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『青淵』No.663 2004年(平成16)6月号
研究部は、昨年4月から港区南麻布に事務所を開設し本格的な活動を開始しました。研究部事業の目的は、(1)渋沢栄一の思想やアイデアをさらに掘り下げ究明するための研究活動を行うとともに、(2)新しい学問分野である実業史研究を支援することにより、渋沢栄一の生涯を浮き彫りにすること、(3)渋沢がかかわったビジネス・公共政策・国際問題に関する研究を支援することです。さらに、(4)こうした研究を行う内外の研究者ネットワークの構築を進めてゆきたいと考えています。
このような目的を達成するために、従来の渋沢国際セミナーに加えて今年度よりさまざまな活動が始まりました。その中から主な3事業を紹介いたします。
【1.渋沢栄一記念講座(慶應義塾大学)】
4月から慶應義塾大学法学部で当財団の寄附講座「シヴィル・ソサエテイ論――新公益論 新しい国づくりを目指して」が始まりました。企画・協力は(財)日本国際交流センターで、講座の詳細は左ページの通りです。
現在の日本は構造改革が迫られていますが、日本の近代化を民間人として指導した渋沢栄一のヴィジョンと行動は従来になく注目されています。毎回400人を超える学生が講義に熱心に耳を傾け、講義が終わると活発な質疑応答が行われています。
【2.第5回渋沢国際セミナー】
6月18日から21日まで4日間、青森県奥入瀬第二グランドホテルにて恒例の渋沢国際セミナーを開催します。全体のテーマは「日本の挑戦」で、政党政治、郵政民営化、グローバル化と市民権、政軍関係の日米中三国比較などについて40名以上の内外の研究者が参加し、さまざまな角度から討論を行います。報告内容は英文論文集として来年早々に出版する予定です。1999年に始まったこの国際セミナーも今年で5回目となり、いままでの参加者は、米・加・中・韓・英・シンガポール・日の7カ国のべ100人を越えます。本セミナーを通じて新しい知的ネットワークが形成されてきました。
【3.渋沢国際儒教セミナー】
渋沢栄一の儒教思想を同時代の世界の思想家や実業家と比較しながら、新しくかつユニークな側面を明らかにするセミナーです。関西大学文学部の陶徳民(とうとくみん)教授が中心となり日中米の研究者が今後3年間研究を続け、その成果を日英2カ国語で出版する予定です。今年9月24・25日の2日間にわたり、東京六本木の国際文化会館で「比較視野のなかの社会公益事業」と題するシンポジウムを行います。
(研究部部長 木村 昌人)
「シヴィル・ソサエティ論――新公益論 新しい国づくりを目指して」
講義時間/月曜日 16:30-18:00
教室/三田キャンパス西校舎517号
4月19日 | 山本 正 (財)日本国際交流センター理事長・慶應義塾大学法学部訪問教授 「新しい公益の担い手としてのシヴィル・ソサエティ: 渋沢栄一記念講座の枠組みと展望」 |
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4月26日 | 渋沢 雅英(財)渋沢栄一記念財団理事長 「渋沢栄一の今日的意義」 |
5月17日 | 船橋 洋一 朝日新聞社特別編集委員 「個の確立と新しい公の創出」 |
5月24日 | 大西 健丞 ピースウィンズ・ジャパン代表 「シヴィル・ソサエティの国際貢献」 |
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7月 5日 | 明石 康 元国連事務次長 「グローバル・ガバナンスへの日本の貢献と国連の協力」 |
7月12日 | 武見 敬三 参議院議員(自民党) 「日本外交の新しい枠組みとしての人間の安全保障」 |
5月10日 | 堀田 力 さわやか福祉財団理事長 「福祉政策の進展と新しい公益」 |
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6月 7日 | 木村 昌人 文京学院大学経営学部教授 「渋沢栄一に学ぶ教育、社会福祉の分野におけるシステムづくり」 |
6月28日 | 五百旗頭 眞 神戸大学大学院法学研究科教授 「渋沢栄一と福沢諭吉:新しい時代の人材育成」 |
6月14日 | グレン・S・フクシマ 日本ケイデンス・デザイン・システムズ社会長 「企業と公益」 |
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6月21日 | 茂木友三郎 キッコーマン(株)代表取締役社長 「企業からみた行政改革の急務」 |