理事長メッセージ

年頭のご挨拶

全国の会員の皆様に、新年のご挨拶を申し上げます。

さて、長らくにわたって私たちを苦しめてきた新型コロナウイルス感染症も、ようやく深刻な事態を回避しつつあり、とりあえずは安堵の胸を撫でおろしているところです。さりとて、なお警戒を緩められる段階とはいえません。どうか十分に保全を図り続けられますよう、お願い申しあげます。

いくつもの難儀が続いているとはいえ、日本国内にあっては、私たちの暮らしも安定を維持しつつあるというのが、実感でしょうか。ところが、世界的にみると、人間達のあいだでの紛争状況が厳しさを増しています。ロシアの侵攻に始まった一昨年以来のウクライナ戦争は、収束の兆しすら窺えません。また昨秋、突如として勃発した中東パレスティナのガザ地区武力紛争は、年を越してさらに激烈さを増す様相を呈しています。私たちは、こうした国際情勢のもとでも、日頃からの着実な社会実践と個人的平静とをあわせ保持しながら、新しい年への歩みを続けたいと念じています。

さて、話題は大きく転換しますが、本年7月には日本銀行券のデザイン変更が予定されています。ご承知のとおり、一万円札紙幣には、渋沢栄一翁の肖像が印刷されます。二十年ぶりの転換という福沢諭吉から渋沢への移行には、いわく言い難い意味合いが秘められているとの憶測もあります。ともあれ、財布のなかから出現する翁の威厳ある顔(かんばせ)から、私達は熱い想いを汲み取ることになるでしょう。(もし、有ればのことですが)その劇的な出会いを想像するだけでも、感動が沸き起こるに違いありません。年頭に当たって、本年への願いを語らせていただきました。

どうか皆様におかれましても、御身の安全に十分の留意を払いつつ、それぞれの希望を胸に抱いて、豊かな実りある一年をお過ごしいただきますよう、お祈り申しあげます。


2024年1月
公益財団法人 渋沢栄一記念財団
理事長 樺山紘一