研究センターだより

54 「論語とそろばん」セミナー2020 無事終了いたしました!

『青淵』No.852 2020(令和2)年3月号

「論語とそろばん」セミナー2020 報告

 1月18日(土)に行われた本セミナーは、今回で10回目を迎え、過去最高の249名のご参加を賜りました。ご参加者の皆様、ならびにお力添えをいただいた関係各位に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。お礼を申し上げるとともに、セミナーの報告といたしまして内容を振り返りたいと思います。

セミナー1

井坂 康志氏(ものつくり大学特別客員教授/ドラッカー学会理事)
 「P・F・ドラッカーと日本 --渋沢栄一、明治維新、日本美術」
 日本文化に造詣が深かったドラッカーについて、日本美術、渋沢栄一、そして明治維新と3つの切り口でご解説くださいました。また、「渋沢ルネッサンス」をキーワードにして、ドラッカーが渋沢から強く影響を受けたように、私たちも渋沢の英知を改めて知り・発見していく今後の展望についてお話いただきました。

セミナー2

堂目 卓生氏(大阪大学総長補佐/社会ソリューションイニシアティブ長/大学院経済学研究科教授)
 「アダム・スミスと渋沢栄一の思想から見た今後の資本主義」
 スミスと渋沢の思考法を分析し「寛容な人間観」「人間関係の重視」「中庸の精神」「経世済民の思想」という共通の考え方、また両者が理想とした資本主義の形「共感資本主義」についてご解説くださいました。関連して、堂目氏が所属する大阪大学社会ソリューションイニシアティブの活動をご紹介いただきました。

経営者インタビュー

朝倉 祐介氏(シニフィアン株式会社共同代表)、守屋 淳氏(聞き手)
 「論語と算盤と経営」
 本セミナーの企画・監修を務めた守屋氏による経営者インタビューは、2019年『青淵』11月号掲載のインタビューをさらに深堀りした内容となりました。朝倉氏による、渋沢栄一が与えた影響やこれまでの経験・実績を交えたエピソード、現在ご活躍されているスタートアップ業界がもたらす経済発展の可能性について、力強くお話しいただきました。
 
 こうした各専門分野のアプローチから、「論語と算盤」を現代に重ね合わせて考えることで、渋沢栄一の思想や活動に今日的な意義を見出す学びあるセミナーとなりました。なお、セミナーでご回答いただいたアンケートはただいま集計中でございます。ご意見・ご感想は次回以降の運営に活かして参りたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 

2月の研究センターのイベント

 渋沢栄一とフィランソロピーシリーズ5巻 出版記念シンポジウム
 「国際交流に託した渋沢栄一の望み−「民」による平和と共存の模索」
 

 昨年出版した渋沢栄一とフィランソロピーシリーズ5巻の集大成として、執筆者による発表ならびにディスカッションを予定しております。 
→本シンポジウムは終了いたしました。

<日 程>
 日時:2020年2月14日(金)14:30〜16:40
 会場:国際文化会館 樺山・松本ルーム

<開催概要>
 600に及ぶ社会事業に携わってきた渋沢栄一。本シンポジウムでは、第一次世界大戦を前後する日本社会の状況を再確認しながら、渋沢の関与した国際交流事業と米中日関係について注目します。
 渋沢の国際社会に対する姿勢や、平和実現に向けた思考を問いながら、その国際交流活動の実践と現代的意義を、メディアの役割を含めて考えます。

 テーマ : 戦間期の米中日関係と渋沢の国際交流
 司会 : 見城 悌治(千葉大学教授)
 趣旨説明 : 飯森 明子(早稲田大学アジア太平洋研究センター特別センター員)

 パネリスト
 1.櫻井 良樹(麗澤大学教授、第1章執筆者):日本の国際化と渋沢栄一の「国際道徳」
 2.高光 佳絵(千葉大学准教授、第5章執筆者):民主化潮流と国際通信社設立への思い
 3.于 臣(横浜国立大学准教授、第9章執筆者):中国メディアによる報道と渋沢栄一のジレンマ―1914年の中国訪問を手掛かりに

 討論者 : 酒井 哲哉(東京大学教授)

<書籍情報>
 書名:渋沢栄一と「フィランソロピー」⑤
 『国際交流に託した渋沢栄一の望み ―「民」による平和と共存の模索―』
  編著者:飯森明子(編著) 出版社:ミネルヴァ書房 価格:3,800円(税抜)
 
*開催の様子は次回の研究センターだよりでお伝えしたいと思います、どうぞお楽しみに!

(研究センター 加藤 愛子)


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