[ 解説 ]
藤樹神社創立協賛会は陽明学者中江藤樹(なかえ・とうじゅ、1608-1648)の追慕景仰を目的に、神社奉祀、藤樹書院の保存、『藤樹全集』編纂などを行う団体として1920(大正9)年に設立されました。
陽明学に親しんでいた渋沢栄一は「近江聖人」中江藤樹を「穏健で実行を貴ぶ」人物と評し、1921(大正10)年1月に藤樹神社創立協賛会理事長の佐野真次郎から援助を求められた際には同会顧問就任を快諾、自ら寄付をするだけでなく、財界知己に対しても「目下世道人身退廃其のきわみに達せんとする際、極めて有益」な事業であるとして寄付を呼びかけました。また資金調達のためには宣伝が必要であると指摘、講演会開催を斡旋するなど同会の活動を支援しています。
神社建造計画は多くの人々の支援を受けて順調に進み、翌1922(大正11)年5月21日には鎮座祭が挙行されました。
出典:『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年~昭和六年 / 1部 社会公共事業 / 4章 道徳・宗教 / 2節 神社[承前] / 9款 其他 / 2 藤樹神社創立協賛会 【第41巻 p.650-655】