情報資源センターだより

40 インターネット上の「渋沢敬三アーカイブ」

『青淵』No.776 2013年11月号|実業史研究情報センター長 小出いずみ

渋沢敬三記念事業実行委員会のオフィシャルサイト

「渋沢敬三アーカイブ」 トップページ
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  <http://shibusawakeizo.jp/

 「渋沢敬三アーカイブ」は、渋沢敬三記念事業実行委員会のオフィシャルサイトです。実業史研究情報センターは、2009年からMRAハウスからの資金により運営されている渋沢敬三記念事業実行委員会の事務局を、井上・渋沢史料館長と共に務めております。敬三没後50年を記念して各実行委員の手により展覧会を始め多岐にわたる事業が行われておりますが、このサイトではそれらの情報を集約しています。展覧会については会期などの外に展示の様子を画像で掲載し、渋沢雅英理事長の開会ご挨拶などもお伝えしています。
 また、下に述べるデジタル版著作集のほかに、これまであまり知られていなかった資料や情報、たとえば『証券マンスリー』(山種証券調査部)に掲載された、「渋沢栄一翁を偲ぶ」という対談記事なども掲載しております。

デジタル版『渋沢敬三著作集』

 渋沢敬三の著作の中心となる、平凡社刊の『渋沢敬三著作集』のデジタル版を提供しています。これについては渋沢雅英理事長が『青淵』2013年10月号の記事で触れておられますが、eReadingという読書システム(国立情報学研究所による開発)を用い、自動で付与された注をページの両側に表示することができます。世の中に電子書籍が出現し、インターネット上でも様々な仕組みで書物が提供されていますが、この自動脚注システムを本格装備したのは敬三著作集が世界で初めてになります。多様な資料を収集し他の人が使えるように整備・提供した敬三自身の著作が、インターネット上で多様な情報とつながり、さらに大きく広がっていくことが期待されます。

eReadingで著作を読むページ
eReadingで著作を読むページ

肖像画

 これまであまり知られてこなかった資料の一つに、日本銀行総裁としての敬三の肖像画があります。このたび画家の小絲源太郎氏のご遺族並びに日銀のご許可を賜り、この肖像画を撮影し、「敬三アーカイブ」に掲載することができました。現在も日本銀行の歴代総裁の肖像画が並ぶ廊下の一角に掛けてありますが、そこはあまり明るくない場所です。撮影のために絵に光をあてたところ、息をのむような明るい色彩が浮かび上がりました。朝焼け空を背景に、微笑みを浮かべて立つ敬三の立像です。
 肖像画の解説は、記念事業実行委員でもある東京大学の武田晴人教授に新たに書いていただきました。「敬三アーカイブ」にカラー画像で掲載されている肖像画の写真をぜひご覧ください。

渋沢敬三情報のハブをめざして

 渋沢敬三記念事業実行委員会の事業は本年をもっておよそ完了します。この事業を行ううちに、敬三に関するいろいろな資料や情報が掘り起こされました。今後10年間は維持する計画の「渋沢敬三アーカイブ」では、敬三関係の情報をさらに充実させ、成長させて行く予定です。多彩な活動を展開した敬三に関する情報を集約することにより、敬三研究の情報ハブの機能を担えるようにしていきたいと考えています。

(実業史研究情報センター長 小出いずみ)


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