[ 解説 ]
三重紡績は渋沢栄一の支援を受けて発足した会社です。三重県川島村で川島紡績所を経営していた伊藤伝七(いとう・でんしち、1852-1924)が経営不振につき栄一に援助を求めたところ、栄一は伊藤に大規模な紡績会社の設立を勧め、また自ら資本金集めを引き受けました。その結果、1886(明治19)年、四日市に三重紡績が創業しました。三重紡績は創業から3年後の1889(明治22)年には、3回目の増資を行うまでに成長しました。その年の7月15日に開催された同社臨時株主総会で、栄一は相談役に選ばれています。
その後三重紡績は1914(大正3)年に大阪紡績と合併、東洋紡績が誕生しました(現・東洋紡)。
1918(大正7)年に建造された四日市富田の工場は、当時、東洋紡績の中でも大規模な工場であったといわれています。
出典:『渋沢栄一伝記資料』 2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代 明治六年~四十二年 / 1部 実業・経済 / 3章 商工業 / 1節 綿業 / 2款 三重紡績株式会社 【第10巻 p.139-149】