世界/日本のビジネス・アーカイブズ

<講演ノート> つながる世界のビッグデータ:敵か味方か?

<講演ノート> つながる世界のビッグデータ:敵か味方か?

HSBC グローバル・アーカイブズ部長
ティナ・ステイプルズ
公益財団法人渋沢栄一記念財団 情報資源センター(訳・解題)

2018年1月20日発行 / 2018年1月27日更新
[PDF版 (549.7KB)]


Notes from a Conference Speech - Big Data in a Connected World: Friend or Foe?

Tina Staples
Global Head of Archives, HSBC

Translated and annotated by the Information Resources Center,
Shibusawa Eiichi Memorial Foundation


<目次>

【許諾について】
【解題】
【凡例・専門用語の訳語について】
【講演ノート本文】
デジタル化状況のいま
デジタルでのアーカイブズ管理への道のり:HSBCの場合
デジタルでのアーカイブズの課題と強み
デジタルはグローバル。ふさわしいのは誰か
【訳者注】


【許諾について】

This is a translation of the notes from a conference speech by Tina Staples, the Global Head of Archives, HSBC. The speech is titled "Big Data in a Connected World: Friend or Foe?", which was delivered on September 1, 2016 as a keynote at the ARA (Archives and Records Association: UK & Ireland) http://www.archives.org.uk/ annual conference 2016. Tina kindly provided her notes and granted permission to Yuko Matsuzaki, the Business Archives Specialist at the Information Resources Center of the Shibusawa Eiichi Memorial Foundation to translate into Japanese and publish on the foundation's website to share them with wider audiences.


【解題】

 「〈講演ノート〉 つながる世界のビッグデータ:敵か味方か?」は、ロンドンを本拠とする金融機関HSBCのグローバル・アーカイブズ部長ティナ・ステイプルズによる講演ノートです。この講演は2016年9月1日に、英国とアイルランドのアーキビスト、レコード・マネージャー、修復家、デジタル・キュレーターなどを構成員とするアーカイブズ・レコード協会(ARA)の2016年度年次大会2日目の基調講演として行われたものです。
http://www.archives.org.uk/blog/item/ara-london-conference-2016.html

 ARAは2010年6月1日に、英国の全国アーカイブズ評議会(National Council on Archives: CA)、地方政府主任アーキビスト協会(Association of Chief Archivists in Local Government: ACALG)、アーキビスト協会(Society of Archivists: SoA)の3団体が合同して設立されたもので、SoA自体の設立は1947年にさかのぼります。ARAの会員数は2,000名を超えます。

 HSBCのアーカイブズについては、当情報資源センター発行の「ビジネス・アーカイブズ通信」の中で何度も取り上げてきました。また、講演者のティナ・ステイプルズは国際アーカイブズ評議会(ICA)企業アーカイブズ部会(SBA)主催のビジネス・アーカイブズ国際シンポジウムでの常連スピーカーの一人でもあります。世界がデジタル化するなかで、アーカイブズのデジタル化に関して最も先進的な対応を行っている企業アーカイブズの一つがHSBCグローバル・アーカイブズです。

 この講演は、過去10年近く彼女のチームが取り組んできたHSBCの企業アーカイブズのデジタル化経験を、ARA会員とシェアすることを目的として行われました。急激に進む経済社会のデジタル化は企業アーカイブズとアーカイブズ専門職(archives profession)にどのような影響をもたらしているのか、デジタルによって可能となった相互につながる大量のデータ(ビッグデータ)はアーカイブズに関わる専門職(アーキビストやレコード・マネージャー)にとって敵なのか味方なのか。この講演のテーマはここにあります。講演ではこのような問いに対して、アーカイブズ専門職は今後どのような存在になることが求められるのか、を明らかにしています。

 日本では行政機関や企業等が業務上作成した文書・記録のうち、長期的にわたって価値を持つものを管理し利用・提供する、という意味でのアーカイブズの発達が遅れました。公文書管理法が施行されたのが2011年であることからも明らかです。そのため「行政機関や企業等が業務上作成した文書・記録のアーカイブズのデジタル化」の取り組みについての情報はそれほど多くありません。専門職制度が社会的にほとんど存在しないため、とりわけ企業におけるアーカイブズのデジタル化についての知見を分かちあうことは、企業史料協議会でのセミナーなどごくわずかな事例を除いて、日本ではたいへん珍しいこととも言えます。さらに、現代のアーカイブズはデジタル情報として作成された時点からの管理が枢要であると専門家の間では認識されていますが、現用文書として利用されている期間に関しては、日本ではその管理の実情はブラックボックスの中にあるとも言えます。レコード・マネージャーという専門職が日本には存在しない点も大きな理由です。そのような意味で、ティナの講演ノートは、デジタル化が進む世界の中で、組織アーカイブズが意味のあるもの、必要とされるもの、ふさわしいもの ─ つまりrelevant ─ である続けるための貴重な先行事例を伝えてくれるものです。


【凡例・専門用語の訳語について】

 講演ノートを訳出するにあたっては、読みやすさを優先しました。そのため、原文には中見出しがありませんが読みやすさを考慮し、訳者による中見出しを付しました。

 アーカイブズに関わる専門用語として、日常利用する日本語に機械的に訳すことがためらわれる用語がいくつか存在します。そのような用語に関して説明します。

記録 record(s)

 記録管理の国際標準ISO15489-1第2版(ISO15489-1:2016 Information and documentation-Records management「情報及びドキュメンテーション-記録マネジメント」)では「record(s)」を「組織又は個人が、法的義務の履行又は業務遂行において、証拠として、及び資産として、作成、取得及び維持する情報」と定義しています。なお「 」内の訳語は中島康比古氏による訳を利用させていただきました。http://www.archives.go.jp/publication/archives/no061/5131

 また英国をはじめとする英語圏で記録管理の専門分野の教科書として利用されているElizabeth Shepherd and Geoffrey Yeo, Managing Records (2002) の日本語訳『レコード・マネジメント・ハンドブック:記録管理・アーカイブズ管理のための』(日外アソシエーツ、2016年)では、「records」について「ある活動の記録された証拠であれば何でもレコードであるととらえることにする」「レコードの本質的な特徴は、それがある特定の活動についての証拠を提供するという点にある」(以上、同書21ページ)としています。

 一方、『日本国語大辞典 第二版』によると、「記録」には次の二つの意味があるとされます。

(1)のちのちまで残す必要のある事柄を書きしるしたり、映像や録音で残したりすること。また、その書きしるしたり、録音・録画したりしたもの。特に史料としての日記や書類など。ドキュメント。
(2)競技などの成績・結果。特にその最もすぐれているもの。また、その成績をとること。レコード。(『日本国語大辞典 第二版』第4巻、小学館、2001年、626ページ)

 ISO15489と『レコード・マネジメント・ハンドブック』でのrecord(s)の意味と、日本語の「記録」の意味を比べてみると、record(s)というアーカイブズ・記録管理の専門用語には、なんらかの活動の「証拠」であることが含意されている一方、日本語の「記録」の意味の説明は「証拠」に焦点をあてたものではない、ということがわかります。また日本語の「記録」では「のちのちまで残す必要のある事柄」という説明がありますが、この点はrecord(s)の意味の説明では問題とされていません。このことから、講演ノート本文ではrecord(s)の訳語としての「記録」に、原語であるrecord(s)を併記しています。

「アーカイブズ」archives、「デジタルでのアーカイブズ」digital archives、「デジタルアーカイブ」

 「アーカイブズ」archivesは行政機関や企業組織等の業務の中で作成された記録 record(s) のうち長期的な価値を持つものであり、またこれを整理・目録作成・保存手当等を行ったうえで利用に供する機能を指します。本文中でdigital archivesとしてとりあげられているものとは、つまり行政機関や企業組織等の業務の中で作成された記録 record(s) のうち長期的な価値を持つものをデジタル化したもの、あるいはそもそも業務の過程でデジタル文書として作成された記録 record(s) 、さらにそれらをデジタル情報として整理・データベース化し、真正性を確保した長期保存を行いながら、利用に供する機能を指します。

 一方、日本語の「デジタルアーカイブ」は、記録 record(s) に限らず、さまざまな文化資源をデジタル化してインターネット上で閲覧に供する機能、またそのコンテンツのことを指すものと考えるのが現在最も妥当であると思います。

 したがって、本文中でdigital archivesと呼ばれているものは、日本語の「デジタルアーカイブ」とは異なった意味合いを持つものですので、混同をさけるために「デジタルでのアーカイブズ」と訳出しました。

「専門職」profession

 最後に「専門職」professionについて説明します。欧米中韓等、日本を除くほとんどの国々では、アーキビストやレコード・マネージャーはアーカイブズ専門職archives professionあるいは記録専門職records professionとして養成され、仕事に携わっています。しかし、日本の場合、アーキビストやレコード・マネージャー(後者は日本にはほとんどいませんが)といった専門職が行政機関や企業で雇用される仕組みになっていません。アーカイブズや記録 record(s) に関連する専門職制度・専門職自体がほとんど存在しない日本では、このprofessionを日本語に訳すことも難しい点の一つです。講演ノートでは「専門領域での仕事」といった訳をあてています。しかし、原文が意味するのは、本来的には専門教育を通じて養成された専門家が携わる職務のことです。


【講演ノート本文】

<講演ノート> つながる世界のビッグデータ:敵か味方か?

HSBC グローバル・アーカイブズ部長
ティナ・ステイプルズ

 みなさん、最初に1つ質問しますから、一緒に考えてください。 夢のアーカイブズでアーキビストとして働く、夢の一日を想像してください。就職課から飛び出して「アーキビストになりたい!」と宣言した瞬間、あなたは何を想像していましたか?

 質問を少し簡単にするために、選択肢を用意しました。

A:記録 records がすべて、という一日です。 あなたは古代の羊皮紙と帳簿に囲まれて、その中に閉じ込もっていたい。心ゆくまで目録を作成し、驚くべき歴史的洞察を明らかにする、そのような一日。

B:あなたにとっては、利用者がアーカイブズに出会うことを手助けすることが大きな喜びです。あなたは人間に興味があるタイプなのです。研究者が研究のために必要としていた資料に出会い、嬉しそうにしていることを見ることほどうれしいことはないのです。

C:アウトリーチ。あなたはデジタル化プロジェクト、学校のための教育プログラム、ソーシャルメディアへの投稿が何度もリツイートされるようなキャンペーンが必要と考えます。あなたにとっての夢の一日は、担当するアーカイブズ機関での最新・最先端プロジェクト開始についてメディアに告知することです。

D:あなたにとっての夢の一日は、スリルの連続です。会議、大量のプレッドシート、メタデータに関する会話、テラバイトのデータをアーカイブズに移管するサービスに関する取引が成立して、相手先と握手を交わす。

 みなさんはA~Dのどれを選びますか?

 私の答えをみなさんとシェアしたいと思います。もし私のキャリアの最初の段階で質問されたとすると、確実にAかBでしょう。アーカイブズこそ自分の仕事、と私が心に決めた瞬間をいまでもはっきり覚えています。何カ月もの試練を経て、ついに私は歴史遺産に関わる業界で、夏期限定のある仕事を確保しました。さようなら、セインズベリー 1 のレジ打ち ... 私はケント州のメイドストーンにあるケント・アーカイブズに向かいました! その日、月曜日の朝でしたが、30分も経たないうちに、私の手にはアーキビストの一人から羊皮紙の小片が渡されました。それは606年のもので、表面にはケント王の十字架が描かれていました。 私は夢中になりました。キュー 2 、大英図書館、ボドリアン 3 ... を夢みたのです。みなさんの多くも似たようなストーリーをお持ちではないかと思います。はじめてアーカイブ保管庫に入ったとき、古代文書にロマンチックな思いを抱いたことや歴史の香りをかいだこと...

 いまなら、私は多くのアーキビストと同じように、Cが魅力的だと思うでしょう。遺産、郷愁、過去を現代によみがえらせたいという非常に大きな欲求が存在します。メディアとテクノロジーの爆発的成長によって、世界中に巨大な数の視聴者が現れました。彼らには膨大な量のコンテンツが必要なのです。つまり、こういった状況があるゆえに、他の専門的な課題と比較すると、アウトリーチを提供することは比較的簡単なのです。わたしはあえてこのことを示唆したいと考えます。私たちのアーカイブズ資産を全体として見るならば、そのスケールは絶大ですし、私たちにはすばらしい経験が数多くあります。ですから、アウトリーチとはおそらく、火を燃やし続けるために、ショベルで石炭をくべるようなものでしょう。

 しかし、一歩離れて見てみると、アウトリーチとアクセスに焦点を当てることにより、私たちは専門領域のどこに位置することになるでしょうか?今日、部外者は私たちをまず、PR、マーケティング、コミュニケーション、デジタル・メディア・マネージャーと簡単に結びつけるでしょう。他方、彼らは、記録管理/文書管理 4 、情報ガバナンス、ナレッジ・マネジメント、データ資産管理などの世界の中に、私たちがどのようにぴったり収まるのかを理解するのに苦労するかもしれません。そして、私は、アーキビストが後者(すなわち記録管理/文書管理、情報ガバナンス、ナレッジ・マネジメント、データ資産管理など)の分野で地位を失いつつあることに心底懸念を抱いています。デジタルだけでなく、収集、評価、目録作成、処分、真正性など、アーカイブズ管理の根底にあるものを、本当に再考する必要があるといま私は感じているのです。

 管理すること 5 はソーシャルメディアほど魅力的 sexy にはみえません!しかし、情報管理部門の技術とそこの人々に追いついていかないと、私たちはもはや信頼を置くことのできるパートナーとは見なされません。私たちのコレクションには21世紀の問題点があふれかえっているでしょう。そして、私たち専門職は、現代世界の中でほとんど意味を持たないのかもしれないのです。

 このプレゼンテーションでは次のような順番でお話しするつもりです。

・2016年現在、まず私たちがデジタル段階のどのあたりにいるのかに焦点をあてて今の状況を説明します。
・次に、このデジタル状況が私たちに差し出している主要な課題のいくつかを考えてみます。
・HSBCアーカイブズでの私の経験をみなさんとシェアします。ここで私自身は「技術に通じた優秀な若手」ではないことを述べておくべきでしょう。しかし、私は銀行の中で先見性を持ったデジタルでのアーカイブズ・プログラムを立ち上げ、運用開始までを指揮しました。ですから、いくつか興味深い洞察を自分自身が得たと考えています。
・そして、これらの重要な課題にどのように対処し、デジタルでのアーカイブズが提供してくれる数多くのチャンスをどうやって生かすのかについて考えながら、前向きなメッセージでもってこのプレゼンテーションを締めくくりたいと思います。

デジタル化状況のいま

 さて私は本日のこのプレゼンテーションのタイトルとして「つながる世界のビッグデータ:敵か味方か?」というタイトルを思いつきました。「ビッグデータ」という用語は、大量のデータセットとデータ分析を指す場合が多いことを理解しています。しかし、タイトルを目立たせるために少しばかり広い意味で「ビックデータ」という言葉を用いることにしました。みなさんがこの点を気にしないことを願っています!ここでの「ビッグデータ」とは、今そこにある膨大なデータに言及するために使用しているのです。このことを説明する衝撃的な統計がいくつかあります。 フォーブスのウェブサイトの2015年9月の記事に次のようなことが掲載されていました 6

・過去2年間に作成されたデータは、人類の過去の歴史全体で作成されたデータよりも多い。
・2020年までに、地球上のすべての人間のために毎秒約1.7メガバイトの新しい情報が作成される。
・2015年には、驚くべきことに1兆枚の写真が撮影されて数十億の写真がオンラインで共有された。

 私たちは情報革命のまっただ中に生きているのです。 私は自分の所属組織である、現在は巨大な会社であるHSBCからも、いくつかのビッグデータの統計を示しましょう。

・255,000人の従業員
・4,700万人の顧客にサービス
・71カ国で営業
・1秒に100回の支払いが処理される

 これらすべてを支えるIT基盤は全く並外れたものです。

・月間2億3,000万件の内部電子メール
・月に1億2,000万件の外部電子メールを受信(その90%は迷惑メールとしてブロックされている)
・世界中に3万6,500台以上のサーバ
・74.5ペタバイトのストレージ(私のように、ギガバイトに慣れている場合 - 約7,500万ギガバイト!)
・そして、6,225のソフトウェアアプリケーションがあります。そのうちの1つは、「グローバル・デジタル・アーカイブ」システムです。

 もちろん、ありがたいことに、すべてのデータがアーカイブズ行きというわけではありません。しかし、このことから、わたしたちの業務を取り巻く現在のデジタル状況、そして信じられないほどに世界がつながっていることについて、いくつかのアイデアを得ることができます。

 そこで、このすべてが何を意味するのかよく考えるべき時なのです。私たち記録 record分野の専門家の安眠を妨げるものは何でしょうか?

 リストの一番上近くには、もちろん、保存があります。 アーキビストは、長年にわたり自分たちの持つ基本的な保存ノウハウ(非酸性紙で作られた保存箱、真ちゅうのペーパークリップなど)に信頼を寄せてきました。そして、より複雑な作業が必要な場合には、非常に優れた知識と技術を持つ修復家を呼べばよかったのです。 私たちのコレクションが安全に管理されていると深く信頼されてきました。しかし、デジタル状況は明らかに別の種類の挑戦を私たちに突き付けています。 ハードウェアとファイル形式の陳腐化、ウイルスの脅威、記憶媒体の潜在的な脆弱性、パスワード保護と暗号化された文書の煩雑さなどです。私は昨年(2015年)、Googleの副社長の発言の引用を目にしてたいへん驚きました。

「私たちは気づかないうちに、自分たちの持つデータをすべて情報のブラックホールに無頓着に投げ込んでいます。保存するつもりでデジタル化するのですが、さらに別の手当てをしなければ、デジタル化されたバージョンには利点はないし、もしかしたら逆に一層悪いことかもしれないのです。このことが理解されていません。もし本当に大切な写真がある場合は、それらを印刷してください」
(Vint Cerf、Google副社長、2015年) 7

 なんと世界で最も成功したIT企業のうちの一つであるGoogleの上級執行役員が、紙を今後の方法として推薦しているのです!言うまでもなく、私たちはより洗練されたアプローチを主張するでしょう!しかし、今日のカンファレンスが終わった後、このデジタル化の挑戦を過小評価すべきではありません。

 もちろん、私たちはみな、レコードキーピングの世界における真正性と信頼性の重要性を十分に心得ています。そして、私たちが管理するデジタルな記録 records が信頼できる情報源から得られたものであり、偶然または悪意のある方法で改ざんされていないことを、どのように証明できるでしょうか。

 収集には課題がいくつかあります。かつての難題とはネズミの汚れを拭き取って段ボール箱のリストを作るなど、きたない地下室や作業着といったものを含んでいたかもしれません!2016年には、意味不明なタイトルを持つ数万のファイルや、誰によって修正されたのか分からない複数のバージョンのドキュメントを持つ、杜撰に放置されてきたシェアポイント 8 といったものに直面している可能性があります。記録 records 量が急増するにつれ、多くの場合、その品質は低下しています。どのようにこの資料のすべてを評価するつもりですか?そのプラットフォーム(シェアポイントなど)から必要なものをどのように抽出し、自分たちのリポジトリに安全に移管するつもりですか?そして、適切な「原秩序」をどのように保つつもりですか?

 いったんデジタルな預かりものを入手したら、今度はどのように目録作成に取りかかりますか?現在の目録標準は、電子メール・メッセージあるいは画像やビデオ・コンテンツが埋め込まれたウェブサイトにも適用されますか?目録システムには技術的なメタデータに対応するための適切なフィールドとテンプレートがありますか?そして、私には極めて正当と思える質問があります。それは「2000年以来ISAD(G)9 が更新されていないのはなぜですか?」

 どのようなリソースが必要ですか?ストレージはもちろんのこと、データの損失を軽減するためのバックアップ・ストレージやスタッフの時間と専門知識も重要です。DROID 10 のような、デジタル・コンテンツの初期調査で役立つオープンソースのツールがあります。しかし、これらのツールをインストールするにはITのサポートが必要です。 そして、一部のIT部門は、既知のリスクのために、オープンソースの利用を実際にはなんとかしてブロックするかもしれません。だから、それはいつも簡単なことではありません。さらに進んで、もっと正式なデジタル保存システムを検討し始めると、いっそう多額の予算が必要になるでしょう。どういう起案書を書きますか?決裁を得るために、予算を握る誰にアプローチしますか?

 知識、実践的スキル、教育。現時点では、経験豊富なデジタル・アーキビストを選抜するための大量の予備要員は存在しませんが、人数は確実に増えています。そしていまではいくつかの優れた研修の機会を利用することができるし、参照するウェブサイト、書籍、ブログがたくさんあります。しかし、採用する側の私にとっては、即戦力になる候補者の欠如は、後継者育成計画にとって大きな心配事です。そして、最近自分自身が経験したことなのですが、デジタルでのアーカイブズは、この国のいくつかの修士課程では選択科目でしかありません。つまり、古文書学、ラテン語、映画・音声アーカイブズなどと並列してリストされています。「デジタルでのアーカイブズ」というものを、すべてのコースの義務的要素とすべきかどうかある段階で検討することは当然でしょう。そして、それはいったい、いつになるのでしょうか。3年後、5年後、それとも、10年後になっても完璧に訓練されたデジタル・アーキビストの出現をまだ待っている状態なのでしょうか?

 デジタルでのアーカイブズによって、私たちはITとIT部門で働くスタッフの協力に深く依存する状況に置かれます。これは、従来の伝統的な物理的なアーカイブズ・リポジトリに比較して、非常に不安定に感じられるかもしれません。 そして、ITだけではありません。記録管理/文書管理部門のスタッフと今まで以上に緊密に連携しなければなりません。ポリシー(方針)、手続き、システムに関する彼らの選択は、私たちにたいへん大きな影響を与えます。また、デジタル環境においては、情報セキュリティ・リスク部門の管理者や法務担当者ともかかわる必要があります。以前ならば、「機嫌が悪く不平ばかり言うアーキビスト」、「鍵のかかった貴重品収蔵庫の唯一の主人であり保護者であるアーキビスト」、といったステレオタイプがありました!そのステレオタイプはもう機能しません。今日、私たちは他の多くの分野に依存しており、そのためにおそらく私たちは少しばかり脆くて傷つきやすいと感じています。私たちのプロフェッショナルなアイデンティティーは、こういった他の部門に対する依存関係によって薄まりつつあるのでしょうか?そして ITとアーカイブズの境界はぼやけつつあるのでしょうか?それは良いことか悪いことか?

 最後のいくつかの点に関わることとして、専門的な仕事に関わるイメージの問題を追加したいと思います。私たちは専門家として、関係者によってどのように認識されているでしょうか? テレビ番組「あなたは誰だと思いますか?」 11 のおかげで、私たちはいまや白手袋をつけて本当に素敵な古いものを扱う人たち、として広く知られています!しかしその「白手袋の人たち」という認識とデジタルでのアーカイブズとを人々は簡単に結びつけるでしょうか?もし CIO(最高情報責任者)が新たな役割を担うようになり、組織内での長期的データ保管にリスクが潜むことを発見したら、彼または彼女はいったい最初に誰に連絡をとるでしょうか?IT部門、監査、コンプライアンス・チーム、あるいはレコードキーパーか?その問題に当事者としてかかわるために、私たちはどれほど重い信任を得ていますか?私たちが起案した企画と予算要求はどれくらいうまくいっていますか?自分たちにとって関わりがある事案に関して発言権を得るよう、組織内の適切な場所に位置していますか?

 これはいくつかある課題の一部を、私の観点からざっと並べてみたものにすぎません。多分そのうちのいくつかはみなさんにも心当たりがあり、みなさんはもしかしたら別の課題を指摘するでしょう。ただし、これは技術的課題のリストではないことに注意してください。これらは私たちの専門領域での仕事が、将来どのようになっていくのかに関する質問なのです。

デジタルでのアーカイブズ管理への道のり:HSBCの場合

 さて、私はHSBCで経験したことをみなさんとシェアしたいと思います。私たちのチームはロンドン、パリ、香港、ニューヨークに分かれています。とてもグローバルなんです。アーカイブズの標準からすると、大きさとしては非常に良いチームに見えると思います。しかし、25万人の従業員を抱える組織内の22人の従業員 ─ 私たちは労働力のわずか0.009%です!この規模の組織の中で、私たちアーカイブズ・チームの存在を目にしてもらう、その名前を耳にしてもらう、あるいは理解してもらうことは、たいへんなことなのです。また、利益追求第一主義の企業の中で予算を求めることは、特にチームが具体的な収入を生み出していない場合、楽なことではありません。

 以前、私たちは記録管理/文書管理と並んで、経営とIT機能の下に置かれていました。昨年(2015年)私たちはコミュニケーション部門に移りました。そのため、今は企業内で非常に異なる位置にいます。記録管理/文書管理部門とうまく連携するという点では後退しています。

 HSBCではデジタルでのアーカイブズに関わる冒険が数年前から始まりました。2009年ごろに関連市場の調査を始めたのです。目録用のAccessデータベースがずっと残っていたため、非常に包括的なシステムを探していました。ボーン・デジタルな記録 recordsとデジタル化された記録 records の両方を蓄積して保存するのに役立つ、そして紙媒体記録 records も一緒に目録化し管理することを可能にするシステムです。最も避けたいと思っていたのは、フォーマットごとに別々のシステムとすることでした。それは後ろ向きの方向に思えました。

 最初の調査はそれほどうまくいきませんでした。そして、しばらくの間、私たちは、IT部門によって、IBMアプリケーションを採用するよう丸め込まれそうになっていました。というのは間もなくそれが記録管理/文書管理のソリューションとして実装される予定だったからです。幸いにも、私たちはその動きを押し返しました。私たちは、デジタル化が向かうべき方向に関して、他のアーカイブズ機関との間で非常に有益な対話を行うことができ、2011年から2012年にかけて再び市場調査を行いました。この時までには、アーカイブズ専用ソフトウェアが必要であることを、予算承認者に確信させることに成功しました。これは、シェアポイントや標準的なデジタル資産管理ソリューションの仕事ではなかったのです。数多くのリサーチ、討論、ベンダーに関するテストの後、プリザービカ・エンタプライズ・エディションを私たちのデジタル保存ソフトウェアにすることに落ち着き、アーカイブズ管理ソフトウェアであるCalmの地域別インスタンスに緊密に同期させました。

 それは長く複雑なプロジェクトでした!多くの点で「アーカイブズ主導のITプロジェクト」ではなく、「IT主導のアーカイブズ・プロジェクト」でした。ベンダーたちとの契約は2012年末でした。その約2年後に、ようやくシステムを導入する準備が整いました。この時間差におじけづかないでください。HSBCでのセットアップにはある特有の複雑さがありました。当初は、グローバル・ベースで作動すると同時に、ローカルのアーカイブズ・コレクションがそれぞれの地域に帰属することを引き続き可能とするシステムを必要としました。さらに、銀行には非常に厳しい情報リスク・セキュリティ基準があり、システムは銀行自身のサーバにインストールする必要がありました。クラウドホスティングやベンダーホスティングという選択肢は絶対ありえませんでした。さらに、システム設計を通じて、アーカイブズ管理プロセスを強化することが決定されました。例えば検索を改善するために、プリザービカとCalmには紙レコードとデジタル・レコードの完全同期が求められました。これはベンダーたちにとっては最初の事例で、開発期間が必要でした。

 では、最終結果はどうだったでしょうか?私たちは2015年の初めにシステムを立ち上げ、結果には本当に満足しています。デジタル・リポジトリは常に成長しており、すでに3テラバイトのボーン・デジタル・コンテンツとデジタル化されたコンテンツを保持しています。これは、PDF、TIFFS、パワーポイント、WAV、MPEGなどを含む約7万3,000のファイルを4万5,000回取り込んだことを表しています。保存の面ではまだ取り立てて活躍する必要には至っていません。しかし、私たちはマイグレーション・ワークフローを試してテストも行い、準備は万端であるのが分かっているので非常に安心しています。

 そして、主要な課題は何だったのでしょうか?プロジェクトに携わり、立ち上げ以降はメンテナンスに携わるスタッフの時間を私はまったく過小評価してしまいました。すべてのチームメンバーが毎日ソフトウェアを使用しています。しかし、システム全体を管理し、システムにフィードするアーカイブズ・プロセスを監督する責任を担うデジタル・アーカイブズ・マネージャー(ジェームズ・モートロック)とデジタル・アーキビスト(ジェニファー・フェブルズ)も必要です。このシステムは行内でホストされているため、インドに本拠を置く二人のITスタッフも舞台裏でサポートしています。おそらく彼らの一日の仕事の約50%は私たちのシステムに費やされています。しかし、知識を共有し合い、誰かが休暇や病欠などの時でも24時間体制でカバーするためには、二人のフルタイム従業員が不可欠です。

 このプロジェクトのもう一つの特徴は、プロジェクトが途中で、自分たちアーカイブズ部門のコントロールから完全に外れてしまったという戸惑いがあったことでした。これには三つの例がありました。

・法律および調達部門のスタッフによる契約に関する長期間の交渉
・私たちが銀行の顧客に直接対面しているわけではないため、IT部門への依頼のウェイティングリストの下の方にいることがわかったこと
・私たちが紙の世界で働いていたときにはほとんど気づかなかったのですが、法律と情報セキュリティ部門が私たちのアーカイブズ・プロセスを本当に綿密に調べてくれていること!

 そして未来はどうでしょうか? そうですね、将来の発展に向けての大きな願い事リストがあります。

・現在、アクセスはアーキビストのみに制限されています。行内の主要なユーザーの一部(コミュニケーションとマーケティング)に、そして行外の研究者と一般に対しても、コンテンツが利用できるようにしたいと私たちは考えているのです。それを可能にするには、くぐり抜けるべきたくさんのITとセキュリティの輪があることが分かっています。
・銀行での(記録 recordsの)収集作業を支援するレコードキーピング・システムとの統合に取り組んでいます。
・大規模で動的なデータベースなど、より複雑なデジタル記録 records に取り組んでいきたいと考えています。
・評価や目録作成などをサポートする、より洗練されたアーカイブズ・ワークフローが必要です。また、それと連携して、それらのワークフローのどこにいるかを把握するため、システム内におけるより効率的なレポーティングが必要です。
・最終的には、ほとんどの要件を満たす単一のアプリケーションに到達したいと考えています。異なるソフトウェア間の同期に多くを依存することは、複雑なためリスクも多く、理想的には避けたいのです。

 みなさんお分かりのように、これは終着点が自明のプロジェクトではありません。先見性を持ち、反応良く成長し発展するプログラムなのです。

デジタルでのアーカイブズの課題と強み

 そこで全体図に戻ってみましょう。私たちは、専門領域での仕事に関して大きな課題に直面していると感じています。そして単純な解決法がないことも分かっています。この努力の中で、私たちを鼓舞してくれるものは何でしょうか?

 心に留めておくべき重要なことは、デジタルでのアーカイブズの課題は、私たちが遅れをとればとるほど、大きくなるということです。デジタル記録 records 保存の可能性を十分に確保するためには、これまで伝統的にやってきたよりもライフサイクルのずっと早い時期に、記録recordsに関わる必要があることが分かっています。早期に行動することは後の段階で行動するよりも、時間、努力、そしてお金が少なくて済む可能性が高いのです。

 かつては大きな国立の文化遺産保存機関や学術理論の領域の話であったものが、今やずっと普通なものになっています。私たちには袖を捲り上げて挑戦するアーキビストたちの素晴らしい先例があります。また、多くの知識共有や連携が進行中です。Archives and Records誌 12 の春版には、素晴らしい資料がいくつか含まれていました。このカンファレンスも専用のデジタルストリームを使用しているので、実際の経験を持つ人からの直接の声を聞く素晴らしい機会であるのは明らかです。

 現在の市場には、十分に試験済みのシステムを持つベンダーたちが多数いるという事実も間違いなく祝福すべきことです。アーキビストの中には、なおオープンソースで自力構築の道を進むことを望む人たちがいるかもしれません。しかし、これは万人向けではなく、ベンダーがサポートし、箱から出してすぐに使えるような製品が一般的には迅速かつ容易に実装できます。クラウドベースのサービスはコスト削減にも役立っており、これは素晴らしいニュースです。しかし注意すべきことが一つあります。私は個人的にサプライヤーに非常に満足していますが、市場での健全な競争があるのがよいと考えます。一つまたは二つの主要な製品に過度に依存すると、ユーザー側が無関心になる可能性があり、これはベンダーに安易な気持ちを与えることになると私は考えています。私たちには、技術の変化に伴って、私たちの企業のために競い合って、自社製品への投資と開発を指向する、適切な商業マインドを持つベンダーが必要です。

 デジタルでのアーカイブズは、私たちのサステナビリティに関する信頼性を高めるのに役立ちます。どの機関もコストを削減し、廃棄物を減らし、エネルギーを節約するために、紙の使用量を減らし、印刷物を減らすという考え方を推進しています。紙の記録recordsとは反対に、デジタル記録 recordsの受け取りを推し進めるアーカイブズ・サービスは、その使命を最も明確にサポートするものです。

 私にとってもう一つの大きなプラスポイントは、21世紀初頭の多くのさまざまな思考、感情、経験を捉えた豊かなアーカイブズ遺産を私たちの子孫に残すことが可能になるということです。これはエキサイティングな考えです。これまでのHSBCアーカイブズの特徴は、上級管理職の記録が支配的であるということです。序列の下の方に位置する労働者の生活は、上級管理者ほどには詳細に記録されてきませんでした。今日では、会社のブログを保存する中で、上級管理職と最前線のスタッフとの書面によるやりとりをキャプチャすることができます。イントラネットページからハーベスト(捕捉)した、 グローバルに働く従業員のインタビューもあります。行員の一日をシェアするための「day in the life」というHSBCアプリもあります。これらの記録 recordsは、将来世代がこれまでの歩みを振り返るために非常に興味深いリソースとなるでしょう。19世紀から20世紀の、静的で、しばしばエリート主義的な記録 records よりはるかにダイナミックなものです。

 また、デジタルでのアーカイブズによって、効率を向上させることが真に可能となりえる点も強調したいと思います。とても単純だけれども明白なことは、URLリンクをワンクリックすることで深い喜びを得ることができるのです。クリックひとつでデジタル・リポジトリにある記録recordsそのものにアクセスできるのです。収蔵場所を捜して、書架の間を通り抜けて、保存箱を取り出す努力と比較してみてください。デジタルでのアーカイブズなら、これはたった数秒の検索です。ボーン・デジタル記録recordsの全文検索を実行できるという事実も大きな利点です。デジタル化された記録recordsも OCR技術によって、全文検索が可能になるものがあります。比較してみてください。500ページの紙に対して索引があるかもしれないし、ないかもしれない場合と、5万ワードのPDFに対して、どの名前も日付もサブタイトルも脚注も瞬時に検索可能である場合を。そしてこういったことにより、みなさんは将来一体何がどこまで可能になるのだろうか、と思うでしょう。人工知能は、かつてはSFの世界のものにすぎませんでした。しかし、データの量が私たちのリソースに圧力をかけ続けるにつれて、AIや自動データ抽出などが評価、目録作成、そしておそらく機密審査の助けとなるかどうかを確実に検討することになるでしょう。

 これが最先端のものであるという事実それ自体もセールスポイントです。それは知的に刺激的なものです。斬新なものの見方、新しいアイデア、勇気を必要とします。私たちにはこの分野におけるパイオニアが必要です。これは本当にこの専門領域での仕事において名声を獲得するまたとない機会です。それはキャリアを特徴づけるでしょう。

デジタルはグローバル。ふさわしいのは誰か

 最後に、私たちのグローバルな未来を考えてみましょう。私にとって最も重要なことの一つは、デジタル=遠隔アクセス、つまりこれは「グローバル」に等しいという事実です。私たちのオーディエンス(視聴者)が、かつては見果てぬ夢と思われた領域を超えて拡大する素晴らしいチャンスなのです。何十年かを経た後、21世紀初頭の研究者は、記録 recordsを調査するために物理的に旅行する必要はありません。みなさんの管理するボーン・デジタルでのアーカイブズに、世界のどこであろうと研究者の自宅からアクセスすることを可能にする技術がそこにあるはずなのです。

 だから、私たちがそれを望むと望まざるとにかかわらず、グローバルな未来はデジタルなのです。それは敵でしょうか味方でしょうか? もちろん、いくつもの難題がありますが、潜在的な利益があるのです。それはこの専門分野における仕事にとって大きなチャンスなのです。

 さらに答えが必要だと思ういくつかの大きな質問を投げかけることによって、このスピーチを終えようと思います。

・私たちは、自分自身や次世代を十分に教育し、育成していますか?
・これを実現する立場にありますか? レコード・マネージャー、ITプロフェッショナル、そして戦略を策定し、ITシステムの予算を決定するマネージャーたちと戦略的に統合されていますか?
・そして、私たちは本当に、心から honestly 責任を取るつもりがありますか?

 この仕事の夢の一日についての私の質問に戻りましょう。私たちはこの業界で、冒頭の選択肢Dに喜んで手を上げる十分な人材を抱えているでしょうか。あるいはそういった人々を惹きつけているでしょうか?選択肢Dを選ぶことが現代のアーキビストであり21世紀のレコード・マネージャーなのです。


【訳者注】

1 1869年創業の英国の有力スーパーマーケット。http://www.sainsburys.co.uk/

2 英国国立公文書館がある地名。http://www.nationalarchives.gov.uk/

3 オックスフォード大学の中で最も中心的な研究図書館。ヨーロッパ最古の研究図書館のひとつ。http://www.bodleian.ox.ac.uk/

4 原文はRM。Record managementのこと。日本では実務では「記録管理」よりは「文書管理」がもっぱら使われているので、以下、本文中でRMやrecord managementとある場合は「記録管理/文書管理」とする。

5 原語はcustodianship。

6 https://www.forbes.com/sites/bernardmarr/2015/09/30/big-data-20-mind-boggling-facts-everyone-must-read/#cf2bc217b1e8

7 https://www.theguardian.com/technology/2015/feb/13/google-boss-warns-forgotten-century-email-photos-vint-cerf

8 マイクロソフト社の文書・業務管理プラットフォーム。

9 国際アーカイブズ評議会(ICA)が策定したアーカイブズ資料の目録作成のための標準。

10 Digital Record Object Identification (DROID)、デジタルオブジェクトの技術メタデータ抽出のためのツール。英国国立公文書館が開発した。 http://webarchive.nationalarchives.gov.uk/+/http://www.nationalarchives.gov.uk/aboutapps/pronom/droid.htm

11 "Who Do You Think You Are?" BBCのテレビ番組。

12 ARAの会誌。http://www.archives.org.uk/publications/archives-and-records-ara-journal.html


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