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『青淵』No.925 2026年(令和8)4月
今年も飛鳥山が美しいサクラ色に染まる季節がやってまいります。お花見を楽しみながら、ぜひ渋沢史料館にもお出かけいただければと思います。私のおすすめは、渋沢史料館の「リフレッシュコーナー」からの眺め、また晩香廬の外観とともに咲き誇る桜をみることです。さて、弊財団の創立140年という節目の年となる、今年度の渋沢史料館の活動予定をお知らせいたします。
今春は4月1日(水)から7月26日(日)まで企画展「竜門社創立140年 青淵先生と初期竜門社の人びと 渋沢栄一を慕い、学んだ若者たち」を開催します。弊財団の前身である竜門社は、「青淵先生」こと渋沢栄一を慕い集った書生たちによる学習の場が起源となりました。企画展では活動の中心的な役割を担った書生出身の竜門社員たちに注目します。夏季には「収蔵資料展」を予定。秋季には「竜門社創立140年」にまつわる企画展を開催し、春の内容とは全く異なる視角から竜門社の歴史を概観します。そして年明けの2027年春季には「渋沢史料館のひな祭り」、「日米友情人形展」を開催予定です。このほか、常設展示資料の一部展示替えも実施する予定です。
資料の保存と活用という観点から、今年度も引き続き資料整備の強化を図ります。自然豊かな飛鳥山公園に建つ渋沢史料館。私たちは多くの植物、生物等と共生しています。その一方で、所蔵する貴重な博物館資料、大正建築を未来に伝えていくことも重要な使命です。今年度も建築の調査や修繕、また館内の書庫や収蔵庫では、除塵防黴作業などを実施し、安定した環境の中で資料の整理、保存を行ってまいります。
栄一及び家族、関係者を含む周辺事象に関係する資料(原資料だけでなく、二次的媒体に変換されたものも含む)、情報(関係資料の所蔵先、関係の出版物、研究発表、聞き取り情報等)の集積も継続します。昨年度は資料寄贈も多くありました。ご寄贈いただきました皆様に心より御礼申し上げます。引き続き資料収集を継続し、収蔵資料の充実に努めていきます。
栄一にまつわるさまざまな事象や所蔵資料、新規収集資料の基礎研究はもちろん、今後予定している展示事業のための調査研究を展開してまいります。また博物館や美術館等からお声掛けをいただき、弊館所蔵の資料を出品することや共同で調査を行うことが増えてきました。弊館にとって大きな学びの機会となりますので、積極的にご協力をしてまいります。またレファレンス対応の調査や、栄一および周辺に関するオーラルヒストリー事業を継続します。さらに博物館、美術館等の視察、各種研究会、学会、研修会へ積極的に参加して各学芸員の研鑽、弊館の活動に役立てたいと思っております。
いわゆる「コロナ禍」が落ち着いた現在、東京都北区地域を中心とする小・中学校の団体見学が増えてきました。先生方にとっては限られた授業時間のなかで生徒を引率して、弊館へ見学に来ていただくことは大変だと思います。しかしながら博物館を訪れて「実物資料を見る経験」、「実物資料に触れる体験」は、教室の中ではできない大きな学びになると思います。ぜひ渋沢史料館をご活用ください。なお教育活動の一環として入館する小学校、中学校の児童生徒及び引率者は、入館料が無料になります。来館希望日の2週間前までに弊館へご連絡ください。
また今年度も常設展示の内容をより詳しく解説した「ディスカバリーシート」を発行します。バックナンバーも含めてご見学の際の補助資料としてお楽しみください。秋には、渋沢栄一の命日を偲ぶ「青淵忌」を開催予定です。
今年度も、当館の事業報告と論文や資料紹介、調査報告等を収録した『渋沢史料館年報』や、企画展の図録を刊行する予定です。また新たなミュージアムグッズ、渋沢史料館カレンダー(2027年)などを販売するために、準備をしております。
今から20年前の2006年の秋に、弊館で企画展「青淵先生、想い続けて120年―竜門社のあゆみ―」を開催しました。この「120年展」は、関根学芸員、永井学芸員、そして私の計3名で分担しました。当時は3名とも勤務経験が浅く、竜門社の歴史を十分に理解していませんでしたが、展示準備のために、弊館に伝来する竜門社の諸先輩方が残した記録や資料を調査するため、毎日のように収蔵庫に籠りました。
さらに当時、弊財団の総務部で保管する金庫を開けてもらい、1924年に文部省より認可された「財団法人設立許可書」、1888年発行の『竜門雑誌』第1号(新版)が発見されたときには、財団の歴史的な実物資料に感動し、皆で喜んだことを今でも思い出します。
私たちは、弊館が建つ飛鳥山が、栄一と竜門社の先輩方が活動をしていた中心地であり、今もこの場所に栄一の志とともに、栄一を慕う竜門社の会員の皆様の想いが息づいていることを学び、身を引き締めて展示準備を進めました。「120年展」が無事にオープンを迎えたときに、私たちは渋沢史料館の学芸員としての基礎を叩き込まれた気がしました。竜門社の諸先輩の想いが込められた資料が、春と秋の企画展ではどのように紹介されるのでしょうか。ぜひご期待ください。
2031年には、「渋沢栄一没後100年」の節目を迎えます。5年後に私たちはどのようなことができるのか検討を始めました。まずは竜門社の先輩方が、栄一の記念事業について、これまでどのような取り組みを行ったのかを調査しています。また飛鳥山で晩年に栄一がとくに力を入れていた民間外交は、今日の国際問題を考えるうえでのヒントになるのではないでしょうか。今後も丁寧に調査研究を積み重ねて、皆様にご紹介できるよう学芸員一同、努力してまいります。
(渋沢史料館副館長 川上 恵)