史料館だより

26 まもなく再開!

『青淵』No.703 2007年(平成19)10月号

 5月の連休明けから本館改築工事のため休館とし、皆様にご不便をおかけしてきました。その工事も順調に進み、まもなく終わりを告げようとしています。史料館では11月1日の再開館にむけて、準備を進めているところです。
 工事自体は、これまで地上2階、地下1階の3層だったところを、1階と地下1階の間にもう1層設けるというのがメインの工事です。これまで地下1階にあった学芸員室の拡充をはかるところから考え、その結果移動を余儀なくされた地下の休憩室(和室)と倉庫を新たに設けたフロアに移動するという計画から始まったものでした。その新たに出来るフロアが予想以上にスペースが確保できるところから更に収蔵スペースの拡充もはかることとし、移動させる倉庫に加え、書庫が増設され、さらにパソコン利用の増加に伴い、分散設置されていたサーバーを一箇所に集めたサーバールームを設けることとなったのです。
 利用者の方からすると、長期休館して大工事をした割には、「どこが変わったの?」と思われると思いますが、史料館としては、史料整備面での活動で充実をはかれることとなりました。
では、皆様の目に触れる部分での変化はなにかと言いますと、正面出入口が自動ドアに変更することと、館内サインの一部が変化し、常設展示への英文解説を用意するようにした点があげられます。ご来館いただいた際にご確認いただければと存じます。
 さて、充電期間を終えた史料館は、11月より対外的な活動を本格的に再開させます。例年開催している秋季の企画展は行いませんが、色々な事業を用意して皆様のご来館をお待ちしております。そこで、今回はPRを兼ねて用意している事業をご紹介させていただきます。
 最初は、文化財講演会です。これは、毎年恒例で東京都教育庁が主催する「東京文化財ウィーク2007」の企画事業に応募し、採用されたものです。
 まず、I として、11月10日(土)13時〜15時に開催するもので、文化庁主任文化財調査官の堀勇良先生による「日本の近代建築を築いた人々」と題するものと、II として、11月17日(土)の同じ時間に、居住技術研究所の加藤雅久先生による「日本の近代建築の窓・扉そしてガラス」と題するものの2本です。
 講師の先生は、共に晩香廬、青淵文庫の保存修理工事の際に検討委員としてご指導いただき、晩香廬、青淵文庫2つの重要文化財について熟知されており、それを踏まえた上で近代建築についてお話いただくことになっています。とても興味深い内容が期待できます。共に事前の申し込みが必要ですが、詳細は、本誌裏表紙に掲載している広告をご覧下さい。
 また、文化財ウィークの公開事業期間中の11月3日(祝)と10日(土)に同事業の一環として行う晩香廬、青淵文庫の内部公開もあります。
 晩香廬、青淵文庫の内部公開につきましては、昨年度から今年5月6日まで1年通して毎土・日・祝日の午後公開してきましたが、この11月1日以降は、通年は変わりませんが、毎土曜日の午後の公開とすることとしました。先の東京文化財ウィーク公開事業期間中以降でもご覧いただけます。
 次に紹介するのは、11月11日(日)の渋沢栄一の命日に記念事業として開催する次の事業です。
 まず、この日を「無料入館デー」といたします。
 次に、当館にて所蔵する渋沢栄一関係のフィルムの上映会を開催いたします。当日10時30分、13時、15時開始の3回の上映を予定しています。最初に10分程の説明をし、全体で約1時間を予定しています。渋沢栄一および家族をはじめとした周辺の人々の動く姿に新たな一面が発見できるかもしれません。
 3つ目は、児童書の読み聞かせです。
 渋沢栄一は、1927年、アメリカと日本の子どもたちの友情の証として、人形による日米交流を行っていますが、この事業を知ることができる児童書『青い目の人形メリーちゃん』の読み聞かせを行い、渋沢栄一の国際親善への想いを理解してもらえることを期待するものです。
 11月11日は、第一次世界大戦が終結した平和記念日。1926年から渋沢栄一はラジオを通じて平和の尊さを訴えていた記念日でもあります。
 命日記念事業の最後は、晩香廬・青淵文庫の内部公開です。通常の公開日ではありませんが、命日であるからこそ渋沢栄一ゆかりの建物で改めて渋沢栄一に想いを馳せていただければと思います。
 そして、11月1日からの再開館に合わせて常設展示の「書画コーナー」の展示を一新させて皆様をお迎えします。11月1日から25日にかけて「新収資料展・錦絵を読む」と題して行うのがそれです。新しく収集された資料の中から2点の錦絵を紹介します。第1期を11月1日から11日までとし、彰義隊・上野戦争関係の錦絵、第2期を11月13日から25日までとし、1882年当時の各界有名人を2人1組とし、首相撲で力くらべをするという諷刺画を展示します。
 単に錦絵を紹介するのではなく、それぞれ描かれた内容を読み解くための文書等関連資料との組み合わせで1つの展示として観ていただくことにしています。錦絵の美しさのみならず、絵に込められた意味の深さを感じていただければと思います。
 さて、以上ご紹介してきたとおり、お楽しみいただくなかで、発見、学びに繋がる行事を予定しておりますので、会員の皆様方におかれましては、本誌に付いています特別入館券(11月号に添付)をご利用になり、秋のひと時、飛鳥山のリフレッシュされた渋沢史料館で気分一新されてはいかがでしょうか?ご来館を心からお待ち申し上げております。

(館長 井上 潤)


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