史料館だより

22 竜門社120年 企画展開催 − 昭和初期の竜門社総会をご紹介します

『青淵』No.691 2006年(平成18)10月号

 飛鳥山に美しい虫の音が広がる秋。渋沢史料館では、「青淵先生、想い続けて120年・竜門社の歩み・」と題し、当財団の歩みを振り返る企画展を開催いたします。 
 「竜門社」は、東京深川の青淵先生邸に寄宿し、当時「書生」と呼ばれていた若者たちが集い、新しい日本をつくろうと勉学し、自己の意見を発表し、研鑽を積んでいたのがはじまりです。
 「竜門社」は、その後、青淵先生の考え方や人柄を慕う人々の集まりに次第に変容し、大正13年には「財団法人」となりました。そして、青淵先生の考え方や功績を語り継ぎつつ、日本の文化や社会活動の基盤となる経済活動に、「道徳」を根付かせようと努力しました。
 終戦直後は、経済や社会情勢の逼迫にともない一時事業の縮小を余儀なくされますが、その後も青淵先生の偉業及び徳風を追慕顕彰し、青淵先生が終始唱道実践していた「道徳経済合一主義」に基き経済道義を昂揚することを目的に今日まで活動を続けています。
 本企画展では、当財団が創立120年を迎えたことを記念し、これまでの活動を紹介しながら、青淵先生を慕い、その考え方を自分の『生き方の大原則』とした人々の熱い想いを、日本社会の発展とともにご覧いただきたいと思います。
 第1章では、「竜門社」の設立当初の書生たちの様子をはじめ、日々の活動や「竜門社」が次第に発展していく様子、大規模な総会の開催など、明治、大正、昭和初めの竜門社の活動をご紹介いたします。第2章では、青淵先生亡き後、「道徳経済合一主義」を受け継ぎその実践及び普及につとめるとともに青淵先生自身についても伝えていく様子をご紹介いたします。第3章では、設立以来変わらない、青淵先生が終始唱道実践していた「道徳経済合一主義」に基き経済道義の昂揚を目的に、実践し続けている現在の当財団の活動と年々活動を拡大する新たな取り組みなどをご紹介いたします。
 特に、今回の企画展では、昭和5年、7年に青淵先生邸で開催された総会の様子や、昭和56年に開催した「渋沢青淵翁没後50周年記念総会」で映写された、会員が想い続けた青淵先生のお姿をおさめたフィルムを公開いたします。さらに、企画展関連事業といたしまして、当史料館スタッフによる展示解説をはじめ、会員総会の一部紹介を試みて、総会の際に行われていたさまざまな余興の中から落語を選び、〔青淵寄席〕と題して開催いたします。
 今秋も是非、当史料館に足をお運びくださいますようお願い申し上げます。

(学芸員 川上 恵)


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