出典：『青淵渋沢先生七十寿祝賀会記念帖』　（青淵先生七十寿祝賀会，1911）p.41　京都織物株式会社

画像名：京都織物株式会社及工場　[3.工場-2]

文献に記載されている解説文等：
一　所在地　京都市上京区吉田町第百八十番戸
一　目的事業　絹織物、絹綿交織物製造及撚糸、染物再整等の加工
一　創立年月日　明治二十年五月五日
一　資本金　弐百五拾万円（内払込高四拾壱万弐千五百円）
一　積立金　弐拾六万参千五百円
一　壱箇年製造高　壱百参拾万円
一　配当率　年八分
一　工場及集配所　本社工場　紫野工場　西陣集配所
一　沿革
当社は明治二十年五月青淵先生、内貴甚三郎、田中源太郎、磯野小右衛門、中井三郎兵衛、渡辺伊之助等の諸氏胥謀り、京都西陣製織業に欧米の技術を応用して各種の絹織物を製出し、併せて当業者を喚起して欧風織布法の利便を知らしめんが為め、資本金五拾万円を以て創立したるものなり、設立後事業は順調に発達せしも、明治二十四五年の交欧風の流行に一大変調を来すや、社運一時悲境に陥りしが、後一方には都繻子、生繻子等を製造して輸入品を防遏し、他方には清韓向東洋緞子、英米印度、支那、南洋向「シフオン」類を製造して輸出を奨励し、更に海外より汽織機械、紡織機械等を購入して其製品の改良を図り、資本金を増加して弐百五拾万円となし以て其規模を拡張するに及ひまた昔日否運の旧態を止めさるに至れり本社現今製品の主なるものは、汽織類にありては都繻子、九重繻子、東洋緞子、九重緞子、色繻子、「シフオン」及薄絹類、紋織物にありては婦人洋服地、洋服裏地、絹ネクタイ地、西洋室装飾織物、仏国式金華山織、花紋杢目織等にして、其他撚糸部、染物部、再製部等孰れも欧洲最新の機械を応用し、技術の精巧は均しく内外の賞讃を博しつつありと云ふ、
一　当社と青淵先生との関係
青淵先生は当社の創立発起人にして、営業開始後委員長となり、二十六年十一月定款改正以降取締役会長の任にあり、三十八年病の故を以て其任を辞し相談役となりしが、昨四十二年古希の寿を機として亦之を辞せられたり、
一　現任役員
取締役会長　田中源太郎　　取締役　内貴甚三郎　　取締役　中井三郎兵衛　　取締役　西村治兵衛　　取締役　飯田政之助　　専務取締役　渡辺伊之助　　取締役兼支配人　舟阪八郎　　監査役　船橋繁之助　　監査役　津田栄太郎　　監査役　伊藤平三