ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信)

第53号(2014年8月2日発行)

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☆      □■□ ビジネス・アーカイブズ通信 □■□

☆       No.53 (2014年8月2日発行)

☆ 発行:公益財団法人 渋沢栄一記念財団 実業史研究情報センター

☆                        〔ISSN:1884-2666〕
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この通信では海外(主として英語圏)のビジネス・アーカイブズ(BA)に関する情報をお届けします。

海外BAに関わる国内関連情報も適宜掲載しております。

今号は文献情報3件です。


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◆ 目次 ◆

[掲載事項の凡例とご注意]

文献情報:ビジネス・アーカイブズ・ウェブサイト 13
 ◎「RBS (ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)は第一次世界大戦を記憶している」

文献情報:ビジネス・アーカイブズ・ウェブサイト 14
 ◎グッチ・ミュゼオ・プント・コム

文献情報:「コーポレート・アーカイブズ・フォーラム(CAF)」 2

☆★ 編集部より:次号予告 ★☆

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[掲載事項の凡例]

・欧文の場合、日本語で読みやすいものになるように、タイトルははじめに日本語訳を、続いて原文を記します。
・人名や固有名詞の発音が不明の場合も日本語表記を添えました。便宜的なものですので、検索等を行う場合はかならず原文を用いてください。

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[ご注意]
・受信時にリンク先を示すURLが途中で改行されてしまう場合があります。通常のURLクリックで表示されない場合にはお手数ですがコピー&ペーストで一行にしたものをブラウザのアドレス・バーに挿入し、リンク先をご覧ください。

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■文献情報:ビジネス・アーカイブズ・ウェブサイト 13

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◎「RBS (ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)は第一次世界大戦を記憶している」
RBS Remembers 1914-1918
http://www.rbsremembers.com

今年は第一次世界大戦開戦からちょうど100周年にあたります。

今回ご紹介するウェブサイトは、英国の民間金融機関であるロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(以下、RBSと略記)による第一次世界大戦開戦100周年記念の取り組み「RBSは第一次世界大戦を記憶している」です。7月24日にリリースされました。


★☆★「RBSは第一次世界大戦を記憶している」★☆★

◆「このサイトについて」This site
http://www.rbsremembers.com/about-rbs-remembers/this-site.html
このサイトはRBSとナショナル・ウェストミンスター銀行など後にRBSと合併した29の銀行(併せて30の銀行)からみた第一次世界大戦を探求することを目的としています。


◆「RBSアーカイブズと原資料」Our archives and sources
http://www.rbsremembers.com/about-rbs-remembers/our-archives-and-sources.html
RBSアーカイブズには過去4世紀にわたるRBSの前身銀行200行以上の記録が所蔵されているといいます。書架延長にして6キロメートル以上です。このサイトを作成するにあたっては、アーカイブズが所蔵する手紙、回覧、社内報、会議録、写真、絵画など5,000点以上のアイテムが使われています。さらに書籍や定期刊行物、ウェブサイトといった出版物も資料としてサイト内のストーリーが準備されたということです。


◆「第一次大戦時代の私たちの銀行の姿」Our First World War Banks
http://www.rbsremembers.com/about-rbs-remembers/our-first-world-war-banks.html
このページでは、第一次大戦当時の30行からみた戦争の姿を捉えようとしています。

ページ内には30行の系図も掲載されています。
http://www.rbsremembers.com/content/dam/rbs-remembers/ArticleImages/About%20RBS%20Remembers/RBS%20family%20tree%20extract%201914-2014.pdf (PDF)


◆「私たちの戦没者」Our Fallen
http://www.rbsremembers.com/our-fallen.html#p=1
戦争によって亡くなった1,582名の所属行員に関するページです。氏名、当時の所属銀行名、任地、亡くなった日にちの記録と、戦没者によっては写真も掲載されています。写真が掲載されている例にRonald Andrew氏がいます。
http://www.rbsremembers.com/our-fallen/a/ronald-andrew.html#p=1
検索が可能です。

◆「戦時中の銀行業」Banking in wartime
http://www.rbsremembers.com/banking-in-wartime.html
1914年から1918年の期間の銀行業の姿を追っています。

◇◇「国を支える」Supporting the nation
http://www.rbsremembers.com/banking-in-wartime/supporting-the-nation.html

◇◇「顧客を支える」Supporting customers
http://www.rbsremembers.com/banking-in-wartime/supporting-customers.html


◆「アワ・ピープル」Our people
http://www.rbsremembers.com/our-people.html
所属行員の目から見た戦争の姿を捉えるストーリーで構成されています。

◇◇「カウンターの後ろ」Behind the counter
http://www.rbsremembers.com/our-people/behind-the-counter.html

◇◇「従軍」On active service
http://www.rbsremembers.com/our-people/on-active-service.html

◇◇「事例研究」Case studies
http://www.rbsremembers.com/our-people/case-studies.html


◆「影響と遺産」Aftermath and legacy
http://www.rbsremembers.com/aftermath-and-legacy.html
短期、長期にわたる戦争の影響について。


★☆★第一次世界大戦を追体験する4年にわたる長期プロジェクト★☆★

同銀行のアーカイブズ長であるアリソン・タートン Alison Turton(国際アーカイブズ評議会企業労働アーカイブズ部会=ICA/SBL運営委員です)によると、RBSアーカイブズはこのサイトを今後4年間(つまり第一次世界大戦終結100周年にあたる2018年まで)さらに発展させるということです。これは帝国戦争博物館 Imperial War Museum が主導する「第一次世界大戦100周年記念」First World War Centenary事業全体に歩調を合わせているためです。4年という長期プロジェクトの過程でサイトを充実させるために、サイト訪問者からのフィードバック、意見提供を積極的に呼び掛けています。
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=ind1407&L=archives-nra&F=&S=&P=179394


★☆★その他の機関における第一次世界大戦100周年記念の取り組み★☆★

第一次大戦の主戦場であった欧州を中心にアーカイブズ関係機関ではこれを記念して、さまざまな取り組みを行っています。英国では1,400以上のNPO団体が帝国戦争博物館が組織する「第一次世界大戦100周年記念」に参加しています。
http://www.1914.org/

一方、英国外務省によるツイッターを使った取り組みでは、同省公認歴史家が第一次世界大戦を再現するアカウントや、当時の駐セルビア英国大使Dayrell Crackanthorpeのアカウントを開設し、100年前の出来事をリアルタイムでつぶやくという、ちょっとびっくりするような試みも現在進行中です。

英国外務省公認歴史家のツイッター・アカウント
https://twitter.com/FCOhistorians

1914年当時の駐セルビア英国大使Dayrell Crackanthorpeのツイッター・アカウント
https://twitter.com/WW1Crackanthorp

例えば開戦日7月28日にはCrackanthorpe大使は次のようにつぶやいています。

"Telegram received here that war declared by Austria."
(「オーストリアによる宣戦布告の報を当地にて受け取る」)
https://twitter.com/WW1Crackanthorp/status/493814515868262400

英国国立公文書館によると、政府各部局のツイッター・アカウントでのつぶやきは、public recordとして保存されているということです。

'These Twitter profiles are being preserved as part of the public record. Find archived tweets from government organisations and the London 2012 Olympic games official channels that were originally made available on Twitter.'
http://www.nationalarchives.gov.uk/webarchive/twitter.htm
http://www.nationalarchives.gov.uk/webarchive/information.htm


★☆★...編集部よりひと言...★☆★

【記憶に関わるグローバル・スタンダード?】

イギリスは産業革命をいち早く成し遂げ、大英帝国を築いた後、20世紀後半は「斜陽の国」などと言われた時期もありました。製造業においては「ランドローバー」や「ジャガー」といったイギリス生まれの高級自動車メーカー・ブランドも今は国外の会社(インドのタタ・モータース系列)の傘下の会社・ブランドとなっています。製造業におけるかつてのリーダーシップは失われました。しかし、同国のRBSや帝国戦争博物館の第一次大戦100周年記念プロジェクトを見ていると、これらのプロジェクトは記憶に関わるグローバル・スタンダードにつながっていくのではないかと感じます。

○○ remembers △△...

「○○は△△を記憶している」

○○に例えば「わたしたちの会社」、△△に「東日本大震災」あるいは「阪神淡路大震災」を入れたとき、記憶を裏付ける記録がなければ、震災後20年、30年、50年・・・の後に「わたしたちの会社は東日本大震災(阪神淡路大震災)を記憶している」というプロジェクトを作っていくことは難しいでしょう。

(少し話は変わりますが)日本経団連事業サービス社内広報センターが行っている経団連推薦社内報表彰制度をご存じでしょうか。2011年度には、東日本大震災に関連する社内報の特集企画が優れた企業に贈られる「東日本大震災特別賞」が設けられました。「私たちの会社は小さな会社で企業アーカイブズなんてとても持てない」と感じている方も少なくないでしょう。しかし「これまで発行した社内報を集める」ことは、アーカイブズへの最初の一歩として、最も取り組みやすいと思います。ぜひ取り組んでいただけたら、と希望いたします。
https://www.keidanren.or.jp/japanese/journal/times/2012/0308/07.html


2018年まで続く第一次世界大戦100周年記念に関わる企業・団体アーカイブズの取り組みを今後も注目していきたいと思います。

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■文献情報:ビジネス・アーカイブズ・ウェブサイト 14

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◎グッチ・ミュゼオ・プント・コム
GucciMuseo.com
http://www.guccimuseo.com/en
http://www.guccimuseo.com/jp/ (日本語)


イタリア・フィレンツェ出身のグッチオ・グッチが1921年に皮革製品製造小売り業としてスタートさせたグッチは、ブランド誕生90周年を記念して、2010年にフィレンツェ市内に博物館をオープンしました。
http://on.gucci.com/1m1Cw61
http://www.gucci.com/jp/worldofgucci/mosaic/the_house_of_gucci/gucci_history 
(日本語)
http://www.guccimuseo.com/jp/museum/visit-the-museo/ (日本語)

新しいウェブサイト「グッチ・ミュゼオ・プント・コム」ではアーカイブズ画像が効果的に利用されています。サイトは「ザ・ミュージアム」「グッチとアート」「アーカイブ」の3つの部分から成り立っています。


◆「ザ・ミュージアム」The Museum

「グッチ・ミュゼオ案内」Visit the Gucci Museo
http://www.guccimuseo.com/jp/museum/visit-the-museo/ (日本語)
1月1日、8月15日、12月25日を除いて年中無休、午前10時から午後8時まで、毎週木曜日は午後11時までオープンしています。入館料6ユーロ(木曜日20:00以降4ユーロ)。

「グッチ献金プロジェクト」Gucci Donation Project
http://www.guccimuseo.com/jp/museum/the-gucci-donation-programme/ (日本語)
ミュゼオが設立された2010 年には、フィレンツェの重要芸術作品の保護を目的として、グッチ献金プロジェクトを立ち上げました。入館料の売上金額の50%をフィレンツェ市に寄付することになっています。

「グッチの歴史」Gucci History
http://www.guccimuseo.com/jp/museum/gucci-history/ (日本語)

「ミュゼオの建物の歴史」History of the building
http://www.guccimuseo.com/jp/museum/the-gucci-museo-story/ (日本語)
オープンまでの内部の様子の早送り映像を含みます。キャデラック・セヴィルのグッチ・エディション搬入の模様など、短い映像ですが興味深い動画です。


◆「アーカイブ」Gucci Archive

「アーカイブ」のページではブランドを代表する過去の製品をテーマごとに配列しています。紹介する点数の控えめさもあり、製品・商品というよりは「作品」と呼びたくなるような見せ方です。

http://www.guccimuseo.com/jp/gucci-archive/ (日本語)

「バンブー」Bambooのテーマ
http://www.guccimuseo.com/jp/gucci-archive/bamboo/ (日本語)

「フローラ」Floraのテーマ
http://www.guccimuseo.com/jp/gucci-archive/flora/ (日本語)

「トラベル」Travelのテーマ
http://www.guccimuseo.com/jp/gucci-archive/viaggio/ (日本語)
キャデラック・セヴィルの画像は部分的に拡大して詳細を見ることができます。

「ライフスタイル」Lifestyleのテーマ
http://www.guccimuseo.com/jp/gucci-archive/lifestyle/ (日本語)

「ハンドバッグ」Handbagsのテーマ
http://www.guccimuseo.com/jp/gucci-archive/handbags/ (日本語)

「ロゴマニア」Logomaniaのテーマ
http://www.guccimuseo.com/jp/gucci-archive/logomania/ (日本語)

「イブニング」Eveningのテーマ
http://www.guccimuseo.com/jp/gucci-archive/evening (日本語)


◆「グッチとアート」Gucci and the arts

http://www.guccimuseo.com/jp/gucci-arts/

「グッチとアート」のページにもたくさんのコンテンツが収録されています。その中でとりわけ興味深いのが「映画基金」のページでしょう。グッチは「映画から影響を受けた豊かな歴史をたたえ、貴重な財宝である映画を救う活動を続けるThe Film Foundationを支援してい」るとのことです。
http://www.guccimuseo.com/jp/gucci-arts/the-film-foundation/

これまで支援を受けて修復された映画作品には次のようなものがあります。

『理由なき反抗』(監督:ニコラス・レイ 1955年制作)
Rebel Without a Cause

『黒い砂漠』(1972年、フランチェスコ・ロージ監督)
Il Caso Mattei

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』 監督:セルジオ・レオーネ
Once Upon a Time in America

『甘い生活』(1960 年作品、監督:フェデリコ・フェリーニ)
La Dolce Vita

『こわれゆく女』 (1974年制作 監督:ジョン・カサヴェテス)
A Women Under the Influence

『女ともだち』(1955年制作 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ)
Le Amiche

『ワンダ』(1970年制作 監督:バーバラ・ローデン)
Wanda

『夏の嵐』(1954年制作 監督:ルキノ・ヴィスコンティ)
Senso

『山猫』(1963年, 監督:ルキノ・ヴィスコンティ)
il gattopardo

このページの冒頭で映画フィルム保存の意義について語っているのは、非営利団体であるThe Film Foundationを1990年に設立したマーティン・スコセッシ監督です。同監督は映画が持つ深い文化的意義とともに、フィルム自体はたいへん脆弱であるがゆえに、映画フィルムを修復し、保存し、最善の状態で利用できるようにすることに対してグッチが深く関与してくれていることに対して謝辞を述べています。
http://www.guccimuseo.com/jp/gucci-arts/the-film-foundation/


このページにはそれぞれの映画のスチール画像、映画の内容、修復に関する説明が含まれています。ディスプレイの左右に位置する「<」と「>」の印をクリックすると次の映画のコンテンツに移動します(このページには10のコンテンツが含まれます)。また各コンテンツのテキストの下にある小さなグレーのボタン●をクリックすると、次のテキストに移動します。
http://www.guccimuseo.com/jp/gucci-arts/the-film-foundation/


『山猫』の修復に関わる説明文では、同映画がテクニラマという方式で制作されており、この方式だと「35mmフィルムを縦ではなく横方向に走らせることによって、35mmスタンダードフィルムの2倍の幅をもつ70mmフィルム と同じ効果をあげることができる」といった映画フィルムに関する技術的な解説も付されるなど、短いながら魅力的な解説文となっています。各映画の詳細は次のURLからご覧ください。
http://www.guccimuseo.com/jp/gucci-arts/the-film-foundation/

なお、このサイト内のほとんどのテキストは英語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語、中国語(簡体字)、日本語の8カ国語で作成されています。音声は主として英語です。

また本サイトはスマートフォンやタブレット型端末を対象として開発されたもののようです。PC画面での閲覧に比べると、スマートフォン、タブレット型端末での閲覧の方がストレスが少なく感じました。


[関連ページ]

The Film Foundation
http://www.film-foundation.org/common/11004/aboutMission.cfm?clientID=11004&sid=1

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■文献情報:「コーポレート・アーカイブズ・フォーラム(CAF)」 2

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◎「コーポレート・アーカイブズ・フォーラム(CAF)」
Corporate Archives Forum (CAF)

http://www.hunterinformation.com/caf.htm


米国の大手企業のアーキビストたちによる会合「コーポレート・アーカイブズ・フォーラム(CAF)」各回での議論の概要を紹介します。CAFは「電子記録」と「企業のグローバル化」を中心に少人数のグループで深く議論することを目的としてスタートしたものです。

本通信52号(2014年7月15日発行)では、1998年に開催された第1回の集まりから2010年の第13回会合までの目次にあたる部分の紹介をいたしました。引き続きCAFの内容のご紹介を続けてまいります。

会合は第1回目は参加者全員が企業アーカイブズが直面していると課題やそれに対する考えをとにかく出し合ってみる、という形式の会合です。1999年の第2回目は、前年の会合以降に生じた各人が所属するアーカイブズにおける変化を報告し合った後、いくつかの議題に関して話し合うという形式に変化していきます。2回目以降の会合はほぼ同様のフォーマットで開催されています。「BA通信」今号では、1998年の第1回で出された意見をゆるやかにグループ分けして、その概要を見ていきます。次号以降では、2〜13回目までの会合全体を対象として、主要な議題・テーマごとに話し合われた内容をご紹介する予定です。


■□■ 第1回(1998年) ■□■
http://www.hunterinformation.com/business.htm

[日時]
1998年6月18〜19日 June 18-19, 1998

[会場]
プロクター&ギャンブル社本社(オハイオ州シンシナティ)
Procter & Gamble Headquarters in Cincinnati, Ohio

[参加者]
エリザベス・アドキンス(フォード・モーター社) Elizabeth Adkins, Ford Motor Company
メアリー・エディス・アーノルド(モトローラ) Mary Edith Arnold, Motorola
スーザン・ボックス(AIG) Susan Box, AIG
キャスリーン・コリンズ(バンク・オブ・アメリカ) Kathleen Collins, Bank of America
ジャン・エリオット(チェイス) Jean Elliott, Chase
エイミー・フィッシャー(プロクター&ギャンブル) Amy Fischer, Procter & Gamble
クローデット・ジョン(シグナ) Claudette John, Cigna
ポール・ラーサウィッツ(IBM) Paul Lasewicz, IBM
フィル・ムーニー(コカ・コーラ) Phil Mooney, Coca-Cola
エド・ライダー(プロクター&ギャンブル) Ed Rider, Procter & Gamble
ベッキー・タウジー(クラフトフーズ) Becky Tousey, Kraft Foods


【CAF第1回のスケジュールとテーマ】

1日目の午後は「電子記録」と「企業のグローバル化」に関わる問題点、懸念を徹底的に出し合い、2日目午前中は前日に出された多くの意見を「電子記録のための企業戦略とベストプラクティス」「企業のグローバル化」の観点から整理して議論し、同日午後は以後のCAFの方向性を話し合っています。


■1日目■

この時期はコンピューターの2000年問題を控え、それへの対応や旧来からの紙の記録類の整理が進まないといった発言もありますが、大部分はビジネス環境の大変化の中で、アーカイブズも業務・位置づけを見直す必要があるという議論が中心と言えます。次のような意見が出されています。(編集部)


◆企業アーカイブズ位置づけ、業務全般に関して◆

・企業アーカイブズは「権限を持たない任務」(mission without mandate)であるため、グローバルな組織の電子記録を保存するのは難しい。アーカイブズの仕事はすべてインフォーマルなネットワーキングに基づいて行われている。

・アーカイブズの課題は会社の課題と一致しない。会社のものの見方は短期的。

・アーカイブズを理解している経営幹部もいれば、そうでない場合もある。

・企業はプロフィットセンターにしか投資しない。ほとんどのプロフィットセンターにはレコードマネージャーが存在しない。

・アーカイブズと記録管理が会社組織のどの部門に位置するかが問題。しばしば施設関係に置かれていることがある。すると、アーカイブズは記録のライフサイクルの最終局面、すなわち記録廃棄通知時の評価選別に関わるだけ、ということになってしまう。

・実際のレコードマネージャーという担当がいない状況で「記録管理機能」は存在しうるか?アーキビストは役に立たない記録管理プログラムに合わせて仕事をしなければならないことがときどきある。

・「業務上の必要性」とは何か?業務部門ははたして自分たちにとっての必要性を認識しているか?(編集部注:「企業アーカイブズは第一に企業の業務に利用される」と言われることに対する疑問と思われます。)

・自社のアーカイブズをどのように定義するか?「国際的なアーカイブズ」なのか「国際的な要素を持つ北米のアーカイブズ」なのか?電子システムは国際的な記録の保存をもっと容易にするかもしれない。

・何をどのように現在収集しているか?アーカイブズに入ってくるマニュアルやポリシー類は減りつつある。

・企業アーカイブズは役員の通信類に関するアーカイビングは得意だが、その他の部門、例えば製造部門などのアーカイビングは不得手。

・以前は紙で保存されていたものを電子で保存するパイロットプロジェクトを行う可能性がある。イントラネットに上がっているものが対象。ひとつのやり方としては「アーカイブズ・サーバー」を設置し、IS(インフォメーションサービス。編集部注:この会合ではIT関係の部署をしばしばISと呼んでいます)がイントラネットで収集したデータをマイグレートする。これは電子記録に関する「保管者的見方」custodial view。

・記録そのものの保管者であろうとなかろうと、アーカイブズは最低限メタデータの保管者。

・現在ふたつの選択肢がある
 (1)記録の作成部門が記録を保持し、アーカイブズはアドバイスを提供するだけ。
 (2)記録作成部門がアーカイブズに記録を移管する。

・アーカイブズの役割を「企業情報検索システム」Corporate Information Locator Systemとすることを考えるべき。この考え方は政府アーカイブズでは何年も前から用いられてきた。ある企業ではすでにGlobal Knowledge Catalogを持っており、アーカイブズはそこに加えられるかもしれない。

・情報をすべてオンラインで読めるようにすると、エンドユーザーにとっての情報量は多すぎることになる。情報をふるいにかけるゲートキーパー役としてアーキビストが必要。そこではアーキビストは付加価値を与える役割を担う。

・アーキビストはシステムデザインの局面でエンドユーザーを代弁する。

・企業の顧問弁護士との同盟はどうだろうか?

・重要な問題として画像の索引化がある。索引づくりは時間がかかる。もうひとつのパイロットプロジェクトは画像データベースの企業における標準を設定すること。

・ある企業では紙の写真のコピーをデジタル画像で代替することによって1回あたり40ドルを節約している。

・消費財生産企業の場合、ブランドマネージャーはウェブサイトのためにコンテンツをほしがる。この会社のブランド部門では、画像のスキャンと索引サービスへの対価をアーカイブズに支払っている。

・社内各部門における研修が必要。


◆電子記録◆

・電子記録は熟慮なしに作成されている。電子記録は他の記録に比べると「インフォーマル」である。電子システムの利用することによって、紙による記録の時代と比べると、同種の記録が会長室からアーカイブズに入って来なくなっている。

・電子記録はグローバルに考えるための障害物というよりは、チャンスである。

・ある企業では電子媒体が正式な保存媒体になるという指示が出された。はたしてそれが何を意味するのか徹底的に検討されての決定なのだろうか。疑問である。

・ボーンデジタルでしか作られない文書が問題。社内電話帳やプレスリリースなどがこれにあたる。


◆IT/IS、技術◆

・電子技術の最先端を理解し続けるのは難しい。

・企業アーキビストはどれくらいコンピュータに精通しているか?企業アーキビストはもっと技術を熟知する必要がある。

・ITチームは離職者が多い。アーキビストはどのようにITチームと長期的な関係を築くのか?

・チームを組んでの取り組みでは、技術者は他のものたちを圧倒しがちである。

・社内では恒常的にコンピュータの専門家と提携することが決定的に重要。

・ISの見方は短期的(近視眼的)、アーカイブズの見方は長期的。

・IS人材との連携関係が必要。あるアーカイブズではIS人材が一人アーカイブズ担当として置かれた。IS人材の年次勤務評定にはアーカイブズも加わる。たんなる「ヘルプデスク」の関係以上が必要。

・ISにはお金はあるが、人材が少ない。


◆イントラネット◆

・企業内イントラネットは国際的な情報発信の一手段である。

・イントラネットにはお知らせ、プレスリリース、ポリシーなどの多種類の情報が掲載されている。紙の時代に比べると電子配布リストによって、文書作成時点で収集することが容易かもしれない。


◆インターネット◆

・ある企業アーカイブズでは紙によるメディア向け宣伝広告を集めてきた。この場合、インターネット掲載の宣伝広告も収集すべきなのか?ウェブページをプリントアウトしてファイルする以外のことが可能だろうか?

・ある企業では"web whacker"というソフトウェアで会社のウェブサイトとすべてのリンクをキャプチャして、Zipドライブに保存している。

・一つの戦略はウェブサイト全体を保存するのではなく、サイトの背後にある記録を保存すること。

・電子形態での記録の保存にはこれまでより費用がかかり人手も必要な可能性がある。インターネットには多くの誤りもある。

・ある企業ではサイトにFAQを作ることによって、アーキビストはもっと付加価値を生み出す他の仕事ができる時間を作りだした。

・スピーチライターはアーカイブズの重要な協力者、同盟者である。

・ある企業サイトは月間1,000以上の訪問者がいる。ウェブ上のアーカイブズに関するページを記録しておくことは大切。ここのアーカイブズでは消費者に、来てもらうのではなく、こちらから情報資源を届けるようにしている。


■2日目午前■

●電子記録のための企業戦略とベストプラクティス

(1)環境作り

・インフォメーションサービス(IS)と連携する。ISの中にアーカイブズ担当を置き、アーカイブズ側のニーズをISが深く理解できるようにする。

・アーカイブズ的な関心を持つ社内の他部署と連携する。

・電子環境でアーカイブズはどんな役割を果たしたいのかを明確にする。それをマネジメントや他のスタッフにはっきり伝える。

・アーカイブズと記録管理に関わる従業員に対する体系的な教育、トレーニングを施す。デジタル情報保存を扱った新しいビデオ「Into the future」の購入を推奨する。

・一般の従業員の研修の中に電子記録問題を組み込む。


(2)アーカイブズの役割

・アーカイブズは歴史的な観点が有用であることを説いて回る役目である。アーカイブズは、業務の継続的な改善や改革に利用可能な教訓の宝庫である。新人教育では誇りを持たせることにも寄与する。イントラネットに社史を掲載するのはよいアイデアである。

・新しいシステムが設計されるときはそのプロジェクトや議論にアーキビストも参加する必要がある。

・アーカイブズは「会社情報の探索者・案内役」(corporate information locator)として貢献できる。実際のアーカイブズ記録の保管管理者でないとしても、メタデータの管理者であるべきである。ウェブページとのリンクがなければいけない。


(3)インターネット/イントラネット戦略

・歴史的価値を持ち、紙として受け入れていた記録シリーズを選択的にダウンロードして保存する。

・紙から電子への移行期間には念のため「保険」として、紙にプリントアウトしておく。記録をデジタルで残す場合は、フロッピーディスクやCD-ROMではなく、自前のアーカイブズ・サーバーが必要である。もし電子記録がアーカイブズに入って来るのならば、より大きな保存容量が必要。

・デジタル情報をレコードキーピングシステムに容易に取り込む方策が必要。

・リンクを含めたウェブ全体のスナップショットをキャプチャ(保存)する簡単な方法が必要。

・ウェブサイトの閲覧数の統計を取り続けることが大切。アーカイブズのサイトを、社内の他のサイトとベンチマークすることができる。ある企業ではアーカイブズのサイトが社内の他のサイトに比べもっとも閲覧者が多かった。社内の他のサイトの閲覧数を知ることは、評価選別をする際の参考にもなる。

・歴史関係のデータベースと年表を開発してイントラネットに掲載する。これは明らかに業務上価値がある。


(4)その他

・IBM社のIBM Digital Libraryには「コレクション管理」機能がない。同社アーキビストのポール・ラーサウィッツは、テストケースとして自社の企業アーカイブズを利用し、この機能の開発を助けることができるかもしれない。IBMやマイクロソフト、その他のIT企業のアーキビストはアーカイブズ業界を代表して、システムの設計者に対してアーカイブズの考え方を伝える大切な役割を持つ。

・ある企業は自前の画像ライブラリーを開発し、これがプロフィットセンターになった。この企業ではこのアーカイブズのやり方を他の部署にも展開するかもしれない。

・もう一つの企業はソフトウェアのベンダーと協力して、イントラネットのための「グローバル知識目録」Global Knowledge Catalogを開発中である。

・「クリーンアップ・デー」は紙の書類を減らすのに成功したが、電子ファイルでも同様のものがあるか?

・いくつかのアーカイブズではウェブサイトにデータベースを組み込んでいる。アーカイブズは情報を密室に閉じ込めておく(非公開にしておく)のでなく、情報共有を試みていることを示している。


●企業のグローバル化

(1)グローバル企業の記録を残す

・グローバル企業の記録を残す(編集部注:本国だけでなくそれ以外の地域の組織の記録も残すこと)は果たしてアーカイブズのミッションか?この点に関して、ほとんどすべての企業には明確な規定がない。1社だけそれとなくグローバルな記録保存管理を示しているように読めるミッションを持つところがあった。

・マネジメントがグローバル企業におけるアーカイブズの役割をどのように考えているのか、それを明らかにする必要がある。

・国によっては地域的なアイデンティテイを持つところもあり、本社からあれこれ指示されるのをきらうところもある。

・国によっては記録を国外に持ち出すことを許可しないところもある。文化遺産に関しては法律的、規制上の問題が存在する。

・ある企業ではCEOから国際的な業務に関する記録を保存するようにという明確な任務を与えられている。そのアーカイブズではロシアでのオーラルヒストリー・プロジェクトを開始した。また各国のマネージャーに対して主要な事業に関する情報収集を行うように定期的にメールを送る方式を開発中である。アーカイブズでは各国からCEOのオフィスに送られてきた海外レポートを保存するように依頼している。アーキビストは各国の広報担当者を訪問した。なぜなら、広報担当者が歴史を扱っているからである。

・いくつかの企業では組織が国別ではなく、事業部門別に再編成されつつある。アーキビストはどこかの事業部門に振り分けられることになるかもしれない。

・政府から規制を受ける産業では国によってリテンション期間も異なれば、規制要件も異なる。

・「(本社の:編集部注)アーカイブズにはそちらの国での事業に関する資料が少ない。保存のお手伝いをしたい。必要なら連絡がほしい」というアプローチの仕方もある。国際的な事業であることのプライドを強調するのが大切。

・あるアーキビストは旅行の際は必ず現地のオフィスを訪問する。海外にある記録に関する知識を増やすことができるし、本社のアーカイブズの宣伝にもなる。

・グローバル化は大きなリソースを必要とする。トップレベルの賛同と支持が必要。

・ヨーロッパの言葉の使い方は北米と異なる。アメリカ人が「アーカイブズ」というと、欧州人は「記録管理」を考える。加えて、欧州人は歴史に関してはより長いスパンで考える。

・新しいマーケットで事業展開するときは、歴史遺産は競合他社から自社を差別化する一つの方法である。各国のマネージャーたちは、自社が過去にその国で行っていた事業に関心を持っている。

・アーカイブズはいろいろなレベルでの協力者を必要とする。そのような関係を築くには、長年にわたるコツコツとした努力が必要。

・海外事業を行っている会社では、海外の幹部の支持や影響力が必要。ひとつのアプローチ方法は、海外のリーダーが本社に来た時オーラルヒストリーを行うこと。

・ある企業は世界中にサテライト・アーカイブズの設置を検討中である。中央集権的な記録管理に対する支持は多くの企業で失われつつある。従業員は記録管理とアーカイブズの区別を理解しない。記録管理のトレーニングも不十分である。

・ある企業では15年前にアーカイブズのアドバイスも受けつつ優れた記録管理プログラムを開発した。記録管理ではなく「情報アクセス」という名称である。記録管理はあらゆるレベルで行われ、担当者もトレーニングを受けている。電子記録に関しては、従業員は毎週その週に期間満了となるファイルがどれかという通知をメールで受け取る。その際は、保存か削除かの選択ができる。レコード・アナリストがコンプライアンスを監査する。

・記録管理はスタッフではなくラインの責任であることを強調する必要がある。

・いくつかの企業では、紙の文書の記録管理と電子記録管理が統合されていない。「メディア」と「フォーマット」を管理しているかもしれないが、「記録」を管理しているわけではない。


(2)グローバル企業に役立つ

・アーキビストは画像管理ツールやイントラネット・サイトといったツールを開発する必要がある。

・目録がオンライン化されれば、所蔵資料の概要が外からもわかる。

・イントラネットが本社だけでなくグローバルに利用できるならば写真をデジタルで配信するなど、真にコスト削減につながる。

・海外拠点からもアーカイブズ利用の要望が高い。主たるリクエストは画像。特にマーケティング主導型の企業に言える。


■2日目午後■

◎グループとしてここからどこへ向かうか
・翌年以降も年に1回集まり、少人数のグループで議論を深める。概要は公表するほか、SAAのビジネス・アーカイブズ部会でも紹介する。

などが合意されて、翌年の会合につながっていきます。(編集部)

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[略称一覧]
ACA: Association of Canadian Archivists(カナダ・アーキビスト協会)
ARA: Archives and Records Association(アーカイブズとレコード協会)
ARC: ARC magazine: archives - records management - conservation
(SoAが発行する月刊ニュースレター)
ASA: Australian Society of Archivists(オーストラリア・アーキビスト協会)
BAC: Business Archives Council(ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BACS: Business Archives Council in Scotland
(スコットランド・ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BAS: Business Archives Section
(ビジネス・アーカイブズ部会:SAA内の部会)
CITRA: International Conference of the Round Table on Archives
(アーカイブズに関する国際円卓会議:ICAの年次会議)
CoSA:Council of State Archivists(米国・州文書館長評議会)
DCC: Digital Curation Center(英国デジタル・キュレーション・センター)
EDRMS:Electronic Document and Record Management System
(電子文書記録管理システム)
ERM:Electronic Record Management(電子記録管理)
ICA: International Council on Archives(国際文書館評議会)
LSE: London School of Economics and Political Science
(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)
MLA: Museums, Libraries and Archives Council
(英国 博物館、図書館、アーカイブズ評議会)
NAGARA: National Association of Government Archives and Records Administrators
(米国・全国政府アーカイブズ記録管理者協会)
NARA: National Archives and Records Administration
(米国 国立公文書館記録管理庁)
RIKAR: Research Institute of Korean Archives and Records
(韓国国家記録研究院)
RMS:Record Management System(記録管理システム)
SAA: Society of American Archivists(米国アーキビスト協会)
SBL: Section for Business and Labour Archives
(企業労働アーカイブズ部会、ICA内の部会)
SoA: Society of Archivists(イギリス・アーキビスト協会)
TNA: The National Archives(英国国立公文書館)

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☆★ 編集部より:あとがき、次号予告 ★☆

2008年に本通信を創刊するにあたって、記事の分類に「文献情報」と「行事情報」の二つのカテゴリーを用いることにしました。ここでいう文献には、紙に印刷されたの書籍や記事に限らず、publishされたものという意味でウェブサイトも含めることを当初から意図していました。その後、企業アーカイブズなどの「組織」に注目することが増えてきたため、「企業団体情報」というカテゴリーを付け加えました。ただし「文献情報」と「企業団体情報」の境目はあいまいです。ある会社の企業アーカイブズページを取り上げる場合、文献情報である可能性もありますし、企業団体情報という紹介の仕方になる場合もあります。

グッチ・ミュゼオに関する記事はウェブサイト紹介が中心ですので、「文献情報」に分類しました。今回ご紹介したグッチはヨーロッパ有数のブランドですが、現在グッチ・ブランドを管理する会社はKeringというフランスを本拠とする多国籍企業です。多くの人にとってはグッチというブランド名に比べると、Keringという社名は耳慣れないものではないでしょうか。

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数ヶ月前、国際アーカイブズ評議会(ICA)企業労働アーカイブズ部会(SBL)運営委員会のスイス人同僚から同国のアルフレッド・エッシャー Alfred Escher(1819-1882)はスイスにおける渋沢栄一のような存在だ、と聞きました。近代企業の発展に大きな足跡を残した人物だそうです。

アルフレッド・エッシャー財団
http://www.alfred-escher.ch/en/alfred-escher/

クレディスイスのアルフレッド・エッシャーに関するページ
https://www.credit-suisse.com/who_we_are/en/history_escher.jsp

そして先週のある日の午後、横浜開港資料館を見学してきた当財団の同僚司書が、現在同館でスイス関連の展示が行われていると教えてくれました。日本スイス通商条約締結150周年(1864年-2014年)を記念する「スイス使節団が見た幕末の日本:カスパー・ブレンワルド日記を中心に」です(10月19日・月まで)。
http://www.kaikou.city.yokohama.jp/news/index.html(PDF)
http://www.kaikou.city.yokohama.jp/news/images/now-open/YAOH_kaiko-bakumatsu.pdf(PDF)

手元にある「日本・スイス国交樹立150周年」の切手
https://www.post.japanpost.jp/kitte_hagaki/stamp/tokusyu/2013/h260206_t.html
からは谷間を吹き抜ける風の涼しさが感じられます(実は春の風景を題材にしたものだそうですが)。夏休みにはぜひ横浜へ、と考えています。

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次号は2014年9月上旬発行予定です。どうぞお楽しみに。

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◆◇◆〈渋沢栄一記念財団からのお知らせ〉◆◇◆

□「渋沢社史データベース」(略称:SSD) NEW!!
当財団実業史研究情報センターでは、2014年4月23日に「渋沢社史データベー
ス」を公開しました。
http://shashi.shibusawa.or.jp

SSDは渋沢栄一が関係した会社の社史を中心に、社史の目次・索引・年表・資料編を検索することができるサイトです。今回は第1弾として約1,000冊の社史から抽出した約140万件のデータを搭載、2015年に第2弾として約500冊分を追加し、全部で約220万件のデータを搭載する予定です。データベースをさまざまな視点から紐解いて、経済活動や研究調査にご活用ください。


■『渋沢栄一を知る事典』(東京堂出版、2012)

2012年10月19日に公益財団法人渋沢栄一記念財団編『渋沢栄一を知る事典』が刊行されました。本書は渋沢栄一の事績を網羅的に解説した初めての事典となります。第1部では栄一の生涯と活動を100の項目に分けてわかりやすく紹介し、第2部では栄一をより深く理解するための資料と情報をまとめました。

なお、実業史研究情報センターでは、項目の執筆のほか第2部「資料からみた渋沢栄一」の編集を担当いたしました。ご高覧いただければ幸いです。
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20121102/1351818423


□「企業史料ディレクトリ」:企業アーカイブズと企業史料の所在・概要ガイド

日本を代表する企業を中心とした企業アーカイブズと史料保存・学術研究機関合わせて30企業・団体・機関の概要、所蔵資料に関する情報を掲載しております。ぜひご覧ください。(2008年7月22日公開)
http://www.shibusawa.or.jp/center/dir/index.html


□実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」

渋沢栄一、社史を始めとする実業史、アーカイブズや図書館に関連する情報をご紹介しています。文化資源に関わる東日本大震災と復興についての情報は「震災関連」カテゴリーに集約しています。
http://d.hatena.ne.jp/tobira/

「アーカイブズニュース」では公文書管理法に関する動向やアーカイブズのデジタル化、資料の発見・公開に関わるニュースを随時ご紹介しております。ブログ画面右側の「カテゴリー」にある「アーカイブズニュース」をクリックしてください。「アーカイブズニュース」として掲載した記事をまとめて一覧することができます。

・主なカテゴリーの紹介
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20080203


□「社史に見る災害と復興」

2011年3月の東日本大震災に際し実業史研究情報センターでは、センター・ブログに「社史に見る災害と復興」というカテゴリーを新設しました。そこでは現在構築中の「社史索引データベースプロジェクト」の蓄積データを検索し、「災害と復興」に関する記事を含む社史について紹介しています。
http://goo.gl/WUE3b

災害の中で特に関東大震災についての社史記述をまとめたものが2012年12月に
ピッツバーグ大学図書館発行の電子ジャーナル「社史」に掲載されましたので
ご紹介します。

The Great Kanto Earthquake as Seen in Shashi / Yuriko Kadokura
(社史に見る関東大震災 / 門倉百合子)
〔Shashi: the Journal of Japanese Business and Company History〕
http://shashi.pitt.edu/ojs/index.php/shashi/article/view/7

実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」はほぼ毎日更新しております。どうぞご利用ください。


□「渋沢栄一関連会社社名変遷図」

渋沢栄一がどのような会社に関わったか、それが今にどうつながっているのか、一目でわかるように業種別にまとめて変遷図にしました。現在122図掲載中です。社名索引もありますので、どうぞご覧ください。またセンター・ブログのカテゴリー「社名変遷図紹介」も併せてご覧ください。なお上記『渋沢栄一を知る事典』第2部には、この社名変遷図のうち100図を掲載してあります。
http://www.shibusawa.or.jp/eiichi/companyname/index.html

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ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信) No.53
2014年8月2日発行 (不定期発行)
【創刊日】2008年2月15日
【発行者】公益財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター
【編集者】公益財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター
      「ビジネス・アーカイブズ通信」編集部
【発行地】日本/東京都/北区
【ISSN】1884-2666
【E-Mail】
【サイト】http://www.shibusawa.or.jp/center/ba/index.html

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