研究センターだより

57 2020年の研究センターを振り返って

『青淵』No.861 2020(令和2)年12月号 

 気がつけば今年も残すところあと数日となりました。この1年は皆さまにとってどのような年でしたでしょうか?
 今年はご存じの通り、新型コロナウイルスの流行により働き方から生活の様式まで様変わりした年でした。私にとりましても、以前の生活様式を懐かしく思うと同時に、感染リスクと日常生活をどのように両立させるか自分自身に問いながら過ごした1年でした。また研究センターでは、『論語と算盤』読書会、「論語とそろばん」セミナーにおいて、これまでの方法で実施することができなくなり、今の時代に則した新しい方法を模索しなければならない年となりました。今回の研究センターだよりは、2020年を振り返りながら今後の活動についてもご紹介いたします。

『論語と算盤』読書会、再スタート

 3月から約半年間休止していた第9期読書会は、オンラインでの再開を目指し3回の実施試験を経て、9月にようやく再開することができました。
 これまで史料館や会議室等で行っていたディスカッションを、オンラインで行うのは初の試みであるため、想定していなかった問題や実施することで見えてくる課題もありました。例えば、参加者のネット環境による音声・ビデオの不具合や、オンラインに慣れていない人同士のコミュニケーションの問題に対して、運営からできるフォローは限定的あり、まだまだ改善の余地が残されています。
 その一方で、オンラインならではの恩恵にあずかることもできました。インターネットのある場所ならどこからでも参加できるという点から、自宅や職場のみならず、遠方にお住まいの方や、はたまた赴任先のタイからご参加される方もいらっしゃいました。なにより、オンライン上であっても、守屋先生をはじめ参加者の皆さんと再開できたのはとても嬉しいことでした。
 また、来年度は新期参加者を募集いたしますので、OB・OGの方はもちろん、まだ参加したことのない方も奮ってお申込みいただければ幸いです。

渋沢栄一と「フィランソロピー」第6巻 刊行に向けて

 約600に及ぶ公益慈善事業を育成・支援した渋沢栄一の「フィランソロピー」活動について8つの視点から捉える本シリーズは、現在第6巻の編集を行っています。第6巻は「教育」をテーマに、いつの時代、どのような分野においても「人づくり」を極めて重要な課題として、幅広い領域の人材養成に尽力した渋沢栄一が、教育を通じてどのようなことを未来に託したかについて、各分野の専門家により語られています。
 編集作業は、新型コロナウイルスの影響を受けて一時は停滞していましたが、これまで対面で行っていた会議をオンラインへ移行することで、場所や移動時間、感染リスクの心配にとらわれることなく会議を行えるようになりました。現在は、月に1~2回程度のペースで行い、出席者もほとんどオンラインに慣れてきました。以前に比べてコンスタンスに会議が実施できることで、編集者同士の充実したコミュニケーションが図れるようになり、この事業においてもオンラインのメリットを感じています。
 第6巻は2021年の刊行予定です。どうぞご期待ください。

「論語とそろばん」セミナー2021の予定

 これまでのセミナーは会場で実施をしてきましたが、状況を鑑みて、感染リスクを避けながらより多くの方にご参加いただける方法を検討した結果、オンラインでの実施を決定するに至りました。
 オンラインへの移行に時間を要してしまい例年より準備に時間がかかっていますが、今までいただいたご意見やご感想を反映したものとして、「論語とそろばん」を仕事やビジネスで実践している人のお話を中心に、渋沢栄一に焦点を当てたお話も加えた幅広い内容のプログラムを検討しています。
 初めて渋沢栄一を知る人も、栄一の思想を仕事や実生活で生かしたい人にもお楽しみいただける内容でございますので、毎年ご参加いただいている方だけでなく、初めてご参加される方にもお勧めいたします。また、オンラインのセミナーとなりますので、遠方にお住まいの方やこれまで会場まで足を運べなかった方のご参加もお待ちしています。詳細やお申込み方法は決まり次第、財団ホームページ等で告知させていただきます。


― 来年も研究センターをどうぞよろしくお願いします。―


(研究センター 加藤 愛子)


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