ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信)

第34号(2010年10月22日発行)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

☆      □■□ ビジネス・アーカイブズ通信 □■□

☆      No.34 (2010年10月22日発行)

☆ 発行:公益財団法人 渋沢栄一記念財団 実業史研究情報センター

☆                         〔ISSN:1884-2666〕
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

★渋沢栄一記念財団は2010年9月1日に「公益財団法人」になりました★

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

この通信では海外(主として英語圏)のビジネス・アーカイブズに関する情報をお届けします。

今号は行事情報1件です。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆ 目次 ◆

[掲載事項の凡例とご注意]

■行事情報:韓国外国語大学校大学院情報記録管理学科創立10周年記念国際会議
  ◎「企業ならびに地域共同体と文化機関の間の互恵的関係育成のためのアーカイブズの活用」
        2010年10月15〜16日

☆★ 編集部より:次号予告 ★☆

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

[掲載事項の凡例]

・欧文の場合、日本語で読みやすいものになるように、タイトルははじめに日本語訳を、続いて原文を記します。
・人名や固有名詞の発音が不明の場合も日本語表記を添えました。便宜的なものですので、検索等を行う場合はかならず原文を用いてください。
・今号では日本語タイトル訳は英文タイトルから訳出しました。適宜、韓国語原文も参照しました。(韓国語原題)と記したタイトルは韓国語から直接訳出したものです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

[ご注意]
・受信時にリンク先を示すURLが途中で改行されてしまう場合があります。通常のURLクリックで表示されない場合にはお手数ですがコピー&ペーストで一行にしたものをブラウザのアドレス・バーに挿入し、リンク先をご覧ください。

===================================

■行事情報:韓国外国語大学校大学院情報記録管理学科創立10周年記念国際会議

      2010年10月15-16日
===================================

◎テーマ:企業ならびに地域共同体と文化機関の間の互恵的関係育成のためのアーカイブズの活用

The use of archives in fostering mutually beneficial relationships for business and regional communities and cultural institutions

http://archivist.cafe24.com/bbs/view.php?id=board&no=288(韓国語)

1999年に「公共機関の記録物管理に関する法律」(以下「記録物管理法」)が制定され、記録管理とアーカイブズ制度の整備が進められてきた韓国には、記録に関する専門家であるレコードマネジャー・アーキビスト養成のための大学院が約20あります。最初に大学院レベルで教育を開始したのが韓国記録管理学教育院です。同院は明知大学校との間で1999年に協定を締結し、同年5月より開校した特殊大学院です。一方、大学院専門課程として最初に設立されたのが、韓国外国語大学校大学院情報記録管理学科で、創設は2001年3月でした。

来年3月に創立10周年を迎える韓国外国語大学校大学院情報記録管理学科では、これを記念して本年10月15、16日に「企業ならびに地域共同体と文化機関の間の互恵的関係育成のためのアーカイブズの活用」を統一テーマとした国際会議を、同校において開催しました。主催は韓国記録学会、韓国外国語大学校博物館・歴史記録館(アーカイブズ)、同大学院情報記録管理学科、同記録学研究センター、同グローバル経営研究所、同歴史文化研究所、同国政管理研究所、檀国大学校社会科学研究所、西江大学校国際地域文化院。

本通信編集部にも発表の機会が与えられ、参加してきました。今号ではこの会議のプログラムを中心にお伝えします。

☆★ 会議開催趣旨 ★☆

まず、最初にこの会議の趣旨を見てみたいと思います。韓国外国語大学校大学院情報記録管理学会創立10周年を記念するこの会議の趣旨は、主催者を代表する4名(アン・ビョンウ韓国記録学会会長・韓神大学校国史学科教授、パク・ジヌ韓国外国語大学校グローバル経営研究所長・同大学校グローバル経営大学教授、イ・ヨンハク韓国外国語大学校記録学研究センター長・同大学校人文大学長、ノ・ミョンファン韓国外国語大学校大学院情報記録管理学科主任教授・同大学校世界民俗博物館・歴史記録館長)連名による「招きの言葉」では次のように述べられています。

「...(前略)...企業や行政機関のような組織では、業務遂行過程において記録を生産する。この記録は業務遂行過程とその業務に参加した人々に対する証拠となる。この証拠は、後に該当組織に関する深い研究のための重要な資料になり、さらに進んで経営と公共行政の合理化と革新をなしうる基盤となる。

記録はまた該当組織の歴史を叙述するのにも利用しうる。体系的に保存された記録に依拠する時、歴史はその事実性を保証されうる。記録に依拠した歴史は組織のアイデンティティと文化を何よりもよく表わしてくれる。換言するならば、各々の組織は記録を通じて信頼性を極大化しながら、自らの姿を対外的に示すことができる。

企業の場合は記録を利用する時、企業広報の真実性を担保することができる。このような広報戦略を〈歴史マーケティング〉と呼ぶ。特に歴史が長い企業の場合、記録を利用して企業の権威と品位を高めることができる。企業の博物資料ならびに文化遺産を合わせて管理する企業内機関(アーカイブズ+博物館)を運営する時、効果はいっそう高まる。歴史と記録に注目する時、企業の構成員たちの忠誠心と団結力を強化し、肯定的な効果を得ることができる。繰り返せば、記録管理は企業文化確立の最も確実な方法になりうる。

地方自治団体の場合は、記録管理が該当地域の歴史確立、イメージ提供、住民のアイデンティティ確立のために大きく寄与することができる。記録遺産に注目する時、地域文化が豊かになるのみならず、信頼を伴う広報を通じて観光産業を育成することも可能である。行政の透明性と行政業務の効率化を期しうるのはもちろんである。

この度の学術会議の目的はこのような活動をどのように極大化することができるのかを模索することにある。外国の先進事例を通じて韓国の現状況を診断し、未来への展望を提示しようと思う。さらに、韓国ではこの分野では最初に成し遂げられる国際学術会議という点にいっそう大きな意味を見出すことができよう。...(後略)...」

ここで明らかなように〈歴史マーケティング〉というコンセプトを中心にこの会議は組織されました。次に掲げるプログラムの中で、企業と地方自治体における〈歴史マーケティング〉に関わる取組みを議論しました。

[会議プログラム]

10月15日(金)

◆第1セッション
テーマ:地方・企業文化との関連からのアーカイブズ管理に対する理論的アプローチ
Theoretical approaches to archival management in connection with local and business culture
司会:イム・サンウ Lim Sang-woo
所属等:西江大学校 Sogang University

[発表1]
タイトル:企業ならびに地域共同体のための記録/アーカイブズ管理と歴史マーケティング
Records/archives management and history marketing for business communities and regional communities
発表者:ノ・ミョンファン Noh Meung-hoan
所属等:韓国外国語大学校 Hankuk University of Foreign Studies

[発表2]
タイトル:レコードキーピングの基盤における文化の役割:多元社会において文化的に相応しいアーカイブズを開発する
The role of culture in recordkeeping infrastructures: developing culturally relevant archives in a pluralist society
発表者:ケルビン・ホワイト Kelvin White
所属等:米国オクラホマ大学 Oklahoma University, USA

[発表3]
タイトル:アーカイブズの異文化間役割と活動に取り組むアーキビストを教育する
Educating archivists to address inter-cultural roles and activities of archives
発表者:アン・ギリランド Anne Gilliland
所属等:米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)
University of California Los Angeles (UCLA), USA

討論者1:キム・ジヨン Kim Ji-young
所属等:西江大学校 Sogang University
討論者2:ユン・ウナ Yun Eun-ha
所属等:米国UCLA UCLA, USA
討論者3:キム・ジョンハ Kim Jung-ha
所属等:大真大学校 Daijin University

10月16日(土)

◆第2セッション
テーマ:ビジネス・アーカイブズの支援によって組織文化を向上させ歴史マーケティングを振興する
Enhancing organizational culture and promoting history marketing with the assistance of business archives
司会:ソン・ビョンホ Song Byoung-ho
所属等:祥明大学校 Sangmyung University

[発表4]
タイトル:342年にわたる家族経営企業メルクの会社沿革と企業文化、そして歴史マーケティングにおけるメルク博物館・アーカイブズの役割
Corporate history and the business culture of 342 years old family enterprise Merck and the role of Merck Museum and Archives for history marketing
発表者:サビーヌ・ベルンシュナイダー=ライフ Sabine Bernschneider-Reif
所属等:メルク企業史部門ディレクター、ドイツ
Director of Merck Corporate History, Germany

[発表5]
タイトル:サンゴバンの事例:成功した組織的管理、教育・訓練、法的諸問題、記録とアーカイブズの管理を中心に
The example of Saint Gobain: Centered on successful organizational management, education and training, legal issues, and the management of records and archives
発表者:ディディエ・ボンデュ Didier Bondue
所属等:サンゴバン・アーカイブズ ディレクター、フランス
Director of Saint Gobain Archives, France

[発表6]
タイトル:(韓国語原題)歴史が心を動かす:同和薬品のアーカイブズ資料を利用した歴史マーケティング
Oldest to best: history marketing of Dong Wha Pharm using archival materials
発表者:ユン・ドジュン Yoon Doh-joon
所属等:同和製薬会長 President of Dong Wha Pharm

討論者1:イ・ユナ Rhee Yunna
所属等:韓国外国語大学校 Hankuk University of Foreign Studies
討論者2:キム・クミ Kim Keum-ei
所属等:(株)トライトンテック Tritontech
討論者3:パク・チベ Park Ji-bae
所属等:韓国外国語大学校 Hankuk University of Foreign Studies

◆第3セッション
テーマ:組織文化を促進するための銀行・企業家アーカイブズの管理
Management of bank and entrepreneurial archives for boosting organizational culture
司会:イ・ミヨン Lee Mi-young
所属等:韓国国家記録研究院 Research Institute of Korean Archives and Records

[発表7]
テーマ:HSBCアーカイブズ:企業文化のための記録と歴史の強力な可能性
HSBC Archives: The powerful potentials of records and history for the business culture
発表者:ヘレン・スウィナートン Helen Swinnerton
所属等:HSBCアーキビスト、香港 HSBC Archivist, Hongkong

[発表8]
テーマ:企業文化振興のためのアーカイブズと歴史の活用:渋沢財団の場合
Making use of archives and history for the promotion of business culture: the case of Shibusawa Foundation
発表者:松崎裕子
所属等:渋沢栄一記念財団ビジネス・アーカイブズ・スペシャリスト

[発表9]
テーマ:ハナ銀行アーカイブズの現況、課題、そして展望
The present state, issues and visions of Hana Bank Archives
発表者:キム・ヒョンナン Kim Hyoung-ran
所属等:ハナ銀行アーキビスト Hana Bank Archivist

討論者1:イ・サンソップ Lee Sang-seub
所属等:同徳女子大学校 Dongduk Women University
討論者2:ペ・ウォンギ Pae Won-kee
所属等:弘益大学校 Hongik University
討論者3:ジョ・ユニ Cho Yoon-hee
所属等:(株)エプトス ABTOSS

◆第4セッション
テーマ:ヨーロッパとアジアにおける地方共同体の発展でのアーカイブズの役割
The role of archives in developing of local communities in Europe and in Asia
司会:ジャン・ジホ Jang Ji-ho
所属等:韓国外国語大学校 Hankuk University of Foreign Studies

[発表10]
テーマ:ハイデルベルグ自治体アーカイブズの場合:ハイデルベルグ市民のアイデンティティ増進と観光・文化産業を中心に
The example of the Heidelberg Municipal Archives: Centered on promoting the identity of the citizens of Heidelberg as well as on the tourism and cultural industries
発表者:ペーター・ブルム Peter Blum
所属等:ハイデルベルグ市文書館ディレクター、ドイツ
Director of Heidelberg City Archives, Germany

[発表11]
テーマ:(韓国語原題)郷土文化の記録、保存に対する方法論的模索:龍仁市を中心に
Methodological exploration for record preservation of local culture: focusing on Yongin City
発表者:キム・ドンムック Kim Duk-muk
所属等:韓国学中央研究院 The Academy of Korean Studies

討論者1:キム・ヒョンジン Kim Hyun-jin
所属等:韓国国家記録院 National Archives of Korea
討論者2:カン・ジンガップ Kang Jin-kab
所属等:歴史文化コンテンツ研究所長 Director of Institute of Historical Cultural Contens

◆第5セッション
テーマ:地方共同体にとっての韓国地域アーカイブズの役割
The role of Korean regional archives for local communities
司会:キム・ジェイル Kim Jae-il
所属等:檀国大学校 Dankook University

[発表12]
テーマ:ソウル松玻区と東大門区の事例:記録・アーカイブズ管理を基盤とした、松玻と東大門市民のアイデンティティとデジタル・コンテンツ教育を中心に
The example of Songpa-Gu (a district of Seoul) and Dondaemun-Gu: Centered on the identity of Songpa and Dondaemun citizens and digital contents education based on records and archival management
発表者1:キム・ミョンフン Kim Myoung-hun
所属等:韓国外国語大学校 Hankuk University of Foreign Studies
発表者2:クォン・セミン Kwon Sae-man
所属等:松玻区庁 Archivist of Songpa-Gu
発表者3:ワン・ヨンフン Wang Young-hoon
所属等:東大門区庁 Archivist of Dongdaemun-Gu

[発表13]
テーマ:(韓国語原題)韓国地方記録館と地方文化の発展戦略
A strategic approach to promote local archives and cultural heritage
発表者:ソン・ドンユ Sohn Dong-yu
所属等:アーカイブ・センター Archive Center

討論者1:シム・スング Shim Seung-koo
所属等:韓国体育大学校 Korea National Sport University
討論者2:イ・ウォンギュ Lee Won-kyu
所属等:延世大学校博物館 Yousei University Museum

☆★ 議論になった点 ★☆

次のような意見や指摘が提出されました。

*製品やサービスで差別化出来ない部分を会社の歴史を利用して差別化する。

*歴史の利用によって、従業員のモチベーションを高めることができる。

*韓国では現在〈歴史マーケティング〉が浸透しつつある段階である。

*同和薬品の発表に対して、「単に歴史が長いことを強調するのみならず、そこにみられるストーリーを語る必要がある」。

*同和薬品には歴史資料があってもこれを管理する専門アーキビストが不在。

*「歴史が長いというのは必ずしも良いことばかりでない。良くない事実も含まれる。これをどう考えるか」。この問題提起に関しては、ドイツから参加したペーター・ブルム ハイデルベルグ市文書館長が、第二次世界大戦へのドイツ企業の関わりを例として、現在は記録に基づいた事実を認める姿勢が企業の信頼性を高めていると指摘した。

*韓国企業のM&Aでは、会社の記録が社内に残っても、それを管理するシステマティックなアプローチがほとんどの場合欠けている。

*韓国の場合、歴史と歴史資料を社員教育やマーケティング、販促に利用するという意識が現状では欠けている。

*企業記録へのアクセスが会社幹部に限られていることも少なくない。

*ハナ銀行アーカイブズは3年前に設置された。アーカイブズの歴史は短いが、体系的に資料整理に取り組んでいる点が特徴であり、長所でもある。

*社内でもアーカイブズに対する認識が低い場合が多い。これを改善することが大切である。そのためにはとりわけCEOにその重要性を認識してもらうことが大事。アーカイブズの有用性に関するメッセージを社内に拡散させる。

*地方史編纂の後、担当チームが解散するとともに資料が散逸するケースが多々ある。

*〈歴史マーケティング〉は最初は企業で使われたツールであるが、次第に自治体振興にも用いられるようになってきている。

*「〈歴史マーケティング〉というのはマーケティングの真の意味に照らしてマーケティングと言えるのか」という指摘に対して、この概念は経営学の概念ではないという指摘もあった。

*資料を「行政記録」と「民間記録」(あるいは「歴史記録」「地域記録」)に分けて考える必要がある。すでに存在する図書館において後者(「民間記録」「歴史記録」「地域記録」)を管理する機能を付け加えるという考え方もある。

☆★ 韓国のアーカイブズと〈歴史マーケティング〉 ★☆

韓国の場合、現用記録の管理制度はかなり整備されてきている一方、いわゆる永久保存記録であるアーカイブズ資料の収集、保存、活用は今後さらに発展させなくてはいけない部分が多いでしょう。機関としてのアーカイブズの数も少なく、〈歴史マーケティング〉という概念をメインに据えた今回の会議が、実務の世界に成果をもたらすには、今少し時間がかかるのではないかと思われます。しかしながら、後発性の利益という側面もあります。韓国アーカイブズ界における〈歴史マーケティング〉のこれからに引き続き注目していきたいと思います。

☆★ 関連プログラム ★☆

以上、15日から16日までのプログラムに関連した行事として下記の催しがあり
ました。

□■□10月14日(木)

◆ペーター・ブルム(ハイデルベルグ市文書館)を囲む座談会
A round-table talks with Peter Blum (Heidelberg Municipal Archives)
テーマ:地方の行政と文化を発展させるためのアーカイブズの役割
The role of archives in developing regional administration and culture

◆特別講義1
テーマ:アーカイブズ学の新しい挑戦とメタデータ
講師:アン・ギリランド Anne Gilliland(UCLA)

◆特別講義2
テーマ:文化的にデリケートなアーカイブズ
講師:ケルビン・ホワイト(オクラホマ大学)

(以上特別講義に関して)
http://archivist.cafe24.com/bbs/view.php?id=board&no=287(韓国語)

□■□10月15日(金)

◆SKエナジー(株)アーカイブズ見学
[編集部より]
ソウル市内に現在3つ程度存在する企業内アーカイブズのひとつ。本社ビル内に、図書室に隣り合ってアーカイブズとして展示スペースを持っている。スタッフはライブラリアン1人とアーキビスト1人。SKエナジーは大韓石油公社の後身会社。

◆大韓仏教曹渓宗本部、アーカイブズ、博物館見学
[編集部より]
大韓仏教曹渓宗は韓国最大の仏教教派。全国を24の地域に区分し、各地域に本寺があります。末端の寺の数は全国で2501。1999年に記録物管理法が制定され、大韓仏教曹渓宗は即座にこれに対応。2000年に記録の整理を開始し、数次にわたってアーカイブズ整備事業を行ってきました。併せて図書館の整備、博物館の設置も過去10年の間に行われました。博物館に関しては、博物資料は文化財という位置づけで、建物建設費用は政府が出資し、運営費用は曹渓宗側が負担しているということです。なお曹渓宗は仏教のなかでも禅宗の流れを組み、大方の日本仏教とは異なり、僧侶は妻帯しないそうです。

◆ソウル特別市東大門区庁内レコードセンター見学
[編集部より]
ソウル市内には全部で25の区があります。そのうちの一つである東大門区庁内には区の記録を保存するレコードセンターにあたる収蔵施設があります。10年ほど前に設置されたもので、この種の施設としては自治体レベルで全国で唯一のものであると説明を受けました。

[関連ページ]

韓国外国語大学校大学院情報記録管理学科
http://archivist.cafe24.com/

韓国外国語大学校
http://www.hufs.ac.kr/

韓国記録学会
http://www.ksas1.org/

メルク社 沿革ページ
http://www.merck.com/about/our-history/home.html

サンゴバン社 沿革ページ
http://www.saint-gobain.com/en/group/our-history

HSBC社グループ・アーカイブズ
http://www.hsbc.com/1/2/about/history/group-archives

*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*

[略称一覧]
ACA: Association of Canadian Archivists(カナダ・アーキビスト協会)
ARA: Archives and Records Association(アーカイブズとレコード協会)
ARC: ARC magazine: archives - records management - conservation
(SoAが発行する月刊ニュースレター)
ASA: Australian Society of Archivists(オーストラリア・アーキビスト協会)
BAC: Business Archives Council(ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BACS: Business Archives Council in Scotland
(スコットランド・ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
CITRA: International Conference of the Round Table on Archives
(アーカイブズに関する国際円卓会議:ICAの年次会議)
CoSA:Council of State Archivists(米国・州文書館長評議会)
DCC: Digital Curation Center(英国デジタル・キュレーション・センター)
EDRMS:Electronic Document and Record Management System
(電子文書記録管理システム)
ERM:Electronic Record Management(電子記録管理)
ICA: International Council on Archives(国際文書館評議会)
LSE: London School of Economics and Political Science
(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)
MLA: Museums, Libraries and Archives Council
(英国 博物館、図書館、アーカイブズ評議会)
NAGARA: National Association of Government Archives and Records
Administrators
(米国・全国政府アーカイブズ記録管理者協会)
NARA: National Archives and Records Administration
(米国 国立公文書館記録管理庁)
RIKAR: Research Institute of Korean Archives and Records
(韓国国家記録研究院)
RMS:Record Management System(記録管理システム)
SAA: Society of American Archivists(米国アーキビスト協会)
SBL: Section for Business and Labour Archives
(企業労働アーカイブズ部会、ICA内の部会)
SoA: Society of Archivists(イギリス・アーキビスト協会)
TNA: The National Archives(英国国立公文書館)

*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

☆★ 編集部より:あとがき、次号予告 ★☆

ソウルの市内中心部で今回目に付いたのは、G20首脳会合の開催(11月11〜12日、於・三成洞のCOEX)を告げる街路灯バナーでした。2006年8月に開催されたIFLA(国際図書館連盟)年次大会の時も国立中央図書館付近で同様の街路灯バナーが多数掲げられていたことを思い出しました。

今回の会議では、本通信編集部も渋沢財団におけるアーカイブズと歴史の活用に関する発表を行いました。日本における渋沢栄一の評価は「日本資本主義の父」「公益の追求者」というように、非常に肯定的なものが多いと思います。ただ、隣国から渋沢栄一を見ると、日本による朝鮮半島の植民地化、植民地化という文脈における産業化という視点から評価を受けることになりますから、その評価も非常に難しいものになります。今回渋沢栄一の名を冠した当財団の事業に関して韓国でお話をさせていただく機会が巡ってきたことに、時代の流れを感じました。韓国の政治経済の発展、社会の成熟なしには難しかったでしょう。

今年11月6日(土)には、かねてより課題とされていた記録の保存と活用に携わる専門家の団体が結成されるということです。韓国にはすでに学会としては韓国記録学会と韓国記録管理学会が、記録管理に関わる業者の団体として韓国記録管理協会があります。今回結成されるのは「韓国記録専門家協会」という名称ということで、EASTICA(国際文書館評議会東アジア支部)財務担当のイ・サンミン氏によると、どちらかというとレコード・マネジャーを中心としつつもアーキビストをも含んだ記録に携わる専門職団体になりそうだということです。同協会準備委員会のサイトが開設されています。http://www.archivists.or.kr/(韓国語)

当財団も来年はビジネス・アーカイブズに関する国際会議開催を予定しております。今回のソウルでの会議は、8月初めに招待状が来るという状況で、果たして大丈夫なのだろうかと部外者ながら心配になりました。しかしそこは韓国。ノ・ミョンファン韓国外国語大学教授も「短期間で集中的に組織・準備を行ったんですよ」と編集部に語ってくれたように、「ケンチャナヨ(どうにかなるさ)」精神で乗り切り、大きなトラブルもなく終わったようです。会議の準備方法に関する日韓間の違いも興味深い経験となりました。

次号は2010年11月下旬配信予定となります。どうぞお楽しみに。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆◇◆バックナンバーもご活用ください◆◇◆

http://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/index.html

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆◇◆配信停止をご希望の方は次のメールアドレスまでご連絡ください◆◇◆

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

◆◇◆〈渋沢栄一記念財団からのお知らせ〉◆◇◆

□「企業史料ディレクトリ」:企業アーカイブズと企業史料の所在・概要ガイド

2008年7月22日公開いたしました。日本を代表する企業を中心とした企業アーカイブズと史料保存・学術研究機関合わせて30企業・団体・機関の概要、所蔵資料に関する情報を掲載しております。ぜひご覧ください。
http://www.shibusawa.or.jp/center/dir/index.html

□実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」

「今日の栄一」「渡米実業団」「栄一情報」「栄一関連文献」「センターニュース」「今日の社史年表」「社史紹介(速報版)」「ビジネス・アーカイブズ通信(速報版)」「アーカイブズニュース」「図書館ニュース」をお届けしております。
http://d.hatena.ne.jp/tobira/

「アーカイブズニュース」では公文書等の管理に関する法律に関する動向やアーカイブズのデジタル化、資料の発見・公開に関わるニュースを随時ご紹介しております。

ブログ画面右側の「カテゴリー」にある「アーカイブズニュース」をクリックしてください。「アーカイブズニュース」として掲載した記事をまとめて一覧することができます。

・カテゴリーの紹介
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20080203

実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」はほぼ毎日更新しております。どうぞご利用ください。

□「渋沢栄一関連会社社名変遷図」

渋沢栄一がどのような会社に関わったか、それが今にどうつながっているのか、一目でわかるように業種別にまとめて変遷図にしました。10月8日に「銀行:諸銀行」「対外事業」計7図を追加し、現在108図掲載中です。社名索引もありますので、どうぞご覧ください。
http://www.shibusawa.or.jp/eiichi/companyname/index.html

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

***********************************

ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信) No.34
2010年10月22日発行 (不定期発行)
【創刊日】2008年2月15日
【発行者】公益財団法人 渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター
【編集者】公益財団法人 渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター
      「ビジネス・アーカイブズ通信」編集部
【発行地】日本/東京都/北区
【ISSN】1884-2666
【E-Mail】
【サイト】http://www.shibusawa.or.jp/center/ba/index.html

***********************************

Copyright (C)
公益財団法人 渋沢栄一記念財団
2007- All Rights Reserved.

***********************************

一覧へ戻る