研究センターだより

51 研究センターの事業をご紹介します!

『青淵』No.834 2018(平成30)年9月号

 2018年4月より研究センターに着任しました、伴野文亮と申します。
 どうぞ宜しくお願い申し上げます。
 さて、今回の『研究センターだより』では、本年4月から7月までに研究センターが開催した主な事業についてご紹介したいと思います。

≪『論語と算盤』読書会の開催≫
 『論語と算盤』読書会とは、作家の守屋淳さん企画・監修のもと、2011年度から始まった事業です。現在までに、第7期まで開催されています。
ゲスト・モデレーターの守屋智敬氏
ゲスト・モデレーターの守屋智敬氏

 改めての紹介になりますが、この読書会では、角川ソフィア文庫から出されている『論語と算盤』を1章ずつ読み進めていき、毎月第3水曜日に参加者1人ひとりが他のメンバーと議論したいテーマを持ち寄って自由に論じ合います。2018年度に入ってからは、4月18日、5月16日、6月20日、7月18日の4回開催しました。7月18日には、今期の修了式が行われ、6回以上参加した受講生に対し修了証が授与されました。
 なお、読書会の企画・監修者であり講師でもある守屋淳さんは、財団の新しいプロジェクトである「研究者育成プログラム」により、2018年4月から9月まで語学研修のためカナダ・トロントに留学されているため、この間は株式会社モリヤコンサルティング代表取締役の守屋智敬さんに、ゲスト・モデレーターとして講師を務めていただきました。

会議の様子
会議の様子
≪合本主義東南アジアプロジェクト・東京ミーティングの開催≫

 5月25日(金)と26日(土)に、渋沢栄一が活動する際に重視した「合本主義」の研究会を都内で開催しました。本プロジェクトは、2014年度から開始された、新興国を検討対象とした合本主義プロジェクト第2フェーズの1つとして展開しています。
 このプロジェクトでは、渋沢栄一が、公益を増加させるために必要とした考え方である合本主義について研究すると同時に、新興経済地域である東南アジアにおける資本主義の在り方を考えることを目的としています。当日は、タイ・インドネシア・アメリカ・フランス・イギリス・日本から合計十数名の研究者が一堂に会して、活発な議論が展開されました。

≪『渋沢栄一と「フィランソロピー」』研究会の開催≫
 6月9日(土)に、渋沢史料館において、『渋沢栄一と「フィランソロピー」』シリーズ第4巻「日欧米の福祉社会づくりと渋沢栄一」の研究会を開催しました。当日は、岡村東洋光氏(九州産業大学名誉教授)と山本浩史氏(新見公立短期大学教授)に、社会福祉史に関する文献の書評をしていただきました。
 また、7月10日(火)には、日本工業倶楽部会館において、同シリーズ第7巻「渋沢栄一はなぜ「宗教」を支援したのか」の研究会を開催しました。当日は、平山昇氏(九州産業大学准教授)には「実業家と伊勢神宮参拝に関する一試論」、佐藤大悟氏(東京大学大学院博士後期課程)には「渋沢栄一と日曜学校」というタイトルで、それぞれ報告していただきました。
 両研究会とも、渋沢栄一研究における「フィランソロピー」の位置づけを考えるうえで極めて重要な論点が提示され、活発な議論が展開されました。

*『渋沢栄一と「フィランソロピー」』シリーズ出版... 出版された成果物
出版された成果物


 本プロジェクトは、約600におよぶ公益慈善事業を育成・支援した渋沢栄一の思想を、8つの観点から多角的に検討するプロジェクトです。
 研究成果として、現在までにミネルヴァ書房から、シリーズ第1巻『渋沢栄一は漢学とどう関わったか 「論語と算盤」が出会う東アジアの近代』(2017年2月)と、第2巻『帰一教会の挑戦 グローバル時代の「普遍」をめざして』(2018年2月)が刊行されています。
  研究センター 伴野文亮



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