渋沢史料館は、近代日本経済社会の基礎を築いた渋沢栄一[1840(天保11)~1931(昭和6)年、号は「青淵」(せいえん)]の思想と行動を顕彰する財団法人である 「渋沢青淵記念財団竜門社(現 公益財団法人 渋沢栄一記念財団)」の付属施設として、1982(昭和57)年、渋沢栄一の旧邸 「曖依村荘」跡(現在東京都北区飛鳥山公園の一部)に設立された登録博物館です。
当初の渋沢史料館は、旧邸内に残る大正期の2つの建物「晩香廬」と「青淵文庫」(いずれも国指定重要文化財)を施設として開館しました。その後1998(平成10)年3月に本館を増設し、現在は下記3つの建物をご覧いただくことができます。 諸資料の展示は本館で行っています。
施設概要 | 本 館 | 晩 香 廬 | 青 淵 文 庫 |
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竣工時期 | 1997(平成9)年 | 1917(大正6)年 | 1925(大正14)年 |
所在地 | 東京都北区西ヶ原2-16-1 | 東京都北区西ヶ原2-16-1 | 東京都北区西ヶ原2-16-1 |
構造 | 鉄筋コンクリート造り、 地上2階 地下1階建て |
木造瓦葺き平屋建て | 鉄筋コンクリート・煉瓦造、 2階建て |
延べ床面積 | 1,653.13m2 | 約72m2 | 約330m2 |
設計 | 株式会社佐藤総合計画 | 田辺淳吉 | 中村・田辺建築事務所 |
施工 | 清水建設株式会社 | 現在の清水建設株式会社 | 現在の清水建設株式会社 |
本館1階の正面入口を入るとすぐに直径8メートルの円形ホールになっています。2階の展示室へ通じる正面の階段踊り場には栄一の胸像が置かれています。
ホール右手に受付、その隣のミュージアム・ショップでは栄一に関する書籍や当財団の機関誌、絵はがきやテレフォン・カードなどを販売しています。その奥の閲覧コーナーには、栄一に関する書籍をはじめ近代日本の歴史や経済に関する書籍が置いてあり、入館された方はご自由に閲覧いただけます。
本館2階が展示室です。常設展示室では、渋沢栄一の生涯と幅広い分野にわたるその事績に関する資料を、写真とともに展示しています。
企画展示室ではテーマを絞り、期間を決めて特別の展示を行っています。
展示室の一角には一息つけるリフレッシュ・コーナーがあり、そこには渋沢邸で使われていた書棚や椅子が置いてあります。長い弧を描く大きな窓から、飛鳥山公園の木々や青淵文庫が見渡せます。
晩香廬(ばんこうろ)は、渋沢栄一の喜寿を祝って現在の清水建設(株)が贈った洋風茶室です。1917(大正6)年の竣工で、丈夫な栗材を用いて丹念に作られ、暖炉・薪入れ・火鉢などの調度品、机・椅子などの家具にも、設計者の細やかな心遣いが見られます。
晩香廬は内外の賓客を迎えるレセプション・ルームとして使用されました。
青淵文庫とともに、国の重要文化財に指定されています。
青淵文庫(せいえんぶんこ)は、渋沢栄一の80歳のお祝いと、男爵から子爵に昇格した祝いを兼ねて竜門社(当財団の前身)が寄贈した鉄筋コンクリートの建物です。1925(大正14)年の竣工で、栄一の書庫として、また接客の場としても使用されました。
渋沢家の家紋「丸に違い柏」に因んで柏の葉をデザインしたステンドグラスやタイルが非常に美しい洋館です。
当初収蔵されていた「論語」をはじめ多くの漢籍は、1963(昭和38)年、渋沢家から東京都立日比谷図書館に寄贈され、現在は東京都立中央図書館に所蔵されています。