ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信)

第16号(2009年3月23日発行)

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☆      □■□ ビジネス・アーカイブズ通信 □■□

☆      No.16 (2009年3月23日発行)

☆   発行:財団法人渋沢栄一記念財団 実業史研究情報センター

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この通信では海外(主として英語圏)のビジネス・アーカイブズに関する情報をお届けします。

今号は行事情報1件、文献情報3件です。

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◆ 目次 ◆

[掲載事項の凡例]

■行事情報:ロスチャイルド・アーカイブズ・ワークショップ
  2009年3月13-14日 ロンドン
  □ネットを広げる:戦争と平和の時代のパートナーシップ
 
■文献情報:ビジネス・アーカイブズ ウェブサイト 5
  □英国ビジネス・アーカイブズ・カウンシル(BAC)ビジネス・アーキビストの声

■文献情報:韓国国家記録研究院2009年度上半期図書翻訳支援事業
  □選定図書案内

■文献情報:アーカイブズとウェブ 3
  □韓国国家記録院ウェブサイト

[略称一覧]

☆★ 編集部より:次号予告 ★☆
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[掲載事項の凡例]
・タイトル、発表者、発表者所属等には一部(英語圏以外の人名など)を除き、編集部による日本語訳を付します。
・日本語で読みやすいものになるように、はじめに日本語訳を、続いて原文を記します。
・人名の日本語表記は便宜的なものですので、検索等を行う場合はかならず原文を用いてください。


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■行事情報:ロスチャイルド・アーカイブズ・ワークショップ
        2009年3月13-14日 ロンドン
 
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□ワークショップ「ネットを広げる:戦争と平和の時代のパートナーシップ」
  ロンドン、2009年3月13-14日

Workshop, 'Spreading the net: partnerships in times of war and peace' London, 13-14 March 2009

本通信第12号(2008年12月25日発行)
http://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20081225.html
でご紹介したロスチャイルド・アーカイブズが、ドイツ歴史協会(German Historical Institute)とハインリッヒ・ハイネ大学(Heinrich Heine Universitat, Dusseldorf)と共催で3月13、14日にロンドンの同アーカイブズでワークショップを開催しました。テーマは「ネットを広げる:戦争と平和の時代のパートナーシップ」です。イギリスのビジネス・アーカイブズ・カウンシル(BAC)のサイトに関連情報が掲載されています。

http://www.businessarchivescouncil.org.uk/materials/rothschildworkshop.pdf

これによると、18世紀にフランクフルトで創業したロスチャイルド家の企業としての成功は、一族によって確立されたネットワークに多くを負っているということです。このネットワークの確立によって、動乱のナポレオン戦争時代(1803〜1815年)においても、複雑な取引を行うことが可能になったということです。今回のワークショップでは、19世紀におけるヨーロッパの政治的社会的発展の文脈の中で機能したビジネス・ネットワークが検討されました。

[報告]

◆日本語タイトル:1796年のスヘルデ川の再開通後のアントワープ=ロンドン間貿易ネットワーク
原題:Trade networks between Antwerp and London after the reopening of the river Scheldt (1796)
発表者原文:Hilde Greefs
発表者活動拠点:アントワープ(Antwerp)、ベルギー

◆日本語タイトル:ナポレオン戦争中のイェーテボリにおける外国人商人
原題:Foreign merchants in Gothenburg during the Napoleonic Wars
発表者原文:Leos Muller
発表者活動拠点:ウプサラ(Uppsala)、スウェーデン

◆日本語タイトル:ナポレオン戦争中のネイサン・メイヤー・ロスチャイルドと彼のドイツの貿易ネットワーク
原題:Nathan Mayer Rothschild and his German trade network during the Napoleonic Wars
発表者原文:Margrit Schulte Beerbuhl
発表者活動拠点:デュッセルドルフ(Dusseldorf)、ドイツ

◆日本語タイトル:ナポレオン戦争時代のミラノにおける国際的ネットワーク
原題:International networks in Milan in the Napoleonic Age
発表者原文:Monika Poettinger
発表者活動拠点:ミラノ(Milano)、イタリア

◆日本語タイトル:1780年から1870年にかけてのギリシャ系商社の拡張と戦略:レバント(東地中海地域)から英国へ
原題:Expansion and strategies of Greek commercial houses 1780-1870: from the Levant to England
発表者原文:Maria Christina Chatziioannou
発表者活動拠点:アテネ(Athens)、ギリシア

◆日本語タイトル:宗教的少数者と商業ネートワーキング:ある事例
原題:Religious minority and commercial networking: a case study
発表者原文:Frank Hatje
発表者活動拠点:ハンブルグ(Hamburg)、ドイツ

◆日本語タイトル:復興、産業化と国際金融:ロスチャイルド家とプロシアへの借款、1818-1832年
原題:Restoration, industrialisation and international finance: the Rothschilds and loans to Prussia,1818-1832
発表者原文:John Davis
発表者活動拠点:キングストン(Kingston)、イギリス

◆日本語タイトル:仲介人、共同経営者、仲間:ロスチャイルド家とゲルソン・フォン・ブライヒレーダー(1822-1893)の間の重層的な関係
原題:Agent, business partner, friend: the multilayered relationship between the Rothschilds and Gerson von Bleichroder (1822-1893)
発表者原文:Rainer Liedtke
発表者活動拠点:ギーセン(Giessen)、ドイツ

◆日本語タイトル:周りの環境に溶け込む:ロスチャイルド家の慈善活動のフランス方式とイギリス方式
原題:Adapted to their cultural environments: French and British ways of Rothschild philanthropy
発表者原文:Klaus Weber
発表者活動拠点:ハンブルグ(Hamburg)、ドイツ / ロンドン(London)、
イギリス

[関連ページ]

ロスチャイルド・アーカイブズ
http://www.rothschildarchive.org/ta/

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■文献情報:ビジネス・アーカイブズ ウェブサイト 5

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□英国ビジネス・アーカイブズ・カウンシル(BAC)ビジネス・アーキビストの声

ビジネス・アーカイブズ・カウンシル(BAC)のウェブ・サイトには、5人のビジネス・アーキビストがそれぞれの業務について語っているページがあります。ビジネス・アーキビストの業務は、会社によって大きく異なっているものです。5人の声を通して語られるビジネス・アーキビストの仕事をお伝えします。

http://www.businessarchivescouncil.org.uk/faq/profession/

http://www.businessarchivescouncil.org.uk/materials/sainsbury.pdf
氏名:クレア・ウッド Clare Wood
職種:アーキビスト Archivist
所属:セインズベリ・アーカイブ Sainsbury Archive
簡単な紹介:大手スーパーマーケットのセインズベリは創業100周年にあたる1969年からアーカイブズを専門職員が管理してきました。しかし独立した法人格を持ったのは2003年です。所蔵品の多くを現在ロンドン博物館に長期貸し出ししているほか、ドックランドにある博物館内セインズベリ学習センターで資料を閲覧することができます。閲覧室は事前予約した利用者が週2日プラス月に1回土曜日に利用されています。閲覧室閉室日にも学習センターを訪れた来館者への対応にあたります。多くの来館者はドックの歴史に興味があって博物館を訪れるので、ここにスーパーマーケット(セインズベリ)の資料があることを知って、いささか驚かれたりもします。なおアーカイブズの目録は外部の利用者には公開されていません。事前に申し込みがあった資料をアーキビストが準備しておきます。アーカイブズは会社内でもよく利用されています。問い合わせ全体の40%は企業内部からのものです。内部的に利用が多いのは、広報のための素材、支店の開店記念関係、あるいは新製品開発のインスピレーションを得るために過去の製品を参照する、といった類のものです。アーカイブズとセインズベリの歴史を広く広報することも業務の一部です。博物館来館者に講演したり、会社の経営陣にブリーフィングしたり、あるいは元社員の集まりで話をする、といったことが含まれます。展示の構成や、アーカイブズのウェブ・サイトを企画することも行います。これらに加えて、アーキビストとしての中核的業務、すなわちコレクション管理、資料受け入れ、目録作成、コンサベーションといった仕事があります。

http://www.businessarchivescouncil.org.uk/materials/hoares.pdf
氏名:パメラ・ハンター Pamela Hunter
職種:アーキビスト Archivist
所属:C. ホーア社(銀行) C. Hoare & Co. (bankers)
簡単な紹介:ロンドンのフリート・ストリートは銀行が立ち並ぶ喧噪に満ちた場所ですが、ひとたび職場の中に入るとまったく違った雰囲気です。そこはオーク材の壁で囲まれ、時計の針の音が時を刻む静寂な空間です。ここで17世紀あるいは18世紀の資料を閲覧しに訪れた研究者に対応します。また、ある時は資料の再製本事業の進み具合をチェックして、完結までにあと4年かかることを確認する、といったこともあります。最近寄贈された資料を撮影したり、新しいウェブ・サイトで利用する説明文を校正することも業務の一部です。電話での問い合わせへの対応や、外部への資料貸し出しもあります。

http://www.businessarchivescouncil.org.uk/materials/faber.pdf
氏名:ジョン・ポーター John Porter
職種:アーキビスト見習い Trainee Archivist
所属:フェイバー・アーカイブ Faber Archive
簡単な紹介:大手出版社フェイバー・アンド・フェイバー社アーカイブズ「フェイバー・アーカイブ」の朝は9時30分始業です。午前中は社内外からのメールによる問い合わせに対応します。外部の研究者からの問い合わせメールはプリントアウトして、順にファイルしていきます。また問い合わせ内容の詳細を集計表に記入して、一種のレファレンス・データベースを作成して将来の問い合わせに役立てます。フェイバー・アンド・フェイバー社は出版社であることから、外部からの問い合わせは多くの場合、著者とタイトルに関わるものです。これらに関する情報は、アーカイブズとは別の場所にある編集ファイルに含まれます。所蔵資料には作家と編集者間の書簡なども含まれ、大変興味深いものです。事前に訪問のアポイントメントをお受けした研究者の調査を手伝うこともあります。レファレンスや来訪者への対応がない日は、資料整理や目録作成を行います。フェイバー・アンド・フェイバー社は現在も活動を続けているので、アーカイブズには絶え間なく新しいファイルが持ち込まれるのです。

http://www.businessarchivescouncil.org.uk/materials/barclays.pdf
氏名:ニコラ・マーチバンク Nicola Marchbank
職種:新たに資格取得したアーキビスト Newly Qualified Archivist
所属:バークレイズ・グループ・アーカイブ Barclays Group Archive
簡単な紹介:大手金融機関バークレイズは300年以上の歴史を持つ企業です。アーカイブズではその間作成された資料を管理しています。業務の中心は会社内部のさまざまニーズにこたえることです。アーカイブズは親会社の業務上あるいは法的な理由から各種の情報を保持していることから、アーカイブズが果たす社内的機能は極めて重要なものです。社内各部署からのそれぞれまったく異なった要求にこたえなくてはいけません。例えば顧客サービス部門には、商品に関する契約条件に関する情報を提供するいっぽう、支店が管理する長期間取引がない口座の歴史的な分類コードを調べ、同時に年金生活者対象の雑誌記事のために資料調査を行う、といった具合です。このほか、外部の研究者による種々の資料調査を手助けすることも業務の一部です。

http://www.businessarchivescouncil.org.uk/materials/bpma.pdf
氏名:ジェシカ・ニュートン Jessica Newton
職種:目録アーキビスト Cataloguing Archivist
所属:イギリス郵便博物館&アーカイブ The British Postal Museum &
Archive
簡単な紹介:イギリス郵便博物館&アーカイブは2004年に設立され、ロイヤル・メール・アーカイブ(The Royal Mail Archive)の公文書を管理するとともに、旧国立郵便博物館(the former National Postal Museum)の博物コレクションへのアクセス向上に取り組んでいます。ロイヤル・メール・アーカイブの所蔵記録は、400年に及ぶ郵便局とロイヤル・メール・サービスの歴史に関わる記録です。この期間の大部分は英国政府による事業であったため、アーカイブズは公的な記録であり、法的にはあらゆる人が利用できます。ですから調査に訪れる利用者に対応することが重要な業務です。郵便局に勤務していた家族や親せきについて調べる系図学者(genealogists)と呼ばれる人々はアーカイブズの頻繁な利用者です。現在は、ロイヤル・メールのコンサルタントであるレコードマネジャーと協力して、新たなリテンション・スケジュールを作成しているところです。これは、現在イントラネット上にある推奨ガイドラインにとって代わる予定です。また頻繁に利用される資料は業者に依頼してマイクロフィルム化しています。

[関連ページ]

セインズベリ・アーカイブ・ウェブ・サイト
http://www.museumindocklands.org.uk/English/Collections/LibraryArchives/SainsburyArchive/

C. ホーア社ウェブ・サイト
http://www.hoaresbank.co.uk/index.htm

フェイバー・アンド・フェイバー社FAQページ
(フェイバー・アーカイブ連絡先に関するFAQが掲載されています。)
http://www.faber.co.uk/about/help/

バークレイズ・グループ・ウェブ・サイト内の同グループ・アーカイブに関するページ
http://www.personal.barclays.co.uk/BRC1/jsp/brccontrol?task=channelgroup&site=pfs&value=11334

イギリス郵便博物館&アーカイブ・ウェブ・サイト
http://postalheritage.org.uk/

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■文献情報:韓国国家記録研究院(RIKAR)2009年度上半期図書翻訳支援事業

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□選定図書案内

BA通信第14号(2009年2月23日発行)
http://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20090223.html
でご紹介した韓国国家記録研究院の「記録学翻訳書支援事業案内」への申請が2月末で締め切られ、結果が発表されました。
http://rikar.org/inx/m3/notice/view.jsp?bbs=797&pg=0&seq=478

選定された図書は下記の3点です。

◆タイトル日本語訳:開かれた政府を転覆する:ホワイトハウス資料と行政府の政治
原題:Subverting open government: White House materials and executive branch politics
韓国語タイトル日本語訳:「開かれた政府」への脅威:米国大統領記録物と米国行政府の政治役割
著者名:ブルース・P・モンゴメリ
著者名原文:Bruce P. Montgomery
出版者:Lanham, Md.: Scarecrow press
刊行年:2006
翻訳申請者:イ・ギョンネ

◆タイトル日本語訳:地域性を記録する:アメリカのアーキビストと手稿学芸員のための実践モデル
原題:Documenting localities: a practical model for American archivists and manuscript curators
韓国語タイトル日本語訳:地域性をどのように記録するのか
著者名:リチャード・J・コックス
著者名原文:Richard J. Cox
出版者:Chicago, IL.: The Society of American Archivists and Lanham, Md.:
Scarecrow Press
刊行年:1996
翻訳申請者:イ・ミヨン

◆タイトル日本語訳:アーカイブズの評価選別:理論と実際
原題:Archival appraisal: theory and practice
韓国語タイトル日本語訳:保存記録の評価選別:理論と実際
著者名:バーバラ・クレイグ
著者名原文:Barbara Craig
出版者:Munchen, Germany : K.G. Saur
刊行年:2004
翻訳申請者:イ・スンオック

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■文献情報:アーカイブズとウェブ 3

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□韓国国家記録院ウェブサイト

最近10年あまりにおける韓国のアーカイブズと記録管理制度の発展には目を見張るものがあります。現在の韓国のアーカイブズ・記録管理の状況を知るために、韓国国家記録院(国立公文書館に相当)のサイトをご紹介します。

[韓国国家記録院サイトHOME]
http://www.archives.go.kr/
イラストを多用し、パステルカラーが基調で、日本の官公庁のウェブページとは少し違った印象を受けます。

[韓国国家記録院ブログ]
http://blog.naver.com/kirog
ホームページからブログに行ってみましょう。タイトルの上の方に、First Archives, Best Information(「一級のアーカイブズ、最良の情報」)とあります。左の方のプロフィールに当たる部分には、韓国語で「時代に向かう(あるいは、時代を目指す、とも訳せます)記録、国民のための情報」という説明があります。

再び韓国国家記録院のサイトに戻りましょう。

[国家記録院コレクション紹介]

ホームの左側下の部分は「国家記録院コレクション紹介」です。10個のコレクション紹介があります。順に見ていきましょう。

◇◆01地籍コレクション◆◇
http://contents.archives.go.kr/next/cadastre/viewMain.do

土地調査簿など地籍に関わる記録物コレクション紹介
http://contents.archives.go.kr/next/cadastre/viewSummary.do

地籍検索(地図からの検索、マップサーチ)
http://contents.archives.go.kr/next/cadastre/formMapSearch.do

地籍検索(旧地名検索)
http://contents.archives.go.kr/next/cadastre/formOldNameSearch.do

キーワードを用いた詳細検索
http://contents.archives.go.kr/next/cadastre/formKeywordSearch.do

関連資料(関連するサイトへのリンク集)
http://contents.archives.go.kr/next/cadastre/viewRelatedSite.do

◇◆02官報コレクション◆◇
http://contents.archives.go.kr/next/gazette/viewMain.do
このページの下に、官報の紹介、キーワード検索、発行日検索、関連機関の各ページがあります。

◇◆03朝鮮総督府記録物コレクション◆◇
http://contents.archives.go.kr/next/government/viewMain.do

このコレクションに関するページはコンテンツが盛りだくさんですね。左の方のメニューには次のような項目があります。

朝鮮総督府記録物紹介
朝鮮総督府組織変遷沿革
部署別代表記録物
記録物機能分類
詳細検索
分類検索
カナタ(ダ)検索
[編集者注]「カナタ(ダ)とは日本語の「いろは」や「五十音」もあたる韓国
語です。ですから、「カナタ(ダ)検索」は日本の五十音検索に相当します。
関連サイト

記録物原文閲覧

このページの中央には「重要記録物紹介」「人気記録物」があります。人気記録物にはそれぞれ解題がついており、解題へのリンクが張られています。

ページ右の部分は「朝鮮総督府記録物分類」です。

◇◆04独立運動関係判決文コレクション◆◇
http://contents.archives.go.kr/next/indy/viewMain.do
このページでは著名な独立運動家の肖像のアニメーションが流れています。安重根も見えます。

◇◆05国務会議関連コレクション◆◇
http://contents.archives.go.kr/next/cabinet/viewMain.do

◇◆06日帝強制連行者名簿コレクション◆◇
http://contents.archives.go.kr/next/collection/viewJapaneseIntro.do
これは新しくできた国家記録院新館ナラ記録館所蔵なのでしょうか。ページのレイアウトが前の5つとは違います。左上に国家記録院ナラ記録とあります。
[編集者注] ナラとは韓国語で「くに」「国家」「国土」といった意味をあらわす言葉です。国家記録院の本部は太田(テジョン)市にあります。2008年にソウル南方に位置する城南(ソンナム)市に開館した国家記録院新館は「ナラ記録館」と命名されました。

◇◆07反民主行為者調査・審査記録物コレクション◆◇
http://contents.archives.go.kr/next/civic/viewMain.do
韓国では1960年に独裁政権であった李承晩政権が倒れ、自由主義的な第二共和国が成立します。この時期に作成された記録物です。第二共和国は、翌年には朴正熙ら軍部による軍事クーデターで終焉を迎えました。

このコレクションは個人情報満載だと思われます。「公開の状況」によると記録物管理法35条では30年原則を適用することにしているので、原則は公開。同法9条で個人情報の保護規定があるので、一部非公開のものがあるようです。

「コレクション構築目的」は次のように述べています。

「反民主行為者公民権制限関連調査・審査記録物は1960年3・15不正選挙の全国的実相把握ならびに1950年代地域別自由党員、警察(査察系)、大韓反共青年団員、国策金融機関員等地方次元の権力関係を究明しうる記録物として史料的価値が高い記録物です。このような歴史的価値を持つ記録物をコレクションとして構築し、サービスすることを通して、韓国現代史研究に大きく寄与することができると期待されます。」

◇◆08日帝時期学校建築記録物コレクション◆◇
http://contents.archives.go.kr/next/dwg/dwgMainView.do

このページの下には「コレクション紹介」「3D復元」「記録物検索」があります。

トップページには次のようにあります。
「日帝時期の建築図面は近代化が進行する次期とそれ以前の時期の状況を見ることができる貴重な記録物であり、伝統都市が近代都市に変わってゆく姿を確認させてくれる踏み板(石)になります。本コレクションでは国家記録院で所蔵されている日帝時期設計図面の中で「学校」として分類された4797枚に対する目録、解題情報、3D復元コンテンツを提供しております。」

◇◆09私のふるさとの歴史を知るコレクション◆◇
http://contents.archives.go.kr/next/oldhome/viewMain.do

このページの下には「私のふるさとの歴史を知るとは何か:紹介」「地図検索」「ファイル検索」「時期検索」があります。

「私のふるさとの歴史を知るとは何か:紹介」
http://contents.archives.go.kr/next/oldhome/history/history.do
を要約すると、「日本の植民地権力機関によって、かつての地方社会の組織が再編成され、地名の変更などが行われました。このコレクションは、1911年から1925年までに作成された地方制度(府、郡、面)の統廃合と関連する文書綴り等を抽出して、それらが作成された地図と文書等と記録物を翻訳して再編集したものです。自分のふるさとの歴史と境界区域の変遷史を一目瞭然に探すことができるようにコレクションを再構成しました」とあります。

◇◆10西洋古地図を通してみた韓国コレクション◆◇
http://contents.archives.go.kr/next/oldmap/index.do

★☆...「官報」比較...★☆

本通信14号では米国連邦政府の官報Federal Registerに関して触れました。
http://www.shibusawa.or.jp/center/ba/bn/20090223.html

Federal Registerは国立公文書館NARAの一部門であるOffice of Federal Registerが発行しています。印刷は政府印刷所Government Printing Officeです。
http://www.archives.gov/federal-register/

1994年以降のものがオンラインで検索、閲覧できます。
http://www.gpoaccess.gov/fr/index.html

韓国国家記録院の官報コレクションでは、韓国併合後の1910年8月29日発行の朝鮮総督府官報第1号以降の号をウェブ上で検索、閲覧できます。
http://contents.archives.go.kr/next/gazette/viewMain.do

2001年以後の官報は電子官報サイトで検索・閲覧できます。
http://gwanbo.korea.go.kr/main.jsp

日本の官報は、インターネット版「官報」で過去7日分を閲覧できます。
http://kanpou.npb.go.jp/index.html

過去7日分以前(昭和22年以降)の号も検索・閲覧できますが...、「有料」です。
http://kanpou.npb.go.jp/search/introduce.html

[関連ページ]
国家記録院日本語ページ表紙
http://japan.archives.go.kr/

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[略称一覧]
ACA: Association of Canadian Archivists(カナダ・アーキビスト協会)
ASA: Australian Society of Archivists(オーストラリア・アーキビスト協会)
BAC: Business Archives Council(ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
BACS: Business Archives Council in Scotland
DCC: Digital Curation Center(英国デジタル・キュレーション・センター)
(スコットランド・ビジネス・アーカイブズ・カウンシル)
ICA: International Council on Archives(国際文書館評議会)
LSE: London School of Economics and Political Science
(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)
MLA: Museums, Libraries and Archives Council
(英国博物館、図書館、アーカイブズ評議会)
NARA: National Archives and Records Administration
(米国国立公文書館記録管理庁)
RIKAR: Research Institute of Korean Archives and Records
(韓国国家記録研究院)
SAA: Society of American Archivists(米国アーキビスト協会)
SBL: Section for Business and Labour Archives
(企業労働アーカイブズ部会、ICA内の部会)
SoA: Society of Archivists(イギリス・アーキビスト協会)
TNA: The National Archives(英国国立公文書館)

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☆★ 編集部より:あとがき、次号予告 ★☆

イギリス郵便博物館&アーカイブのアーキビストは、民営化前の郵便事業に関する記録に触れていました。民営化前の会社資料は公的な記録であり、すべての人が法律的にはアクセス可能である、という部分です。イギリスで最初の公文書館法ができたのは1838年、チャールズ1世が初めてロイヤル・メールを一般の利用に提供したのは、その約200年前の1635年です。現在のイギリスにおいては、法律作成以前にさかのぼって、過去の会社記録を公的記録とみなしているようです。

日本でも明治の殖産興業政策以来、政府による事業は日本の近代化に大きな役割を果たしてきました。民営化されることによって一般の事業会社になったとしても、それ以前の記録は公文書に相当する、という考え方があることを覚えておきたいものです。

今号では簡単ですが、日米韓の官報(中央政府の機関紙)比較も行ってみました。日本の場合、過去1週間以前は有料の検索サービスであることにはいささか驚きました。政府情報へのアクセスという観点からは、米国や韓国のような無料での情報提供のあり方の方が断然勝っているでしょう。

次号ではBT(ブリティッシュ・テレコム)アーカイブズほかを予定しております。2009年4月中旬配信予定です。どうぞお楽しみに。

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◆◇◆配信停止をご希望の方は次のメールアドレスまでご連絡ください◆◇◆

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◆◇◆〈渋沢栄一記念財団からのお知らせ〉◆◇◆

□「企業史料ディレクトリ」:企業アーカイブズと企業史料の所在・概要ガイド

2008年7月22日公開いたしました。日本を代表する企業を中心とした企業アーカイブズと史料保存・学術研究機関合わせて30企業・団体・機関の概要、所蔵資料に関する情報を掲載しております。ぜひご覧ください。
http://www.shibusawa.or.jp/center/dir/index.html

□実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」

「今日の栄一」「栄一情報」「栄一関連文献」「センターニュース」「今日の社史年表」「社史紹介(速報版)」「アーカイブズニュース」「図書館ニュース」をお届けしております。
http://d.hatena.ne.jp/tobira/

「アーカイブズニュース」では政府の「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」の動向やアーカイブズのデジタル化、資料の発見・公開に関わるニュースを随時ご紹介しております。

ブログ画面右側の「カテゴリー」にある「アーカイブズニュース」をクリックしてください。「アーカイブズニュース」として掲載した記事をまとめて一覧することができます。

・カテゴリーの紹介
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20080203

実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、そのまた向こう」はほぼ毎日更新しております。どうぞご利用ください。

□「渋沢栄一関連会社社名変遷図」

渋沢栄一がどのような会社に関わったか、それが今にどうつながっているのか、一目でわかるように業種別にまとめて変遷図にしました。現在39図掲載中で、3月25日に「陸運」11図を公開予定です。社名索引もありますので、どうぞご覧ください。
http://www.shibusawa.or.jp/eiichi/companyname/index.html

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ビジネス・アーカイブズ通信(BA通信) No.16
2009年3月23日発行 (不定期発行)
【創刊日】2008年2月15日
【発行者】財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター
【編集者】財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター
      「ビジネス・アーカイブズ通信」編集部
【発行地】日本/東京都/北区
【E-Mail】
【サイト】http://www.shibusawa.or.jp/center/ba/index.html

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Copyright (C)
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2007- All Rights Reserved.

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