情報資源センターだより

71 渋沢栄一のかかわった社会公共事業について知るには?

『青淵』No.869 2021年8月号|情報資源センター 若狭正俊

 新紙幣の肖像画報道や大河ドラマ放送開始によって渋沢栄一が広く知られるようになり、世間の認知度の高まりを普段の生活の中でも感じられるようになりました。また生誕の地・埼玉県深谷市や終焉の地・東京都北区など、全国各地の渋沢栄一ゆかりの地でも大々的にPR活動が行われているおかげで、渋沢栄一の生涯やかかわった会社・団体、事績について興味を持つ方も増え、身近な渋沢栄一を発見、再認識する機会も増えているようです。

 当センターでは、渋沢栄一関連の会社・団体の名称変遷を図にまとめて可視化したデジタルコンテンツ「渋沢栄一関連会社名・団体名変遷図」(以下、「変遷図」)をインターネットで公開しています。世間の渋沢栄一熱の高まりに比例して、「変遷図」も多くの方に活用されるようになりました。「変遷図」は現在、既掲載図の更新とあわせ、未掲載の社会公共事業分野の団体名について、変遷調査および図の作成を進めています。渋沢栄一は「日本近代資本主義の父」として実業家の面が強調されがちですが、社会事業家としてかかわった社会公共事業も約600にのぼるといわれており、福祉、医療、教育、芸術文化、国際親善などの分野においても数多くの功績を残しています。2021年5月時点で団体名変遷図の公開数は26図となりました。掲載した団体名の数は『渋沢栄一伝記資料』所収のうち、まだ2割弱程度ですが、今後も定期的に掲載数を増やしていく計画です。

 「変遷図」は、文献やインターネットで開示されている情報を調査して、典拠の裏付けをしたうえで公開しています。社会公共事業については、諸団体が刊行した団体史を収集し、典拠情報のひとつとして採用しています。

 本年度より、これらの収集した団体史をより活用し、渋沢栄一に関する情報資源の発掘に役立てるべく、当センターのブログにて「団体史紹介」記事の投稿を開始しました。内容は、文献解題と外部所蔵情報、当財団で発信している各種デジタルコンテンツへのリンクなどです。これまで同ブログで投稿してきた「社史紹介」記事と隔月発信していく予定です。

 「変遷図」、ブログともインターネットがつながる環境であれば、どなたでも無料、登録不要でいつでもご覧いただくことができます。また「変遷図」は、日本のデジタルアーカイブをまとめて検索、活用できる「ジャパンサーチ」にもデータを提供し、利活用の幅を拡げています(二次利用条件:画像CC BY-ND(クレジット要表示・画像の改変禁止))。渋沢栄一の社会公共事業への貢献について知っていただくツールのひとつとして、ご活用いただければ幸いです。

【参考リンク】
公益財団法人渋沢栄一記念財団
(URL)https://www.shibusawa.or.jp/
渋沢栄一関連会社名・団体名変遷図
(URL)https://eiichi.shibusawa.or.jp/namechangecharts/
情報資源センター・ブログ:情報の扉の、そのまた向こう
(URL)https://tobira.hatenadiary.jp/


 

「一般教育C」

渋沢栄一関連会社名・団体名変遷図「一般教育C」
渋沢栄一関連会社名・団体名変遷図
「一般教育C」

 渋沢栄一は多くの教育機関を支援しています。その中から3つの大学の名称変遷について掲載しました。日本体育会(現・(学)日本体育大学)では臨時拡張委員、(財)国士舘(現・(学)国士舘)では維持委員、私立高千穂学校(現・(学)高千穂学園)では資金保管主任、評議員を務めました。
(2020年11月12日公開)


 

「社会福祉C」

渋沢栄一関連会社名・団体名変遷図「社会福祉C」
渋沢栄一関連会社名・団体名変遷図
「社会福祉C」

 渋沢栄一が亡くなるまで院長として深くかかわった養育院の事業から東京市養育院感化部(現・東京都立萩山実務学校)、勝山保養所(現・東京都船形学園)、東京市養育院巣鴨分院(現・東京都石神井学園)について掲載しました。
(2021年4月16日公開)



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