研究センターだより

56 『論語と算盤』読書会、オンラインの実施

『青淵』No.858  2020(令和2)年9月号 

 今年は新型コロナウイルスの猛威がとどまるところを知らず、各方面に様々な影響を与えてきました。かく言う研究センターにおいても、2011年より続けてきた読書会が、初めて実施できないという状況に直面し、「論語とそろばん」セミナーや渋沢栄一と「フィランソロピー」シリーズ出版事業においても、一時的に業務が停滞する事態となりました。
 今回は、オンライン読書会の取り組みを中心に、研究センターの現在の活動をご紹介します。

〈オンライン読書会の試み〉 

 ウイルス感染拡大の情報を受け、研究センターは第9期読書会を当初は延期と判断し状況を見守ってきました。その後依然として収束の兆しが見られず、3月から7月のすべての回を中止にせざるを得ませんでした。
 
 こうした状況の中、講師の守屋淳先生と数か月に渡り再開の検討を重ねてまいりました。ウイルス感染の問題はもとより、これにかかる様々な問題から参加者の皆さまに安全かつスムーズに参加していただける方法を熟考した結果、「オンライン読書会」という形式で再開する結論に至りました。

 
 しかしながら、本読書会は「ワールド・カフェ方式」という参加者同士のディスカッションを中心に進めていく方法を取っており、この方法をオンライン上でどのように実践するかが大きな課題でした。そして試行錯誤の末、オンライン会議アプリのグループディスカッションの機能を使用して、ワールド・カフェ方式を試みることにしました。

〈読書会OB・OGのご協力〉

 実用化に向けて、まずは運営側がアプリに慣れる必要があることから実際のオンライン読書会を介して試験を行うことにしました。
 
 そこで協力してくださったのは、読書会修了者が有志で集うOB・OG会の皆さんでした。スムーズな運営がお約束できないにも関わらず快く引き受けてくださり、当日は20名以上のご参加をいただきました。

 
 試験は、守屋先生の著書『論語がわかれば日本がわかる』を課題図書に、アプリの基本的な操作のガイダンス、3回のディスカッション、守屋先生の解説という内容で約2時間実施しました。参加者が読書会経験者ということもあり、活発なディスカッションが行われた一方で、アプリ操作の技術的な問題や、進行の難しさなどオンラインならではの問題もありました。しかし、実際に行うことで新たな知見を得ることができました。

 
 そしてなにより、参加者からのアドバイスや提案、意見、感想はオンラインワールド・ カフェ方式の構築に大変役立つものとなりました。この場を借りて、今一度ご参加いただいた皆さまへお礼申し上げます。

〈読書会新期の募集について〉

 今後、7月と8月に試験を実施した後、第9期読書会は9月にオンラインで再開します。毎年夏に新期参加者を募集していましたが、今回は第9期の回が半分近く中止となってしまったため、改めて第1章から再スタートさせていただきます。そのため、今回は募集を見送ることにいたしました。応募を検討されていた皆さまには大変申し訳ございませんが、ご理解をいただけますと幸いです。

〈今後の研究センターの活動〉

 また、来年開催予定の「論語とそろばん」セミナーは、実施会場でソーシャルディスタンスを保つことが難しいことからオンラインでの実施を検討しています。渋沢栄一と「フィランソロピー」のシリーズ出版については、滞ってしまった刊行スケジュールの見直しや修正を現在行っています。
 このように他の業務もコロナ禍の影響を受けておりますがこれを前向きに捉え、これまでと変わらず皆さまへ充実した学びの場や機会を提供できるように、新しい方法を模索していきたいと思います。今後とも研究センターをよろしくお願いいたします。

(研究センター 加藤 愛子)


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