「過去に関する会社-歴史会社」www.vergangenheitsagentur.deのオーナー兼経営者であるということです。

Alexander Schug (M. A.) ist Historiker und arbeitete als Berater bei einer Fuhrenden deutschen PR-Agentur. Er ist mit dem Historiker Hilmar Sack Inhaber und Geschaftsfuehrer der "Vergangenheitsagentur - The History Agency", Berlin (www.vergangenheitsagentur.de).

[目次情報]

はじめに
Einleitung 9

●第1部:なぜ歴史が重要なのか
TEIL 1: WESHALB UNTERNEHMENSGESCHICHTE WICHTIG IST

1.企業・団体にとって積極的意味をもつものとしての歴史 15
1.Geschichte als positive Sinnstiftung fur Unternehmen und Verbande 15

 企業文化とブランドポリシーにとっての歴史の重要性 15
  Die Bedeutung von Geschichte fur die Unternehmenskultur und Markenpolitik 15

 歴史マーケティングとは何か? 20
  Was ist History Marketing? 20

 どの会社にとって歴史マーケティングが問題なのか? 26
  Fur welche Unternehmen kommt History Marketing in Frage? 26

 歴史マーケティングはどのターゲットグループに向かって語りかけるのか? 27
  Welche Zielgruppen spricht das History Marketing an? 27

 歴史マーケティングは見かけ上何を語るのか? 30
  Was scheinbar gegen das History Marketing spricht 30

 歴史マーケティング:15の好ましい理由 34
  History Marketing - 15 gute Grunde 34

  インタビュー:ハリー・ニーマン博士
   (ダイムラー・クライスラー・クラシック、シュツットガルト) 35
   Interview: Dr. Harry Niemann
   (DaimlerChrysler Classic, Stuttgart) 35

  インタビュー:シュテファン・ハンゼン
   (Dorland広告代理店、ベルリン) 39
   Interview: Stefan Hansen(Dorland Werbeagentur, Berlin) 39

2.コーポレート・コミュニケーションの必須ファクターとしての歴史 45
2. Geschichte als kritischer Factor der Unternehmenskommunikation 45

 待ち受ける歴史の落とし穴 45
  Die Geschichtsfalle lauert 45

 ドイツ企業にとってコミュニケーション破綻としての強制労働問題 47
  Die Zwangsarbeiterfrage in Deutschland als kommunikativer Super-Gau fur Unternehmen 47

  インタビュー:マンスフレート・グリーガー博士(フォルクス・ワーゲン社、ヴォルフスブルク) 53
   Interview: Dr. Mansfred Grieger(Volkswagen AG, Wolfsburg) 53

 スイスの銀行:ナチスの金と放棄資産 56
  Die Schweizer Banken, das Nati- Gold und herrenlose Vermogenswerte 56

  インタビュー:ヨーゼフ・ユング(クレディ・スイス・グループ、チューリッヒ) 62
   Interview: Dr. Joseph Jung(Credit Suisse Group, Zurich) 62

 エクソン-永遠の環境汚染? 66
  Exxon - Umweltsuender bis in alle Ewigkeit? 66

  インタビュー:カール=ハインツ・シュルト=ボルネマン 67
   Interview: Karl- Heinz Shult- Bornemann 67
   (エクソンモービル・セントラル・ユーロップ・ホールディングス、ハンブルグ) 67
   (ExxonMobil Central Europe Holding GmbH, Hamburg) 67

 結論:歴史的・危機的コミュニケーションに関する戦略 69
  Zusammenfassung: Strategien der historischen Krisenkommunikation 69

●第2部:歴史マーケティング:実践
TEIL II: HISTORY MARKETING: DIE PRAXIS

会社の周年記念から歴史マーケティングへ:実践 75
Vom Firmenjubilaum zum History Marketing - die Praxis 75

1.歴史マーケティングの動機 77
1.Anlasse des History Marketing 77

2.歴史マーケティングの道具と方法 85
2.Instrumente und Massnahmen des History Marketing 85

  道具と方法 88
   Instrumente und Massnahmen 88

  アーカイブズ:企業アーカイブズの内と外 88
   Archive - Massnahmen im und um das Firmenarchiv 88

  展示/博物館 93
   Ausstellungen/Museum 93

  イベント・コミュニケーション 101
   Eventkommunikation 101

  歴史協会 105
   Geschichtsvereine 105

  周年記念セール 109
   Jubilaumsverkaufe 109

  商品化 110
   Merchandising 110

  出版(印刷とマルチメディア) 112
   Publikationen (Print und Multimedia) 112

  社史作成のための基金招聘講師・教授 121
   Stiftungsdozentur/ - professur fur Unternehmensgeschichte 121

  歴史を使って宣伝する 122
   Werbung mit Geschichte 122

  歴史マーケティングの文脈での報道・メディアへの広報 125
   Presse- und Medienarbeit im Rahmen des History Marketing 125

  実績(成功)管理 129
   Erfolgskontrolle 129

  インタビュー:ヴィリ・ディーツ教授(自動車産業研究所、ニュルティンゲン) 132
   Interview: Prof. Dr. Willi Diez
   (Institut fur Automobilwirtschaft, Nurtingen) 132

3.企業アーカイブズへの6つのステップ 135
3.In sechs Schritten zum eigenen Unternehmensarchiv 135

 第1ステップ:資料を集める 138
  Der erste Schritt: Bestandsbildung 138

 第2ステップ:レビュー 140
  Der zweite Schritt: Bewertung 140

 第3ステップ:調査/目録作成 146
  Der dritte Schritt: Erschliessung/ Verzeichnung 146

 第4ステップ:アーカイブズのためのスペースを見つける 150
  Der fierte Schritt: Suche nach Archivraumen 150

 第5ステップ:アーカイブズの手入れ 154
  Der funfte Schritt: Archivpflege 154

 第6ステップ:利用 155
  Der sechste Schritt: Nutzung 155

 企業アーカイブズのコスト 156
  Kosten fur das Unternehmensarchiv 156

  インタビュー:テッサ・ノイマン(資格保有アーキビスト、ベルリン) 157
   Interview: Tessa Neumann(Diplom-Archivarin, Berlin) 157

●第3部:新しい仕事としての歴史マーケティング
TEIL III: HISTORY MARKETING ALS NEUES BERUFSFELD

歴史家と他の人文科学修了者にとっての新しいキャリア分野としての歴史マーケティング 163
History Marketing als neues Berufsfeld fur Historiker und andere Geisteswissenschaftler 163

クリオ(歴史を司る女神):クオ・ヴァディス(どこへ行くのか)? 163
Clio - quo vadis? 163

 インタビュー:ジェイムズ・H・ライド(ヒストリー・アソシエイツ社/米国) 166
  Interview: James H. Lide (History Associates Inc./ USA) 166

 インタビュー:ディーター・ロイトホルト(ブレーメン単科大学・企業史研究所) 171
  Interview: Prof. Dieter Leuthold (Institute fur Unternehmensgeschichte an der Hochshule Bremen)  171

●サービスに関する部
SERVICETEIL

ケーススタディー 177
Fallbeispiele 177

事例1:アウディ・トラディション(インゴルシュタット) 177
Beispiel 1: Audi Tradition (Ingolstadt) 177

事例2:デンタル・ボディルスキー社(コブルク) 179
Beispiel 2: Dental- Bodirsky GmbH(Coburg) 179

事例3:サル・オッペンハイム・ジュニア&Cie. (ケルン) 180
Beispiel 3: Sal. Oppenheim jr. & Cie. (Koln) 180

資料 183
Materialien 183

見本/事例:ドイツ銀行歴史協会規約 183
Beispiel: Vereinssatzung Historische Gesellschaft der Deutschen Bank e. V. 183

見本/実例:アーカイブズ利用規則 190
Muster: Benutzungsordnung eines Archivs 190

見本/実例:誓約書 193
Muster: Verpflichtungserklarung 193

見本/実例:アーカイブズの利用料金 194
Muster: Archiv- Entgeltordnung 194

サービス・プロバイダー 197
Diensleister 197

連合会 / 機関 / 協会 204
Verbande/ Institute/ Vereine 204

文献 209
Literatur 209

要約、チェックリスト、情報ボックス、見本/実例のディレクトリ 213
Verzeichnis der Ubersichten, Checklisten, Infokasten und Muster 213

図版リスト 215
Abbildungsverzeichnis 215

謝辞 217
Danksagung 217

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■文献情報:アーカイブズのインリーチ・アウトリーチ(機関内外への情報発信) 1

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◎英国アーカイブズにみる007ジェームズ・ボンド

英国のアーカイブズ・記録管理関係者のためのメーリングリストARCHIVES-NRAではアーカイブズの所在や資料の扱い方に関わる質問・応答や求人などの情報が活発にやり取りされています。BA通信編集部もメーリングリストに登録して情報収集に役立てています。メールアドレスを持っていればアーカイブズ・記録管理関係者でなくとも、誰でも登録することができます。過去の投稿はアーカイブされておりウェブ上で検索していつでも読むことができます。

名称:ARCHIVES-NRA

問い合わせ先:ARCHIVES-NRA@JISCMAIL.AC.UK

ホームページ:https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A0=archives-nra

ホームページの中央上部にあるLatest Messagesの部分に最近のメーリングリストへの投稿のヘッダーの一部が載っています。このLatest Messages内の一番左の件名部分にマウスのポインタを合わせると、本文部分がポップアップ形式で読めるような仕様になっています。

Latest Messagesの下のARCHIVES-NRAというタイトルのボックスは過去の投稿(1998年以降)のアーカイブズ部分です。

ホームページの右側、上から3つ目のボックスSearch Archivesを利用すると簡単に検索ができます。

英国におけるアーカイブズ情報のデータベースであるナショナル・レジスター・オブ・アーカイブズNational Register of Archives(略称NRA)http://www.nationalarchives.gov.uk/nra/default.asp を運営管理する英国国立公文書館のアーカイブズ部門開発チーム(Archives Sector Development)http://www.nationalarchives.gov.uk/archives-sector/ask-question.htm)のビジネス・アーカイブズ分野担当者Alex Ritchie(アレックス・リッチー)さんはARCHIVES-NRAへの投稿をNRAとビジネス・アーカイブズのアドボカシーに活用しています。

ARCHIVES-NRAのSearch Archives でAlex Ritchieをキーワードに検索してみましょう。60件の検索結果が示されます。そのうちのいくつかの件名をご紹介しましょう。(左端の番号はItem#です)

▽027220「あなたがたぶん見逃しているビジネス・アーカイブズものがたり」
Business archives stories you might have missed
(2012年7月20日)
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind1207&L=archives-nra&P=R44459&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

▽023798「ビジネス・アーカイブズと極東」
Business archives and the Far East
(2011年7月20日)
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind1107&L=archives-nra&P=R8734&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

▽022494「石油、ガス、そして歴史」
Oil, gas and history
(2011年2月7日)
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind1102&L=archives-nra&P=R9305&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

▽019437「NRAでみつかったシャーロック・ホームズ」
Sherlock Holmes detected in the National Register of Archives
(2010年6月5日)
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind1001&L=archives-nra&P=R6908&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

▽018726「NRAの中のアフリカ」
Africa in the National Register of Archives
(2009年10月1日)
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind0910&L=archives-nra&P=R879&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

▽018561「NRAのなかの第二次世界大戦」
World War Two in the National Register of Archives
(2009年9月1日)
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind0909&L=archives-nra&P=R69&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

▽018069「NRAの中の移民コミュニティ」
Immigrant communities in the National Register of Archives
(2009年5月29日)
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind0906&L=archives-nra&P=R2&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

▽017561「NRAに反映している冷戦」
Cold War reflected in the National Register of Archives
(2009年2月27日)
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind0903&L=archives-nra&P=R3224&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

▽017477「NRAでアカデミー賞オスカーの夕べ」
Oscar Night at the National Register of Archives
(2009年2月16日)
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind0902&L=archives-nra&P=R21099&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

▽017386「NRAのなかのアルバニア」
Albania in the National Register of Archives
(2009年1月30日)
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind0902&L=archives-nra&P=R2&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

▽017192「NRAのなかの星条旗」
Stars and Stripes in the National Register of Archives
(2008年12月31日)
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind0901&L=archives-nra&P=R2&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

▽017071「NRAのなかに難民は家を見つける」
Refugees find home in the National Register of Archives
(2008年12月1日)
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind0812&L=archives-nra&P=R3059&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

▽016883「NRAの中の信用危機」
Credit crunch in the National Register of Archives
(2008年10月28日)
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind0810&L=archives-nra&P=R28149&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

さて、今年はビートルズのレコードデビュー(1962年10月5日)から50周年であると同時に、007映画第1作の公開(1962年10月5日)から数えてもちょうど50周年にあたり、つい最近も50周年を記念するシリーズ23作目が公開されたばかりです。Ritchieさんはボンド映画もNRAとビジネス・アーカイブズのアドボカシー(理解増進のための活動)に用いています。言及されているボンド映画とテーマ、テーマに関係するアーカイブズ情報へのリンクを簡単にご紹介します(リンク切れは除きました)。

また、一部クイズ仕立てになっている文章があります。もし007映画のファンの方でこのクイズを解いてみたい方は、▼に続くURLをクリックしたら、この通信の本文は読まないように(!)してください。

▼「ボンド、ブランド、そしてビジネス・アーカイブズ」
Bond, Brands and Business Archives(Item# = アイテム番号024819)
(2011年11月4日)

https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind1111&L=archives-nra&P=R8096&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

 ▽「ロシアより愛をこめて」でのボンドの帽子
  http://www.nationalarchives.gov.uk/nra/searches/subjectView.asp?ID=B3524

 ▽「ゴールドフィンガー」でのボンドガールの靴
  (リンク切れ)

 ▽「カジノ・ロワイヤル」でのボンドの靴
  http://www.nationalarchives.gov.uk/nra/searches/subjectView.asp?ID=B14236

 ▽「007は二度死ぬ」でのボンドの台詞に出てくるラフカディオ・ハーン
  http://www.nationalarchives.gov.uk/archon/searches/locresult_details.asp?LR=3318

▼「NRAに...ボンドが帰ってきた」
Bond is back...in the National Register of Archives(016850)
(2008年10月20日)

https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind0810&L=archives-nra&P=R20871&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

 ▽「ロシアより愛をこめて」でボンドが携帯していたエリック・アンブラー作の本「The Mask of Dimitrios」
  http://www.nationalarchives.gov.uk/nra/searches/subjectView.asp?ID=P507

 ▽「ドクター・ノオ」原作者イアン・フレミングのジャマイカでの隣人ノエル・カワード
  http://www.nationalarchives.gov.uk/nra/searches/subjectView.asp?ID=P6738

 ▽「カジノ・ロワイヤル」の原作版元ジョナサン・ケイプ社
  http://www.nationalarchives.gov.uk/nra/searches/subjectView.asp?ID=B967

 ▽イアン・フレミングが亡くなったあとボンド本を書き継いだ作家ロバート・マッカムことキングズレイ・エイミス
  http://www.nationalarchives.gov.uk/nra/searches/subjectView.asp?ID=P529

▼「NRAはイアン・フレミング生誕百年を記す」
National Register of Archives marks Ian Fleming's 100th Birthday(016021)
(2008年6月2日)

https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind0806&L=archives-nra&P=R507&1=archives-nra&9=A&J=on&d=No+Match%3BMatch%3BMatches&z=4

 ▽原作者イアン・フレミングのアーカイブズ
  http://www.nationalarchives.gov.uk/nra/searches/subjectView.asp?ID=P36019

 ▽ボンドの愛車アストン・マーチンのアーカイブズ
  http://www.nationalarchives.gov.uk/archon/searches/locresult_details.asp?LR=3220

 ▽「ロシアより愛をこめて」の悪役レッド・グラント役俳優ロバート・ショウのアーカイブズ
  http://www.nationalarchives.gov.uk/nra/searches/subjectView.asp?ID=P37062

 ▽「ゴールド・フィンガー」監督ガイ・ハミルトンのアーカイブズ
  http://www.nationalarchives.gov.uk/nra/searches/subjectView.asp?ID=P39346

 ▽フレミングが影響を受けた作家シリル・マクニールのアーカイブズ
  http://www.nationalarchives.gov.uk/nra/searches/subjectView.asp?ID=P41807

 ▽1967年版「カジノ・ロワイヤル」に出演のデイビッド・ナイブンのアーカイブズ
  (リンク切れ)

★☆★...編集部よりひと言...★☆★

Ritchieさん執筆によるARCHIVES-NRAへの情報発信は、007を切り口に英国のアーカイブズ情報データベース「ナショナル・レジスター・オブ・アーカイブズ(NRA)」が「こんなふうに使えます」と、エンタテインメントと関連づけて表現しています。アーカイブズの効用を幅広い人々に伝えるための事例ではないでしょうか。アーカイブズが仕事のツールであるような研究者などのアーカイブズのヘビーユーザーをも楽しませてくれる内容です。

この記事を作成するにあたってもうひとつ気づいたのは、Ritchieさんが引用している英国国立公文書館NRA情報の安定性です。英国国立公文書館以外の参照URLはいくつかリンク切れとなっていました。しかし同館サイト内ページのURLはすべて有効でした。このような点も情報発信をするにあたっては大切な点ではないでしょうか。

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[略称一覧]
ACA: Association of Canadian Archivists(カナダ・アーキビスト協会)
ARA: Archives and Records Association(アーカイブズとレコード協会)
ARC: ARC magazine: archives - records management - conservation
(SoAが発行する月刊ニュースレター)
ASA: Australian Society of Archivists(オーストラリア・アーキビスト協会)
BAC: Business Archives Council(ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BACS: Business Archives Council in Scotland
(スコットランド・ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BAS: Business Archives Section
(ビジネス・アーカイブズ部会:SAA内の部会)
CITRA: International Conference of the Round Table on Archives
(アーカイブズに関する国際円卓会議:ICAの年次会議)
CoSA:Council of State Archivists(米国・州文書館長評議会)
DCC: Digital Curation Center(英国デジタル・キュレーション・センター)
EDRMS:Electronic Document and Record Management System
(電子文書記録管理システム)
ERM:Electronic Record Management(電子記録管理)
ICA: International Council on Archives(国際文書館評議会)
LSE: London School of Economics and Political Science
(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)
MLA: Museums, Libraries and Archives Council
(英国 博物館、図書館、アーカイブズ評議会)
NAGARA: National Association of Government Archives and Records
Administrators
(米国・全国政府アーカイブズ記録管理者協会)
NARA: National Archives and Records Administration
(米国 国立公文書館記録管理庁)
RIKAR: Research Institute of Korean Archives and Records
(韓国国家記録研究院)
RMS:Record Management System(記録管理システム)
SAA: Society of American Archivists(米国アーキビスト協会)
SBL: Section for Business and Labour Archives
(企業労働アーカイブズ部会、ICA内の部会)
SoA: Society of Archivists(イギリス・アーキビスト協会)
TNA: The National Archives(英国国立公文書館)

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☆★ 編集部より:あとがき、次号予告 ★☆

ボンド映画では作中に登場するさまざまなブランド品を探し出すのも楽しいものです。英国国立公文書館のRitchieさんによると、最新作では、ハイネケン・ビール、マカラン・モルト・ウィスキー、そして当然のことながらソニー(同映画はソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが製作)の製品が出てきたね、ということでした。

さらに最新作では長崎の軍艦島(端島)も登場します。007とMI6に挑戦する悪役が住む島という設定で、映画のエンドクレジットの最後に、「軍艦島」「長崎市」の漢字クレジットとともに、同市市長の撮影利用許可への謝辞が述べられていました。ここ数年近代化遺産として注目を集め、2009年以降は観光ツアーでの上陸も可能になり、人気を集めているようです。

端島を含む高島炭鉱は、もともと幕末に佐賀藩とスコットランド人トマス・グラバーが共同で開発を始め、その後三菱財閥傘下で発展をとげたところから、歴史研究の対象としても頻繁に取り上げられてきました。「高島炭」をキーワードとして(「鉱」の字は旧字のほか「砿」など何種類かの文字があるので)国立国会図書館の検索サービスNDL(エヌディーエル)サーチで検索してみると239件ヒットします。
http://iss.ndl.go.jp/books?ar=4e1f&any=%E9%AB%98%E5%B3%B6%E7%82%AD&op_id=1

国立情報学研究所の論文検索サービスCiNii(サイニー)の論文検索タブでは65件ヒットしました。
http://ci.nii.ac.jp/search?q=%E9%AB%98%E5%B3%B6%E7%82%AD&range=0&sortorder=1&count=20&start=1

サイニー検索の結果の方が一覧としてはシンプルで見やすいのでこちらを見てみると、1950年代以降、60年代、70年代、80年代、90年代、そして2000年代に入ってもコンスタントに高島炭鉱関連の研究が発表されています。

2001年に旧高島町(現在は長崎市に合併される)に譲渡されるまでは三菱マテリアル社の所有でした。同社は1990年に三菱金属と三菱鉱業セメントが合併して発足したものです。(会社の変遷についてはhttp://d.hatena.ne.jp/tobira/20120319/1332120178をご覧ください。)

三菱鉱業セメント株式会社は三菱金属との合併前年の1989年に『高島炭砿史』を刊行しています(三菱鉱業セメント株式会社高島炭砿史編纂委員会編集、三菱鉱業セメント株式会社発行)。実業史研究情報センターの社史紹介では、つぎのようにご紹介しています。

「長崎港外の高島(高島・横島・中ノ島・端島)では、佐賀藩がグラバー商会と共同で石炭採掘事業を始め、1881年岩崎弥太郎が経営を引き継ぐ。1918年三菱鉱業(株)設立、その1事業所となる。創業期に英国の最新技術を導入、その後も組織の合理化・近代化をはかり、当初炭量150万tと予想されたが、最終的には5,500万tもの出炭をみる。1966年、戦後のエネルギー転換期に三菱高島炭砿(株)として独立。石炭産業の不振により1986年閉山。[軍艦島と呼ばれる端島は世界遺産への登録運動が行なわれている]」

http://www.shibusawa.or.jp/center/shashi/shasi_ma.html
(会社名(被伝者)は「三菱高島炭砿(株) 」、社史名は「高島炭砿史」です。)

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次号は1月上旬発行予定です。どうぞお楽しみに。

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◆◇◆〈渋沢栄一記念財団からのお知らせ〉◆◇◆

■『渋沢栄一を知る事典』(東京堂出版、2012)

2012年10月19日に公益財団法人渋沢栄一記念財団編『渋沢栄一を知る事典』が刊行されました。本書は渋沢栄一の事績を網羅的に解説した初めての事典となります。第1部では栄一の生涯と活動を100の項目に分けてわかりやすく紹介し、第2部では栄一をより深く理解するための資料と情報をまとめました。

なお、実業史研究情報センターでは、項目の執筆のほか第2部「資料からみた渋沢栄一」の編集を担当いたしました。ご高覧いただければ幸いです。
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20121102/1351818423

□「企業史料ディレクトリ」:企業アーカイブズと企業史料の所在・概要ガイド

2008年7月22日公開いたしました。日本を代表する企業を中心とした企業アーカイブズと史料保存・学術研究機関合わせて30企業・団体・機関の概要、所蔵資料に関する情報を掲載しております。ぜひご覧ください。
http://www.shibusawa.or.jp/center/dir/index.html

□実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」

渋沢栄一、社史を始めとする実業史、アーカイブズや図書館に関連する情報をご紹介しています。文化資源に関わる東日本大震災と復興についての情報は「震災関連」カテゴリーに集約しています。
http://d.hatena.ne.jp/tobira/

「アーカイブズニュース」では公文書管理法に関する動向やアーカイブズのデジタル化、資料の発見・公開に関わるニュースを随時ご紹介しております。ブログ画面右側の「カテゴリー」にある「アーカイブズニュース」をクリックしてください。「アーカイブズニュース」として掲載した記事をまとめて一覧することができます。

・主なカテゴリーの紹介
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20080203

□「社史に見る災害と復興」

2011年3月の東日本大震災に際し実業史研究情報センターでは、センター・ブログに「社史に見る災害と復興」というカテゴリーを新設しました。そこでは現在構築中の「社史索引データベースプロジェクト」の蓄積データを検索し、「災害と復興」に関する記事を含む社史について紹介しています。
http://goo.gl/WUE3b

実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」はほぼ毎日更新しております。どうぞご利用ください。

□「渋沢栄一関連会社社名変遷図」

渋沢栄一がどのような会社に関わったか、それが今にどうつながっているのか、一目でわかるように業種別にまとめて変遷図にしました。現在122図掲載中です。社名索引もありますので、どうぞご覧ください。またセンター・ブログのカテゴリー「社名変遷図紹介」も併せてご覧ください。なお上記『渋沢栄一を知る事典』第2部には、この社名変遷図のうち100図を掲載してあります。
http://www.shibusawa.or.jp/eiichi/companyname/index.html

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★渋沢栄一記念財団は2010年9月1日に「公益財団法人」になりました★

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ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信) No.42
2012年12月12日発行 (不定期発行)
【創刊日】2008年2月15日
【発行者】公益財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター
【編集者】公益財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター
      「ビジネス・アーカイブズ通信」編集部
【発行地】日本/東京都/北区
【ISSN】1884-2666
【E-Mail】
【サイト】http://www.shibusawa.or.jp/center/ba/index.html

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Copyright (C)
公益財団法人渋沢栄一記念財団
2007- All Rights Reserved.

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