[ 解説 ]
高岡共立銀行は木津太郎平(きづ・たろへい、1875-1950)らの発起により1895(明治28)年12月に設立された銀行です。渋沢栄一は発起人より依頼を受けて第一国立銀行の大橋半七郎(1853-1934)を支配人として推薦、大橋は1896(明治29)年2月4日に着任、同月13日に開業となりました。
栄一は時機に応じて大橋や木津に「軽佻にながれず姑息に偏せず時勢に応じて改進に努めたい」「無謀な競争を避けて共に実を挙げるよう心がけたい」などの言葉を送り、また1914(大正3)年の本館新築にあたって大橋より相談を受けた際には清水組を紹介、さらに1918(大正7)年には同地を訪問して、銀行だけでなく小中高等学校など多くの場所でスピーチをしています。
高岡共立銀行は1920(大正9)年に高岡銀行と合併、さらに1943(昭和18)年には十二銀行、富山銀行、中越銀行との合併で北陸銀行となっています。
旧高岡共立銀行本店建物はその後、富山銀行(1954(昭和29)年創業の地銀)本店として使われることとなりました。
出典:『渋沢栄一伝記資料』 2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代 明治六年~四十二年 / 1部 実業・経済 / 1章 金融 / 1節 銀行 / 4款 国立銀行及ビ普通銀行 / 15 株式会社高岡共立銀行 【第5巻 p.353-360】