[ 解説 ]
日光東照宮三百年祭奉斎会は徳川家康没後三百年記念大祭事業を支援する団体として1913(大正2)年4月に設立されました。渋沢栄一は設立当初は顧問に、9月からは林董(はやし・ただす、1850-1913。政治家)の後を継ぎ、会長として同会に関与しています。
会長就任翌月の10月1日、栄一は宇都宮で開催された奉斎会下野支部発会式に出席、その後も上野寛永寺、川越喜多院など各地の遠忌法要にも参列し、1915(大正4)年6月3日に日光東照宮で挙行された大祭には衣冠束帯姿で出席しました。
奉斎会は大祭のために宝物陳列館、防火設備、旧神領並木補修など各種記念事業も行い、1916(大正5)年3月に解散しました。当時整備された寛永時代様式の参拝者休憩所 は後年増改築を経て「武徳殿」となり、今日では国の登録有形文化財に登録されています。
出典:『渋沢栄一伝記資料』 3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代 明治四十二年~昭和六年 / 1部 社会公共事業 / 4章 道徳・宗教 / 2節 神社[承前] / 7款 日光東照宮三百年祭奉斎会 【第41巻 p.594】