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『青淵』No.666 2004年(平成16)9月号
今年度進行中の二つのプロジェクトをご紹介します。
一、「冷戦後の国際秩序と日米関係」
7月31日から8月3日まで、北海道小樽市郊外のヤマハリゾート・キロロで、「冷戦後の国際秩序と日米関係」(主幹:田所昌幸・慶應義塾大学法学部教授)の第1回セミナーを開催しました。英米関係との比較を通して20世紀の日米関係を振り返りながら、今後の両国関係のあり方を考える試みです。現在、日英両国の外交政策は、圧倒的に強力なアメリカとの協力関係を基礎としています。両国はそこから利益を受ける反面、様々な制約やフラストレーションを経験しています。渋沢栄一も20世紀に入り、アメリカに親近感を持ちながら、フラストレーションを感じていました。第一次大戦後、渋沢は日米関係が単なる2国関係の枠組を超え、アジア・太平洋地域ひいては国際社会全体の帰趨に重大な影響を与えると予感しました。そこで日米関係の有識者が腹蔵なく意見を交換できる場として、「日米関係委員会」を組織しました。この精神を活かして今回のセミナーでは、2つの2国関係を比較分析することから、興味深い示唆が多々得られました。
二、1930年代研究会
次に8月23・24日に、東京・広尾の研究部で、「1930年代研究会」(主幹:簑原俊洋・神戸大学法学部助教授)のセミナーを開催しました。同研究会は米国ハーバード大学と神戸大学を中心とする若手研究者で構成されています。1920年代、渋沢栄一は、日米中3国の関係をいかに改善するかという重要かつ困難な外交課題に民間人として取り組みましたが、残念ながら渋沢の努力は身を結ぶには至りませんでした。なぜ1930年代に日米中3国は破局を迎えたのかという古くて新しい問題に対して、新史料に基づき、様々な角度から再検討しました。
なお、前回お知らせしました渋沢国際儒教セミナーは、9月24・25日に東京・六本木の国際文化会館で行います。詳細は下記ページをご覧ください。
*インターネットご利用の場合
渋沢国際儒教研究チームホームページ
http://www.sal.tohoku.ac.jp/~kirihara/shibusawa.html
*おはがきご利用の場合
次のあて先までお申し込みください。
106 - 0047 東京都港区南麻布4 - 9 - 17
財団法人渋沢栄一記念財団研究部
(ご氏名、ご住所、ご所属、参加希望日を明記してください。)
(研究部長 木村 昌人)
〈2004年渋沢国際儒教研究セミナー〉
「比較視野のなかの社会公益事業」
日程:2004年9月24日・25日/会場:国際文化会館 入場無料
13:30-13:35 | 趣旨説明 陶徳民(関西大学) | |
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13:35-13:40 | 開会挨拶 渋沢雅英(渋沢栄一記念財団理事長) | |
13:40-15:40 | 基調講演 余英時(プリンストン大学名誉教授) 夫馬進(京都大学) 溝口雄三(東京大学名誉教授) |
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16:00-18:00 | パネル1「近世の西洋と日本における社会事業思想」 司会:見城悌治(千葉大学) コメンテータ:高橋文博(岡山大学) パネリスト: 坂下史(東京女子大学) Luke S. Roberts(カリフォルニア大学) 桐原健真(東北大学) |
10:00-12:00 | パネル2「渋沢栄一における社会事業思想の展開」 司会:Luke S. Roberts コメンテータ:沖田行司(同志社大学) パネリスト: 山名敦子(立正大学) 松川健二(北海道大学名誉教授) |
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13:00-15:00 | パネル3「同時代の社会事業思想との比較─日本─」 司会:呉偉明(香港中文大学) コメンテータ:黒川みどり(静岡大学) パネリスト: 姜克實(岡山大学) 室田保夫(関西学院大学) 見城悌治 |
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15:20-17:20 | パネル4「同時代の社会事業思想との比較─中国─」 司会:姜克實 コメンテータ:中井英基(筑波大学) パネリスト:石暁軍(姫路独協大学) 呉偉明 陳 ![]() |
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17:20-17:35 | 総括 陶徳民 | |
17:35-17:45 | 閉会挨拶 木村昌人 文京学院大学・渋沢栄一記念財団研究部長 |