ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信)

第17号(2009年4月17日発行)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

☆      □■□ ビジネス・アーカイブズ通信 □■□

☆      No.17 (2009年4月17日発行)

☆   発行:財団法人渋沢栄一記念財団 実業史研究情報センター

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

この通信では海外(主として英語圏)のビジネス・アーカイブズに関する情報をお届けします。

今号は文献情報4件です。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆ 目次 ◆

[掲載事項の凡例]

[お願い]

■文献情報:ビジネス・アーカイブズ ウェブサイト 6
  □英国BTアーカイブズ
 
■文献情報:アーカイブズと倫理 4
  □米国アーキビスト協会(SAA)会長コメント「倫理を強制すること」

■文献情報:アーカイブズ政策 2
  □米国国立公文書館(NARA)大統領記録へのアクセスに関する意見募集
 
■文献情報:アーカイブズと情報公開 1
  □世界銀行の情報公開ポリシーの見直しと全世界的な協議

[略称一覧]

☆★ 編集部より:次号予告 ★☆
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

[掲載事項の凡例]
・タイトル、発表者、発表者所属等には一部(英語圏以外の人名など)を除き、編集部による日本語訳を付します。
・日本語で読みやすいものになるように、はじめに日本語訳を、続いて原文を記します。
・人名の日本語表記は便宜的なものですので、検索等を行う場合はかならず原文を用いてください。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

[お願い]
・受信時にリンク先を示すURLが途中で改行されてしまう場合があります。お手数ですがコピー&ペーストで一行にしたものをブラウザのアドレス・バーに挿入し、リンク先をご覧ください。

===================================

■文献情報:ビジネス・アーカイブズ ウェブサイト 6

===================================

□英国BTアーカイブズ
BT Archives

BTグループは英国の大手電気通信事業会社です。同グループのアーカイブズならびに歴史関連ウェブページをご紹介します。

ホームページによると、同グループは世界最古の通信会社です。グループの前身にあたるThe Electric Telegraph Company社は1846年に設立されています。グループ企業は1912年から1968年までは郵便局の管理下、1969年から80年までは郵便局の一部としてブリティッシュ・テレコミュニケーション(略称ブリティッシュ・テレコム)となり、1981年から84年にかけては国営企業BT、そして1984年に民営化されて今日に至っています。その複雑なグループの系譜図を一覧化したものが下のページです。

■BTグループ系譜図■
The BT family tree
http://www.btplc.com/Thegroup/BTsHistory/TheBTfamilytree/index.htm

■電気通信史における主要な出来事の検索ページ■
Events in telecommunications history: searching
5つの時代区分のうち該当する時期の検索窓に年代を入力して検索すると、その年の出来事が表示されます。
http://www.btplc.com/Thegroup/BTsHistory/Eventsintelecommunicationshistory/Eventsintelecommunicationshistory.htm

■私企業のなかの公文書■
BTアーカイブズはBTグループ企業とその前身企業の歴史情報を保存しています。民営化以前の記録は1958年と1967年の公文書法(Public Records Act)の規定によって公文書と分類されます。そして同法の規定に従い、BTアーカイブズはこれらの公文書を保存し、作成後30年経過したものを公開する法的義務を負っています。この目的のために、同アーカイブズは大法官(Lord Chancellor)から「公文書のための公式保管庫」(official deposit for public records)に指定されています。
http://www.btplc.com/Thegroup/BTsHistory/BTgrouparchives/index.htm

■利用案内■
アーカイブズの閲覧室は公的な休日・祝日を除き、年間を通して、火曜日と木曜日の10時から16時まで開館しています。利用には事前の予約が必要です。
http://www.btplc.com/Thegroup/BTsHistory/BTgrouparchives/Informationandaccess/index.htm

■資料概要■
資料は大まかには「図書資料」「アーカイブズ資料」「写真・フィルム・ビデオコレクション」の3つに分類されます。
「図書資料」と「アーカイブズ資料」のオンライン目録の検索ページ
http://www.dswebhosting.info/bt/

アーカイブズの主要なコレクションに「1880年以降の英国電話帳コレクション」と「民間電信電報会社コレクション」があります。

■「1880年以降の英国電話帳コレクション」■
http://www.btplc.com/Thegroup/BTsHistory/BTgrouparchives/Majorcollections/InfoSheetphonebooksissue5.pdf
本コレクションには1880年以来の英国の電話帳ほぼすべてと、1921年までの南アイルランドの電話帳が含まれます。電話帳というものはそもそもは長期保存を意図して作成されたものではなく、現用の後は資源として再利用される(特に戦時ならびに戦争直後)ものです。そして紙質も低級です。そのため、古い電話帳は大変劣化しており、保存のための手当が必要とされます。

BAアーカイブズでは1993年から1994年にかけて、1992年までの電話帳をマイクロ化しました。その後26か月かけて、1880年から1984年分の電話帳をスキャンしてデジタル化、オンラインで提供しています。このプロジェクトでは1,780冊の電話帳をデジタル化し、そこに含まれる名前は2億8,000万件に及びます。

■「民間電信電報会社コレクション」■
http://www.btplc.com/Thegroup/BTsHistory/BTgrouparchives/Majorcollections/InfoSheetprivatetelegraphsissue1v3.pdf
英国における電信システムの初期の発展は、鉄道の発達と密接に関連しており、もっぱら民間の手によるものでした。これは政府による管理下にあった大陸ヨーロッパ諸国と大きく異なるものです。しかし英国でも1870年には郵便局の管理下におかれて、国営化されました。BTアーカイブズでは国営化される以前の民間会社の記録も保有しています。いっぽう、後にケーブル・アンド・ワイヤレス社(Cable & Wireless)を形成することになった企業群の記録は、ポースクーノ電信博物館(Porthcurno Telegraph Museum)で所蔵されています。

国営化される以前の民間会社の記録も1992年にBTアーカイブズに移管されました。それに伴い、改めて目録が作成されました。これは出所を反映したもので、資料へのアクセスは向上しています。

■BTヘリテッジ・ポリシー■
http://www.btplc.com/Thegroup/BTsHistory/BTgrouparchives/OurHeritagePolicy/BTHeritageleaflet8_11_04.pdf
もともとは企業の記録であったものも、時の経過とともに文化遺産に変わっていきます。BTはこういった遺産の保全に関してヘジテッジ・ポリシーを策定しています。これは企業の社会的責任遂行の一環と位置づけられています。

■BTアーカイブズ・ポリシー■
http://www.btplc.com/Thegroup/BTsHistory/BTgrouparchives/OurHeritagePolicy/BTA_policies_2006_10.pdf
BTアーカイブズはBTヘリテッジの一部で、BTおよび前身企業群の資料を保存し、これへのアクセスを提供することをその使命としています。これには次のような意義が与えられています。

・将来の意思決定に役立つよう、過去の行動と決定に関する知的資源を提供する。
・1958年と1967年の公文書館法で定められた義務を果たす。
・BTが2000年の情報自由法を順守することを支援する。
・BT社の社会的責任プログラムの一部を担う。
・法的証拠を提供する。
・挙証説明責任を示す。
・品質と業績に関する主張を立証する。
・歴史研究の土台を提供することによって、電気通信の歴史とその影響に関する研究に貢献する。

BTアーカイブズ・ポリシーでは「収集」(acquisition)、「保存」(preservation)、「アクセス」(access)に関して具体的なポリシーを定めています。これらに関しては次号で詳しくお伝えいたします。

■コネクティッド・アース・イニシアティブ■
http://www.connected-earth.com/
コネクティッド・アースは、BTが600万ポンド(約9億円)を出資してスタートした、通信(コミュニケーション)に関するウェブ上のオンライン博物館です。これはBTが保有する歴史的なモノ資料を適切に保存しつつ、できるだけ多くの人にそれらへのアクセスの機会を提供することを企図しています。こちらもBTヘリテッジの一部と位置づけられています。

1984年にブリティッシュ・テレコムが民営化された時点でこれらのモノ資料は約4万点ありました。そのうちのいくつかは19世紀半ばにさかのぼるものです。文書資料はBTアーカイブズを通じて一般の人々からのアクセスが保障されていますが、モノ資料は1997年にBT博物館が閉鎖されて以降、何年もの間利用することができませんでした。これらの資料を一般に提供する方法として採用されたのが、インターネット上の博物館というものでした。

[関連ページ]

BTグループ・ウェブサイト
http://www.bt.com/

BTジャパン・ウェブサイト
http://www.btj.co.jp/

===================================

■文献情報:アーカイブズと倫理 4

===================================

□米国アーキビスト協会(SAA)会長コメント「倫理を強制すること」
SAA President Frank Boles' comment "Enforcing ethics"

http://www.archivists.org/news/ethics09.asp

米国アーキビスト協会(SAA)のフランク・ボールズ会長は3月20日付で「倫理を強制すること」と題されたコメントを発表しました。ある研究者が行っている国立公文書館(NARA)に対する不服申し立てに関連して、ワシントンの(NARAに関連する:編集者注)SAA会員アーキビストに倫理的欠点があるのでは、という疑惑が指摘されています。SAAはこれに対して特に調査を行っていませんが、それを批判する声があり、SAA会長がコメントを発表したということです。

ボールズ会長によると、調査を行わない理由は現行のSAAポリシーによります。SAAの役員会に当たるSAAカウンシルは、2003年に同会の倫理規定から「強制」条項を削除し、2005年には同規定を改訂して、この規定が努力目標的な(aspirational)ものであることを再度表明したという経緯があります。組織であれ、個人であれ、倫理規定に抵触する疑惑が提起されたとき、これに対して何の行動も起こさないことは、多くの場合好ましくないと考えられます。しかしながら、ボールズ会長は現行ポリシーを継続することが最も賢明な行動であると表明しています。倫理上の不正行為に関する疑惑を裁かない、というSAAの現行ポリシーの根底には、次の4つの観点があります。

・類縁組織との比較検討
・強制システムの問題
・他の組織における強制努力の成功例
・法律問題

SAAの類縁組織である米国図書館協会(American Library Association: ALA)も米国歴史協会(American Historical Association: AHA)も倫理規定を持っていますが、いずれの倫理規定にも倫理を強制する条項がありません。

また疑惑に関する調査を公正に進める方法、陪審員をどのように適正に選ぶのか、どのように証拠を集めるのか、証拠に関するルールはどうするのか、罪をどのように量るのかなどなど、強制システムとそれに関わる手続きを定めることがきわめて困難でもあります。

米国歴史協会では1980年代後半から15年間にわたって、同協会の倫理規定を強制する試みを行ってきましたが、それはうまく機能せず、2003年にはこの実験に終止符が打たれました。

さらに、もしSAA内における何らかの裁きが民事裁判に発展した場合、SAAもしくは裁きに関与したSAA会員が損害賠償を負うという潜在的な可能性も、法的側面において考えられます。

米国図書館協会では、倫理規定には強制条項は含まれません。しかし、同協会は会員が所属する機関や組織の規定として、同協会の倫理規定を採用することを奨励しています。これは倫理的行為を実行するには現実的な方法だとボールズ会長は指摘しています。個々の組織が職員に倫理規定を順守させる義務を負うことになるからです。そして、SAAの倫理規定はSAAが会員に強制するものではなく、会員が自分たちの職場で利用するものであろうとSAA会長は結んでいます。

[関連ページ]

SAAアーキビストのための倫理規定
SAA Code of Ethics for Archivists
http://www.archivists.org/governance/handbook/app_ethics.asp

米国図書館協会倫理規定
Code of Ethics of the American Library Association
http://www.ala.org/ala/aboutala/offices/oif/statementspols/codeofethics/codeethics.cfm

米国歴史協会倫理規定関係
・職業上の行為規範に関する声明
Statement on Standards of Professional Conduct
http://www.historians.org/pubs/Free/ProfessionalStandards.cfm#Guidance

・専門職に関する諸問題(倫理規範類が集められています)
Professional Issues
http://www.historians.org/governance/pd/professionalissues.cfm

ICAアーキビストのための倫理規定(英語)
ICA Code of Ethics
http://www.ica.org/sites/default/files/Ethics-EN.pdf

ICAアーキビストのための倫理規定(日本語)
http://www.ica.org/sites/default/files/EthicsJA.pdf

米国大統領記録の研究者によるブログ
http://www.anthony-clark.com/blog1/?p=628

関連ブログ記事
http://www.archivesnext.com/?p=261

===================================

■文献情報:アーカイブズ政策 2

===================================

□米国国立公文書館(NARA)大統領記録へのアクセスに関する意見募集
NARA seeks input into the development of alternative models for Presidential Libraries

http://www.archives.gov/comment/request-for-input-march23-2009.pdf

SAA会長によるコメントの発端は、NARAが管理する大統領記録(そしてそれを所蔵する大統領図書館)へのアクセスをめぐる研究者からの異議申し立てにありました。NARAでは3月24日付で大統領記録へのアクセスに関する意見募集に関する文書を発表しています。

2008年大統領歴史記録保存法(the Presidential Historical Records Preservation Act of 2008)は、過去の大統領の財団(大統領図書館建設に責任を負う)が政府に寄付せねばならない金額を増額することを定めています(最初のブッシュ大統領とクリントン大統領図書館の場合は、建設費の20%が大統領の財団からの寄付でしたが、新しい法律ではこの割合が60%に引き上げられました)。

同法はさらに、国立公文書館長に対し、大統領図書館のための代替モデルに関するレポートを、議会に提出することを求めています。代替モデルは
(1)連邦政府の財政負担を減らす。
(2)大統領記録の保存を改善する。
(3)すべての大統領記録に対して一般の人々がなかなかアクセスできない点を解消する。
の3つが求められています。この代替モデル案作成のため、NARAは一般からの意見を募集しています。

NARAの文書は提案の例として次のようなものをあげています。(これらはあくまで議論を引き出すための参考事例であって、けっして提案を狭めるようなものではない、という但し書きがついています。)
・大統領記録の集中管理(現在は大統領毎に分散的に管理している)
・大統領博物館は民間組織の運営とし、大統領記録に関しては近くのNARA施設で閲覧等アクセスを提供する。
・すべてのコレクションをデジタル化してインターネットで提供する。
・紙資料その他保管すべきものは、長期保存のために、より廉価な保管場所で保管する。
・大統領記録法(PRA)の制限が適用される情報自由法(FOIA)の下で大統領記録を管理するのではなく、よりシステマティックに整理することによって、効率が上がる、など。

意見募集の締め切りは2009年4月17日。メールの宛先は となっています。

[関連ページ]

2008年大統領歴史記録保存法
http://frwebgate.access.gpo.gov/cgi-bin/getdoc.cgi?dbname=110_cong_reports&docid=f:sr525.110.pdf

大統領記録に関する合衆国憲法条項
http://frwebgate.access.gpo.gov/cgi-bin/usc.cgi?ACTION=BROWSE&TITLE=44USCC22

大統領図書館に関する合衆国憲法条項
http://frwebgate.access.gpo.gov/cgi-bin/usc.cgi?ACTION=RETRIEVE&FILE=$$xa$$busc44.wais&start=540269&SIZE=24028&TYPE=TEXT

本件に関するSAAのニュース記事
http://www.archivists.org/news/NARA-access.asp

===================================

■文献情報:アーカイブズと情報公開 1
 
===================================

□世界銀行の情報公開ポリシーの見直しと全世界的な協議
World Bank's disclosure policy review & global consultations

ワシントンDCに本部のある世界銀行グループでは、現在情報公開ポリシーの見直し中です。これまでは「これは公開してもよい」という「ポジティブ・リスト」に該当する情報だけを公開していたのですが、これからは例外的なもの以外は、基本的にすべて公開する方向で、情報公開ポリシーの改訂を行っています。

http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/PROJECTANDOPERATIONS/EXTINFODISCLOSURE/0,,contentMDK:22090574~menuPK:5904357~pagePK:64865365~piPK:64864641~theSitePK:5033734,00.html

現在、正式な情報公開ポリシーの策定中です。ポリシー草案に関する提案文書「より高い透明性のために:世界銀行の情報公開ポリシー再考」(Approach paper "Toward greater transparancy: rethinking the World Bank's disclosure policy")は世界銀行グループのウェブサイトで、英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、ポルトガル語、アラビア語、中国語のドキュメントとして公開されています。
http://siteresources.worldbank.org/INFODISCLOSURE/Resources/5033530-1236640024078/English_full.pdf (英語版)

さらに、アーカイブズ関係者からの意見も募集中です。連絡先のメールアドレスは以下の通りです。意見受付の締切は5月22日となっています。

★☆★編集部より:草案の要約★☆★

ポリシー草案の要約は、現行ポリシーと草案の違いを7つにまとめています。
[1]新しいアプローチでは、限定された例外を除いて、基本的にはすべて公開する。
[2]現行ポリシーに比べてより多くの種類の情報を公開し、その多くは世銀の外部向けウェブサイトで提供する。新たに提供される種類の情報には、四半期報告、国別ポートフォリオと実績評価、実施状況と結果報告(スタッフのコメントは除く)、ミッション備忘録、コンセプト・レビューと決定会議の議事録など。
[3]新しいアプローチは、作成もしくは収受された文書を、「公開」「職務利用限定」「秘密」「厳秘」に厳格に分類する。外部から受け取った情報が明らかに公開を意図していないと理解される場合、これまで通り法的にも道義的にもこの理解を尊重する。
[4]審議過程の完了または一定期間の経過後、ほとんどの理事会文書を含む特定の法人文書の機密を解除する。
[5]現行ポリシーによって機密指定されている情報も、一定期間経過後は機密解除される。この機密指定解除はできる限り、新しいアプローチによる文書の種類とスケジュールに沿うものとする。
[6]新しいアプローチでは、控訴プロセスを導入する。
[7]できる限り情報を広く公開するサービス、またその水準を向上させるため、文書の分類ならびに関連する手続きに関して、あらゆるレベルの職員を訓練する。

世界銀行グループのウェブサイトをみてみると、現在は同グループの紹介すなわち広報的な内容で占められています。しかし草案の13頁(項目は22.タイトルはなし)では、「銀行の外部向けウェブサイトは情報公開のための主要な手段になる」(The Bank's external website would be the primary vehicle for releasing information.)とあります。今後は、ウェブの役割は広報のみならず、同グループの業務に関わる記録公開の主要な媒体になっていくことが示唆されています。

以下に提案文書本文の目次情報をご紹介します。

[目次]

I. はじめに Introduction /1
  1. (項目タイトルなし)
  2. なぜ情報公開ポリシーを再考するのか? Why rethink the disclosure policy? /1
  3. パラダイム・シフト Paradigm shift /2
  4. 本稿の構成 Structure of this note /2

II. 現行ポリシーの限界 Limitation of the existing policy /3
  5. (項目タイトルなし) /3
   (a) 情報公開に対する「ポジティブ・リスト」アプローチは限定的である
     The "positive list" approach to disclosure is restrictive
   (b) 非公開に関して透明度が欠けている
     Lack of clarity on what is not disclosed
   (c) 歴史情報に関する開示ポリシーは、施行するには限定的で費用がかかり、煩わしい
     The policy on the disclosure of historical information is restrictive, costly, and cumbersome to implement
   (d) 曖昧で重複した規則 Ambiguous and overlapping rules
   (e) 複雑な施行要件 Complex implementation requirements
   (f) 世銀が保持する「国家所有」情報の開示
     Disclosure of "country-owned" information held by the Bank
   (g) 秘密または機微に触れる国家情報
     Confidential or sensitive country information
   (h) 秘密情報を援助資金提供者、加盟政府、そして他の協力者たちと共有する
     Sharing confidential information with donors, member governments, and other partners
   (i) 控訴手続きの欠如
     Lack of an appeals process
  
III. ポリシーを再考する Rethinking the policy /5
  6. (項目タイトルなし) /5

A. 提案されたポリシーの諸原則と主要な要素
  Principles and key elements of the proposed policy /5

  7. (項目タイトルなし) /5

   原則1: 情報へのアクセスを極大化する
   Principle 1: Maximizing access to information

   原則2: 解釈・施行が一層容易な「例外」に関する明瞭なリスト
   Principle 2: A clear list of "Exception" that is easier to interpret and implement

   原則3: 情報請求の処理のための明瞭な枠組み
   Principle 3: A clear framework for processing requests for information

   原則4: 上訴する権利
   Principle 4: The right to appeal

B. 情報へのアクセスを極大化する(原則1)
  Maximizing access to information (Principle 1) /7

  8. (項目タイトルなし) /7

C. 例外案(原則2)
 The proposed exceptions (Principle 2) /7

  9. (項目タイトルなし) /7
  10. 加盟国または第三者から提供された秘密情報 
    Confidential information provided by member countires or third parties /7
  11. 理事会議事録に関わる秘密情報
    Confidential information pertaining to board proceedings /8
   (a) 理事会記録 Board records
   (b) 理事会資料 Board papers
  12. Eメール・システム E-mail systems /8
  13. 個人情報 Personal information /8
  14. 財政情報 Financial information /9
  15. 法人の調達ならびにセキュリティ情報 
    Corporate procurement and security information /10
  16. 弁護士と依頼者の関係、捜査、制裁
    Attorney-client relations, investigations, and sanctions /10
  17. 審議情報 Deliberative informations /11
   (1) 記録の機密分類 Classification of records /12
  18. (項目タイトルなし) /12
   (2) 歴史情報の機密解除 Declasification of historical information /12
  19. (項目タイトルなし) /12
  20. 秘密扱いのままの情報 Information that would remain confidential /13
  21. 情報開示に対する世銀の権限
    Bank's prerogative to disclose information /13

D. 請求処理のための明瞭な枠組み(原則3)
  A clear framework for processing requests (Principle 3) /13

  22. (項目タイトルなし) /13
  23. 請求に応じて入手可能な情報 Information available upon request /13
  24. 情報公開ポリシー委員会 The Disclosure Policy Committee /13

E. 控訴手続き Appeals process (Principle 4)

  25. (項目タイトルなし) /14

F. 他の組織の情報公開枠組み Disclosure frameworks of other organizations /14

  26. (項目タイトルなし) /14
   ・他の多国間開発銀行 Other multilateral development banks
   ・国際通貨基金 IMF
   ・国際金融公社と多数国間投資保証機関 IFC and MIGA
   ・米国国際開発庁 USAID
   ・英国国際開発省 DFID
  27. 比較評価 Comparative evaluations /15

IV. アプローチ案の意味 Implications of the proposed approach /15

  28. (項目タイトルなし) /15

A. 情報アクセスでの主要な変更 Major changes in access to information /16

  29. (項目タイトルなし) /16
  30. 理事会議事録 Board proceedings /16
  31. 審議情報 Deliberative information /16
  32. 外部の第三者からの提供情報
    Information provided by outside parties /16
  33. 歴史情報 Historical information /17

B. コストの意味合い Cost implications /17

  34. (項目タイトルなし) /17
  35. サービス料 Service fees /18

C. 継続作業 Continuing work /18

  36. (項目タイトルなし) /18
   (1) 全世界的な協議 Global consultations /18
  37. (項目タイトルなし) /18
   ・各国当局との事前協議 Preliminary consultations with country authorities
   ・市民との協議 Public consultations
   (2) 継続作業のための課題 Issues for continuing work
  38. 情報公開ポリシー委員会の役割
    Role of the Disclosure Policy Committee /19
  39. 歴史情報の開示のためのスケジュール 
    Timeline(s) for the disclosure of historical information /19
  40. 常任理事、加盟国当局、援助資金提供者、その他パートナーとの情報共有
    Sharing information with Executive Directors, member country authorities, donors, and other partners /19
  41. 情報技術への意味合い Implications for information technology /19
  42. 他の銀行ユニットへの意味合い Implications for other bank units /20
  43. 非公開情報の漏えい Leaking nondisclosable information /20
  44. 請求の追跡と決定の記録 Tracking requests and recording decisions /20
  45. 誠実 Candor /20
  46. コスト Costs /21

V. 議論のための質問 Questions for discussion /21

  47. (項目タイトルなし) /21

囲み記事 Boxes
囲み記事1:新しいアプローチによる理事会資料の公開
Box 1: Disclosure of Board papers under the new approach /9

付属文書 Annexes
付属文書A:世界銀行の情報公開ポリシーの展開:カギとなる道しるべ
Annex A: Evolution of the World Bank's Disclosure Policy: key milestones /21

付属文書B:新しいアプローチによる加盟国に関する秘密情報に対する対処手続き案
Annex B: Proposed procedures for addressing confidential information relating to member countries under the new approach /25

付属文書C:新しいアプローチによって世界銀行の外部向けホームページへ定期的に掲載される主要な文書と情報の例
Annex C: Sample of core documents and infomation that would be rouinely posted on the World Bank's external website under the new approach /27

付属文書D:透明性スコアカード:国際金融機関の透明性とオーフス条約
Annex D: Transparency scorecard: IFI transparency and the Aarhus Convention /31

[編集者注]オーフス条約は「環境問題における情報へのアクセス、意思決定における市民参加、司法へのアクセスに関する条約」(Convention on Access to Information, Public Participation in Decision-making and Access to Justice in Environmental Matters)。国連欧州経済委員会(UNESE)で協議、作成された国際的な環境に関する条約。透明性スコアカードは、オーフス条約の観点から国際金融機関(世界銀行:WB、国際金融公社:IFC、多数国間投資保証機関:MIGA、欧州復興開発銀行:EBRD、ヨーロッパ投資銀行:EIB、アジア開発銀行:ADB、米州開発銀行:IDB、アフリカ開発銀行:AfDB)を評価したもの。この評価を行ったのは、グローバル透明性ネットワーク(Global Transparency Initiative: GTI)という10の市民団体のネットワークのメンバー。GTIはフォード財団とオックスファムから助成を受けている。事務局は南アフリカ共和国ケープタウンにあるIDASA内。IDASAは民主主義を求める市民団体。

[関連ページ]

「より高い透明性のために:世界銀行の情報公開ポリシー再考」協議プラン
Toward greater transparancy: rethinking the World Bank's disclosure policy: consultation plan
http://siteresources.worldbank.org/INFODISCLOSURE/Resources/5033530-1236640024078/ConsultationPlan_March12.pdf

「より高い透明性のために:世界銀行の情報公開ポリシー再考」要約
Toward greater transparancy: rethinking the World Bank's disclosure policy: summary
http://siteresources.worldbank.org/INFODISCLOSURE/Resources/5033530-1236640024078/English_Summary.pdf

「より高い透明性のために:世界銀行の情報公開ポリシー再考」議論のための質問集
Toward greater transparancy: rethinking the World Bank's disclosure policy: questions for discussion
http://siteresources.worldbank.org/INFODISCLOSURE/Resources/5033530-1236640024078/Questions_March_12.doc

「より高い透明性のために:世界銀行の情報公開ポリシー再考」パワーポイント・プレゼンテーション
Toward greater transparancy: rethinking the World Bank's disclosure policy: powerpoint presentation
http://siteresources.worldbank.org/INFODISCLOSURE/Resources/5033530-1236640024078/DisclosurePresentation_website.pdf

「より高い透明性のために:世界銀行の情報公開ポリシー再考」FAQ
Toward greater transparancy: rethinking the World Bank's disclosure policy: questions and answers
http://siteresources.worldbank.org/INFODISCLOSURE/Resources/5033530-1236640024078/FAQs.pdf

世界銀行の現行の情報公開ポリシーに関するページ
http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/PROJECTANDOPERATIONS/EXTINFODISCLOSURE/0,,contentMDK:21868938~menuPK:64864675~pagePK:64865365~piPK:64864641~theSitePK:5033734,00.html

世界銀行の情報公開ポリシーの展開(Evolution of the World Bank's Disclosure Policy)
http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/PROJECTANDOPERATIONS/EXTINFODISCLOSURE/0,,contentMDK:21868955~menuPK:64864677~pagePK:64865365~piPK:64864641~theSitePK:5033734,00.html

世界銀行グループ・ウェブサイト
http://www.worldbank.org/

世界銀行東京事務所
http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/COUNTRIES/EASTASIAPACIFICEXT/JAPANINJAPANESEEXT/0,,contentMDK:20744242~menuPK:515648~pagePK:141137~piPK:141127~theSitePK:515498,00.html

国連欧州経済委員会(UNESE)オーフス条約に関するウェブページ
http://www.unece.org/env/pp/

グローバル透明性イニシアティブ(GTI)ウェブサイト
http://www.ifitransparency.org/index.shtml

IDASAウェブサイト
http://www.idasa.org.za/index.asp

*この記事はセンター・ブログで速報した以下のエントリーに関する詳しい情報です。

世界銀行グループの情報公開ポリシー
〔実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」 - 2009年4月2日〕
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20090402/1238635183

*ー*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*

[略称一覧]
ACA: Association of Canadian Archivists(カナダ・アーキビスト協会)
ASA: Australian Society of Archivists(オーストラリア・アーキビスト協会)
BAC: Business Archives Council(ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BACS: Business Archives Council in Scotland
DCC: Digital Curation Center(英国デジタル・キュレーション・センター)
(スコットランド・ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
ICA: International Council on Archives(国際文書館評議会)
LSE: London School of Economics and Political Science
(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)
MLA: Museums, Libraries and Archives Council
(英国博物館、図書館、アーカイブズ評議会)
NARA: National Archives and Records Administration
(米国国立公文書館記録管理庁)
RIKAR: Research Institute of Korean Archives and Records
(韓国国家記録研究院)
SAA: Society of American Archivists(米国アーキビスト協会)
SBL: Section for Business and Labour Archives
(企業労働アーカイブズ部会、ICA内の部会)
SoA: Society of Archivists(イギリス・アーキビスト協会)
TNA: The National Archives(英国国立公文書館)

*ー*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

☆★ 編集部より:あとがき、次号予告 ★☆

「1880年以降の英国電話帳コレクション」の説明によると、電話回線の発達に伴って電話帳を更新する必要があり、1913年から40年までの間、電話帳は平均すると年に2回発行されていたということです。40年以降は平均で18か月毎に新しい電話帳が発行されていました。発行量も膨大で、1914年までは英国における単一のタイトルとしては最多発行部数を誇る刊行物でした。その数、年に150万部です。1921年の発行部数は約170万部、重さにして1000トン。1980年になると部数は年間4700万部、145版、42,000トン。1970年、英国中部のリーズでコンピュータによる編纂が開始されました。内容は磁気テープに記録されたということです。

最近は公衆電話も街角から姿を消して、あの分厚い電話帳を目にする機会も減りました。もちろんその大きな要因は、コンピュータ・ネットワークの発展によって、必要な情報がいつでもネットを通じて、PCや携帯端末で入手できるようになったからでしょう。

BTアーカイブズをご紹介しながら、企業史料はわたしたちの暮らしの変容ぶりを静かに物語ってくれるもの、とあらためて実感しました。

次号ではBTアーカイブズ他を予定しております。2009年5月中旬配信予定です。どうぞお楽しみに。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆◇◆配信停止をご希望の方は次のメールアドレスまでご連絡ください◆◇◆

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

◆◇◆〈渋沢栄一記念財団からのお知らせ〉◆◇◆

□「企業史料ディレクトリ」:企業アーカイブズと企業史料の所在・概要ガイド

2008年7月22日公開いたしました。日本を代表する企業を中心とした企業アーカイブズと史料保存・学術研究機関合わせて30企業・団体・機関の概要、所蔵資料に関する情報を掲載しております。ぜひご覧ください。
http://www.shibusawa.or.jp/center/dir/index.html

□実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」

「今日の栄一」「渡米実業団」「栄一情報」「栄一関連文献」「センターニュース」「今日の社史年表」「社史紹介(速報版)」「ビジネス・アーカイブズ通信(速報版)」「アーカイブズニュース」「図書館ニュース」をお届けしております。
http://d.hatena.ne.jp/tobira/

「アーカイブズニュース」では政府の「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」の動向やアーカイブズのデジタル化、資料の発見・公開に関わるニュースを随時ご紹介しております。

ブログ画面右側の「カテゴリー」にある「アーカイブズニュース」をクリックしてください。「アーカイブズニュース」として掲載した記事をまとめて一覧することができます。

・カテゴリーの紹介
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20080203

実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」はほぼ毎日更新しております。どうぞご利用ください。

□「渋沢栄一関連会社社名変遷図」

渋沢栄一がどのような会社に関わったか、それが今にどうつながっているのか、一目でわかるように業種別にまとめて変遷図にしました。現在50図掲載中です。社名索引もありますので、どうぞご覧ください。
http://www.shibusawa.or.jp/eiichi/companyname/index.html

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

***********************************

ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信) No.17
2009年4月17日発行 (不定期発行)
【創刊日】2008年2月15日
【発行者】財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター
【編集者】財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター
      「ビジネス・アーカイブズ通信」編集部
【発行地】日本/東京都/北区
【E-Mail】
【サイト】http://www.shibusawa.or.jp/center/ba/index.html

***********************************

Copyright (C)
財団法人渋沢栄一記念財団
2007- All Rights Reserved.

***********************************

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

一覧へ戻る