情報資源センターだより

63 新連載「わがまちの渋沢栄一」をはじめました

『青淵』No.845 2019年8月号|情報資源センター 若狭正俊

 情報資源センターでは、本年2019年1月号より3ヵ月に1度の間隔で、本誌『青淵』に、連載記事「わがまちの渋沢栄一」を掲載することになりました。本連載は、渋沢栄一を身近に感じ、より興味を持ってもらうことを目的としています。記事制作にあたっては、主に掲載テーマの関連文献を参考に、あわせて現地取材も行っています。今回は、過去掲載した3回の内容について、連載では掲載できなかったことも含めてご紹介したいと思います。

第1回 八基小学校~埼玉県・深谷市~ 第838号(2019年1月号)

 渋沢栄一生誕の地、深谷市の八基小学校をテーマにしました。校歌は栄一の長女、歌子が作詞しており、栄一も故郷に帰った際は同校を訪れ、講演をしています。現在も学校の地域教材として「渋沢栄一」が活用されており、栄一の精神は若い世代に伝えられています。

 現地取材を行ったのは、栄一の命日11月11日で、JR深谷駅前に建つ栄一像の前では献花式が行われていました。多くの方々が参加しておられ、当地での栄一に対する思いの強さが感じられました。栄一の生地「中の家」をはじめ、深谷市内を巡れば、栄一を身近に感じることができる数多くの関連史蹟や施設があります。

第2回 栄一手植えの楠~千葉県・旭市~ 第841号(2019年4月号)

 栄一が現在の千葉県旭市を訪れたときの様子を中心に紹介しました。同地には栄一が植樹した楠が現存しています。楠は栄一が小学校に講演に訪れた記念に植えられたもので、2019年で植樹から100年の節目を迎えました。

 旭市にある千葉県東総文化会館では、本年4月から6月末まで、ふるさとミュージアム「渋沢栄一と旭展」と題する展覧会が催されました。楠を紹介するパネルには、本連載記事も掲載されました。

 また隣接の香取市にも、栄一の足跡が多くあります。同地の千葉銀行小見川支店のロビーには、栄一訪問の際に撮影した記念写真や栄一が揮毫した扁額が展示されています。

第3回 化学肥料創業記念碑~東京都・江東区~ 第844号(2019年7月号)

 東京都江東区大島の公園に建つ化学肥料創業記念碑および同地にあった化学肥料会社(現在の日産化学株式会社)と栄一の関わりについて紹介しました。

 記念碑は栄一没後に建設されたもので、財界人によってつくられた「青淵翁記念会」や複数の栄一関連会社・団体が建設に参加しています。栄一の嫡孫である渋沢敬三も除幕式に参列しました。このような事柄は記念碑の側面や背面に刻まれていますが、これまであまり紹介されてきませんでした。今回現地取材をして直接確認することができ、栄一史資料の再発見となりました。


 栄一は約500の会社、約600の社会公共事業に関わったと言われています。「日本資本主義の父」と呼ばれ、金融や経済の面で注目されることが多い栄一ですが、第1回と第2回で触れた学校教育や第3回で紹介した農業関連事業など、様々な分野で活躍しています。本連載では多様な面から栄一に関する新しい発見や身近なつながりを感じることができる記事づくりを目指していきます。

 現在は栄一の活動の中心であった東京都や関東圏をテーマにしていますが、いずれその他の地域についてもご紹介できたらと考えています。本連載が皆さまのお住まいの地域や職場にある「わがまちの渋沢栄一」を見つけるきっかけとなれば幸いです。

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 渋沢栄一について知ることができる下記財団ウェブサイトもご活用ください。

・デジタル版『渋沢栄一伝記資料』
渋沢栄一の生涯とその事績をまとめた資料集『渋沢栄一伝記資料』のインターネット公開版。テキストの検索や原本ページ画像の閲覧等ができます。
(URL)https://eiichi.shibusawa.or.jp/denkishiryo/digital/main/

・渋沢栄一ゆかりの地
『渋沢栄一伝記資料』をもとに、都道府県など「地域」を切り口として渋沢栄一が関与した事業や旅の足跡を紹介しています。
(URL)https://www.shibusawa.or.jp/eiichi/yukarinochi/index.html

・渋沢栄一関連会社名・団体名変遷図
『渋沢栄一伝記資料』に掲載されている渋沢栄一の関わった会社・団体の名称の変遷を図によって紹介しています。名称を検索することもできます。
(URL)https://eiichi.shibusawa.or.jp/namechangecharts/


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